キャラメイキング! 1
お待たせしました。久しぶりの投稿です。
最初の空間からの転移を終え、俺が新たにやってきた場所は一面が白色の半球体の部屋だった。部屋には光源がないにもかかわらず不思議と明るく、中心には部屋と同じ白い机が1台と白い椅子が1脚ずつあった。
俺は机の下まで行くとこちらにも最初の空間と同じように文書が1枚と機械みたいな箱が机の上に準備用意されていた。
椅子に腰を落ち着け、文書を手に取って見てみる。どうやら先程と同じくこれからの行動についての指示と説明が書かれているだけのようだ。とりあえずこの通りに進めていくか。
1・・・まずはあなたが望む世界軸を選択してください。世界軸の設定は机の上に設置されているホログラムデバイスの電源を入れると設定が行えます。
俺は言われた通りホログラムデバイスの電源を入れる。
ブォン!
「うぉぉぉ!すげぇぇぇ、ほんまにアニメみたいに映像が宙に浮いとるやんけ!しかも触ってる感覚もちゃんとある!このホログラムデバイスめっちゃすげぇぇぇ!」
宙に浮いてる数々の映像には様々な世界軸の様子が映し出されていた。元の世界軸と似たような世界軸からSFアニメで見たことがようなロボットや兵器が高度に発達した世界軸やファンタジーアニメで見たことがあるような剣やら魔法やらスキルやらが存在する世界軸、さらには通常の生命体なら存在することもできないような霊界といった世界軸まであった。
「う〜ん、どの世界軸を選ぶか悩むな〜。近未来世界で最新兵器を駆使しながら傭兵とか捜査官として活躍するってのも悪ないし、エースパイロットとして宇宙戦争で英雄になるんも面白そうや。
でも剣と魔法の世界で人外の化け物を狩りまくって夜には仲間と共に酒を酌み交わすのもいいな〜。魔法をドンパチ放って無双するのも爽快で面白そうやしな〜。
かれこれ30分ほど悩んだ後、俺はとうとう自分が行く世界軸を選んだ。
「俺は魔法とスキルそしてLvが存在し、かつ多様な知的生命体と化け物、いわゆる魔物という類のものが存在している世界を希望する。それに加えてダンジョンなどが存在しているとさらに良いがないならそれは構わない。あ、普通に調理すれば元の世界軸と同じ美味しさの食事が取れる世界で」
俺はいわゆるテンプレの世界軸を希望した。ちょっと食事については欲張った世界だが食事には絶対妥協できない。元の世界軸で舌の肥え太った俺は異世界にクソ不味い料理しかなかった時絶対すぐに死を選ぶだろうからな。
さて俺がこの世界軸を選んだ理由は主に3つの理由からだ。
まず理由その1。ここでのキャラメイキングを考えるとテンプレの剣と魔法の世界が最も恩恵に与かれると思ったかだ。もちろん近未来世界に剣と魔法の世界のような設定を持ち込んでも良いといえば良いのだが、それをやってしまうとせっかく世界観が壊れてしまう。壊れない範囲で設定すれば近未来世界でも楽しく生きていけだろう。確かにできる。けどな、近未来世界を選んだ場合圧倒的に地味。地味やねん。。他の人に知られへんような能力ももちろんすごい。周りからしてみたら
「こいつ、やるな!」
というような反応をして俺に羨望の眼差しを向けるだろう。そういう反応されるのも確かに悪くない。けどな、せっかく色んな設定が出来んのにそんなん勿体ないやろ?もっと派手な魔法とかスキルとか使ってみたいやん。
「こいつ、やるな!」
みたいな反応だけやなく
「こ、こいつ、こんな大魔法まで使えるなんて一体何者なんだ!?」「なんでこれほどの奴が今の今まで無名だったんだ!?」「こいつが居てくれる限り、この街は一生安泰だな!」
みたいな反応も欲しいやん!みんなから持て囃されたいやん!
そう考えた時、俺はテンプレの異世界が最も俺の願望を満たしてくれる世界だと確信した。近未来世界にも強い憧れがあったがこのチャンスをふいにしてまで目指す世界ではない。ああ、でもやっぱり一度はガン○ムに乗って活躍してみたかったなぁ。
成り上がる事が比較的簡単でかつ規制が緩いことだ。テンプレ世界は他の世界軸と比べてもかなり自由度が高い。他の世界軸だと最低限の生活は送る事は保証されているが、組織に所属していれば組織の、所属していなくても社会の煩雑で複雑な規則を守らねばならない。他にも社会慣習や世間の目など気にしなければならないことも多い。
またそういった世界軸ではそのルールに縛られ成り上がることもなかなか至難の業だ。自分の立てた手柄を上司やライバルなどにかすめ取られたり、昇進したとしても一気に高い地位に就くといったことはまず無い。自分の手柄を横取りされないように常に気を張るような生活はたくさんだ。
それに比べてテンプレ世界は楽だ。危険が身近にある世界では規則はそんなに厳しくない。規則を守るより、生き抜くことの方が重要になるからだ。それに成り上がるのも比較的簡単だ。この危険が身近にある世界ではその危険を排除できる人物や団体はどこでも重宝される。結果簡単に成り上がれると言うわけだ。こんな世界選ばない理由がない。
最後に理由その3。何と言っても色んな女の子にモテたい!ケモミミ、エルフ、ヴァンパイア、サキュバス、マーメイド、精霊、といったレパートリーの広さ。これからそんな多種多様な女の子たちとのキャッキャウフフな生活ができる可能性があると言われてこの世界以外の世界を選べようか?いや、選べない!!断じて選べないとも!!これ以外の世界軸にももちろんそういった種族は存在する。けど俺はテンプレ世界で会ってこその魅力だと思う。それにさっきから言ってるがこの世界軸は危険が身近にある世界だ。当然ピンチな女の子も沢山いる。死にそうにな時俺に惚れる可能性は他の世界軸と比べて圧倒的に高い!この思考に至った時、俺はこの世界軸に転生することを決断していた。
「承知しました。しばらくお待ちください。…………………あなたの望む世界軸の場所を確認しました。……………………干渉が許可されました。この世界への干渉が可能になりました。この世界名はヴェルシャンです。」
「うぉ!?......俺の声に反応した?このホログラムデバイス、音声にも対応しとったんか。ま、どうでもいいか。そんなことより俺の望む世界があってよかった〜。結構色々望んだから流石にこんな世界はないかもしれないと思っとったけどほんまよかったよかった。それで俺のいく世界の名前はヴェルシャンか、いい響きだ。」
ホログラムデバイスが俺の声に反応したのは少しびっくりしたが俺は自分の希望通りの世界軸に行けることに安堵した。
それじゃあ、行く世界も決まったし次に進むか。
えーっと何何。
2・・・あなたの行く世界が決定したら次にあなた自身のキャラメイキングをしてください。キャラメイキングはホログラムデバイスによって行うことができます。
「おお、待ってました!!ついに俺のキャラメイキングの時間が来たか!!」
俺はホログラムデバイスに向けてしゃべりかける。
「キャラメイキングのページを開いてくれ!」
デバイスに搭載されている音声ユーザーインターフェースは俺の指示通りキャラメイキングのページを開いた。表示された映像をざっと見てみたが、最初の選択肢で提示されていた通りキャラメイキングに制限は殆ど無いようだ。
「なるほど、本当にキャラメイキングをするにあたっての制限は殆ど無いようだな。よし、それじゃあ早速異世界で俺が成り上がるためのキャラメイキングを始めようか。」
じゃあまずは種族から決めていくか。
種族もほんとに何でも選べるようだ。人間、エルフ、ドワーフ、獣人、亜人、精霊、魔物、動物そして植物。他にもいろんな種族の姿が種族説明とともに目の前の映像に映し出されている。なるほど、種族ごとに種族特性があるようだ。例えば人間ならオールマイティ、エルフなら植物の知識と魔法の扱い、ドワーフならアルコール耐性と土や岩石、鉱物の扱い、獣人なら元になった動物の特性と高い身体能力といったようなものだ。簡単に言うと特定の種族を選ぶとタダでスキルが手に入ると言うことだ。もちろんメリットだけではない。人間は一つのことを極めるためには他の種族よりも多くの経験が必要になり、エルフなら体力や性欲が低くなりやすく、ドワーフなら土と火以外の魔法適性が低くなりがちで、獣人は放出系の魔法は生活で使う程度のものしかできない、といったデメリットが存在する。なのでそれら各種族の長所と短所をを頭に入れて決定する必要がある。
「それにしても何にするか悩むな〜。とりあえず人型なのは決定として、そこからどれにするかやねんな〜。……お?声に反応してか一気に選択肢が狭まったな。えーっと、ここからさらに完全に魔物なのはなくしてもらって......オーケーオーケー。よし、ここから取捨選択していくか。」
だいぶ絞られたところで宙に映し出されている種族説明の映像を1つ1つを吟味していく。
「じゃあこっからさらに完全に人型のもの以外は外してくれ。」
これでケンタウロス、スキュラ、アラクネ、アルラウネといった種族が映像から外される。
「それに加えてハーフも省いてくれ。あ、やっぱええ、いやけどやっぱり外してもらおうかな......」
ここからしばらく悩んだ。ハーフは普通に生きていく分には何の問題もないのだが、大抵はどっちつかずの特性、つまり中途半端な能力になり、あまり強くなれない。。しかしハーフはその潜在能力が故に稀に元の種族を遥かに凌駕する特性を得ることがあるからだ。
だがこの特性を得れるかどうかは本当に運だ。生まれるまでは誰にもわからない。ここでのキャラメイキングでなんとか生後、潜在能力を解放させることはできるものの、そのためにさまざまなスキルを設定する必要がある。異世界へ過剰な影響を避けるため、持ち込めるチートスキルの数は20まで(これが唯一の制限)に制限されている(それでもだいぶ多いが)。そんな貴重な枠を本当にこのために使っていいのか、悩みに悩んだ。大いに悩んだ末ふとある事に気付き俺は結論を出した。
「ハーフは除いてくれ。」
俺はハーフも外すことにした。元の種族の特性を凌駕する可能性には大いに惹かれたが、よくよく考えてみるとそんなことしなくてもチートでなんとかなることに気づいた。わざわざ枠を消費するほど魅力的な特性なら最初からそのスキルを取得すればいいだけの話だった。
俺が話しかけると音声ユーザーインターフェース(以後VUI)はそれに応じハーフ種族を映像から消していく。これで残ったのは人間、亜人、精霊、獣人の4つだ。
「あれ!?よく見たら獣人も俺が思っていたのとちゃうなやん。それっやたら獣人も外してもらお。」
俺は獣人も外してもらった。獣人は本当に獣人で、動物がそのまま人型になったような感じだった。俺が求めていたのは一部に獣の特徴があるタイプのもの、つまりはよくアニメとかでみる感じのものだったので少々残念だった。
「獣人が思ってたのとちゃうかったけど、まあ仕方ないな。」
残りは人間、亜人、精霊の3つ。
「精霊は結構周りの環境に影響を受けるようだな。自分と同じ特性の場所では能力が倍に、反対の特性を持つ環境では能力が半減か。」
オールマイティに強いのが理想だし、今回は諦めるか。とうとう人間と亜人まで絞れたな。
「亜人も結構いろんなバリエーションがあんな〜。定番の吸血鬼、エルフ、ドワーフから鬼人にホビット、ジャイアント、サキュバスまで色々や。………………お!?ちょ、ちょっと画面戻してくれ!ちょっと戻りすぎ、そう、そこで止めて!おお、やっぱり見間違いじゃなかったか。まさかこっちに俺が思ってた獣人がいたとは思わんかったわ。それにしても、やった〜!!これでさっき断たれたと思った夢の異世界モフモフハーレム復活!!」
少し選ぶのに疲れてきていた俺にとっての朗報が入り、少し途切れかけていた集中力が回復した。
「この動物系の亜人の特性は獣人と似たような感じだな。獣人よりは少し劣った身体的特性だが魔法の使える範囲はだいぶ大きくなってる。まあそれでも使えるのは中位までの魔法だけだか。」
獣人よりは選択肢に入る余地はあるな。ほかの亜人も似たような感じだ。人としての特性が入っている分メリットは多少小さくなるがデメリットも小さくなってる。この程度ならスキルで補わなくても自分の戦い方次第でデメリットを埋めれるだろう。
俺は亜人か人間かで悩んだ末、最終的に人間を選ぶことにした。理由は主に2つ。まず人間の成長可能性の限度がなく、かつ多様なスキル、技能を習得可能なこと。次に人間という種族の頑丈さが地球よりも圧倒的に高いことだ。地球の人間なら死ぬような怪我は少し時間はかかるが治る程度だ。例を挙げるとするならトラックに衝突して吹っ飛ばされても骨を数本折れる程度で済むくらいに体の頑丈さがあるということだ。
亜人もかなりいい線までいっていた。何かに特化する予定なら亜人を選んだが、俺が希望するのは何でも1人でこなせる万能型。よって今回は人間にした。それに何よりこの人間の体に慣れ親しんでいるからな。
「よし!じゃあ俺の種族は人間に決定だ!」
次回もキャラメイキングです。