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もうひとつの昔話(パロディ)

北風と太陽(もうひとつの昔話7)

作者: keikato
掲載日:2016/10/09

 そこは荒涼とした荒野でした。

 太陽が照りつけています。

 北風が吹きすさんでいます。

 そんななか、一人の旅人がもくもくと歩いていました。


「あの旅人のガイトウ、どちらがぬがせることができるか、勝負をしようではないか?」

 北風が太陽に戦いをいどみます。

「ああ、いいとも」

 太陽は北風の挑戦を受けて立ちました。

 さっそく勝負が始まります。

 まずは北風。

 ピュッーと、冷たい風を旅人に吹きつけました。

 旅人がブルルルとふるえます。

 けれどガイトウはぬぎません。

 北風はさらに強く吹きつけました。

 旅人はそれでもガイトウをぬぎません。

「ダメだったか」

 北風はがっくりと肩を落としました。

 続いて太陽。

 ギラギラと、強い陽射しを旅人めがけてあてました。

 旅人がまぶしそうに空を見上げます。

 けれどガイトウはぬぎません。

 太陽はさらに強い光を送りました。

 旅人はそれでもガイトウをぬぎません。

「ダメだったか」

 太陽はがっくりと肩を落としました。

「なんてガンコなヤツなんだ」

 北風があきれ顔で言います。

「ああ。これではだれも、アイツからガイトウをぬがせるなんてできないぞ」

 太陽は大きくうなずきました。


 旅人が荒野を歩き進んでいると、遠くに一軒の旅館が見えました。

「おっ、旅館だ!」

 おもわず声が出ます。

 無理もありません。今日はずっと、冷たい風と強い日射しのもとを歩き続けてきたのです。

 ですが、旅で一番お金がかかるのが宿泊代。

 これからの長旅を考えると、嵐でもない限り旅館に泊まることなどできません。

――いや、ダメだ。

 旅人はすぐに思い直し、今夜も野宿でがまんすることにしました。

 ところが……。

 旅人は旅館の前まで来ると、そこでいきなり立ち止まりました。入り口の貼り紙を見て、つい足が止まったのです。

――よし、今夜はここに泊まるぞ。

 旅人はうれしそうに、いそいそと旅館の門をくぐりました。


 旅人が旅館の裏で服をぬぎ始めました。

「いったい、どういうことなんだ? あれほどたやすくガイトウをぬぐとはな」

「しかも着ているもの、みんなぬいでるぞ!」

 北風と太陽がおどろいて、旅人の様子をうかがい見ていますと……。

 丸裸になった旅人は、タオルを手に岩がゴツゴツ並んだ部屋に入っていきました。

「そういうことだったのか」

「なるほどな」

 北風と太陽がうなずき合います。

 そこには露天風呂(混浴)のプレートが貼られてあったのでした。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 混浴嫌だな。
2019/10/16 09:39 退会済み
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[一言] 混浴ですかぁ(+_+)作者の願望かな。 原作より、こちらが、ずうっと面白かったですよ。
[良い点] 温泉かなあと推察しましたが、混浴とまでは読めませんでした。 にやりと笑いました。 北風と太陽があきらめてからの描写が秀逸で、あれよあれよという間に落ちでスコン。 読みやすく、面白かったです…
2018/03/05 09:22 退会済み
管理
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