常磐刑事
「もしもし?!」
『もしもし、吾妻かい???』
電話の向こうからは大人の陽気な声が聞こえてくる。
「ゲッ・・・」
その声で吾妻は一気に受話器を切りたい衝動に駆られた。
声の主は、とある事件で孤児になった吾妻達を引き取ってくれた常磐刑事だった。
この刑事は情にとても厚く、犯人の尋問で悲しい過去の話だと、家に帰ってきてもオイオイ泣きながら、俺に話を聞かせる。
こんなアホみたいな大人が刑事なんて世の中大丈夫なんだろうか。なんか心配になってきた。なんでだ。
更に、極度の親バカで、大きな事件などが起きると吾妻達に護身用にと言って、銃の仕込まれたスクールバッグや、ナイフが飛び出るシャーペン、ボタンを押せば火炎放射機になる傘など、スパイ顔負けの兵器を子どもに持たせる。
(一度それで、時雨がとんでもない事件を起こした)
『むむっ!! 吾妻、ゲッとはなんだね!!俺のガラスのハートにヒビがいったよ!!?』
「汗と油で汚れたハートじゃなくて?」
『やかましいっっ!!! 俺はまだ36だ!!』
「それも独身のな。因みに現代では35超えたらオッサンとみなされます」
『うわああああああああ!!!!』
全く、大の大人が子供の様に怒ってくると、面倒臭い以外にほかならない。
「で、何の用? また前みたいに、急に寂しくなった〜とかだったら速攻で切るからな? 俺、見たいドラマ有るし・・・」
『き、今日はちゃんとした仕事のお電話だ!』
「仕事?」
『殺人事件だよ。優奈が帰ってきたら、みんなで現場まで来てね・・・』