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ツンデレな友達(?)ができました  作者: 黒輪サン
第四章:二人の明日
19/22

episode1(19) いきなりすぎだよ!

 今日から二学期が始まる。来月にはもう一大イベントの学園祭が迫ってきているので夏休みが終わるのもあまり悔やまれなかった。何より橘さんと毎日会えるのがうれしい。




 教室に入るや否や橘さんの席に直行する。


「おっはよ~」


「おはよう。やけにご機嫌じゃん」


「まあね」


 本来ならそのまま抱きつきたいところだけどやっぱり恥ずかしい。恋人同士になってから何かと意識しちゃって相変わらずなかなか踏み出せないでいる。


「橘さん、今日の放課後どこか行こうよ」


「最近毎日行ってるでしょ。まあいいけどさ」


「じゃあ一緒に帰ろうね」


 そう言って約束を取り付けると私は自分の席に着いた。すると、私の周りにみんなが集まってきて、橘さんとの関係について質問攻めにあう。


「委員長! なんか前より距離近くない?」


「もしかして付き合ってるとか?」


「えー!? まさかー」


 私が返答に困っていた私を見かねてか、橘さんは静かにしなさいと言わんばかりに咳払いをして睨みをきかせると、みんなはさっさと席に戻っていった。私はありがとうという代わりにアイコンタクトを送ってみたが、橘さんは気づいてないそぶりを見せる。どう考えても見えてるのに。素直じゃないのもかわいいけど。





 放課後。私が橘さんのところに向かおうとすると歌恋に声をかけられた。


「あはは。大変だったね華」


「他人事だと思って楽しんでないでよ」


「加賀美さん」


「あ、橘さんごめんね。華借りちゃって。大丈夫、取ったりしないから」


「はあ? 別にやきもちなんかやいてないから!」


 歌恋は冷やかすように言ってから橘さんの話を聞かないまま去っていった。


「加賀美さんってほんとに妹に似てる。めんどくささは流石にあいつほどじゃないど」


「まあまあ、そう怒んないでさ。帰ろ?」


「うん」





「朝はありがとね」


「別に何もしてないけど」


「照れなくてもいいのに」


「照れてないから!」


 恋人になっても素直じゃないのは変わらない。お祭りのときみたいにまた素直な橘さんも見たいけれどやっぱりこれが一番橘さんらしくて好き。


「やっぱり好きだなあ」


「いきなり何言ってんの」


「もう、真っ赤じゃん」


「ほんと委員長といると調子狂うし! ドキドキするの止まんないし最悪」


 今度は素直な橘さん。いや素直なのかな? 


「好きって言ってるのか嫌いって言ってるのかよくわからないよ」


「好きに決まってんでしょうが」


 橘さんの言葉に私もなんだかドキドキしてくる。あれ? なんかいい雰囲気。


 橘さんは私の頬に手を添えて言った。


「キスして」


「ええ!?」


「はあ。せっかくいい感じだったのにこういうときばっかノリ悪いんだから」


 いやいや。いきなり積極的すぎる橘さんもアレなんだけど。結局私たちは何もしないまま家に帰ってしまった。


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