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鉄の竜騎士 -元AI少女の冒険譚-  作者: 御堂廉
第四章 カウース大陸編
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第八十八話 リヴァイアサン

「おお……中も広いな」

「広い部屋は殆ど国の外交官達の為にありますが、私達が泊まる部屋もいい感じですよ」


コリー達は一旦倉庫内に魔導車を置き、船の内部へと入っていった。

扉を開けると広いエントランスがあり、手続きを終えると鍵を渡されて案内されていく。

コリーとサイラス、テンペストとニールが同室だ。

ギアズとサイモンは1人部屋で、サイモンに関しては侯爵ということでかなりグレードが高い部屋になっている。

コリーもテンペストも爵位持ちのため、ある程度広い部屋が割り当てられており、ギアズに関しては完全に特別枠だ。

本人は倉庫でも良いぞ!と笑っていたが、元々地位のある人に対してそれは不味いだろうと、貴族用の個室を割り当てた。


「使用人用の部屋は隣にあるんだね。確かにこれならすぐに駆けつけられるし、給仕も楽だ」

「兵士達はちょっと狭いかもしれないけど、大部屋に入ってもらう感じになってしまいますね。元からそういう生活しているからあまり感じないかもしれないですが」

「ハーヴィン候はテンペストよりもちょっと奥か。でも大分皆固まってるから楽だな」


サイモンの部屋は大分広い。

6人が入っても余裕がある程度なので、色々と話し合ったり暇な時には自分の部屋を使えばいいとサイモンから提案があった。

あまり会うことが無かったので手紙などでの報告以外に、きちんと口で聞きたいのだろう。


荷物などを整理し、服装も少し楽にした後サイモンの部屋へと向かった。


「おぉ、来たか。適当に座ってくれ、茶を用意させる」


既に茶菓子などを用意していたようで、部屋の中は香ばしいクッキーの匂いと紅茶の匂いが漂っていた。

席に座ってサイモンが先に手を付ける。


「よく使っている店の新作だ。甘いだけのとは違って上品な味わいだぞ」

「ん、本当だ!ボクこれ凄く好きです」

「卵の味が出ていますね、これは美味しい……」

「美味い。これは紅茶によく合うな……」


暫くゆっくりと休みながら談笑していた。

休みながらとはいえ、やはり長距離の移動は疲れる。この部屋には柔らかいソファがあるため、同じ座るにしてもとても楽だ。


「ふう、流石に腰が痛くなったな。そういえばテンペストはどうだ?領主としてよくやれているかな?」

「ああ、俺なんかよりもよっぽど経営が上手い。既に使える土地はほとんど無くなってしまったくらいだ。それ以外にも色々と研究もやっているし……俺はあそこまで優秀というか、荒稼ぎできる領主は見たこと無い」

「いい人材が揃っているからなぁ君らの所は。私の領地も近ければいいんだが微妙に遠いからね」


今では王都まで魔導車を使えばそこまで時間はかからない。

しかし今開発中の新しい乗り物が完成さえすれば、比較的楽に操作が可能で空を飛ぶことで地形を無視して進める理想の移動手段が出来上がる。

武装も取り付けておけば大抵の事には邪魔されることはないだろう。


「浮遊島のことは知っていたが、もうそこまで進んでいるのか」

「ギアズが居たお陰で解析が楽に済んだんですよ。なにせ技術者どころかあれの開発者でしたからね」

「アンデッドだったか……話には聞いていたが、話してみても普通の人間と何ら変わらない。普通アンデッド化した者はやがて記憶を失い、人格も変わっていくと聞いていたのだが」

「あのおっさんは何も変わってねぇよな絶対。本当に何年生きてるんだよ」

「死んでるけどね」


どう表現したものかかなり苦しむ。

アンデッドだから死んでることは死んでいるが、本人的には生きている。

通常の生命活動ではないから生きているという表現が当てはまらないわけだが……。

まあ、本人も分からなくてたまに一人ツッコミしているくらいなのであまり考えないことにした。


その後は暫く新しい技術やら交通網、どういう流れて出していけばいいかなどを色々と聞いたりした。

流石に男爵領どころではない広大な土地を治めてるだけあって色々と知っている。

農地はあまり近くに道路を作らず、私道を作らせたほうが喜ばれるとか聞いたことが無い。

が、理由を聞いてみれば納得できた。

単純に農地が減るからだった。


「まあ、今のところ農民も工場で働いていますけどね。博士に教えてもらった野菜などの工場生産も上手くいってるし。やっぱり農作物は農民たちのほうが色々知ってるんだよなぁ」

「でも、生産量を上げたのはやっぱり博士のやり方ではあるよな。土があれだけしか要らないなんて思わなかったぞ」

「水耕栽培は設備が必要ですが、タイミングをずらして植えていくことで一年中どんな作物でも基本的に採れますからね。どうしても無理そうなのは工場地下で擬似太陽光を使って栽培してますよ」

「とんでもないな……」


今だと夏の生産物が安定供給出来ているのでものすごく儲けられるが、基本的に領地内での消費で消える程度しか作れていない。

果樹に関してはやはり外のほうが上手く育つ。

受粉のために必要な虫をわざと放つなど色々と手間がかかる為、まだ様子見といった所だ。


消費者からすればいつでも新鮮なものが供給されているので、かなりありがたがられていると言うのは主婦などから上がってくる感謝の言葉に現れていた。


「テンペストの街の農民とか、見た目で絶対わからないからね……」

「白衣だからなぁ」

「動物なんかはどうしているんだ?酪農関連と言うか……」

「それも室内管理。土地が無さすぎてもうね?」

「一応、運動させられるように外には繋がっているがな」


小さい街だから出来ることであって、他の大領地なんかでやったら難しいだろう。

ただ、面積が少ないから量を出せないというのもあるので、最終的にきちんとした土地を切り開きたい所だ。

領地の面積だけなら大領地だが、使えるところが極端に少ないというのはちょっとキツい。


「本当に君たちは予想の遥か上をいくな。その調子でやらかしまくってくれ」

「ハーヴィン候……なんか投げやりになってませんか?」

「いやいやそうでもないぞ?君らがやらかしまくればその分色々な技術が発展するからね。こっちとしても助かるんだよ。それよりもニール、テンペストとはどうなんだ?最近は随分と距離が近づいたらしいじゃないか」

「ふぇっ!?」


突然自分にふられた話題に変な声が出た。

既にサイモンは認めているわけだが、養父となっているサイモンの前でテンペストとの関係などを聞かれるというのはやはりそれとこれとは別なのだ。


「今日も同室だったか?」

「は、はい……」

「別に怒ってるわけじゃないんだ、ただ……テンペストは少々変わっているからな。色々苦労してるんじゃないかと思っただけだ」

「苦労……はないですけど。むしろボクのほうが心配されてる感じで……。テンペストの前だと緊張しちゃうんです……」

「へぇ……。いいねぇ青春してるねぇ」


ニヤニヤと笑いながらニールをいじっていくサイモン。

コリーとサイラスもサイモン側だ。味方は居ない。


「でも、ボクはあまり女の子の成長に関して詳しいわけじゃないから、メイ達の存在はありがたいですよ」

「あれだけ娼館通って、お気に入りの子としまくった癖にこれだ。最近俺が管理してる地区の店にも来てないだろ?」

「なんか悪い気がするんだよ!そりゃあそういう気分にもなるんだけどさ……というか、テンペストってば無防備すぎてさ……。でも本人が居るのに娼館行くってのもなんか違うなって」

「愛されてますねぇお互い。いやぁいい恋愛だ」

「博士まで……もー……茶化さないでくださいよ……」


結構真剣な悩みなのだ。

確かにニールも娼館で発散して経験人数なら当然あるわけだが……本当に好きになった人というのが居なかったため、こういったことには疎い。

しかもテンペストが意外と無防備で無自覚な為、夜に寝る時などシュミーズで眠るし、微妙に薄い生地だから透けてるしで目のやり場に困る。


一度寝ぼけてニールのベッドの中に入ってきたときには眠れなかったくらいだ。

なにせ腕にテンペストの腕と足が絡まり、感触が直接伝わってきているのだからもう目が冴えてしまうのも無理はなかった。


当然そのまま抱きしめたかったし、撫で回したかったけど流石にそれをやる勇気はない。

今は抱きしめる事に関してはテンペストが求めているというのがわかったため、二人きりの時にはできるだけそばに居てやろうと思っている。


「へぇ、抱き合ったりねぇ。ちょっと心配していたけどテンペストも女の子してるな」

「大分、恋愛感情と言うものが分かってきたのではないでしょうか」

「ニールも好きな子に対してはここまで奥手になるのかと驚いてるところだぜ」


まだまだニールいじりは終わらないらしい。


□□□□□□


自動航行装置を取り付けたあと、それを操舵システムに繋げる段階になった。

ここでテンペストが繋げていく様子を観察させて、ギアズに渡す。


「どうでしょうか。精霊術と死霊術と言うものは似ていると言われたのですが。恐らくギアズも同じことが出来るはずです」

『ふむ……魔力の流れから察するに、これは誘導しているのか?』

「そうです。人の体と同じように、神経のような働きをする物が伸びていきます。正しい位置に導くことで動くようになるわけです」

『そのような方法があったのか……。あの小さくまとまった魔法陣といい、お主らのやることは進んでおるな』


これが出来ればテンペストしか出来ない事がギアズにも出来ることになり、技術者であるギアズが魔道具化することが出来れば皆が使えるようになる。

つまり人型以外の物に意識を移すという方法だ。


マギア・ワイバーンの様な高性能なものも量産できるかもしれないのだ。

完全に意識を移さなくとも、その機械と繋がることでリアルタイムで状況を知ることが出来るだけでも随分と違うだろう。


『使えることは使えるが、こういう使い方はしたことがないからな……。物に対して直接意識を移して操作する……むう……難しい』

「自分の手足だと思って、その先端まで全て同調させるのです。集中して居ないと失敗するので難しいことは難しいですが……これが出来ると色々とやれることが増えます」

『なるほどな。やり方は大体わかった。後は練習しておこう。これで大体設置は終わったか』


後は指定した座標に向かって船を進めるだけだ。

自動航行はいつでも切れるので、緊急で操作する場合には切れば手動での操作に切り替わる。

魔物が出たときなどに使うことになるだろう。


「もう終わったのかね?」

「はい。目的地の座標は既に入力してあります。現地に行ったらもっと詳しい座標を入力できますので、一緒に渡した説明書を読んでおいて下さい。さほど難しいものではありません」

「竜騎士殿は色々なことが出来るのですな……。まさか海のない場所に居るものがこの様な技術を持っているとは思わなかった……。しかしこの艦……リヴァイアサンは素晴らしい。少ない人数でも運用出来て武装も試し撃ちさせてもらったが最初は誰もが予想していなかった結果に驚いたものだ」


そういう壮年の大男はジークフリート・ベック。ベック船長と呼ばれている。

ルーベル王国海軍の制服に身を包んだ、その堂々とした佇まいは歴戦の猛者とも呼べる雰囲気が出ている。


そんな彼も、この艦が出来て船長をしろと命じられた時には冗談じゃないと思ったのだった。

なにせ見たことがないくらいの大きさ、そして何よりもマストがなく、櫂を出す穴もないこの船をどうやって動かせば良いのかわからなかったのだ。


動かせるようになってからはトップスピードに乗るまでの早さと、その圧倒的な速度にまた驚かされ、それでいて小回りがきき、揺れが少ないという今までの船は何だったのかと頭を抱えたくなった位だ。

更に武装を使ってみれば、標的代わりの引退済みの船に向かって主砲を打ち込めばあらぬ方向へと飛んでいき、また頭を抱えた。


しかし使い方が悪かったことに気がついてみれば、撃った瞬間に直撃し、大穴を開けるどころか完全に貫通したのだ。

ガトリング砲とやらを動かせば、あっという間に船体が蜂の巣になっていき、マストは折れて船の足を止めるものとしては最適なものだとわかった。

もちろん直接船上の敵も狙える。


「最初はレールカノンは欠陥品だ!と砲手は言っていたが、原因はその砲手だったわけだ。普通の大砲を撃つ時のように弾道を計算したのさ」

「あぁ、ほぼ直線で飛ぶものに慣れていなかったのですね、放物線での計算だとかなりの距離まで飛びますから」

『博士の作るものは素晴らしかろう。いい旅を期待しているぞ船長』

「おまかせを。どんな海の魔物が出ようとも負ける気がしません。皆さんの安全は我々が保証します」

「最悪の場合私達も協力しますので」


船長はルーベルの軍人だが、日和見と言う感じは受けない。

……と思ったらやはりあのときのことはかなり恥だと思っているらしい。


「ミレス攻略の時には、我々海軍は全く動けず歯痒い思いをしたものです。陸軍の不甲斐なさでコーブルクやハイランドの皆に迷惑をかけたことは、本当に申し訳なく思っている」


あれはどうやら軍司令部と陸軍が、あまりの戦力差に逃げ帰って引きこもったのが原因らしい。

最初は調子よくやっていたら思いっきりぶっ叩かれて逃げたとなると、コーブルクに対して申し訳ないと思わないのかとかなり揉めたらしいが。

あれ程の戦力差ではコーブルクももう無理だと、自国の守りを固める方針に決めたそうだ。


が、蓋を開けてみればハイランドがそれを上回る戦力をもって撃破。

コーブルクを占領したミレス軍も殲滅し、ミレスという国が一つまるまる消えた。

その報告が入った時、流石にそれは嘘だろうと疑ったようだが、事実と分かった時に司令部は言い訳のために奔走した。


それを海軍はなんとも言えない気持ちで見ていたそうだ。

せめて戦場が海の上であったのなら、どんなに強大な敵であっても最後まで戦い抜いたものをと。


「しかし、この艦を見る限りでは……ハイランドとは戦争しないほうが身のためですな。我々がこの艦を使って戦った所で、恐らくもっと高性能なものを造って持ってきそうですからな」


これは事実だ。

自分たち用に設計をしているものはもっと高性能なもので、この世界だからこそ出来る特別製……とサイラスは言っていた。

テンペストは完全に専門外なので聞いているだけではあるが、飛空艇としての機能をもたせようとしていると言うのは知っている。

サイラス曰く「ロマン」だそうだ。

特化型のほうが良いだろうと言ってはみたが、基本任せることにしたので口は出さない。


暫しの間話をして艦橋を後にする。

そろそろ、全員が集まることだろう。


□□□□□□


テンペスト達が部屋に戻ってからしばらくして、ワイバーンの発着場所を兼ねた広い甲板へと集められた。


ハイランド、コーブルク、ルーベルの3つの国の使者たちが一同に集まり、それぞれがそれぞれの制服に身を包んでいる。

岸の方にもいつの間にか物凄い人だかりができており、いつの間に来たのか国王達もそこに大量の警備を伴って来ていた。

恐らく転移によって飛んできたのだろう。


一時的に来てすぐ帰るくらいであれば、そうして転移で来たほうが良いこともあるということか。

やがて音楽が鳴り響き、ゆっくりと岸を離れていく。


甲板上でも全員が敬礼の姿勢を取り、それは人がほとんど見えなくなるまで続いた。


□□□□□□


岸が見えなくなっても、まだ皆甲板上に居た。

海は凪いでおり、ポツポツと見える小さな島が見えている。

ハイランドは厳しい寒さにさらされていたが、平地に降りるとその暖かさに驚いたものだが、洋上はやはり少し寒い。

それでもハイランドよりはずっと温かいため、ハイランドの人達は他のところよりも薄着だ。


そこかしこからこの船の奇抜さや速さに驚きの声が聞こえてくる。

まともに船を出せる海がないハイランドで、何故このようなものを設計できるのか、あの角の部分に取り付けられている変な形のものは何なのか……などなどここに居ると捕まって根掘り葉掘り聞かれそうな気がしたのでテンペスト達はこっそりと船内へと避難していった。


その際、広い格納庫内を通っていくが……。


「各国の魔導車技術には、やはりばらつきが見られますね」

「ハイランドが抜きん出ているのは当たり前としても、ルーベルのものは……ミレスのものをほぼそのまま使っているのか、これは」


サイモンが呆れた風に見ているのは、ルーベルの魔導車だ。

流石に中身は入れ替えているのかもしれないが、ルーベルの陸軍が壊滅状態になっていたとしてもこれは酷い。

決して技術力は低くないはずなのだが……予算が削られたのだろうか。


戦闘車両として使われているであろう物も、大砲をそのままくっつけただけのように見える。まともに機能するかが怪しい。


「まあ、海軍と陸軍では全く気質も違うらしいからな。ルーベル陸軍は金を食うだけ食って働かないと言う事で評判らしい。海軍は逆で優れた能力を持っているが、予算を回してもらえないんだとさ。今回この船を操船する事になってかなり喜んでいたぞ」


コリーはコリーで船員と話をしていたようだ。

要するに陸軍……というか司令部の方は陸軍ばかりを大事にして、海軍はあまり敵が居ないこともあってほったらかしのような状態だったらしい。

とは言え、たまに私掠船は出るし魔物も出るので海軍は常に戦闘を経験している。

むしろ今まで戦闘がなかったのは陸軍の方なのだが……。今回コーブルクとハイランドとの装備品の差を見てどう思うのだろうか。


ちなみにルーベルの鎧は見た目は立派だ。

綺麗に手入れされていて光り輝いている。

逆にコーブルクとハイランドはつや消しの装備になり、あまり目立たないような工夫がされていた。


これは遠距離戦を考えた結果、両国はそのような結論に達したのだが……ルーベルは未だに目立ちたいようだ。

これではライフルの前ではただの的だ。隠れていても自分が何処にいるかを光で教えてくれるのだから苦労しない。

こういった意識の違いというものは、戦場においては生死を分ける大事なところなのだが。


もちろんコーブルクもハイランドも儀礼用の装備は別に持ってきている。

降りて挨拶に向かうときなどはそれに着替えるだろうが、普段は着込むことはない。


「取り残されてるね。ボクの目から見ても微妙だよこれ。あ、そうだ。テンペスト、今のうちにボク達の乗ってきたやつ、回収しておこう」

「そうですね。その為に中央に配置してもらいましたし」


重量配分の関係上、片方に重量が偏ると船が傾く原因になるため、後で回収するということで無理を言って影響が少ない中央部分に置いてもらったのだ。

サイモンのところのは回収せずに残しておく。

いざとなれば同乗して来ればいいし、ハンガー内にはまだ重武装のオルトロスが残っている。

試験的にレーザーとレールガンを積んだ物だ。

こちらはテンペストが砲手として操作する。


オルトロスを回収して、自分のハンガー内を確認していたところ、手紙や信書などをやり取りするための小さなスペースの中に荷物が入っているのを発見した。

それを取り出して見てみる。


「手紙が届いていました。私の決定が必要なものや、進捗状況などを知らせるためにとお願いしていたのですが……早速私達が居ないことをいいことに侵入を試みようとした者が居たようです。すぐに捕まって地下牢に入れられているようですが」

「何やってんだか。死ななかっただけ良かったと思ったほうがいいだろうがな」

「それと、これは博士宛てです」


博士の方に手紙を渡す。

その内容を見ていくとにやりと笑った。


「テンペスト、君専用の魔導騎兵が完成した。注文通りに遠距離戦専用、前面装甲を厚くして各関節を完全に固定できる。視覚センサーも超望遠が可能にしてあるし、ドップラーレーダーも魔法式のものが搭載されている。幅を取りすぎるから多脚を取りやめて通常の二足にした代わりに、アンカーを使って機体を固定できるよ」

「武装は?」

「新型レールカノンは手持ちに。フェイズドアレイレーザーは頭部に取り付けられてる。あと専用に開発した50mm機関砲、面制圧用にグレネードランチャーも。弾と装備品は全てハンガーの中にいれておくそうだ」


ただし、レールカノン用の弾は大分造ってあるが、機関砲とグレネードランチャーは専用品なので弾数が100程度しかない。

これから量産していけるようにするということだったので、それが出来るようになれば撃ちまくれるだろう。


「……後半は飛空艇に搭載するつもりで作りましたね?」

「バレましたか。ガンシップ作ろうと思ってたので」

「まあ、強力な火器があるに越したことはありません。飛竜よりも強い魔物が居ないとも限りませんし」

「なんかいますげぇ物騒なやり取りがあったんだが?」

「気のせいではないね、私も聞いたぞ」

「ボクにも聞こえたよ。どれだけ強い兵器作れば気が済むの!?」


どうでしょうかねぇとすっとぼけては居るが、自重はしないつもりのようだ。


リヴァイアサン出港です。

ちなみに弱点は宿泊施設をいれてる側面中央付近。

……射程内に近づければ。

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