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第174回『ボウリング 方向転換 コンパクト』

YouTubeで行った

ライブ配信にて三題噺を即興で書きました 第174回『ボウリング 方向転換 コンパクト』

の完成テキストです。

お題はガチャで決めました。

お題には傍点を振ってあります。

所要時間は約38分でした。

詳しくは動画もご覧いただけたら幸いです。↓

https://www.youtube.com/watch?v=VvoFH82zfbI


↓使用させていただいたサイト↓

ランダム単語ガチャ

https://tango-gacha.com/


~・~・~・~・~


「親指は10時の方向に向けてね。」

私は彼氏とのデートで()()()()()に来ていた。

ボールを触る手がおぼつかない私は、何を隠そうボウリングをやるのが生まれて初めてなのだ。

ふと会話の中でそのことを漏らすと、彼は意気揚々として「なら僕が教えてあげるよ」と言って、今に至るのだ。


「一歩目は右足の中くらいの幅で踏み出すんだよ!」

薄いすみれ色のロングスカートの中で私は右足を少し踏み出した。

「小幅、小幅、はい、大幅!」

私は彼氏に言われた通りの歩幅とリズムで助走をしてボールを投げた。

ボールはふらふらと頼りなく転がり、ガーターへと落ちていった。

「うん、いい感じだよ、いい感じ! あとは上半身だね! もう少し動きやすくした方がいいよ!」

私はインナーに合わせてコーデした春らしいカーディガンを脱いで、ベンチに畳んだ。


「いい? 僕のフォーム見ててね。」

そう言って彼氏はボールを持たずにフォームだけを私に見せてくれた。

「フォームが()()()()()になっちゃってるのは力が入っちゃってるからだと思うんだよ。いい? ()()()()()のスイングは振り子運動だから。腕の力じゃなくてボールの重みを利用して腕を振るんだ。1歩目で腕を伸ばすようにして前に出して、2歩目でボールの重さを利用して腕を振り下ろす。そうすると3歩目では重みの反動でボールが後ろに上がるから、4歩目ではその反動で降りてきたボールを自然にリリースするんだ。肩を軸にして振り子のように腕を動かすイメージで。わかる?」

私は少しだけうなずいた。


「それじゃ、もう一投行ってみようか! 僕? 僕はいいから!」

私は続けてボールを持った。

胸がドキドキしているのが分かったので、小刻みに息を吐いて心を整えた。

周りのレーンからはピンを派手に飛ばす音が鳴り響いていた。

彼氏が私を凝視しているのは、背中越しから伝わった。

「それじゃ、行ってみよう!」

彼氏は手を叩いた。

私がレーンに向かって助走を始めると、彼氏もそれに合わせて手拍子を始めながらテンポよく叫んだ。

「(パンッ)腕を伸ばしてっ(パンッ)、小幅っ(パンッ)、小幅っ(パンッ)、振り下ろしてぇっ(パンッ)、そうっ(パンッ)、大幅っ(パンッ)……」

私は最後の瞬間に180度()()()()をして彼氏の方を向いた。

そして驚いている彼氏に向かってボールをリリースした。

彼氏からのアドバイスのおかげでボールは勢いをつけてまっすぐ転がり、見事に彼氏の脛に鈍い音を立ててヒットした。

「いってええーーーーー!」

彼氏は脛を抑えながら、転がりまわった。

「うるせえんだよ。」

その日私は彼氏と別れた。


~・~・~・~・~


~感想~

掘削工事のボーリングも考えたのですが、あれはボーリングであってボウリングではないので、諦めました。


ボウリングで方向転換と言ったらボールの動きだろうけど、それだと上級者のテクニックの話になってしまいそうなので、他にボウリングの最中に何が方向転換するだろうかと考えて、投げる人がレーンから人に向かって方向転換を思いつきました。

じゃあどうして人に向かって投げるかという理由を考えて、アドバイスがうざい彼氏を設定しました。

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