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前話・籠の中の鳥
籠の中の鳥を愛でる、籠の中の鳥。それが私でした。
部屋から出る事は許されず、人前に立つ事は許されず、人前で目を開ける事は許されず。
限られた許しある事と言えば、数少ない世話役と他愛ないお話をしたり、父上に頂いたペットの鳥を愛でる事くらいでしょうか。
メイドの何人かが、そんな私を見て涙を流してくださいました。可哀想だと。
だけど私は人ではございませんので、その涙に共感する事は出来ませんでした。私のために涙するその方を、私が慰める。そのような事も、何度かございました。
私を誘拐しようとする使用人も居りました。
本当は自分で抵抗する事も出来たのですが、私は人ではございませんので、この方がどこまで私を連れだせるのかと楽しんでおりました。しかし、守りは厳重でしたので、誰一人、私を屋敷の外へ連れ出せた方は居ませんでした。
出せと鳴く事は無く、愛でられる時は愛でられる。羽ばたきすらしない私は、まさに、籠の中の鳥でした。




