第40回『永久保存 コンビニエンスストア 遊園地』
YouTubeで行った
ライブ配信にて三題噺を即興で書きました 第40回『永久保存 コンビニエンスストア 遊園地』
の完成テキストです。
お題はガチャで決めました。
お題には傍点を振ってあります。
所要時間は約39分でした。
詳しくは動画もご覧いただけたら幸いです。↓
https://www.youtube.com/watch?v=nKgr0X6n1SU
↓使用させていただいたサイト↓
ランダム単語ガチャ
https://tango-gacha.com/
~・~・~・~・~
永久保存することが決定された。
データによると、21世紀の人類は歴史的な建築物や貴重な自然や文化を遺産として登録することによりその保存に努めた。
その甲斐あって何百年も経った今でも当時登録された歴史遺産や文化遺産は立派に残っている。
みんなで守ることによりそれが破壊されることなくのちの世代へと継承されることが実証されたのは先人たちの努力の賜物だ。
だから今回の決定はそれに習ったものと言える。
日曜日、僕はリュックを背負い電車に乗って遠い街まで来た。
目的は遊園地だ。
小さい頃はよく親に連れて行ってもらったものだ。
そこは一歩足を踏み入れれば魅力的なキャラクターたちが笑顔で出迎えてくれ、園内のアトラクションは楽しいものやスリル満点のものなど一日いても飽きないほどだった。
しかし今日は中に入ることはできない。
僕は入口に立ち、誰もいない静かな園内を眺めて思い出にふけった。
あれほど帰るのをぐずった遊園地も外で立っているだけでは30分と持たなかった。
僕は踵を返し、そのまま駅へと向かった。
途中カメラを担いだ人とすれ違ったが、きっと彼も僕と同じようにあの遊園地に思い出があるのだろうと思った。
そしてまた僕と同じようにすぐに用を済ませて帰るのだろうと思った。
地元の駅に立ったとき、もう二度とあの遊園地には入れないんだなという自覚がようやくできたような気がした。
そんなことを考えながら歩いていたらコンビニが目についた。
思えばこのコンビニもよく利用した。
普段の買い物はもちろん、学校帰りに友達とお菓子を買ったりなど思い出がいっぱいだ。
幸いまだ営業中だったので、最期の思い出に何か買って帰ることにした。
西暦2322年、人類は地球上に存在するもの全てを永久保存することに決めた。
巨大な建築物も道に落ちてるゴミも全て──。
あと1年以内に全人類は宇宙に出る。
そうしたらもう二度と地球を見ることはできなくなる。
地球とは永遠のお別れだが、これは永久保存だ。
~・~・~・~・~
~感想~
コンビニと遊園地がどちらも建物なので、まとめて永久保存する話にしたれと思って作りました。
SFとか青春の別れとかそういうのっぽく書きましたが、脳内には間違いなく日々ネットに上がるウクライナの街並みがよぎっていたと思います。