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悪役令嬢に転生したけど、最悪の選択肢しか選べなくて処刑ルートまっしぐらな件  作者: 冬原光


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全員集合


湖を半周したところ、思わぬ人物に出会った。エリクだ。

いつもはフェリクスに付きしたがっている彼が一人でいるのは珍しかった。

「二人で話したいんだが、時間はあるだろうか」


イベント中に攻略対象と話すのは正直嫌だったが、ここで避けて好感度を下げてもまずい。

しかたなく私はうなづいた。だが、彼は微妙な顔をする。

「使用人は外して欲しいんだ」


セルジュがともにいることは嫌らしい。だが、彼を一人で帰してレナに接触されても困る。

私は彼に提案をした。

「彼には少し距離を取ってもらいます。話が聞こえない程度に。それでよろしいですか?」


エリクは渋々うなづいた。話を聴いていたセルジュは、私から少し離れた箇所に立った。


エリクはようやく話し始める。

「すぐ近くにベンチがある。よければそこで話そう」


案内されたところは、湖にせり出したウッドデッキに外用のソファやテーブルが備え付けられていた。

屋根もついていて、日に当たることもなくゆっくりと出来る場所になっている。

セルジュは湖の縁で待機し、私とエリクだけがソファに座った。


「それで、話とは?」


エリクに訪ねると、彼は話しづらいのか。なかなか口を開かない。

いつも騎士道精神に則って、理路整然と威厳を持って話している姿とは少し違う。


彼の言葉を待ちながら、これからのことを思わず考える。

ゲームの通りにいけば、二日後に悪役令嬢が主人公を突き飛ばすイベントが発生する。

今のところレナにあう機会はない。このまま避け続ければ回避出来る可能性もあるかもしれないが、前のお茶会のことを考えると強制的に発生する可能性もある。

または、突き飛ばすのに変わるイベントが発生するかも。

どうしようかと考えていると、エリクがしゃべった。


「前とあなたとは違いますね」


エリクに視線を戻す。

「前の?とは」


「フェリクス殿下によくお話に来ていたときです。あのときのあなたは、傲慢で気位が高かった。殿下に他の女性が近づいたら傷つけることもいとわない、そんな女性でした」


ずいぶんな言われようだが、本当のことだ。

私がセリアの身体に入るまでは、そういう行動を取っていたのだろう。


「えぇ、あのときはみなさまにご迷惑をかけていました」

とりあえず、殊勝な態度で謝っておく。

エリクはそれで満足しなかったようで、踏み込んできた。

「なぜ急に態度を変えたのです?・・・・・・何をたくらんでいるんですか」


セリアの性根は変わらず、何か別の意図があるのではないかと疑っているようだ。

彼がフェリクスの騎士であり、守ろうと事前に何かあれば探っているということだろうか。

まだ何もしていないのに疑われるのは癪だが、彼もまた攻略対象である以上、刺激はしたくない。

無難に話を終えて、セルジュとともに部屋に戻ることにする。

「何もたくらんではいません。今までの行いを反省しているだけです。私は殿下やレナ様に失礼な行いをしていました。みなさまに不快な思いをこれ以上させないよう、私なりに尽力していただけです」


だが、この回答はエリクのお気に召さなかったらしい。

「今までのあなたの行動からは考えられない。あなたはフェリクス殿下を困らせ、レナ殿に危害を加えてきた存在だ。前のお茶会での騒動も、あなたが何かかんでいるのはないか」


彼の頑なな態度に、違和感を覚える。

彼は騎士道精神に乗っ取った人間だ。人を疑うような真似をするのは、ゲーム中の彼とは離れているように思えた。


なんと答えようか考えているところに、嫌な声が響く。

「あれ、お二人ともこんなとこにいたんですね?」


湖のほとりへ目を向ける。

そこには、セルジュの隣に立つフェリクス、クロード、そしてレナがいた。


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