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10 撤収


『転送』で大勢飛んできた巡回司法官の皆さまが、転がってる悪党捕縛におおわらわ。


 クロの『強力麻痺薬』の解毒薬の製法はご存知みたいなので、そっちは大丈夫でしょう。



「お疲れさまですっ、特使勇者モノカさんっ」


 お疲れリシェルさん、着任早々忙しくしちゃってごめんね。



「いいえ、メイジ主任の惚れ込みっぷりが良く分かりましたっ」


 変な転送おじさんに惚れられてもモノカ困っちゃう。



 ところで、あなたの後ろから熱視線を送ってきている眼鏡っ娘はどなた?


「こちらはマハラネルコさん、アイツらに無理やり働かされていた召喚者の方ですっ」



 もしかして、アッチ系の知識と経験が尋常じゃない人。


「どうやらネルコさんは通常の召喚方法とは違うやり方でこちらに呼ばれたみたいなのですっ」


 それって?



「後ほどモノカさんたち召喚者の皆さんに詳しい話があると思いますが、まずはネルコさんの保護を第一にっ」


 そうだね、気をつけて。



 リシェルさんの影に隠れるように縮こまっているネルコさん、


 お話をする前に、一緒に『転送』で行ってしまいました。




「お疲れさまっ、モノカ」


 お疲れ、アイネ。


 裏門は平気だったかな。



「城勤めの頃に見かけた顔がちらほら向かってきたのが、少し悲しいです」


 そうか、ノルシェの元同僚もいたんだね。


 まさかあの教官殿が黒幕だったなんてねぇ。



「今日は何本イケましたか、モノカ」


 えーと、前歯全部と他には、って、マクラの前でそういうこと言っちゃダメでしょっ、シジミッ。



「平気だよお母さん、ちゃんとお目目を隠したからっ」


 えらいぞマクラ。


 本当にねぇ、この世の悪党たちがマクラの半分でも優しかったら良いのにねぇ。



 それじゃ、クロたちも心配してるだろうから、


「チームモノカ、撤収!」


「おーっ」×4



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