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白銀の騎士と新米人魚姫  作者: 白井 ねこ
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人魚、世界を知る。


コポッ



「ん…ここは…」



ウンディーネに新しい世界へと飛ばされたはずだが頭が回らなくてぼーっとしていたら目の前をカラフルな魚が通り過ぎる。



「さかな……魚?!!え、ちょっと待って今水の中?!ちょっ空気空気死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ!!!」



覚醒した私は急いで空気を求め上まで泳ぐはずだったのだがあるものが見えて思考がまた止まった。



「足が…魚になってる…!え、新しい世界の私は人魚なの?!泡になるの?!食べられるのーーーー?!!!」



パニックになっていると小さな光がやって来て目の前に来たと思ったらすぐにウンディーネへと姿を変えた。



(落ち着いて。泡にならないし、食べさせません。

よく聞いてください。私は人の姿のまま送ったはずなのですが、世界がその姿を望んで変えてしまったみたいなのです。貴方が直接人魚として水に触れている事で、水の力が強くなる。枯れた大地も早く潤うと思います。)



世界が変えたとか本当にファンタジーな世界に来てしまったようだ。

取り敢えず水の中でも息が出来ている事は一安心である。



「それにしても人魚か〜。なってみたかったけどまさかなれるとは思わなかったなー!あ、そう言えば私以外に人魚っているの?精霊とか居るなら居そうな気がするけど…。」



(居ません。)



即答されてしまった上に絶望的にピンチなのではないだろうか??


人魚居ない=希少価値=不老不死=食べられる



「やっぱり食べられるじゃん!!!」



(そうならないためにちゃんと用意してきました。)



するとウンディーネは隣に魔法陣を出現させて、何かを呼んでいるようだった。



(来なさい。ケルピー。)



魔法陣が光り、現れたのは馬のような動物だった。体は馬で水色の毛並み、尻尾が魚、額には水晶のような一角。

初めて見る動物だったがあまりの綺麗さに見とれてしまっていた。



─参りました。ウンディーネ様。─



(貴方に頼みたい事があるのです。この子、愛し子をあらゆるものから守ってあげて。)



ウンディーネがそういうとケルピーはブルルッと一鳴きして膝まづくように前足を折りたたんで言った。



─御意。我らの愛し子、傷1つ付けぬよう守りましょう。愛し子よ、側に居ることを許してくれるか?─



急に話しかけられて緊張してしまったが守ってくれるらしいので喜んでお願いすることにした。



「お願いします!!あと愛し子ってやめません?ちょっと恥ずかしくて…。」



二人(1人と1匹?)して愛し子言うから体がムズムズしてしょうがない。

普通に名前とかにして欲しい。



─では、姫様と…─



「いや、余計恥ずかしいって!!姫って柄じゃないから!」



その後人魚姫様やら気恥しい名前を連呼するものだから名前呼びにしてもらった。

呼び捨てでも良かったのだが、様だけは譲れないとかでスイ様に落ち着いた。



(スイ、ケルピーは従順だけれどつい血が登って暴走してしまう時があるのです。その時は魔法で頭を冷やしてあげてください。)



そう言えば魔法ってどうやって使うのだろう??

ウンディーネみたいに魔法陣なんて出せないし…

私の表情から読み取ったようにウンディーネは魔法の使い方を教えてくれた。



(スイの場合全ての水属性の魔法が使えるので詠唱も魔法陣も無くても大丈夫です。願えばすぐ使えますよ。)



なんて便利な!!これで食べられる可能性が少し下がった気がする…。ケルピーも守ってくれるし何とかなるかも??


そしてウンディーネは今いる国は水の国アイル王国であること。私が今いる所は国の外れの奥深い森の中で人が中々来ない所の湖であること。

言葉や習慣など前いた世界とほぼ変わらないということを教えてくれた。



(いい人間も悪い人間もいます。人と接触するなとは言いませんけど、いい人間だと確定するまで姿を見せないでください。見つかったら世界中にスイのことが知られて大変なことになってしまいます。)



思い浮かべただけでぞっとした。

気をつけよう…。


するとウンディーネは少し疲れた表情で私の頬を撫でた。



(スイ、水の力がまだ足りなくて少しの間だけ水に戻って力を蓄えてきますね。無理矢理に連れてきてしまったけれどこの世界を少しでも好きになってくれたら嬉しいです。)



そう言って姿が消えてしまった。

ウンディーネは無理して姿を見せてくれてたのだろうか。



「ゆっくり休んでね、ウンディーネ」



私も少し頭が疲れたので地上がどうなっているのかケルピーと見に行って見ることにした。



─スイ様。地上は危険です故、お顔を出される際はお気をつけ下さい。─



「はーい」



ゆっくり水面から顔を出して周りを観察してみると、とても気持ちいい風が吹いていて、色鮮やかな緑がサワサワと葉を鳴らしている。



「わー…綺麗な所…」



ふと動く気配に驚いて振り返るとそこには…



「わーいっぱいだー…」



湖の周りにうさぎ、狐、狸、熊etc…

森中の動物大集合しちゃってる位の数が私を見ていた。

すると1匹の真っ白なうさぎがぴょこぴょこと目の前まで飛び跳ねてきてちょこんと座った。



「可愛い…!」



(人魚姫様に可愛いなどと勿体無いお言葉でございます!)



喋った!!!もしかしたらウンディーネが動物とも話せるようにしてくれたのだろうか??



(我ら森の全ての生き物、貴方様をお待ちしておりました。我らの命の水を繋ぎとめて頂き感謝してもしきれません。この御恩は一族末裔まで忘れる事無く返していく所存でございます!)



うさぎがそういうと一斉に動物達が頭を下げていき、私は水戸黄門はこんな居心地悪い気分を毎回していてすごいなと他人事のように思っていた。

その後動物達の頭を上げてもらい、恩は良いから話し相手や遊び相手になって欲しいと言ったら喜んで引き受けてくれたのだった。



「なんだか、賑やかになりそう!」



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