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禹行舜趨


休憩から上がり今日はお客さんが少ない日なので雑務をそのうちにやっておく

パンフレット整理や宣伝ポスターの処分

そして最近企画・販売計画会議でいびられながらも桜庭さんに助けられてプレゼンをした企画を詳細を作って内容が良ければ個人旅行型の商品で販売する事になったので行程内容を考える


「篠宮」


声をかけてきたのは逢坂さん

同じ勤務なの時間も勿論同じ、隣の席に座り作業を手伝ってくれた


「逢坂さん、こんな雑務なら私やりますよ」

「俺はお偉いさんじゃないぞ篠宮、手伝えることはやるのが当たり前じゃないか」


なんでこんなに素晴らしいのか…普通顔がよかったら性格が凄く悪かったりとかするのが現実なのにこの人はとことん二次元の産物のように神がかって全てが完璧だ


才色兼備、眉目秀麗はまさにこの人の事言うのだろうけど…

1人の人物を例えるのに1つの四字熟語じゃ足りなく思わず2つ挙げてしまう程だ


「それと、篠宮…今日の飲み会の場所分からないから頼むな」

「あ!はい、森高君も上がり時間同じなので3人で行きましょ「篠宮さん」


呼ばれて振り返ると山田がいた

すると最近溜まっていた資料整理を上司の松坂が篠宮にやらせろと言ったらしい


「資料って…どれ?」

「これですね」

「うわ…相変わらず結構あるねこれ」

「俺も手伝えば余裕で終わるだろう」

「逢坂さんは事務の方で経理関係で聞きたいことがあるから事務室に来てほしいとの事でしたよ」

「そうか、わかった…篠宮終わり次第手伝うからやっててくれ」

「大丈夫ですよ気にしないで事務のヘルプに向かってください」

「すまない」

「私、今ちょうど事務室に行くので一緒に行きましょう」


山田なりのとびきりの笑顔で逢坂に話しかけているのが正直そんなの気付いていない

というか人間興味のないものに注目しろといっても難しい物なのでしょうがないのだが


篠宮は黙々と作業をしたい…のだが業務は他にもある訳で

資料整理に企画調整に窓口でのお客様対応に追われ…その後あまり進まなかった

それぞれに仕事があるので手伝ってもらうという事はない職場なので1人でやるしかない


「(今日…定時に上がれるかな)」


そもそも資料の整理なんて誰でも出来るのだが

事務室で溜まった資料を発見した山田が松坂に話しかけ上手いように篠宮にさせる様に誘導したのは誰も知る由もないので篠宮自身は何となく松坂が私にやれと言ったのだろうと思っている


山田は結局どうしようと逢坂が篠宮の肩を持つのも、同じ上がり時間の森高は篠宮寄りなので3人で行ってしまえば近くの席になるだろうという可能性を考えて行動だったのだ

篠宮が一生懸命仕事を終わらせようとしている中逢坂は何故か山田と一緒にいた


「逢坂さん、直りそおですか?」

「ああ…(直りそおじゃなくて直りそうとはっきり言ってほしいがな)」


先程からそうなのだが舌足らずな喋りがどうも気に障るのだが…

万が一それが癖で自然と悪意なくやっていたとしたら傷つけるだろうしと思いながらも作業に集中しなければと思いパソコンに目を向ける逢坂


そして向かい合い形で森高が座って伝票整理とチケット関係の手配確認をしている

勿論、森高は山田が故意的に可愛い子ぶっているつもりでそういう喋りをしているのを知っているのだが

此処で何と言おうがその場の空気を悪くする上に後で山田に文句言われるのも正直、面倒くさい


「僕、取り敢えず仕事片付いたので窓口ヘルプ行きますから何かあったら内線ください」

「ああ、わかった…そうだ森高」

「何ですか?逢坂さん」

「下で篠宮が溜まった膨大な資料を整理しているんだが手伝ってやってくれないか?」

「わかりました、手伝ってきますね」

「ああ、窓口に客は今日そんなに来てないから出来ればそっち優先で頼む」


森高は逢坂に言われた通り窓口に向かうと篠宮が溜まった資料やら自分の通った企画案だったり少し困り果てている篠宮を見つけた


「篠宮さーん」

「あ!森高君どうしたの」

「僕仕事片付いたんで手伝いに来ました」

「本当!?ありがとう!!」

「いいえ、困ってるのを放っておけませんし逢坂さんに頼まれましたから」

「逢坂さんに?」

「今逢坂さん他の仕事で来れないから僕に手伝うようにって言ってました」

「そうなんだ…なんか嬉しいな気を遣ってくれるなんて」

「ほんとどこぞの不愛想な挨拶もろくにできない上司よりも手本になるし尊敬できますから」

「……それって」

「ニヤニヤしながら僕に聞いてくるってことは誰の事かわかってるんでしょう」


※松阪は基本会社の人にも挨拶はあまりしないので有名です

第6話:温和怜悧にて桜庭が「あの人挨拶返してくれないし声小さいし自分のメンツばかり守る感じが嫌いなんだよ」と発言していたのがまさにその通り


森高が手伝ってくれたお陰でかなり作業が進み資料があっという間に片付いた

そして気付けば時間もあっという間に過ぎて上がり時間までもう少し


「終わるかな…ま、終わらなくても飲み会の時間にまで間に合えばいいか」

「篠宮さんしか道案内できる人いないんですから頼みますよ」

「まあね、逢坂さんにも迷惑かけちゃうし」


「大丈夫、逢坂さんも作業もう少しかかりそうだから」


山田が後ろで笑顔でそう言った


「篠宮さんももし早く終わったら森高さんと先に向かっててください、私が逢坂さんと一緒に行きますから心配しないでください」

「あ、そうなんだ!わかったよ」


話を聞いたところどうやら逢坂は頼まれた仕事をやっていたらまた違う仕事が重なり今までずっと事務室で作業をしていたらしくまだ終わっていないそうだ


「じゃあ私事務室に戻るので篠宮さんと森高さんは早めに向かって予約の確認お願いしますね」

「わかったよー、誰の名前で入ってるのかな?」

「私の名前です」

「了解、ありがとう!」


全ては山田の思い通りに進んでいるとは思いもしない篠宮

そもそもそんな子だと微塵も思わず寧ろ年下の控えめな大人しい真面目ないい後輩と思っている

でもそれは本性を知らないからこそであって…それを理解した上で山田は利用しているのだ


「さ、私は…逢坂さんの所に戻りますね」


そういい走りながら事務室に戻っていった


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