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ツンデレな友達(?)ができました  作者: 黒輪サン
序章:春の体育祭
6/22

episode6 何この空気!?

 二人で練習を始めて2週間が経ち、体育祭も翌日に迫っていた。今日も橘さん二人で夜の公園を走る。橘さんもだんだん話してくれるようになったし、学校でも笑顔が少しずつだけどみられるようになった。本番前日ということもあり、いつもより長く練習をしていた。

「橘さん、そろそろ終わりにして帰ろっか。早く寝ないと明日バテちゃうよ」

「そうね」

帰る前に一息つこうと二人でベンチに座った。

「いよいよ明日だね~」

「そうね」

「まあ、もう心配する必要ないか」

「そうね」

「……」

私は同じことしか言わない橘さんに突っ込みを入れようとしたけど、何か考えているようだったのでやめておくことにした。

「橘さん、どうしたの?」

「なんかよくわかんないけど明日が本番なんて寂しいわね」

やっぱり様子がおかしい。

「なんで~? あ! 私に会えなくなるのが悲しいの~?」

元気を出してもらおうとギャグのつもりで行ってみたけど橘さんは表情一つ変えない。

「そうかもね」

「はあっ!?」

漫画のキャラみたいにでっかい声を出して驚いた。橘さん、変なものでも食べちゃったのかな? 不安になってきたので頑張って聞き出してみた。

「こうして委員長と二人でこの公園にいるのことがすっかり日常の一部になってから、この時間が毎日の楽しみだったの」

いつもなら私がこんなセリフ言って橘さんが「恥ずかしいこと言うな」なんて返してくるんだけど。やっぱりツッコミ待ちなのかな?

「それが今日終わるなんて信じられない」

すごく何を言っていいのかわからないこの時間がただただ気まずかった。

「委員長。これからも私と……友達でいてくれる?」

おかしいんじゃない。変わったんだな橘さん。この橘さんの頼みを断る道理はない。

「当たり前でしょ。前からそう言ってるじゃない」

橘さんは真っ赤になっている。なに? この空気? ラブコメか何かじゃないんだよ?

「華、ありがとう」

いきなり名前で呼ばれて脳が完全にショートした。なんかドキドキしてきちゃったよ。

「え、あ、名前……」

「じゃあ帰るね。また明日」

橘さんは恥ずかしがってるのを隠すみたいにすごい速さで帰っていった。一方で私は10分くらい動けなかった。



 ついに体育祭当日。私は学校に到着してすぐに橘さんに出くわした。

「お、おはよう。橘さん、今日は頑張ろうね」

すごく無難なセリフをチョイスしてみた。今日は話すだけで大変だ。昨日のことが頭から離れない。橘さんもそうなのだろうか? すっごい寝不足そうな顔してる。

「おはよう、委員長。何その顔。寝不足なの?」

あなたのせいでしょうが! って、あれ?

「委員長て言った?」

「何か変?」

あれ? 昨日のは夢だったかな? やれやれ私の妄想が過ぎただけでしたか。あはは。でも念のため聞く。

「昨日、華って言った……」

「いってない」

「いやいや、絶対に言っ……」

「てない」

「あれ? いや~ぜ……」

「ったいに言ってない!」

橘さんの顔はいつもどおりわかりやすく真っ赤っか。やっぱり変わってなくて昨日がおかしいだけでした。寝不足になった仕返しに当分これをネタにからかうことにした。



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