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ツンデレな友達(?)ができました  作者: 黒輪サン
序章:春の体育祭
2/22

episode2 ゆびきり

 黒に染まった空の下、私と橘さんは風を切り走っていた。

「づ……疲れた……」

橘さんは息を切らしながらそう言った。かれこれ30分くらい経っただろうか。

「そろそろ終わりにしよっか」

私も疲れてきたので切り上げようとした。

「先に帰ってて。私はもう少し走ってく」

私に付き合って練習しているなんて言ったことはすっかり忘れて橘さんはただ速さを求めて練習を続ける。

「!」

突然橘さんはその場に倒れこんだ。

「大丈夫!? 橘さん!」

私は大急ぎで橘さんに駆け寄った。

「はあ……久しぶりに運動するのにちょっと頑張りすぎたかな」

情けなさそうに言った橘さんを見て私は語りかけた。

「もう終わりにしよ? また明日一緒に練習しようよ」

橘さんは驚いた様子で言葉を返す。

「明日って……また私と練習するっていうの?」

肩を貸し橘さんを立たせながら私は「嫌?」と尋ねた。

「別に。委員長がいいならまたお願い」。

素直な反応に少し驚いた。

「橘さん。家近く?」

「近くだけど。何よ急に」

「じゃあ送ってくよ」

橘さんは断ろうとしたけど体力の限界みたいで、申し訳なさそうに私と帰ることにした。



「委員長ごめんなさい。色々助けてもらっちゃって。貸しがたくさんできちゃったね」

帰り道。その途中に橘さんはそう言った。

「貸しだなんて面白いこと言うね。別に見返りが欲しいんじゃないよ。まあ、どうしても返したいって言うなら本番で勝利を一緒に喜ばせてよ」

笑いながらそう言うとつられた様に橘さんも笑う。

「委員長って世話好きってよくいわれない?」

「うん。余計なお世話だったかな?」

そう聞くと橘さんは俯きながら何か言った。小声でよく聞こえなかったけど「全然。ありがとう」って言った気がした。気のせいかもしれないけどすごく幸せな気分になった。

「委員長と話してるとなんか懐かしい気分になる」

ふとそんなことを橘さんはつぶやく。確かに私も不思議な懐かしさを感じていた。話しているうちに橘さんの家に着いた。

「ここだよ。ありがとう委員長」

「うん。じゃあまた明日! ……あっそうだ!」

ふいに大声を出したので橘さんは驚いて体を震わせた。

「いきなり何よ」

「ゆびきりしよ。明日もまた一緒に練習する約束」

橘さんは顔を赤くして「子供か!」と言った。だけどどこかうれしそうな表情で指を差し出した。

「ゆ~びき~りげ~んまん」

二人で約束を交わし、玄関先で別れた。

 


 私も家に帰ろう。そう思い歩き出したときに目的を思い出した。

「お醬油うううううううううううううううううううううううううううううう!」



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