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如月島は満月の夜に  作者: 最上優矢
第二章 大ピンチのときには哲棒をねじ曲げろ

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13/15

ゲンコツ

「どうしたんですか、一体? ――あっ、朝倉さん! 良かった、目が覚めたんですね」

「……きみ、は誰だ?」


 危なかった。

 富勇が涼香の頭にゲンコツしなければ、背のある清楚な顔立ちをした年頃の女の子に、大人のキスを目撃させるところだった。


 富勇は額の汗を腕で拭いた。


 ブレザーの制服姿をした、高校生くらいの彼女は――。

「わたしですか? わたし、大宮律子おおみや・りつこです。よろしくお願いします、朝倉さん」

「あ、ああ。きみが律子さんか。よろしく、な……うん」


 思わず挙動不審になってしまう富勇。


 その律子の顔に、一筋の暗い影が横切った。


「それよりも……聞いていいですか?」

「えっ、なんだろうか?」


 ギクリ、と富勇は顔を強張らせた。


 幸いにも律子の質問は、富勇が考えていることとは別のことだった。


「どうして佐々木さんは、うずくまって頭を押さえているんですか?」

「えっ? ……うーん、どうしてだろうな。よく分からないんだ、俺も」

「そう、ですか」


「そうそう、俺からも聞きたいことがあるんだが、律子さん」

「はい?」

「彼女……まさか酔ってる?」


 足元でうずくまっている涼香を、富勇は遠慮がちに指差す。


 律子は涼香を食い入るように見つめてから、富勇に向かってはにかんだ。


「いえ、違いますよ」

「そうか、それなら良かった……?」

「ただ言えば、彼女は勇敢なあなたに“心酔”しているだけです」

「…………」


 なんだろう、前にも聞いたことがある言葉だ、と富勇は首をかしげた。


「そろそろ朝餉ですよ。朝倉さんも……佐々木さんもご飯が冷めないうちに、お茶の間に来てくださいね。

――あっ、お茶の間がどこにあるか、分かります?」

「いや、場所までは分からないが……というか、そんなに広い家なのか、ここは」

「ええ、そうですよ。――ささっ、案内しますから、どうぞ」

「ああ」


 そう言って、富勇は和室から出ようとするが、律子はというと、まだうずくまって頭を押さえている涼香を心配し、「大丈夫ですか、佐々木さん?」と彼女の背中をさすってあげていた。

 気のせいか、涼香はすすり声を上げていた。


 まさか泣いている……?


「…………」


 富勇はこっそりと部屋から出た。


 廊下は複雑に入り乱れていて、いくつも部屋があり、歩いているうちに富勇は迷ってしまった。

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