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地区予選5




来た来た来た!!バトンゾーンバトンゾーン!

先に飛び込んだのはやっぱりシオン君やったでーー!!!!


「なあんだ。シオン君があのギャルに抜かれてたら面白かったのにい。きゃはは!」

「鶯原、ずべこべ言ってないでいけ!」

「はいはーい」


鳳学園、バトンが第三走者の鶯原リリカに渡ったーーーー!!!


リリカちゃん、バトンを受け取ると、待ってましたとばかりに小さくジャンプして走り出す!可愛え!

でもパッと見ロリっぽく見えるリリカちゃんだけれど、油断は禁物!彼女は去年もリレーの選手として鳳学園を代表していた実力のある選手!

しかも歌って踊れるアイドルみたいな見た目からは想像もつかんかもしれんけど、界隈ではリリカちゃんは先頭で走らせたらあかんって言われとる選手や!

去年リリカちゃんが第二駆を独走状態で走り切った動画の再生数が三桁いったこと、僕は覚えとるで!


「きゃはは、リリカの独壇場。きもちいー!」


笑うリリカちゃん、靴に起爆剤でも仕込んどったんかってくらいのスピードで走り去る!

そして少し遅れて、戒壇高校のホムラちゃんが次の選手にバトンを渡す!

やはり戒壇高校、バトンパスで0.5秒は余裕で差を縮めてきた!ここは流石!流石の戒壇高校!まだまだ首位争いを下りる気はない!

そうや、勿論双方負ける気なんて微塵も無いで!!!!


「イタ丸!あの女止めて!」

「ああ、任せておけ」

「ひゅー、相変わらず先輩にも上から目線で男前だねーっ。頼んだからね!」


そうや、止めるんや!鳳学園の独壇場を!

力尽きたのか膝をついたホムラちゃんを振り返ることは無く、だがしっかりと渡されたバトンを握って、戒壇高校/2年生/鎌井立ソウが今、走り出す!!

鎌井立ソウ、バトンを持って追いかける先には鶯原リリカ!


その後ろでは、ばらばらと他の学校が第三走者にバトンを繋いでいるが、やはりAブロックの首位争いに食い込んでこれそうな雰囲気はない!

ならばAブロック最速の座は、鳳学園か戒壇高校のどちらかが手に入れることになるでーーーー!!


「きゃはは!ホントはリリカ、男の子は追いかけたい派なんだけど、リレーに限っては追われたい派ー!ね、戒壇高校のソウ君はどっち派?」

「……やけに馴れ馴れしいな」

「きゃはは。リリカたち、去年もリレーで走った仲じゃん。まあ走駆は違ったし話したことも無いし、リリカは基本的に負け犬チームの選手なんて覚えてないけど、ソウ君はちょっと顔が好みだったから覚えておいてあげたんだよ?」


余裕な表情のリリカちゃんに対して、二番手に甘んじているソウ君!

ソウ君、このままではリリカちゃんとの差を埋められないが、どうする!このままアンカーにバトンが渡ってしまうんやろか?

それともどこかで逆転劇を見せてくれるんか?


そしてリリカちゃんは、最後まで一着の順位を守ってアンカーに繋げるか?鳳学園はこのまま独走状態に入るんか?!

いやいや、いくら鳳学園のリリカちゃんと言えど、相手は戒壇高校のソウ君だ!このままで終わるはずがない。順位を断定してしまうのはまだ早い!


おおっと、そんなことを言っているうちに、ここでソウ君、攻勢に打って出るようやっ!


ソウ君が大きく腕を引いて、まるで発射でもするように踏み出したあっ!

真っすぐ!軽く!鋭く!走る!更にスピードが!上がる!上がるーーーっ!!!

まるで刃物!走る刃物!触れたら切り裂かれそうな鋭い俊足ー!

この走りが出来るのがソウ君やで!


去年、一年生のうちからスバルくんと一緒に戒壇高校のリレー選手に選出されていたソウ君!

絶対に先にバトンを渡してやるという強い意志を感じる選手!

強い走り!鋭い走り!刃物が走るって表現がぴったりや!

前を走る者を仕留める為のこの火力が、この速さが、ソウ君の実力の証やでーーっ!


「捉えたぞ」


来た!!!射程圏内いい!!!!

速い!ぐんぐんと追い上げていく!鎌井立ソウが!鶯原リリカを!どんどんと追い詰めていくーーーっ!!!


「あれ、ソウ君ってリリカと違って追う方が燃えるタイプ?きゃはは、おっもしろーい」

「……だったとして、あんたは喋ってる暇なんてあるのか?」

「暇?あるよお。リリカ、追われる方が燃えるタイプだもん。追われてるうちはリリカ、負けないもん」


迫るソウ君はリリカちゃんの半歩後ろ!

二人の差は半歩分のみ!しかし風を切る速さはソウ君のほうが速い!

迫る迫る迫る!迫るーーーーー!!!!!


ソウ君とリリカちゃんの差だった半歩が三分の一歩に、4分の一歩に、どんどん縮んでいく!!

リリカちゃん、これはどこからどう見ても大ピンチやで!


「きゃはは!!だーめ、良い女は捕まえられそうで捕まえられないんだよお!!」


物凄い勢いで迫るソウ君に、怯まない!リリカちゃんはまだ先頭を譲ってない!

リリカちゃんが、リリカちゃんが内側のベストポジションを確保したまま先頭を走っているー!

外側から圧をかけ続けるソウ君に抜かれてない!

渡さない!リリカちゃんはまだソウ君に負けたわけじゃない!


Aブロック、一番最初にバトンを次に繋ぐのは誰か!

ソウ君か!リリカちゃんか!

どっちだ!どっちだ!

二人、接戦のままコーナーに入った!


コーナーのカーブ!大接戦のカーブ!!

っはーー!2人は特にカーブが削れそうな走り方するなあ!あの体の角度エグいなあ!!

でもカーブでは、前を抜きたいソウ君の外側のポジショニングが不利になる!

ああ見えて策士のリリカちゃんが、うまいことソウ君に外周回らせとるな!

でもソウ君も負けとらん!外側でも負荷を最小限に、リリカちゃんにぴったりくっついとる!コーナーの捌き方、うまいで!


「ああもう、なんでコーナーで落ちてくれないの?うざっ。リリカ、しつこい男まじ無理なんですけど!」

「あれくらいのコーナーで俺を捌き落とせると思ったことに驚きだ」


そうこう言っとるうちに、鳳学園、戒壇高校のアンカーがバトンゾーンに入った!

このまま第三走者の順位が変わらんければ、鳳学園のアンカーが先に走り出すことになる!

ソウ君、それを阻止できるのか!?

リリカちゃん、優位を死守できるのか!?


「この直線であんたを抜く」

「リリカ、この最後の直線が一番得意。なのにここでリリカを抜くとかできるわけないじゃん」

「悪いな。俺が一番得意としてるのもこの直線だ」

「はあ?リリカの得意技パクんなし。ばあーか」


コーナーを抜けて、直線に入った!

走る走る走るーーーー!!!!

2人はトラックを駆け抜けるーーーーっ!!!!


さあ正念場!ここが最後の勝負所!どちらが先にそのバトンを先へ繋げられるか!

あと70メートル、60メートル、50メートル……!!

どうなる、どうなるってしまうんやこの激走の三駆ーーっ!


おおっとお!!動いた!戦況が動いたー!

抜けた抜けた!抜けたーーーっ!

半歩分、いや一歩分、リリカちゃんに食らい付いて離さなかったソウ君が最後の最後で前に飛び出したーーー!


「この勝負、俺の勝ちだ」

「っ、まだ、よおおおっ!」


悔しそうなリリカちゃんが、前に出たソウ君の背中を追いかける!

だがソウ君は容赦のないスピードで走る!走る走るーっ!

リリカちゃんを振り払うように、猛スピードで駆ける、駆け抜けるーーーー!


そして戒壇高校第三走者/鎌井立ソウ、そのままバトンゾーンに突っ込んだーー!!!

戒壇高校、アンカーにバトンが今!このAブロックで一番最初に渡ったーー!!


「しっかり渡したからな、天狗山」

「ええ。よく一番手で渡してくれました。礼を言います」

「ああ」


第三走駆、制したのは戒壇高校/鎌井立ソウ!

全身全霊で走り切ったソウ君からバトンを受け取って、戒壇高校のアンカーとして走り出したのは、圧倒的エースの3年生/天狗山ユラだーーー!!

その走り、大空を切り裂く天狗が如く!

実家は華道の宗家らしいし上品で優しそうに見えるけど、一度走りだせばゴールまで止まらない!

今年こそは優勝して地方決勝に行きたい戒壇高校、何としても負けられない天狗山ユラ!



っとここで、ソウ君に抜かれてしまって追いかける側になってしまったリリカちゃんがバトンゾーンに駆けこんできた!

我武者羅にバトンを渡す!

待っていた鳳学園アンカー、一年生/鷹城べニが鶯原リリカからバトンを受け取るーーっ!


「ごめんっ……」

「心配無用。先輩、お疲れさまでした。後は私が」

「頼んだからね、べニちゃん」


鳳学園のアンカーとして走り出したのは鷹城べニ、一年生!

選手層の厚い鳳学園で、アンカーを務めるのが一年生!何と一年生!!


入って来たばかりの一年生にアンカーなんて、ちょっとばかり荷が重いんちゃうか?!

確かに速ければ一年生の起用も過去に何度も前例のある鳳学園やけど、アンカーに一年生?

そんなに速いんか、鷹城べニ!?


こうしてみると結構な差がついてしまった鳳学園と戒壇高校やけど、このまま優勝は戒壇高校がとるやろか?

差をつけたまま走り出した戒壇高校のユラちゃんに、追い付ける選手なんておるんやろか?

それとも鳳学園のべニちゃん、多数の先輩を差し置いてアンカーを勝ち取った実力を、ここで見せてくれるんやろか?!



「べニちゃーん!ほんとごめん、がんばってええ!!」


トラックの内側、走り終わった選手が各々待機しとる中で、べニちゃんに向けたリリカちゃんの応援が聞こえるで!

そのリリカちゃんの横には、鳳学園の走り終わったメンバーであるシオン君とスバル君もいて、べニちゃんの走りを見守っとるみたいや!


「そのまま逃げ切れユラユラ丸ーっ!」

「ユラちゃん先輩ー、頑張ってー!」


鳳学園のメンバーが固唾を飲んで勝負の行く末を見とるのと同じく、戒壇高校のメンバーもユラちゃんを応援しとるみたいやで!


こういうのを見ると、あと数十秒で勝敗が決まってしまうんやなって緊張マックスやわ。

手汗ヤバくてカメラ落としそうやけど、僕は無駄に鍛えた握力で何とか持ち堪えたるでな!だからチャンネルはそのまま、やで!



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