第21回『119 黒板 100マス計算』
YouTubeで行った
ライブ配信にて三題噺を即興で書きました 第21回『119 黒板 100マス計算』
の完成テキストです。
お題はガチャで決めました。
お題には傍点を振ってあります。
所要時間は約1時間2分でした。
詳しくは動画もご覧いただけたら幸いです。↓
https://www.youtube.com/watch?v=nqKgRvegSE0
↓使用させていただいたサイト↓
ランダム単語ガチャ
https://tango-gacha.com/
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教師生活をしていると予想をつかないことが起きるものだ。
特に小学生は無垢なので、それが彼らにとっては遊びでやってるつもりでも時に大人を困らせてしまう。
不測の事態は休み時間や放課後だけでなく、授業中にだって起こりうるのだ。
事は算数の授業中に起きた。
今日は児童たちに100マス計算を教えることになっていた。
100マス計算とは縦と横のマスにそれぞれ数字が書かれてり、それが交差するところに足し算や引き算をした数字を書き込んでいくというものだ。
反復して量をこなすことにより、計算力だけでなく集中力も鍛えられると言われている。
まずは児童たちに100マス計算が印刷されたプリントを配った。
児童たちは見たこともない表にキャッキャッしていた。
その間に私は黒板に同じように100マス計算を書いていった。
まずは100マス計算のやり方を理解してもらうために先生と一緒にやっていくためだ。
10×10のマスと数字を書き込むのは大変だったが、幸か不幸が児童たちは依然として周りのお友達と騒いでいるので、私は集中して書き込むことができてわりとすぐに書き終えた。
なるほど、100マス計算は集中力を鍛えられるものだなと感心してしまった。
児童たちに黒板に注目するよう促すと私は説明を始めた。
そして最初の2行、つまり10×2マスを実際に私が解きながら書き込んでいった。
児童たちはすぐにやり方を理解し、2行目の中盤になると児童たちのほうから次々と答えを言い出し始めた。
どうやらみんな100マス計算を理解できたようで私は安心した。
この後は1マスずつ順に一人ずつ当てていき答えてもらった。
クラスを何周かするうちに100マス全てが数字で埋まった。
数字がいっぱいに書かれた表を見るのは壮観のようで、児童たちは目を輝かせていた。
「みなさん、わかりましたか。これが100マス計算というものです。」
そうしてこれをやる意義を児童たちにもわかりやすいように説明した。
今度からはこれをみんなに一人でやってもらいますと言ったときは、児童たちからは悲鳴が上がった。
児童たちのそのような反応は織り込み済みなので、私はあわてることなく静かにするよう促した。
すると児童の一人が手を挙げた。
「先生、そこに消防車の電話番号がある。」
児童の指すマスを見ると11と9が続いていて、確かに119と読めた。
「そうですね。これは消防署の電話番号ですね。火事のときにかける電話番号ですよ。」
私がほめたのが嬉しかったのか、児童たちは次々にマスの中の数字を探し始めた。
「先生ー、110番もあるよー。」
はい、ありますね。
「先生、天気予報の番号見つけた。」
116、よく知ってますね。
「先生、うちの郵便番号があった。」
じゃあ他のお友達の分もあるかな。
「先生、僕たちの組の数字もある。」
2組だからな、2なんてたくさんあるわな。
「先生、ここに123があります。」
123、数字が続いたってことかな?
「いえ、高橋一二三という人が今市議会選に立候補してますよね。先生が選挙期間中に公務員の資格で選挙活動をするのは公選法違反では?」
うっっぜ~~~~~~~~~~~~~~~。