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悪役令嬢に転生したけど、最悪の選択肢しか選べなくて処刑ルートまっしぐらな件  作者: 冬原光


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34/44

最終幕の始まり


最終月に入った。ゲームでは最後の学園祭に向けてラストスパートの時だ。

ねらった攻略対象とも好感度はあがっている状態なので、お茶やお昼の時間など多くの時間を過ごすことになる。

そして、それと同時に悪役令嬢セリアからの妨害も悪化の一途をたどった。

それがゲームの筋書きだった。


私はセルジュを助けるために、フェリクスやレナと対立する。

結果的にゲームと同じ展開になるということだ。

フェリクス編のセリアの結末は、聖女に危害を加えようとしたことで処刑されるという末路だった。


選択肢を間違っても死。そして、セルジュを助けるよう動いたとしても死が待っている。

自分なりに危機を回避しようと努力してきたが、結局ゲームの筋書き通りに事が進んでいる。


だが、これまでとは違うのは、クロードがこちら側に立ってくれているということだ。

クロードの秘密がわかって以降、彼と話していてもゲームのウインドウが出ることはなかった。


秘密を明かせば、攻略対象からはずれるということなのだろうか?


同じく秘密を明かしたエリクとはあれから接触していない。

学園で見かけたことはあるが、どうやらフェリクスとも行動はあまりしていないらしい。


残る秘密を持つのはフェリクスのみ。彼にもまた、変化があった。

積極的にセリアに接触してくるようになったのだ。

ゲームではセリアから話しかけ、それをフェリクスが疎ましがっていた。

そして私がこの世界に転生してからは、フェリクスにこちらから接触することはなかったので、強制イベント以外で話すことはなかった。

だが、この前のドラゴンのイベントが発生してからというもの、何かと話しかけられるようになった。


今日も、フェリクスから昼に誘われた。セルジュの話が聞けるのではと了承し、フェリクスの後についていく。

場所は初めて二人きりで話した庭園のベンチ。もう二度と私からは話しかけないと言った場所で、二人でお昼を食べる。

ゲームの中でのセリアとフェリクスなら考えられないことだ。

庭園につくと、すでにテーブルと椅子がセットされて、美味しそうなご飯が運ばれていた。フェリクスが手配させたものらしい。


二人で椅子に座る。庭園の花はゲーム終盤に見られるラベンダーに変わっていた。

落ち着いた頃、フェリクスが話す。

「時間をとって悪かった。皆の前ではきちんと話をすることはためらわれてな・・・・・・どこか悪くはしていないだろうか?」

牢獄に入れられたが身体はどうかと聞きたいのだろう。

確かに聞ける訳はない。あのドラゴンの事件は内密にされていた。

王族の命が危険にさらされたこと、ドラゴンを使役する者がいること。それに伴って、私が牢獄に入れられたことももちろん公表されていない。

少なかった目撃者には多額の金を渡して黙らせてたのだと、クロードが言っていた。


私は微笑んで返した。

「大丈夫です。それより我が家の使用人は今どうしていますか」

聞きたかったことを直球で話す。フェリクスの表情がこわばる。

「セリア、彼はもういないものと思ってくれ。身柄は国で預かることになる。ドラゴンを使役することが出来るんだ。アデレード家で管理できる人物ではない」

想定の範囲の返事が返ってくるが、ここでめげるわけにはいかない。

「殿下、セルジュは私の専属使用人です。私に心から尽くしてくれた彼がどうなっているか知りたいのです」


殊勝な態度で話すが、フェリクスの表情はだんだん曇っていく。

「・・・・・・たかが使用人だろう。何をそこまでこだわる」


「私が辛い状況にいるときに、支えてくれたのは彼でした。そんな彼が同じように辛い状況にあっているのであれば、私は力を尽くしたいのです」


私がそう言った途端、フェリクスは立ち上がる。

「あなたは私の婚約者だろう?他の男になぜそのような表情をする!」


今まで聞いたことのない声を上げた。フェリクスは怒りで震えながらこちらを見ている。

それはまるで嫉妬しているようだった。


どういうことだ。彼は今レナの攻略対象ではないのか。


ゲームも終盤であれば、狙っている攻略対象の好感度はかなりのものになっているはずだ。わき目もふらず、主人公のことを見ているはず。

フェリクスは続けて言った。

「彼は今、王家の別宮にレナとともに住んでいる。一生をそこで過ごすことになるだろう。・・・・・・もし、これ以上彼に執着をするようなら、君に対してもそれ相応の対応をさせてもらう。だが、私の婚約者殿は、決してそんなことはしないだろう?」


フェリクスはそう言って、試すようにこちらを見ていた。

セリアが何かするのなら、セルジュの命は無いということだ。


これ以上彼を刺激してもいいことはない。

私は話をすることをあきらめて、目の前の食事に手をつけた。

反応が薄い私に、フェリクスがあれこれと話しかける。それはゲームでフェリクスに

ひたすら話しかけるセリアのようだった。

立場が逆転している。


レナへの好感度はどうなっているのだろうか?


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