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12 屋台


 朝、みんなで朝食。


 ミスキさんたちは今日もお休み、とのこと。


 何やらギルド内がバタついてるとのことで、配達関係はしばらくお休みみたい。



 みんなで王都でショッピングでもと提案したら、うちのメンバーが渋い顔。


 どうやらこのあいだの群衆揉みくちゃ騒ぎが軽くトラウマっぽい模様。


 しょうがない、たまにはひとりでぶらりお散歩でも。




『特使勇者モノカ、違法カード業界に鉄槌!』


 号外、早いですね。



 なんか、みんなから遠巻きにされてこそこそ噂されております。


 うん、みんながみんなカードで変な盛り上がり方をしてたわけじゃ無し、普通に楽しんでた人だっていたよね。


 ごめんね、ツァイシャ女王様たちが、きっと公式のまともなカード、出してくれると思うよ。




「お疲れさまです、モノカさん」


 はい、お疲れさま、って、なんすかメイジさん、何やってんですか。



「見ての通り、屋台のおやじ、始めました」


 確かに、なんか手作り感満載の屋台ですね。



「王都ってほら、普通のお店だと土地代とか高いじゃないですか」


 それで、ご夫婦ふたりで屋台、ですか。



「そう、一緒にやれる仕事したいなって考えて、屋台」


 ちなみになんの屋台っすか。



「うどん、オンリーです」


 ……またずいぶんと思い切りましたね。



「あっちの世界で、ちょっとだけ経験あるんです」


 いいっすね、屋台でうどん。



「良かったら、一杯、いかがですか」


 ぜひ!



 ずるずるずる



「それそれ、それなんですよ」


 なんすか、いきなり。



「こっちの世界って基本西洋風でしょ、モノカさんみたいにすすってくれないんですよ」


 すみませんね、不作法で。



「その音聞いてると、なんかすっごく嬉しくなっちゃって」


 気持ち、分かります。



「郷に入っては郷に従え、なんで音がマナー違反だってのは承知してるんです」


 私もみんなで食べる時はそれなりに気をつかってます。 特にマクラの前では、ね。



「ですよね、セルマは気にしないでくれるって分かってるんですけど、どうしてもね」


 ま、身体に染みついたサガみたいなもんですよね。



「セルマ、今、買い出しに行ってるんです」


 お元気そうでなにより。



「それにしても、リシェルに代わってもさっそく大活躍ですね、さすがは特使勇者さま」


 よせやい、照れるぜ。



「いやホント、あの娘ってちょっと落ち着き無いけど、いい娘なんで、これからもよろしくです」


 もちろんっす。 可愛くてしょうがないっす、ホント。



「モノカさんのハーレムに、余裕があったら、ぜひ」


 そんなこと言ってると、冗談じゃすまなくなっちゃいますよ。



「僕たちの屋台、この辺うろうろしてますんで、良かったらアランさんとかマユリさんとか召喚組の皆さんを誘ってきてください」


 声かけときますんで、サービスよろしくです。



「任せてくださいっ」



 それじゃ、ご馳走様でしたっ。



「またどうぞっ」



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