未来編2 第四部への序章 今日から始める生活保護生活 申請編~脳梗塞一周年記念に~(2)
次の日自分は電話と電気代を引き落としているもう一つの口座を覗きに行った。
実はメインバンクはこちらだったりする。
昨日七万円が入っていた銀行とは別の、母親が大昔に作った自分名義の口座。
おかげで暗証番号が非常にわかりにくい数字になっていて、すぐその数字を忘れてしまう自分は、ついにカードによる引き出しを停止されてしまっていた。
おかげでその口座にいくら残っているのかわからない。
ただ脳梗塞になってから退院時に引き出した時の残高だけは用紙が残っていて、ある程度は推測が可能だった。
試算した結果「そろそろ貯金も底をつくな」と思った自分は行動を開始したわけだが、実際の残高はわからない。
記帳に行けばいいのだが、これがまた移転して遥か遠方に移ってしまったため、面倒でそのまま放置していたのだ。
いつまでも見ないふりもできないので仕方なく出かけたのだが、ここでえらい事実が発覚。
もう今月は引き落とし額がなくて電話電気代の請求書がポストに届くかな? 母親が死んで口座が凍結された時はそうだったなとずっと身構えていた自分は、その残高のあまりの多さに数字を読み間違えたんじゃないかと何回も見直した。
具体的に電話代は毎月五千円ほどかかる。
これは固定電話とインターネットプロバイダ代金の合算。
他人から電話がかかってくることも、自分からかけることもめったにない我が家では、追加で料金がかかることもまずない。
それに健康保険料が二千円ほど。
さらに電気とガス代がセットで引き落とされる。
電気とガスが自由化された時、母親にそれを言うと「安くなるなら考えてもいい」というので、結局自分は電気会社のセット割を申し込んだ。
それ以前はガス代が四千円程度、電気代が一万円程度毎月かかっていた。
安くなるとは言えそれが半分以下になるなんて考えもしなかった自分は、一人になってからも大体毎月合わせて二万円くらいは減っているだろうなと想像していたのだが、実際はその予想は大外れだった。
なんと毎月の電気ガス代が、月によっては四千円を切っている。
夏場でエアコン頼みだった時期でもせいぜい六千円。
これはセット割引がどうこうというより、人の数によるんだろうと思う。
というわけで毎月の経費は二万円を大きく割り込むこととなり、その分の余剰が残ることとなった。
結果通帳にはまだ十数万が残っていた。
もう一つの通帳と合わせれば二十万円!
思わずATMの前でにやにやした自分は、安心しながらもこれどうやって説明しよう……あんだけ動いてもらったのにと考えてしまった。
悩んでいても仕方ないので、とりあえずカードを使えるように戻してもらい、暗証番号を変更してもらって帰宅。
その後日を改めてご近所の人に事情を説明しにいったが、とりあえずよかったと喜んでくれたので助かった。
まあ破滅がほんの少し遠ざかっただけで、別に回避できたわけではないのだが。
そんなわけで2020年は平和に暮らせた自分だが、当然お金はいずれ尽きる。
正月一発目から血圧が急上昇し、予定を繰り上げて正月休み開け早々に病院を訪れた自分は、結局一度やめた降圧剤をまた再開することになった。
おかげで血圧は急降下。
しかし下がりすぎてふらふらになり、さすがに泣きが入って薬を変えてもらったりもした。
この薬が後発品だったため、薬価が急激に下がって思わずガッツポーズが出そうになったというのはあまり大っぴらには言えない。
グレープフルーツが見切り品で並んでいるのを見かけて「もう少し早ければ食べられたんだけどな」と悔しかったりもした。
相当安かったんだけどな。
で、二月になりちょうど脳梗塞から一周年が近づいているわけだが、今のところ生活保護の窓口はまだ訪れていない。
銀行にはまだ十万弱の貯金が残ってはいる。
ただ次降ろしに行けばもう……という気持ちがあるため、どうしても動作が緩慢になってしまう。
生活保護は金だけもらって楽な生活を想像してしまうが、それにしても借金はできないとか不便や制約は増えてしまう。
家の中のもので、壊れて困るものはなんだろうなと考える。
並の品なら保護費で新調すればいいのだが、風呂のガス給湯器や冷蔵庫は難儀するだろうなと考えた。
さすがにこの二つはないと致命傷なのだが、値段が半端ではないため保護費から買うのは難しいだろうと思う。
ローンを組むわけにもいかないし、貯金したら怒られるんじゃないかと考えてしまう。
もう一つ怖いのは配電盤。
古い家なのでそろそろブレーカーも交換すべきなのだが、結局できないままになっている。
そういえば最近洗濯機のホースが壊れて、数日水漏れが続いていた。
やけに長雨だな? と思ったら、空の洗濯機に大量に水が張られていた時は一体なにが起こったのか状況がわからなかった。
いろいろ試してはみたが結局自力では工具がないこともあってどうにもならず、今は使う時だけ開栓して水漏れ受けにバケツをあてがい、終わったらすぐ水を止めて対処している。
他にもいい加減直したい部分は山ほどある。
ガスコンロのバーナーキャップが破れているので買いたいとか、テレビのアンテナが古すぎて電波を拾う力がなく、雨が降るとテレビが全滅するとか、イタチが侵入して天井裏で暴れるので塞ぎたいなあとも思う。
やりたいことは大量にあるのだが、お金がないので果たせていない。
当然これが生活保護ということになればさらに可能性は遠のく。
保護受けなくたって稼ぎがなければ結局一緒なのだが、どうにも一度楽を覚えるとそこから抜け出せなくなりそうで、このルートに乗って大丈夫なのか? という疑問が抜けない。
じゃあ働けるの? と聞かれたらそれも答えに淀むのだが。
というわけでグズグズし続けている今日この頃であります。
このピンチを乗り切れる秘策はあるのか……次の報告にご期待ください。
いや期待するだけ無駄か。
どうせなるようにしかならない。
しかし自分はバレンタインデーから日が明けてすぐに脳梗塞になったんだな……とふと気づいた。
当然チョコのチの字もなかった、脳梗塞にならなくても元からなんの意味もない日だったわけだが、気づいてしまうと惨めさが三割増しになってしまった。
死ななかっただけましだけどさ……。
最近も夜に足がつって激痛に苦しめられ、立ち上がろうとすると痛み、地面を這うのすら激痛で数時間椅子に座った姿勢のままで眠気と排泄欲に苛まれたりもした。
結局三時間経ってから決死の覚悟でトイレまで移動し、なんとか用を済ませたらその場で突っ伏して一眠り。
しばらく眠って多少体力が回復してからやっと布団に戻って朝まで寝たら、なんとか痛みは引いていたのだが……あの時は脳梗塞の時よりやばかったかもしれない。
ネットの知り合いに言ったらかえってバカにされたけど……自分の一生このままこんな感じなのだろうか。




