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君子豹変

昨日の飲み会が夢のようで朝を迎えた篠宮

でも連絡先にはちゃんと逢坂さんと桜庭さんの名前が入っている

今日もそういえば逢坂さんの歓迎会だから飲むんだよなと思いつつ起き上がり準備をして家を出た


「(でも…昨日の桜庭さん酔っぱらってたからあんな事いっただけだよね)」


内心そう思いながら昨日の2人きりの時に桜庭が言ったことを思い出す

逢坂ンがライバルって私にまず惚れる訳がないでしょうと思いつつ歩いていたが

昨日の真剣なまなざしを思い出すと冗談だったとしてもドキッとしてしまった


「(そ、そりゃあ…人生であんなイケメンに言われたことないし!誰でもドキッとするわ!!)」


心の中で叫びつつ勢いで走りながら会社に向かった

…おかげで5分は早く会社に到着してしまった篠宮


「コンビニで飲み物でも買いに行こうかな…」



-----------------------


篠宮がコンビニで買い物をしている中先に会社では逢坂が出社していた

今日使う資料をまとめてエレベーターに乗り込もうとしたとき後ろから声が聞こえて立ち止まる


「遼!お疲れ様、昨日はありがとうな」

「いや、こっちこそ誘ってくれてありがとう」

「昨日篠宮さんとも仲良くなれたし俺的には上々です」

「お前…篠宮の事本気なのか?」

「もち!俺久々にキュンとしちゃってさ」

「惚れるのはいいが篠宮を困らせるなよ…あいつ今でも大変そうなんだからな」

「そういう遼も…わからないと思うぜ」

「俺がか?まさか」

「昨日解散前に話した時口元かくして下に少し俯く癖…好きな奴の前とか好意のある女の子の前でしかしない癖だって俺は知ってるんだけどな」

「!…まさか、思い違いだろ」

「気付かずにやってるだけで俺は見てきてるんだからそうなんだよ、遼…無自覚なんだろうけど」

「だが、俺は篠宮の事なんとも…」


そんな時、ちょうどエレベーターが到着してしまった

すると桜庭は逢坂の肩をポンと叩き


「お前とはライバルになりたくないからな」


と一言いい去って行ってしまい逢坂はそのまま扉の開いたエレベーターに乗り込んだ

「(俺が、まさか…篠宮の事を好きなはずなんてないだろ)」


内心あり得ないと思いながら桜庭のせいで朝からモヤモヤさせられて

篠宮はただ、可愛い後輩…と思いひたすら唱えながら勤務を始めた逢坂だった


その頃話題の中心となっていた篠宮も同じく勤務を始めていたのだが

此方も昨日桜庭さんに言われたことが気になっている

冗談?本気?酔った勢いで女の子ひっかけているんじゃないか…

そんな疑いを持ちながら歩いていると後ろから声が聞こえ振り返ると逢坂さんだった


「逢坂さん、おはようございます」

「おはよう、昨日は付き合わせてしまってすまなかったな篠宮」

「いえいえ!楽しかったですし気にしないでください!」

「…なあ、篠宮って煙草は吸うんだったか?」

「吸わないですよ、あ!もしかして煙草の匂いでもしますか?」

「そう思って聞いてみた」

「さっきあのすぐそこにある喫煙室に入ってきて先輩に少し確認をしてまして…すぐ出たんですけど狭いですから匂いがこもりますからね」

「桜庭はああいう奴だから…ほかになんか変なこと言われなかったか?」


ふと、逢坂さんがいなかった時の出来事を思い出していたが

まあ…いっかと思い特に何もなかったと返しそのままドアを開けて2人で入っていった


そして…2人がちょうど通り過ぎた後に

喫煙室から佐々野が出てきて明らかに面白くない顔をしていた


「案が喫煙室の中にいても声って聞こえるもんなのよ…」


そういいぶすっとした顔をしながらも自分の制服の匂いを気にしながら

この後更衣室に戻り香水やら消臭剤をかけた佐々野だった


自分の持ち場についた篠宮は資料を整理したり締切がないかを確認しデスクを整理していると後輩の山田に声をかけられた


「篠宮さん、おはようございます」

「おはよう、今日早いんだね遅番なのに」

「仕事が残ってて少し早く来てたんです」

「そうだったんだ」

「そうそう、篠宮さん今日飲み会ですよ?忘れてないですよね」

「大丈夫大丈夫、たまに忘れてるけど今日は覚えてたよ」

「逢坂さんの歓迎会なんですから忘れちゃだめですからねー!」

「ははは、わかったよ」

「今日逢坂さんと篠宮さんが…早番ですよね確か」

「うん、逢坂さんに用があるならもう来てるよ」

「あ、そうじゃないんですけど…飲み会の場所知ってます?」

「昨日逢坂さんに聞かれたから教えておいたし大丈夫じゃないかな、私は元々知ってるから問題ないし」

「実は昨日…佐々野先輩が逢坂さんの隣をキープしたいみたいで、逢坂さんと篠宮さんが早番だから2人で先に向かって近くの席に座るんじゃないかって昨日言われてたんですよ」

「え、そうなの?佐々野さん…逢坂さんもう狙ってるんだ、流石だね」

「でも気にしなくてもいいと思いますよどうせいつもの様に禁煙喫煙メンバーで分かれますし」

「逢坂さんタバコ吸わないし匂い嫌いみたいだから絶対分かれると思う」

「わかりました、取り敢えず佐々野さんに目つけられてるんで気を付けてくださいね」

「ありがとう」


山田が去って行った後に篠宮はそうだったのかと思いながら

少し話したり勤務が偶然一緒なだけでこんなに言われるものかと思った


その頃山田は給湯室に向かい佐々野を見つけ話しかけていた

「佐々野先輩おはようございます」

「おはよう山田」

「今日の飲み会なんですけど…禁煙喫煙分けるのやめませんか?」

「え?なんで」

「逢坂さんタバコ吸わないみたいですし…分けちゃうといつものメンバーで固まってしまいますし佐々野先輩と逢坂さん一緒に座れる可能性すら無くなっちゃうじゃないですか、いつも席分けるの仕切ってるの佐々野先輩ですしたまにはどうですか?」

「逢坂さん吸わないんだ…確かにそれで分けたら篠宮と逢坂さん隣になりそうだし」

「逢坂さんと篠宮さん…皆に言ってないだけで結構仲いいみたいですし」

「わかった、ありがとね」

「いえいえ」



給湯室から出て歩いていく山田の表情は微かに笑みを浮かべていた

他人を掌で転がしている”つもり”になっている哀れなピエロのような不気味な笑みを浮かべて



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