第四十四話「氷姫との時間」
久しぶりにエミリアと二人だけで過ごせる事に緊張感を覚えた。明日の朝まではエミリアと二人で過ごすのだ。随分長い間彼女の事だけを想っていた。やっと待ち続けたエミリアとの生活を再開出来るのだ。
防具を脱いで武器と盾を壁に立てかける。エミリアのために用意したオリハルコン製の首飾りとサークレットを取り出し、ベッドに座りながら楽し気に俺を見つめるエミリアに差し出した。
「レオンさん、これは……?」
「エミリアのために用意したんだよ。気に入って貰えたかな」
「オリハルコンですか? こんなに高価な物を私のために……。頂いてもいいんですか?」
「勿論」
彼女は俺からサークレットを受け取ると、自分の頭に嵌めた。銀色の髪と良く似合うオリハルコン製のサークレットが彼女の美貌を更に引き立てている。それから中央にエメラルドが嵌った豪華な首飾りをエミリアの首につけると、エミリアは俺の手を握りながら涙を流した。
「私はレオンさんだけの精霊になりたいです……。レオンさん、私の恋人になってください。正直、目が覚めてシャルロッテさんやギレーヌさんを見た時、私は二人に嫉妬しました。私だけを見て欲しいんです。レオンさんは私の契約者なんですから……」
エミリアは静かに目を瞑ると、俺はエミリアを抱き寄せて彼女の唇に唇を重ねた。エミリアは涙を流しながら俺の体を強く抱きしめ、俺は遂にエミリアの恋人になれた事に喜びを感じた。
それから俺は部屋の天井付近に浮かぶ魔石に手を向け、照明を消すと、室内が一気に暗くなった。火の微精霊が部屋の隅に居るからか、完璧な暗闇ではない。エミリアは微笑みながら俺を見つめ、ゆっくりとローブを脱いだ。
ピンク色の下着姿のエミリアの体に俺は一気に興奮し、俺も恥ずかしさを堪えながら服を脱いだ。体には魔物に切り裂かれた痕がいくつも残っている。エミリアを取り戻すために奮闘してきた男の体だ。
村を出た時よりも随分痛々しい傷が増えたが、これは俺の努力の証でもある。エミリアはそんな傷を一つずつ確認する様に指でなぞり、時折涙を浮かべながら俺の傷に口づけをした。
俺はそんなエミリアがいとおしくなり、彼女を力強く抱き寄せた。俺の胸板に彼女の豊かな胸が当たり、女性経験のない俺の精神は一気に高ぶった。遂にこの腕でエミリアを抱けたのだ。ずっとこの日だけを考えて生きてきた。何度も死を意識しながら訓練に耐え続けた。俺の努力は正しかったのだ。
「レオンさん、大好きです。迷いの森の精霊はレオン・シュタイナーのエミリアになりました……」
「エミリア……」
俺は再び彼女と口づけをしながら、豊かな胸に触れた。手に余る程の彼女の胸の感覚に喜びを覚えながらも俺は彼女の下着を脱がせた。それから俺はエミリアの体中に接吻の雨を降らせ、遂に彼女と一つになった……。
体が疲れ果てるまで俺はエミリアを求め続けた。エミリアと再会出来た喜びと、少年から大人になれた事に嬉しさを感じた。彼女の豊かな体はいつまで触っていても飽きる事はなく、エミリアは恥じらいながら俺に体を任せ、俺は何度も彼女の中で果てた。
子供が出来ても責任をもって育てられるだけの力も財力もある。これからエミリアと共に王都ローゼンハインで愛を育む。いつの日か彼女が大精霊になったら、俺とエミリアは天界で創造神イリスと共に暮らす事になるだろう。
ただ、永遠の命を得る前に大陸中を旅し、この世の生活を心ゆくまで味わってから天界での生活を始めたい。勿論ギレーヌも共に天界に上がる事になるだろう。生まれてくる子供が寂しくない様に、子供は二人作ろう。子供達はハンナとティナ、それから火の薇精霊と共に暮らす事になるだろう。
俺とエミリアの子供なのだ、きっと逞しい魔術師になれるだろう。俺は魔法の才能はないが、エミリアは氷の精霊なのだ。幼い頃から魔法の教育をすれば最高の魔術師にもなれるだろう。
「レオンさん、私はレオンさんと出会うために生まれたんですね。精霊は人間に加護を授けるために生まれる。随分遠回りをしてしまいましたが、こうしてレオンさんと一つになれて、本当に嬉しいです」
「これからはずっと一緒だよ」
「はい、レオンさん……!」
薇精霊の加護すら授かる事が出来なかった俺がこうして精霊の加護を得られたのは、誰からも認められない状況で努力を怠らなかったからだ。
人生は前向きに努力を続ける限り、向上するための道は開かれている。これからも俺達は様々な困難に遭うだろうが、最高の仲間達と共に乗り越えてゆけば良い。
俺達は明日からの新たな冒険について語り合い、何度もお互いを求め会って愛を深めながら至福の時を過ごした……。