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異世界貴族に転生したけど思ったより不満だったので  作者: 南乗七史
第3章・食糧事情が問題だったので
48/50

閑話休題・ついにその時が来たようで

下ネタ回です。


読まなくても続きに影響は無いように進めますので、苦手な方は次話へ飛んで頂けると幸いです。

 木窓の隙間から冷気と共に夕陽が差し込む、とある冬の日。俺は部屋を閉め切り魔法灯で部屋を照らしながら、右手で土魔法の練習をしつつ、左手でジーマン商会から提出された帳簿とにらめっこしていた。なかなかの利益なのだろうが、まだこの世界の金銭感覚は掴み切れていない。


「アルメル様、そろそろ休まれてはいかがですか?」


 メイドのウェインが部屋に入ってくるや否やそう言う。部屋に来たのは数時間ぶりだというのに、俺が休憩を挟んでいない事を知っているかのような物言いだ。こういう時のウェインはうるさいので、少し嘘を吐く事にした。


「さっきまで休憩していたさ。ちょうど再開したところ」


 しかし、ウェインは呆れた様子でため息を吐く。


「そういう嘘は、せめて証拠になるような本を片付けてからにしてくださいませ」


 言いながら、俺の机の横に積まれた帳簿や、アルフレッド兄が残していった魔法学の指南書を抱きかかえ、持ち上げる。


「どちらに片づけますか?」


「いいよ、それくらい後で自分でやる」


「メイドの仕事を奪わないでください。……メイドといえば、サーシャはどうしたのですか?」


「ああ、もうすぐ戻ってくると思うよ。お茶をお願いしただけだから」


「そうなのですね。それで、こちらはどちらに片づけますか?」


 持ち上げた本たちを俺に見せつけてくるウェイン。その時、俺は見た。見てしまった。


 抱きかかえ、持ち上げた本の上に乗る、おっぱいを!!


 なんたる眼福。今まで可愛いと言えばフレイヤだったのでウェインをそういう目で見た事が無かったので、気付かなかった思わぬサイズ感に目を奪われてしまった。しかし、ダメだ、と邪念を振り払う。


 ウェインはそろそろ30中盤くらいになるのだろうか? 対して俺は10歳なので年の差が云々の話はあるといえばあるのだが、前世の俺が30歳くらいで死んだはずだから、生きた年数の累計は40歳になる。


 多分フレイヤがラブなのもそこが理由だと思うが、良い感じの年下でもある。滾ってしまうのも仕方がない。魂が、30代女性を求めているのだ!


「えっと、じゃあ、本のほうは、本棚で、帳簿は、そっちの木箱にお願いできるかな」


「承知しました」


 なんとか取り繕い指示を出して、さて勉強に戻るかと考えたが、今しがた休憩するようにと怒られたばかりな事を思い出す。帳簿を置いて、少し伸びをした。


 そこに、部屋の扉が開く。


「アルメル、お茶」


 端的な言葉と共に、ワゴンを引く青髪の少女が部屋に入ってくる。


 短めの青いオカッパヘア。青と赤のオッドアイ。白い肌。整った目鼻立ちと、どこか気だるげなジト目。ウェインやフレイヤと違い、これぞ異世界! と言いたくなる造形の美少女。突然変異と呼ばれる存在、サーシャ。


「うん、ありがとう。一緒に飲もう。ウェインもどう?」


 本の整理に取り掛かったウェインに声を掛けると、ウェインは少し驚いたフリをして「よろしいのですか?」と確認する。「よろしいのです」と返すと、ウェインは微笑んだ。


「では、先にこちらを片付けてしまいますね。サーシャ、手伝ってもらえるかしら?」


「了解」


 ワゴンを他所に寄せて、サーシャはウェインに駆け寄る。そしてウェインが抱える物の中から本を選定して回収。すぐに本棚へ向かう。ウェインは自分の手元に残った物が何か確認して、木箱のほうへ向かった。その連携を微笑ましく見守る。


 本棚の前で、まずは床に本を置くサーシャ。その時ふと、気になってしまった。前かがみになったサーシャのそのお尻。プリーツの入った、線の多いメイド服。その真ん中にあるあの線は、もしかしてスカートの皺やプリーツではなく、お尻のラインなのではないか、と。


 そこが気になると後は連鎖反応のように思考が繋がった。


 スレンダーだが戦闘も出来る程度には引き締まった身体、だと思っていたのに、お尻はしっかりとまん丸な事。スカートが少しめくれた時に見えた引き締まった脚の健康美が素晴らしい事。そしてそういう目線で見てみると怖いほどに蠱惑的なのはあの足首だ。細いのだが、丸みを帯びた小魚のようなシルエットがしっかりとある。男では中々見られないその凹凸のある下半身に見惚れてしまい俺は――




「恥を知れぇえええええええええ!!」




 ――テーブルに頭を叩きつけていた。


「アルメル様!?」


 ウェインが驚いた声を挙げる。サーシャの声は聞こえない。俺の視界は今テーブルに支配されているので何も見えない。


 痛い。しっかりと痛い。おでこがじんじんするのを確認して顔を上げる。


「どうなさったのですか、アルメル様!?」


 木箱に帳簿を仕舞っていた最中のウェインが、片付けを続けるか俺に駆け寄るかで狼狽している様子が可愛らしい。うむ、ウェインが可愛らしく見えている。大丈夫。俺は大丈夫。


「なに、少し雑念を払っただけさ。それより、早く済ませて、皆で休憩しようよ」


 微笑んでみせる俺。完璧に大丈夫だ。


 ――精神年齢40歳が、10台の少女に欲情するなど、絶対の絶対にあってはならないのだ。今のは勘違い。絶対に大丈夫。


 念のため、サーシャを見た。


 サーシャは身を起こして、身体は本棚、顔だけこちらを向いていた。腰が捻られている状況だ。


 そう、お尻がこちら向きなので下半身のラインがはっきり見えて、上半身は横を向いているのでお腹や胸のラインがどうなっているかがはっきり見えて、可愛らしい顔はこちらを向いていて、その顔が不思議そうに傾げられちゃっている時にはもう可愛さ余って天然なエロさが爆発している。傾げられる事で特徴的な青い髪が揺れ、オッドアイの目が俺の意識を引っ張っているような錯覚に――


「アルメル、流石に見すぎ。……恥ずかしい……」


 ――そう照れてお尻を手で隠そうとするサーシャの魅力レベルたるや頭が沸騰しそうなほどに興奮を催してしまったので本当に心から


「ごめえええええええええん!!」


 恥を知ったので、またも机に頭を叩きつける。


 だが、もう歯止めは効かない。誤魔化しは出来ない。俺は今、サーシャに欲情している。


「違う、違うんだ……本当にすまない……今後気を付けるから……何卒……」


 前世の俺はロリコンでは無かった。と、思う。精神年齢40歳にして10台の少女に欲情するなど、絶対にあってはならない事なので平謝りをするが、


「年頃ですので、仕方がありませんよ。サーシャ、見逃してあげてくれないかしら?」


 と、ウェインが言う。そうなんです、表面上は10歳と13歳なので、大人から見ればそうなるかもしれないのですが、本当の所は40歳と10台なので、あかんのです。いやこれほんと、あかんのです。


「見逃すもなにも、責めてない。アルメル、見たい時はもっと、紳士的に見るべき。露骨はダメ」


 ご慈悲のみならずアドバイスまで頂いてしまってほんと立つ瀬がないというか平身低頭のため立つべきではないというか勃つべきではないので今すぐ沈まれ俺の息子!! ほんとお願いだから欲情しないでぇええええええ!!


 なんとか抑えようと自分に言い聞かせる。正直苦しい。ちらりとサーシャを見ると、あれ、今までこんな可愛い子が近くに居たのに何も感じて無かったの? 俺の感性死んでた? ってくらいキラキラと輝いて見える。それほどに可愛い。婚約者であるクリスティーナを目撃した時以上の感情が渦巻いているかもしれない。まるで…………。


 そこまで思考して、気付く。


 目の前の少女が本当にキラキラと輝いて見えて、胸が苦しくて、感情の抑え方が解らないほどの激情を、俺は知っている。前世でも、確かにこんな感じだった。


 俺は。


 前世を除いた今の俺、アルメル・オース・ファランは、今、この瞬間を持って、初恋を迎えたのだ。


 しかし、


「本当にごめんね、サーシャ。この感情の抑え方を、心掛けるから。次からは失礼の無いようにするよ」


 俺には、クリスティーナという婚約者が居るのだ。今更サーシャに恋をしたとて、結ばれる権利は無い。


 サーシャはどこか不服そうに言った。


「アルメル、エッチな話、まだ早い。それだけ。アルメルに見られる。嫌じゃない」


 そのフォローが心苦しい。申し訳なさが掛け算になって込み上げるので、両手で自分の頬を叩いた。


 そして、意を決して、俺は言う。


「――お茶にしよう。喉が渇いた」


 感情爆発と緊張の連発で割と本当に水分不足に陥っていた。


 俺は、今まで、この身体が性欲に目覚めていなかったから、前世の頃と歳が近い大人にばかり好意を抱き、そして好意を抱きつつも欲情してこなかった。精神が、30代の女性を求めていたのだ。


 しかし、まさに今、この身体が性欲に目覚めてしまった。


(どうすんの、これ……)


 ああ、永遠の課題である。


 俺は、俺自身のために、いつか、()()()()()()()()をしなければならないようだ。


 それがいつの話になるかは、また、別の話だ。

アルフレッド視点の別作品を、ゆっくりではありますが執筆中です。


タイトルが変わるかもしれませんが「異世界真理の探究者」ではアルフレッドが主役となります。


もしお時間ありましたら、ご一読ください。

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