road to pain
とある病院の屋上、フェンスに外向きに座る、2つの影が見える。
「なぁ」
「ん?」
影の正体は、二人の少年、年の頃は二人とも10代中頃。
「お前、後どれくらい時間残ってる?」
「ああ、8分位だな」
二人の右手首には、腕時計の様な物が付けられている。
「そっかぁ、俺は…後5分ちょいだな」
「お前さぁ…これ付けられたとき、どんな気分だった?」
「さぁな…全然覚えてねぇなぁ…でも…」
「すっげー泣いてる娘いたよな」
一人は俯き、一人は天を仰ぐ。
「自分も同じなのに、他人事みたいに、あぁ可愛そうだなって…」
「俺はただすげぇなぁって思ったよ、この時計?の事」
「ウイルスの侵入速度見極めて、リミット出しちまうんだぜ」
「どういう仕組みか分かんねぇけど、スゲーよな…って」
透明な殻に囲まれたシェルター、ここはその十番目。
「もし…この時計が止まって、生き残れたらお前は何がしたい?」
「こんな何もない世界で、何が出来るってんだ?」
「よっぽど地獄だぜ、生きてる方がよぉ…」
「そう…だな」
不思議な光景に二人は慣れずにいた、雨が降ってるのに殻に弾かれて伝って流れていく。
「しっかし、最期くらいカワイイ女の子の隣がよかったなぁ」
「悪かったな!」
ちょっとムッとして見せるが、すぐいつもの顔に戻る。
「いや一人じゃなくて良かったよ、お前には感謝してる」
「へっ、どーだか?」
そう言ってフェンスの上に立ち上がる。
「マジだって!」
反対向きに座りなおす。
「なぁ、アイツどうしてるかな?」
「あぁ、あいつか…」
何かを思い出した様に。
「そうだ!」
「ん?」
そう言うと、前向きに倒れ込んだ。
「おいおい、めちゃくちゃ気になる…話の途中で逝きやがって…」
「そうだなぁ、きっと、アイツなら…」
フェンスに立ち上がると、いつの間にか外には陽が差していた。
「生きてるんじゃないかな?きっとどこかでさ…」
そして、屋上から誰も居なくなった
シェルターは、きらきら輝いていた
road to pain
本編の前日譚です。
本編…いつ書けるか分かりませんが…。