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どうやら来世についての選択肢を選ばないといけないようだ。

新作始めました。

色彩を求めてが思った以上に難航してしまい、気分転換に書いてみました。

こちらも超不定期更新です。

作風は全然違います。こちらの方が作者の思うなろう系作品に近いと思います。

「どうやら俺は死んだようだな。」


 なんで俺にそんなことが分かるかというと、現在進行形で俺の目の前に大きな映像が映し出されており、そこには俺が間抜けに死んでいる映像が延々と流され続けているからだ。

 もちろん最初はなんだこの映像は、ドッキリなのか?と思いながら見ていたのだが、流石にこの映像が5回ほど流れると本当に自分がすでに死んでいることに気がついた。

 気づいた後は自分が本当に死んだことを認められず、ずっとそこら中に怒鳴り散らしていたが、それもこの映像がさらに10回ほど流れた頃にはなんとか受け入れらた。

 だが死んだこと自体は受け入れられても、その死んだ原因を受け入れるまではなかなか時間がかかった。

 何故かって?そりゃあ俺の死因がかっこよく車に轢かれそうな子供を助けたが自分は車に轢かれてしまったとか難病で死んだとか大規模な人災によって集団で死んだとかだったらまだ受け入れられたよ!?

 でも俺の死因は睡眠中に鼻血を出してしまい、それがずっと止まらないことによる出血死。受け入れられるか!

 こんな死因聞いたことないわ!え、世界史の授業で習ったかのアッティラ王も鼻血で死んだって?どうでもええねんそんな情報!有名人と死因が一緒でも全然嬉しくないねんそんなん!それに俺はどんだけ鼻から血流しとんねん!こんだけ血が鼻から流れてるんなら気づけよ!こんな死因、恥ずかしすぎて生きて行けへんわ!あ、もう死んどるからどうでもええか。ってどうでもええことあるかい!みんな想像してみ。こんな死に方、家族に知られるだけでも恥ずかしいのに、葬式の時に来てくれた会社の人達に


「死因は睡眠中の鼻血による出血死でした。」


なーんて紹介されたら死んでたとしてももう一回死ねるほど恥ずかしいわ!!

 それにな、もしそんな紹介されたら、葬式に来ていた人達も一回しんみりとした表情を浮かべてから数秒経って、えっ⁉︎って間抜けな顔なって、またその説明を理解するまでに数秒を要してからみんな俺の棺桶を見ながらを憫笑すんねん。

 あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あかん、あかんあかんあかん!考えただけでも死にたくなるぅぅぅぅぅ!!!!!

 父さん、母さん、先に死んだだけでも申し訳ないけど、どうか葬式の方は家族だけで執り行って下さい。これだけが死んだ俺からのお願いです。ほんっっっっっっとうにお願いします!!

 はぁぁぁ、それにしても...................せめて...................


 とこんな感じで1人でノリツッコミをしなが自分の死因に対して呪詛を吐いて吐いて吐きまくり、まだ不満は若干残っているもののようやく落ち着いて今の自分の状態について納得できた頃だ。

 

「はぁぁぁぁ、まあ俺の死因については一先ず置いとこ。ほんで、ここはどこなんや。ただ単に今世紀、世界で最高に滑稽な死に方をした俺を辱める為だけの場所って訳ではないよな?.......................そうだよな?......................そうだよね?...............誰か〜〜そうだと言ってくれ〜〜〜〜。」


 叫び終わったあと、俺はここがただ単に自分を辱めるだけの場所ではないことを祈りながら、ようやく付近の探索に乗り出した。



******


 

 しばらくこの何もない空間を歩き回ると何か小さな黒い点が視界の端を横切った。

 運良くその黒い物体に気づいた俺はそちらの方に近づく。

 そしてとうとう俺の視界に届くところまで近づくとその黒い物体の正体が判明した。


「お、なんか随分と豪華な漆塗りの大箱やんか。せやけどなんでこないなところにこんな豪華な箱があるんや?」


 そう言いながらも俺はその怪しさ満点の箱を少しの躊躇いもなく開けた。まぁ俺に失うものなんて何もないしな。だって俺もう死んどるし、しかも今世紀最高に滑稽な死に方で。


「中にあるんのは、1枚の文書とノートパソコンか。」


 まず俺は先に文書の方に目を通すことにした。


「えーと何々、これはあなたの現状とこれからするべき事についての説明書になります。きちんと最後まで目を通してください。」


 うんうん、なるほど説明書な。そんで続きはと。


「まずは現状の確認からです。もうお気付きかとお思いですが、あなたはもうすでに死んでいます。なのであなたはすでに自分が死人である事を自覚してください。ここにいるという事は生き返る可能性はもう存在しません。つまり仮死状態ではないということです。まだ死んだと認められない方はあなたが最初に見た映像を死人の自覚ができるまでゆっくりとご鑑賞ください。」


 まあ、ね。うん、もう知ってるよ。あんだけ観たら流石にどんなボンクラでも死んでる事に気付くし自覚するやろ。これは大丈夫そうやな。


「ここからはあなたがこれからどうすべきかについての説明になります。本来ならば全ては神により決定されますがここは任意に来世を設定可能な場所です。あなたには5つの選択肢が与えられています。この中から好きな選択肢を選んでください。


 1.同じ世界軸に再び輪廻転生する。(若干の設定が可能。再びこの空間に来られる可能性あり。)

 例、性別、性格、出生地、能力(この世界軸において不自然ではない程度まで)、身体的特徴、etc


 2.異なる世界軸に転生する。(大幅な設定が可能、ただし再びこの空間に来られる可能性なし。転生先の世界でしか輪廻転生できない。)

 あらゆることが設定可能。


 3極楽浄土行き。(名の通り極楽浄土。あなた方の想像を凌駕する桃源郷。ただし変化が少なく飽きる可能性あり。後述する方法以外で極楽浄土から離脱できない。離脱したい場合、善を別世界で積むことに同意し、別世界において修行し我欲を捨て去り、最終的に解脱しあなた方が言ういわゆる神や仏に至る必要があり。)


 4地獄行き。(名の通り地獄。地獄めぐりが可能。極楽浄土とは違い飽きる事はない。悪人の場合強制的にこの選択肢のみ。ドM向け。悪人は地獄において罪の清算が終わるまで離脱できない。悪人以外は最低1つの地獄を巡れば離脱できる。悪人以外で離脱した者は必ずこの空間に戻ってくる。)


 5.魂自体の消滅。(あなたと言う存在の消滅。全てに疲れたあなた向け。)


 質問のある方はお手元のノートパソコンで質問を入力して下さい。」


 なるほど、どの選択肢にもメリットとデメリットがあんな。

 まず1の選択肢。この選択肢はメリットの方が大きい、ある程度の設定ができ、かつ再びここに戻って来られる可能もある。デメリットは変化が少ない事、それから次にこの空間にこれるのが一体いつになるかは分からないことだ。下手すると一生無理かもしれない。


 次に2の選択肢。これもメリットの方が大きい。メリットはあらゆる設定が可能で自分の望む世界軸に行けること。デメリットは自分が行った世界軸に魂が永遠に固定されることだ。それとここに戻って来れないことだ。


 そして3の選択肢。これは結構デメリットが大きいと思う。確かに極楽浄土は魅力的やけどその後がハードモードすぎるわ。神仏に至るまでに一体どれだけの苦難を乗り越えなければいけへんのかも分からんし、神仏になった後どうなるのかもわからん。

 とりあえず質問してみるか。


「えっと、これか?神仏になれば何が出来ますか?っと。」

「神仏になれば必ず一つ以上の世界軸の担当が可能になります。その世界軸においてあらゆる設定が可能になります。又担当している世界軸に顕現することが可能です。」

「まじか、めっちゃ楽しそうやな。えっと顕現に制限はありますか?」

「あります。1度顕現すると次の顕現まで10年が必要です。顕現期間は1カ月で、その間は神としての力が大幅に制限されます。顕現の間に死亡した場合、次の顕現に必要な期間は100年になります。」

「うーん、ありといえばありかな?顕現中に死んでも神仏のままやし。じゃあ神仏に至るまではどのくらいかかりますか。」

「平均で約300年といったところです。」

「300!?長い、長すぎるよ‼︎めちゃくちゃ善行を積まへんとあかんやんか。もっと短く出来へんの?」

「神仏に至る為と考えると破格の期間です。むしろこれよりかなり短い期間で神仏に至れると考えるあなたに大きな問題があると考えます。」

「え、おれノートパソコンに説教されとるん?確かにおれの考えは浅はかやった事は認めるけどちょっと失言しただけでこれって辛辣過ぎひん?怖、ノートパソコン怖。気をつけよっと。」


 さて3の選択肢は大体分かったし4の選択肢のメリットデメリットについてだが、その前にまず一言だけ言っておきたい。


「地獄行きにドM向けってなんやねん!!もはやドMの域超えとるから、それ!!地獄行きがご褒美になるほどのドMはもはや人間ちゃうからな!!」


 ふう、言ってやった。もはや我が生涯に一片の悔いなし。あ、もう死んでるやん、我が生涯に悔い残りまくりやわ。

 ま、とりあえずこの地獄行きのメリットは必ずもう一回この空間に戻って来れるとこやな。てかそれ以外ない。ドMの人からしたらこの選択肢も有りなんかもしれへんけど、有難い事に俺の性癖はいたってノーマル。

 デメリットは地獄の苦しみを味わうこと。これも経験したら後の転生の時に大抵のことは気にならへんように成長できるメリットに変えられるけど、わざわざそんな経験をする必要性は皆無やな。設定で大抵なんとかなりそうやしな。

 

 さて最後の選択肢5についてやけどこれは論外やな。説明のところに全てに疲れた人へって書いてるけど俺は全く疲れてへんし今回はノーサンキューやな。


 さて色々見てみたけど選ぶとしたら1か2、かろうじて3ってとこか。


 うーんまずは選択肢3から考えてみるか。

 まず3のメリットは比較的短い300年という破格の期間で神仏になることができることか。この機会を逃すともはやこのルートは閉ざされると考えても構わないだろう。それに神仏に至るために修行をしないといけないだけであって、本当に飽きるまではいくらでも極楽浄土にいても問題ない訳だから、そのことも込みで考えるとむしろ徳の方が多いだろう。

 あれ、よく考えてみると案外選択肢3もいいんじゃね?いやでもでもまずは神様になってからどんなことをしなければならないかも考えへんとな。俺の考えるような悠々自適の気ままライフなら問題ないけど、もしブラック会社みたいに馬車馬の如く扱き使われ神様仏様になった意味がないような生活やったら困るしな。よし、もう一回質問してみるか。


「神様仏様はいったいどんな生活をしていますか?」

「皆様方は大変高いお志をお持ちになって日々の生活に精を出しております。」

「えーっと、俺が求めてるのはそんなふわっとした答えじゃなくてですね、具体的にどんなことしてるのかなんですけど...。」

「皆様方は大変高いお志をお持ちになって日々の生活に精を出しております。」

「あ、これ回答できないやつやわ。ホンマのこと答えたら誰も来んくなるから出来るだけ曖昧な言葉で濁して逃げ切るやつや。」

「そんなことは決してありません。皆様は自発的に仕事に勤しんでいます。」

「自発的?いやそれ絶対その人達の修行期間に苦しいことありすぎたパターンやって。辛すぎて今の仕事が楽に感じてるだけやって。あかんあかん。絶対3は選んだあかんやつや〜。」


 俺は一旦画面から目を離し頭を抱えてうな垂れた。

 

「..........................ちっ。」

「えっ!?今なんか見えてはいけない文字が目の端に見えた気がするけど.......」

「.............................」

「気のせいか?」

「.............................」

「うん、気のせいやな。そう思うことにしよ。」


 俺は気を取り直して他の選択肢のことに思考を傾ける。

 さて、次に選択肢1について考えてみるか。

 選択肢1はかなりのアタリだと考えてもいいだろう。同じ世界軸に転生する際に不自然でない限りでキャラ設定が可能であり、来世は安泰だ。自分が望めば金も女てに入れられるだろうし、頭を良くして世界的な発見をしたり、最高の身体能力を使ってスポーツで成功したりすることも可能だ。さらに死んだ後にもう一度ここに来ることが出来る可能性も残されている。メリットだらけだ。

 デメリットとしては同じ世界軸であるため新鮮さが無く変化も少ないということか。飽きた時にどうなるかだな。それともう一度この空間に来れるとしてもそれがいつになるかだ。この魂だけの状態の今でさえ前世の記憶は浮かんでこない。連続でこの空間に来て前世の記憶を承継できなければこの空間に来れるとしてもメリットは0だ。連続して来れれば万々歳だが、その確率は限りなく0に近い。そう考えるとわざわざこちらの世界軸を選ぶ必要性は低いと言わざるを得ない。


 最後に選択肢2について考察してみるか。

 こちらもかなり良い選択肢なことに違いはない。選択肢1と比べてこちらの場合にはキャラ設定に制限はほぼ無く、かつ同じ世界軸に転生するのとは違い新鮮な体験をできることは間違いないだろう。キャラ設定のお陰でこちらも来世は安泰だ。

 デメリットはこの空間に二度と戻ってくることはできず、行った世界軸で世界が崩壊するまで永遠に囚われることだ。その世界で輪廻転生を繰り返す事になるから、もしその世界にゴブリンやスライムがいたら死んだ後ゴブリンやスライムに転生することも十分にあり得る。それは記憶がなくなるとはいえ少し抵抗を感じないでもない。

 だがデメリットはこの位しか思い浮かばない。この空間に戻って来れないのは少し惜しいが他の選択肢を選んでも大して変わりはない。可能性があったとしてもここに戻れる可能性をもう一度引き当てる程の強運はもうすでに今回使い切ったように感じる。二度目はない、そう思っておく方がいいだろう。それにどうせ最高の来世を約束されているのならより刺激の多い世界の方が楽しめるだろう。それに転生の問題も記憶がなくなるならあまり問題ではない。気分的に少し嫌なだけだ。

 ................よし選択肢は2に決めた!


「選択肢2の別の世界軸への転生に決めました!」

「一度選択肢を決定すると二度と変更することは出来ません。本当に選択肢2でよろしいですか?」

「大丈夫です!」

「本当に大丈夫ですか?選択肢3でもいいんですよ?」

「しつこいな!?どんだけ3を選ばせたいんだよ!そんなにあからさまだと誰も行きたいと思わないよ!」

「..................では選択肢2に決定します。決定しました。決定を上位機関に送達。送達完了。承認をお待ちください。......................承認を確認。あなたの異世界への干渉が許可されました。確認してください。」

「確認してくださいって言われてもな。確かになんか許可状みたいなのが画面に映し出されとるけどこれが本物のなんか俺には分からんし、それで大丈夫やで。」

「対象者の確認を確認しました。それではあなたから見て左から2つ目にある選択肢2の転移ポイントに移動してください。転移後そちらで各種設定を行ってください。それではあなたの将来に幸があらんことを。」


 パソコンに文字が打たれ終わるとパソコンの5m先にいくつか光るポイントが現れた。

 俺は先ほど指示された通り左から2つ目のポイントに足を踏み入れ、そして次の場所へ転移するのであった。


 

次回更新はいつになるか分かりませんが次を楽しみにしていただけると幸いです。

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