夢日記Ⅰ
学校へ行く途中、今日のお昼ご飯を買う為にコンビニに寄った。
「品揃え良くないなぁ...」
おにぎりを買おうかと思ったが、ほとんど品切れで欲しいものがない。
仕方なく自分が食べたい具はひとつも入っていなかったが、3つのおにぎりがセットになっているものを手に取った。よく見てみると半額になっている。
「お姉ちゃん、それにするの??」
振り向くと妹がたくさんのお菓子を抱えて立っていた。
「うん。」
「品揃え、あんまりよくないねぇ」
「そうだね...」
「あとは飲み物だね、こっちだよ〜」
それぞれ適当なものを選ぶと、レジへと進んだ。
「以上ですね、はい、ではこちらに。」
店員が指したのは画面ディスプレイだった。携帯での決済を、ということだろう。
「すみません、あの現金でお願いしたいのですが...」
「あぁ...申し訳ありません。当店で現金はお使い頂けないんですよ。」
「!?」
なんていうことだろう、現金が使えない。もうそんな時代が来てしまったのか。
「今、キャンペーンを行っておりまして、ご登録頂けると...」(曖昧)
ふと横を向くと妹が椅子に座り、何やら書面に記入している姿が見える。
「いや、私これから学校で。電車が出るまで時間がないので大丈夫です。現金じゃだめですか??」
私はイライラしていた。時間がないんだ。妹は違う電車でまだ時間があるからいい。でも私は??遅刻したらどうしてくれるんだ。お前達は責任を取ってくれるのか??
「すみません、現金はご利用できません。」
「そうですか、ならいいです。」
商品もそのままに私は店を出た。
結局、何も買えなかった。今日のお昼ご飯はなしになってしまった。
「何も買わなかったの??」
気がつくと妹が隣を歩いていた。
「うん。」
「そっか。」
「現金が使えないなんて驚きだね。」
「そうだね。」
駅へと歩いていると背後から気配を感じた。恐らく3人ほどだろうか。私たちの後に続いている。この人達も駅へ行くのだろうか。私たちを追い抜きたいのか、何度か背後の気配が急接近する。しかし、歩道が狭く2人で並んで歩くのが精一杯だ。暫くすると諦めたのか気配は一定の距離を保つようになった。
(場面転換)
ショッピングモールみたいなところ
「現金で支払うなんて、もう時代遅れですよ。」
後ろからの声に振り向くと、子供と手を繋いだ女性が立っていた。この顔...そういえば先程のコンビニにいたような気がする。その横に旦那と思われる男性もいた。さっきまでの気配はこの人達だったのだろう。
「...悲しいことですね、数字だけが動く世界だなんて。」
無意識に妹と繋いだ手に力がこもる。
「...外国じゃあもう当たり前ですよ。日本が時代遅れなだけです。」
「そうかもしれないですね...。」
「でも、私も現金派ですよ。だって、数字だけの世界なんて味気がないですもの。」
そう言うと私たちを追い抜いて行ってしまった。
ほっと胸を撫で下ろし、妹と顔を合わせ微笑んだ。
(暫くそのまま静止する)
ふと視界に捉えた姿。
それは今一番会いたくなかった叔母だった。
突然の再会に立ちすくんでいると、こちらを見つけて同じように驚いている叔母。
そして、こちらに歩みを進めてきた。
逃げなければ。
そう、思った。
(場面転換)
エレベーターの隅に乗り、エレベーター前の叔母と対峙する。(恐らくエレベーター内に追い詰められた)
「私は愛されたかった。愛してもらいたかった。愛してもらえたなんて思ったことないよ。」
たたみかけるようにして言い放つ。一緒にエレベーターに乗っていた人が笑った。けれどそんなの気にならない。私はずっと妹と一緒に生きてきたのだ。そう、妹と2人で。叔母に何が分かるのだ、私たちの苦悩など分かるはずない。気がつけばボロボロと涙を流していた。
「親をなんだと思ってるの!!!!」
妹に平手が飛んでくる。咄嗟に私は妹を庇い、その平手を受けた。不思議とそれほど痛くない。
「妹に手を出してんじゃねぇよ。次出したらお前殺すぞ。」
自分の瞳孔が開いているのが分かる。目の前の顔を睨みつけてエレベーターのドアが閉まる。
っていう夢を見たんだ 2019.7.5