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ツンデレな友達(?)ができました  作者: 黒輪サン
第三章:夏休み
16/22

episode4(16) 頑張れ私!

 待ち合わせの時間が迫る。場所はいつもの公園。橘さんは10分前きっかりに来た。


「へえ、珍しく早いんだね委員長」


「いや~間違えて2時間前に来ちゃって」


「いやなんで帰らなかったの」


 もちろん私といえど2時間も間違えたわけがない。家にいても緊張で落ち着かなかったから来ていただけだ。というかそんなことはどうでもいい。橘さんの浴衣姿最高にかわいい写真撮って額に入れて飾りたいぐらいかわいい。


「かわいいねえ……私のおうちに来ない?」


「変質者みたいなこと言うな!」


 ツッコミをかましたあと、橘さんは小声で「委員長もかわいいよ」て言ってくれた。今日死ぬかもしれない。




 今日の夏祭りは毎年恒例の町を挙げての一大イベントということもあり、お祭りに向かっていると思わしき人を多く見かけた。


「委員長。手つないで」


「え」


「人いっぱいるから」


 橘さんはそう言って私の手を取り指を絡める。ちょっとー! なんかいい雰囲気になってきちゃったよ。ここはお祭り前に告白作戦を発動すべきだろうか。いや、まだ早い。もっと橘さんと距離を縮めなくては。


「なんかこれって恋人同士みたいだね」


「はあ? 何浮かれてんの。ただはぐれたらいけないと思っただけだから。私も同じこと思ったりしてないし」


「はいはい。ごめんなさーい」


 橘さんの手、柔らかくて暖かい。握っているとなぜかとっても安心する。それに懐かしさも感じる。


「ねえ、委員長。もしも私と恋人になったらどうする?」


 橘さんのその問いは私の心臓の高鳴りをより強めた。こんな時にそんなこと聞かれたらまともにこたえらえれないって!


「え、ああ、その」


「……別にいいけど。聞いてみただけ」


 橘さんの横顔は不満そうに見えた。もしかして橘さんもなにかしようとしてるのかな?




 しばらく歩いてようやく会場に到着した。


「やっぱり人多いね~」


「手離しちゃダメだからね」


「子供じゃないんだし何回も言わなくて大丈夫だって」


 そう言いつつ私は橘さんの手をしっかりと握った。それに応えるように橘Sんもその柔らかい手で握り返す。このままずっと離れたくないな。


「ねえ、委員長なんか食べよっか」


「私焼きそばがいい!」


「じゃあそうしますか」




 私たちは焼きそばを買った後、橘さんがとっておいてくれた場所で花火を見る準備をしていた。


「よし、これでオッケー。じゃあ冷める前に食べちゃおう」


「それにしても橘さんこんないい場所取るなんてやるねえ」


「まあ、せっかくだしね」


 こうして橘さんと二人で花火を待ちながら焼きそばを食べるこの時間が妙に懐かしい。それは気のせいなんかじゃないかもしれない。なぜなら橘さんも同じように思っていたから。


「委員長。私たちって昔もこうして二人でいなかったっけ?」


「橘さんもそう思うんだ」


 お互いに目を合わせる。私たちはそのままじっと見つめあう。そう。昔もこうしていた。やっぱり私たちが巡り合ったのは偶然ではなくて必然の運命だったんだ。

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