百戦錬磨
昼休憩に入った篠宮、先ほどのシーンがフラッシュバックする
漫画のような出来事がしかも絵に描いたようなイケメンに偶然だがされて平気なわけがない
好意があるとかそういう以前の問題である
「(別に私、逢坂さんのこと好きじゃないし…)」
「篠宮さん」
「ふわっふぁぁああい!?」
薄暗い廊下で一人考えながら歩いていたら後ろから声をかけてきたのは後輩の森高君1歳下の25歳なのだが見た目がかなり貫禄があり最初観た時は30代だと本当に勘違いしてしまったのだ…会社の皆が
「なんでそんなに驚かれなくちゃいけないんですか篠宮さん…」
「いや、てっきり振り向いてぱっと見が…ウチの会社のお偉いさんか「ちょっと1発ビンタしましょうか?」
「これから僕休憩なんですけど一緒にご飯どうですか?」
「お!いいじゃん、ご飯食べよう」
2人で向かったのは社内食堂安くてボリュームがあるのだが篠宮的にはその量が多すぎてたまにしかいかない
今日のように誘われたり無性に社食のカレーライスが食べたくなる時くらいだ
「いつも篠宮さんカレーライスですね」
「カレーは最高に美味しいからね、どこに行ってもカレー結局頼んじゃうんだよな」
そういい食券を買いトレーに食堂のおばちゃんが乗せてくれるのを待ち席を確保
話題は基本森高君とはくだらない話か愚痴か恋愛トーク
性格が似ているせいか結構恋愛観も似ており相談しだすと互いに止まらない…前はファミレスに5時間もいた
今日の話題は仕事終わりの飲み会について
「篠宮さん今日の歓迎会来ますよね」
「勿論だよ、歓迎会なんだから行かなくちゃ」
「今日篠宮さんと逢坂さん早番みたいですけど良ければ僕も一緒に会場までいっていいですか?」
「あ!そうか今日事務所勤務だから上がり時間同じだもんね!行こう!」
「すいません…僕会場の場所曖昧だったんで助かります」
「今日の席順決まってるのかな?」
「今日は分煙しなくバラバラらしいですよ」
「え!珍しいね…そんな事滅多になくない?
「恐らく分煙するとメンバー固定になったり逢坂さんの隣に行けない人がいるからじゃないですか?」
「あ…そっか」
先程山田は佐々野が逢坂の事早速狙っているという話を聞いていた篠宮はすぐにわかった
基本飲み会を取り仕切る本人なんだからそんなこと造作もなくできる
「私、一緒に行ってもいいけど逢坂さんと離れて座ったほうがいいねきっと」
「正直、よく思わない人が何人かいますから…」
「え、私の事なんか言ってたりしてた?」
「篠宮さん一緒の勤務が多かったりするんでそれを面白くないと思ってる人が何人かいて」
しかしそれを誰とは言えない森高
理由は簡単だ、言えば誰が言ったかばれるのと篠宮が傷ついてしまい逢坂との関係も悪くなってほしくないという気持ちがあるが故なのだ
「ありがとう森高君…私そんなに逢坂さんと仲良さそうに見えるかな」
「いや、僕は普通に話しているようにしか見えませんけど女の人というかこの職場男の人少ないから標的が少ないから集中化しやすくて今それが逢坂さんに集中しているから誰でもどんな行動でも妬ましい…みたいな」
「それはあると思う…新しく来たばかりの人だから他部署の人も興味津々で見に来てるし」
「逢坂さんタバコ吸わないから喫煙所来ませんし接点があまりないんですよ同じ職場の人しか」
「そうだよね…今日の飲み会もこれを機にと思っているだろうから私、端っこにいるよ」
「いいんですか?」
「うん、端っこでオーダー頼んだりしてるほうが性に合うし先輩にも怒られないし慣れてるから大丈夫」
「なら僕篠宮さんの向かいに座りますよ」
「ほんと!?嬉しいんだけど!!ちょ、今日は飲んで語ろうね、ついでに飲み会終わりラーメン行こうよ」
「いいですね…僕のおすすめのラーメン屋行っていいですか」
食べ物食べながら晩御飯を超えて飲み会の締めを語り合いあっという間に時間が過ぎ
返却口にトレーを持っていきそのまま話し込んで篠宮と森高はいなくなった
近くに逢坂と桜庭がいたのも気付かずに
「だってよ、逢坂」
「そんなに酷いのか此処は」
「問題は幾つかあるが恐らく佐々野って奴の存在が大きいと思うがな」
「すまん…佐々野ってどんな奴だ」
「おいおい、自分の部署なのに覚えてないのかよ」
「一番古株で自分のいう事に首を縦に振るやつしかこの職場で働いてはいけないと勝手に決めつけて自分打鍵の働きやすい職場を作り上げる独りよがりの女王様ってとこかな…見た目は目の周りが真っ黒でガタイガいい」
「成程な…でも何故そいつが俺と篠宮の事に関係してくるんだ」
「佐々野は大の男好きで最初俺が異動してきた時部署違うくせに言い寄ってきやがったから噂は事実だ」
「此処は上司のパワハラに先輩のいびりが顕著に見えるようだが…正直驚きだよ」
「それに俺は山田にも気を付けて欲しいがな」
「……すまん「わからないんだろ、経理の山田課長の娘さんだ」
「は?」
「だからこそ…この会社にいるって訳なんだが、篠宮ちゃんの後輩といえども気を付けるべきだ」
「コネで入っているからと言ってそんなに怯えるものか?」
「面倒な仕事は全て“後ろ盾”を利用してほかの奴に押し付ける1人じゃ何もできない箱入り娘だよ」
「“後ろ盾”…とは父親の名前をだして利用しているって事か」
「そうそう、本来自分が悪くても後ろ盾を使えば悪も全になるっていう手品を使える…それに表面じゃ大人しくしているが非常にしたたかでずる賢いなと俺は思わされたよ、本性を見ればわかると思うがな」
「蓮がそこまで言うってことはあながち間違いではないと思うが、今日の飲み会では避けさせてもらいたいな」
「その2人共イケメン大好きだから必ずお前のところくるぜ、でも佐々野タバコ吸うからな…俺も遼もタバコ吸う女とがめつい女は嫌いだからもし間違って席近くなったら終わりだな」
「笑うなよ…こっちはシャレにならないんだぞ」
「ま、遼なら上手くやれるだろうけど篠宮ちゃん守ってやれよ」
「当たり前だ」
立ち上がり笑みを浮かべながら桜庭を見る逢坂
2人とも立ち上がり自分の部署へ戻る
だがその時逢坂は自分の中で気付いたことがあった
他の奴の名前は出てこなかったのに篠宮だけははっきりと思い出せる
それは偶然勤務があったり他にも共通点があったから…でも、果たしてそれだけだろうか
しかし逢坂の中でははっきりと答えが出ることはなかった