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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

王子を不幸にしかしない婚約破棄

王子が不幸になる婚約破棄~封印解放 編~

『王子が不幸になる婚約破棄~ ○×編~』と似たようなタイトルがありますが、それぞれが別の話になっています。


続きはありません。

私は、王妃様付き侍女エルファと申します。

この国の王妃様付き侍女というのは、戦闘もこなします。

強さといたしましては、騎士の一部隊を軽く殲滅できる程度でしょうか。

王妃様の美しさは、傾国の美女も霞むほどの美しさ。

最低でもその程度の戦闘力がなくしては、務まりません。


それでは、この国が滅びるまでの一部を語りましょう。


それは、素晴らしく晴れた日のことでした。

この国の王子ハーカイ・デストロイ様の誕生日ということで、盛大なパーティーを開くことになりました。

一週間前から、その準備で大忙しです。

パーティー会場のテーブルやその他諸々の位置、出される軽食などを王様や王妃様が満足のいくものとなりました。


誕生会当日、ハーカイ王子様を貴族の招待客で盛大に祝いました。

そして、ハーカイ王子様が招待客たちに感謝を述べられる場で、この国の次期王として絶対に口にしてはいけない言葉を告げられました。

「私は、この場で正式に宣言する!ナマエ・ショウリャク公爵令嬢、貴様との婚約を破棄する!そして、母上のように美しく教養のある心優しいただ一人の愛する女性ビショウジョ・ケイコーク男爵令嬢との婚約をここに宣言する!いいな、ここは私のための祝いの場だ。このような皆に感謝するしかないこの場で、この上なく素晴らしい報告ができたことを私は嬉しく思う。皆、楽しめ!以上だ」

嬉し涙を流し、そっとハーカイ王子様に寄り添うビショウジョ嬢。

顔を真っ青にするここにいる者たち。

ここにいる招待客は、ある程度権力を持つ貴族たち。

その招待客にとってはハーカイ王子様の誕生日を祝う場という以上に、次期王として認められたハーカイ王子様のお披露目の場。

まさか、こんなことになるなんて!


ハーカイ王子様はビショウジョ嬢に囁かれました。

「ビショウジョ、今夜は俺と一つになろう」

「嬉しいわ、ハーカイ王子様。私、やっとあなたの婚約者として認められたのね」

いえ、認められてませんから!

なぜ、王子の婚約者が公爵令嬢になったのか考えましょうよ!

ハーカイ王子様がビショウジョ嬢に微笑みかけた瞬間、ハーカイ王子様は真のお姿に変化しようとしていました。

皮膚を破るように、内側から爬虫類のような鱗が出てきました。

そして、蜥蜴とかげのような竜のようなお姿にあっという間になられたのです。

ハーカイ王子様が真のお姿になって、初めにされたことがビショウジョ嬢を頭、体の四肢を丁寧にじっくり味わって噛み砕いて食べられたことです。

文字通り、ハーカイ王子様とビショウジョ嬢は一つとなられたのです。

ビショウジョ嬢が、ハーカイ王子様に食べられる直前「こんなはずじゃなかったわ。私は、王妃になって贅を尽したかったのよ!」と泣き叫ばれていました。


さて、ここでこの世界の成り立ちをお話します。

その昔、神々は退屈を失くそうと一つの遊戯を思いつかれました。

それは、この世界にとって異世界である世界のゲームを模した世界を創り暇を潰そうと。

そうして、退屈を持て余した神々が人の命を創り弄ばれたのです。

それが、この世界を創った神々よりも上位の神々の怒りを買われたのです。

その怒りは凄まじいものでした。

「生命を弄ぶために、新たな生命を創るな」と。

そうして、この世界を創った神々は人へと堕とされました。

人へと堕とされた神々は、普段は人と変わりないお姿をされていますが真のお姿は『蜥蜴のような竜のようなお姿』なのです。

敢えて表現するなら、『化け物』。

とても恐ろしくて醜い生物。

この世界を滅ぼす使者。

結果、この世界を創った神々は、上位の神々の怒りを買いこの世界を滅ぼす化け物となられたのです。

人へと堕とされた神々が、真のお姿になる解放呪文のキーワードが『婚約破棄』と『(浮気相手に対して)一つになろう』なのです。

ちなみに、ハーカイ王子様の婚約者、いえ、元婚約者ですね。

元婚約者のナマエ・ショウリャク公爵令嬢は、人に堕とされた神々の人へと成らざるものへと変化を防ぐ一族の者の血を引く一族です。

ハーカイ王子様が彼女を愛し結婚して子を産ませれば、ハーカイ王子様は国を滅ぼすことなくハーカイ王子様のままでいられたのです。


実は、ハーカイ王子様は王様と王妃様の実のお子様ではないのです。

ハーカイ王子様は、とある辺境伯爵様のお子。

この国では、当り前のように『婚約破棄』が貴族間で横行しております。

男性側が、「真実の愛を見つけた」とか言って婚約破棄を一方的にするのが。

もし、ハーカイ王子様がそんなことをすればこの国が滅びてします。

王様、王妃様、とある辺境伯爵様は、泣く泣く愛する実の子を手放し、お互いの子を取替えっ子されたのです。

もちろん、きっちり教育を施し、惜しみない愛情を注がれました。

なぜか、それがこの結果です。

王子の立場だと、より自制心が問われるので、国の決定により王様と王妃様ととある辺境伯爵様は国のためにそうされたのですが...


もう、時間がありません。

ハーカイ王子様に、噛み砕かれて食べられるくらいなら自害いたしましょう。

ハーカイ王子様が王様と王妃様を食べられれば、この国だけでなくあっという間に世界を滅ぼしてしまうのです。

せめて、それだけは防がなくては!

王様と王妃様と数人の近衛騎士と私と王妃様付き侍女仲間は、いざという時のために自害する部屋にたどり着きました。

自刃とか切腹とかではなくて、生き埋め。

うまくいけば、柱を壊して崩れた天井のコンクリートが頭の上に落ちてきて、簡単に死ねるでしょう。

数人の近衛騎士と私と王妃様付き侍女仲間は、部屋の耐久に必要な柱を壊し、天井が崩れ落ちるのを待ちました。

私は、そこで意識が途切れたのです_________








ハーカイ・デストロイは『化け物』化から人の姿へと戻った。

気絶して意識が戻ったハーカイは、自分のしたこと、つまり国を滅ぼしたこと愛する者をその口で食べ殺したことを思い出した。

ハーカイは、絶望し自ら命を断とうとした。

だが、できない。

どんな酷い傷を負っても、体が自己再生するからだ。

ハーカイは自分がかつて神だったことを思い出し、上位の神々に「自分を殺してくれ」と頼んだ。

上位の神々は、それを断った。

ハーカイが、神であった時に人の命を弄んだからだ。

その後、荒れ果てた国があったこの地でハーカイは化け物化と人化を繰り返し、二度と人を殺さないようにこの地に留まり続けた。

読んでくださり、ありがとうございました。

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