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ツンデレな友達(?)ができました  作者: 黒輪サン
第四章:二人の明日
20/22

episode2(20) ばれちゃった

 来月に迫る学園祭で私たちのクラスはメイド喫茶をすることになった。私はベタだなあなんて思いつつも楽しみでいたけど橘さんは恥ずかしがって活動にやや消極的だ。

「何なの? こういうのって漫画とかだけの話じゃなかったの?」

「まあいいじゃない。楽しそうだしさ」

 本当は橘さんのメイド姿が見たいというのも楽しみな理由。絶対可愛い。

「決まったからにはしっかりやるけどさ」

 そんなことを言いながら衣装担当になった橘さんは裁縫を始めた。橘さんは裁縫もできるらしい。ほんとに嫁にもらいたい。私は勉強だけでなく家事のほうもからっきしだ。

「ていうか委員長はなんでいるの?」

「橘さんがいるから……かな」

「なにそれ」

 橘さんは笑って言う。放課後のこの教室には私たち二人きり。これはチャンスではないだろうか。絵にかいたような恋のドキドキシチュエーションというヤツではないだろうか。

「橘さん。二人きりだね」

「何いきなり雰囲気出し始めてんの」

「いーじゃんいーじゃん! イチャイチャしてくれたっていーじゃん! 二人じゃん! 学園祭シーズンじゃん! いい感じになるでしょ!」

「なんでそんなにハイテンションなの」

 私は昨日キスしなかったことを今でも後悔していた。昨日の文も何かしなきゃという使命感が私を高揚させた。でも流石にハイになり過ぎたようで橘さんは少し引き気味だ。

「ねえやっぱキスしようよ~昨日橘さんがそう言ったんだから別にいいでしょ」

「悪いけどベタベタするのは趣味じゃないの」

 そんなに断れるとよくわからないが、意地になってきた。絶対に橘さんをデレさせてやるんだから。私は多少強引な手段になってしまったが、橘さんを机の上に押し倒す。

「ちょっと! 委員長まずいって、誰か来たらどうすんの」

「大丈夫。すぐに終わるから」

私は橘さんに顔を近づける。橘さんの目は少し怯えているように見えたがそんな顔をされたら余計にそそられてしまう。諦めたのか、橘さんは目を閉じ抱き寄せて私を受け入れる。そして私たちの唇が触れ合ったそのときだった。

「ねえ、あれって百合園さん?」

「ほんとだ。それじゃああの子は?」

誰かの話声。私たちはとっさに声の聞こえた方を向くと、どうやら私たちと同じように学園祭での衣装を作りに来た生徒がいた。

「あ! ごめんなさい邪魔しちゃって……」

「いやいや! 何もしてない、転んだだけだって!」

橘さんは必死になって弁解を試みたが流石に無理があった。






 あの後私たちは逃げるように学校を去った。

「委員長」

「橘さんごめんなさい!」

またその場の勢いで橘さんを困らせてしまった。謝る私をなだめるようにやさしい声で橘さんは言う。

「別に委員長が悪いわけじゃないよ。止めなかった私も悪かった」

「ごめんなさい……」

「別にいいでしょ。どうせみんな私たちのことわかってるって」

そう言った橘さんの表情はとても気にしていないようには見えなかった。


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