第八十三話 第二回浮遊島探査2
ネブラワイバーン達は見たことのない獲物を狩ろうと躍起になっていた。
大きく、そして変な形の同類らしき物。
ワイバーン種の中でも獰猛な種類に入るネブラワイバーンは、その名前の通り霧を発生させて相手の視界を塞いで安全に狩りを行う種だ。
こういう暴風雪であっても狩りをすることが出来る。体表には白と灰色の毛がびっちりと生えていてこの凍えるような寒さを防いでいる。
この戦法を取ることによって、時には飛竜をも倒すことがあると言う。
と言っても、飛竜相手であれば10体程度で数の暴力に任せなければ辛いが。
同じように自分たちの縄張りに侵入してきた敵を仕留める為、鋭い爪を使ってその皮膚を裂こうと加速したのだが、あっさりとそれを躱された。
その上仲間の1体がいつの間にか傷を負っているのだ。これによって彼らの中であの相手は獲物ではなく倒さなければならない敵として見做される事になった。
濃霧を生み出して纏わりつかせ、その死角から攻撃する。
1体は正面からの囮で本命は2体の背後からの攻撃だ。視界が悪くなったことで停止している相手を見て成功を確信する。
が、囮である1体が突然はじけ飛び、その瞬間敵は突然彼らの前から姿を消した。
慌てて周囲を探すが見当たらず……次の瞬間には隣にいたネブラワイバーンの身体が突然破裂したように四散し、眼下に黒い影を見た次の瞬間には自分の意識も暗転するのだった。
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『目標撃破。霧も晴れました』
「成功だな、やっぱりこのレールガン反則的な強さだわ」
まるで逆立ちをするように、機首を上に向けたままで空中に静止しているマギア・ワイバーン。
前方の一匹を躱すことのできない一撃で沈めた後、一瞬だけエンジンを吹かして機体を垂直に立ててそのまま落下、同時にエンジンを復帰させてテンペストの翼の操作によって直立状態で留まったのだ。
後は下から目標を見失ってキョロキョロしている二匹を狙い撃ちして終了だ。
「……あ。後ろ、大丈夫か?」
『失禁者1名、気絶者2名。後は特に問題ありません』
「ま、良いか。じゃぁ後は特に敵はいないな?さっさと調査終わらせちまおう」
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「え?何で止まったの?っていうか外全然見えないよ?」
「ロジャーの言うとおり、霧が出たんでしょう。見えないということは……フリアーの魔法が効かない……?」
それを裏付けるかのように、一瞬外を映し出している窓の風景が真っ黒に変わり、限定された方向のみの景色と……緑色の四角い枠、マーカーが動いているのが映し出された。
「これは……」
「赤外線センサーやカメラの情報を映像化したようだね。魔法によるフリアーは物理的な現象とは少し違うということか……?」
後ろではトーマスとクレアが、更にパニックになっている。
流石にギルベルトとゾーイはびっくりしている物の、何とか平静を保っていた。
「あの緑色の物は何かな?サイラス殿」
「レーダーに写っている飛行物体を観測して、それをこうして画面に投影しているんです。何処にどれだけの数がいるか分かりやすいでしょう?あ、赤い表示が加わった物がさっきの翼竜でしょう」
ターゲットを表す文字が追加され、他の目標とは区別された3つの緑の枠。
真ん中の物がそのまま真っすぐ、他の2つは両側を大きく迂回して後ろから接近してくるつもりであることを示していた。
「このままでは挟み撃ちだぞ!?どうするのだ!」
「さあ……。でも、とりあえず何かに掴まってたほうが良いと思いますよ!」
サイラスが言い終わるが早いか、ゴォンという音が響き、直後に背中から落下する気持ちの悪い感覚がポッド内の全員が体感することになった。
「う、うあぁっ!?」
「きゃぁぁぁっ!!」
「くっ……!」
続いて、急にそれを受け止められて制動がかかった為シートにめり込むかと思うほどの押さえつけ。
「くぁ……」
誰の声ともわからないうめき声が聞こえる。
そしてまた音が響いて……しばらくしてようやく水平に戻ったときには、ポッドの中は小便の匂いが充満していた。
犯人はクレアである。今回はテンペストは大丈夫だったようだ。
「ゾーイ、おい、ゾーイ?」
「う……はっ、ギルベルト様!?」
「大丈夫か?気を失っていたようだが……」
「すみません、衝撃が強かったのか……一瞬で意識が無くなってしまいました」
「あれ?クレア?クレア!あっ」
「あれ……ここ……あ、えっ!?やだ!うそ止まって……いやぁぁぁ!!」
ポタポタと座席から床へと垂れていくそれの音が響き、クレアの羞恥に震えるすすり泣きを聞きながら……ポッド内はなんとも言えない雰囲気となった。
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着陸が終わり、安全確認がなされた後ポッドが開き、全員が無言で外に出た。クレアとテンペストを除いて。
「すみませんすみませんすみません……」
「いえ、お気になさらず。はい、下着と服は綺麗になりましたのでお返しいたします」
「ど、どうも……ありがとうございました、その……カストラ卿にこんなことをさせてしまって……」
「女性は私かゾーイだけですし、色々と出来るのは私の方なので」
下半身裸にタオルを巻いた状態で目を赤くしたクレアが謝り倒す。
仕方のない事とはいえ、大勢の前でやらかしてしまったことは戻らず……気を使ってくれたみんなの優しさが逆に辛かった。
シートや床に落ちた物も全てテンペストが処理し終えて、既に爽やかな空気へと変わっている。
ついでとばかりに全てのシートも綺麗に洗い尽くしたので、ちょっとした黒ずみなども全部新品のようになっていた。
着替えを終えて外に出ると、全員がこちらを向き……ながらも眼は泳いでいるのをひしひしと感じてクレアはもういっそ思いっきり笑って欲しいと思うのだった。
「えっと……大変ご迷惑をおかけしました……すみません」
「あれは仕方ないよ。首とかは痛くない?」
「あ、はい、大丈夫です。さっき治していただいたので……」
「なんというか、すまん……こっちとしてももう少しやりようはあったかも知れなかったんだが……」
「い、いえ!戦闘だったので!仕方なかったのは理解していますから!……なんというか、自分が情けないわ……」
色々凹んで居るクレアはいつもの少し勝ち気な感じが消えてすっかりしおらしくなっていた。
こっちのほうが素なのかもしれない。
コリーが謝っているが、戦闘であれくらいで済んだのだからむしろ良かったほうだろう。
気を取り直してまずはオルトロスとサーヴァントを取り出し、それぞれの装備を確認する。
ニールはトーマスとクレアを乗せてオルトロスを操作することになる。
銃座についたままでもオルトロスを操作できるようにしてあるので、撃ちながら逃げることも可能だ。
一応、基本的には別々に操作することにはなっているので、これはあくまでも緊急避難用の措置として組み込んである。
「では始めましょう。ロジャー、お願いします」
「分かった。博士、悪いけど運んでくれる?」
『了解。手に乗って指にでも掴まっていて下さい。爆弾も持っていきますよ』
ちなみに爆薬の量は適当だ。とりあえず壊れないだろう、と言う程度の量を積んでいる。
穴を土魔法によって深く掘り、その中に爆弾を仕込み更に水で満たす。
6角型を作るように大きくぐるりと設置した後、テンペストがその中央で地面に手を当てて目を閉じて集中し始める。
「爆破します。周囲の警戒を」
若干の揺れと、ボシュ!という音と共にそれぞれの穴から水柱が立ち上る。
奥にある森からは一斉に鳥たちが飛び立ち、にわかに周りが騒がしくなった。
「サイラス博士、この平原の地下に人工物と思われる規則的な形をしたものがありそうです。また、洞窟はあそこ以外にも2本。全て入り口はあの山の側面にあるようです。そして浮遊島の中央部分に大きな何かの空洞があり、3つの洞窟……空洞は全てそこに繋がっていたようです」
『大手柄だな。大体の場所を教えてくれればロジャーが掘り返す。……さて、私とニール、そしてコリー達はそれらを守り抜くことに専念しましょうか。魔物が大量にやってきますよ』
確かに見ればぎゃあぎゃあと騒ぎ立てる魔物達の声が響く。
ある程度は結界に守られているからか、猛吹雪の中でもちらちら雪が降っている程度で、視界が確保されている分まだマシだろう。
「よし……頑張らないと!斉射開始!」
ニールがモニタ越しに迫ってきている敵の群れに向けてガトリング砲を放つ。
ゴォォという低くそして重い音が車内に響き渡り、遠くの魔物たちをなぎ倒していく。
サイラスがサーヴァントで突撃して敵を引き裂き、コリーは魔法と剣で複数を相手取る。
ギルベルトとゾーイは付け加えてもらった魔法の効果を併用しながら、流れるように敵を斬り伏せていた。
「はっはっは!ヌルいぞ!」
「ホント出鱈目だな本職は!!くそ……」
「そういうコリー殿は既に我々よりも倒しているではないですか」
「剣じゃあんたらに勝てないんでね」
雷撃を放ちながら大量の敵を巻き込み剣で切り込んでいくコリー。
本職ほどではないにしろ、それなりに魔物と戦うくらいなら問題ないレベルだ。
しかし本職の二人はやはり強い。
ギルベルトは豪快に剣を振り回して一度に数体をなぎ倒し、ゾーイは急所を突いて仕留めている。
一方オルトロスに居る学者二人はといえば
「ひっ……」
宮廷魔術師として最高の技術を持っていたクレアだが、実戦としてこういう敵に囲まれるという状況には遭遇したことがない。
その為、見渡す限りの魔物を見て腰を抜かしてしまっていた。
トーマスは流石に少しはマシなようで、ニールに指示を求める。
「だ、大丈夫だ、ここにいれば安全……!な、なぁニールさんだっけ?なにか手伝えることは!?」
「錬金術師でしたっけ……?なら土系の魔法得意だよね?」
「あ、ああ、使える」
「じゃあこの敵が来てる方向に大量のスパイク出せるようにしておいて下さい。足止め出来るように」
「分かった……!」
窓際に寄って外の様子を伺う。
車内に音が響く度に、大量の魔物たちがあっという間に倒れていく。
しかし後ろから来る魔物達は少し学習し始め、広がり始めていくのを見た。足止めではなく一箇所に集めるようにしてやれば……そう思ったトーマスは集中して詠唱を始める。
『大地よ、我等に迫る敵の行く手を塞ぎ、その身体を貫け』
広範囲に突如として現れた石の棘と壁。それを迂回しようと切れ目の部分を狙って魔物たちが集中し始めた。
「あ。なるほど。トーマスありがとう!これなら行ける!」
纏まっているならばむしろ広域魔法のほうが都合がいい。
銃座のグリップを握りしめながら、牽制の銃撃を加え、同時に詠唱を開始していく。
『焦熱の星よ、大地を遍く包む風よ、我が声に応えよ。我等の敵を殲滅せよ』
魔物たちが集まる場所へと白く輝く光体が出現し、更に巨大な竜巻のような物が発生する。風が強まりその大きさがどんどん小さく光点へと近づいていき……。
『その力、今こそここに解放せん』
風と光が一瞬で中心に向かって消えたかと思った瞬間、大音響とともに凄まじい爆発が巻き起こったのだった。
「何!?今の何の音なのよぉ!!」
「ボクの魔法です。こっち側から来た魔物たちは大体消えましたよ」
「なっ……な、なんて威力……!私の作った壁まで吹き飛ばされてしまっているじゃないか!」
「でもこっちには被害来ないようにしたから大丈夫!」
反対側から来ていた魔物たちも、巨大な火柱と爆風に恐れをなしたのか大半が逃げていった。
『今のはニールですか?』
「あ、うん。不味かった?」
『特には。こっち側から来ていたのも今のでほとんど逃げましたし……今殺したので最後です』
外が安全になったということで一旦みんな外に出てロジャーとテンペストの作業を確認しに行った。
順調に進んでいるようで、数メートル掘り下げられたその場所からは確かに基礎のようなものや、壁まで残っているものが幾つか発見されたのだった。
「とりあえずはこんな感じかな?この真ん中の広いところが恐らく道だったんだろうね。あの洞窟にまっすぐ通じているよ」
「ここに昔街が存在していたのは確かなようです。援護ありがとうございました。それとニール、あれは私が使っていたものを応用したんですね」
「うん。ボクのと組み合わせたらどうなるかなってぶっつけ本番だったけどさ。上手くいったみたい」
「範囲が広くて助かるな。あれは空の方でも逃げられんな……」
テンペストは意図的に上下の空間も指定したため、破壊力が増している。ニールのものは単純に起爆したようなものだが、同じくらいの破壊力で広範囲に被害をもたらすことに成功していた。
上にも爆風の効果は広がっているため、ついでに範囲内に居る飛行系の魔物も落とせる便利なものだ。
「待って、この下に魔力の流れを感じるわ……微かに、だけど……」
「ん?……ホントだ……」
クレアの指摘通り、この街の道に沿って碁盤目状に魔力の流れが感じられる。
最終的にはあの洞窟の奥の方へ……もしくは中心部へ続いているものと思われた。
「あの場所に伸びているということは……。マナの供給をこの島全体に行っていたということかな?結構技術力はあったんだろうね」
「この遺跡はどうしよう?あまり手がかりになりそうなのは残ってないっぽいし……その魔力の流れがあるところを掘り返してみる?」
「ニールの意見に賛成だ。魔力の流れを感じる所を掘ってみてくれ。もしかしたらどういうものを使っているかなどが少し分かるかもしれんぞ。今俺達が使っているのは魔法陣のラインだ。あれは街全体を覆うには線が消えた時点でアウトだが……こいつは地中に埋まっても機能している」
「コリーが言うのも最もだね。王都でもこの仕組は使ってないし。それぞれの場所にある魔晶石へ蓄えられた物から使うのが一般的だ」
『地下送電線みたいだな……。一箇所で纏めてやれば使用量だけを取る形に出来るか』
今は魔晶石を取り付けるコストが掛かるが、これを使えば魔晶石分のコストは減り、メンテナンスも領地内で行うことが出来るだろう。
長期的に見れば長く料金と徴収できることなどにメリットが有り、そうそう壊れることもないのでメンテナンス代も安上がりだ。
試しに流れを感じる場所の直下を掘ってみれば、導管が通っており中にはゲル状の物が詰まっていた。
ロジャーが言うにはスライムのようだと言うことなので、恐らくスライム由来の物を詰め込んでいるのだろう。
液体ではないから外に流れ出ることも少ない。
なかなか面白い発想だと思う。
「切れても補修が簡単そうだねこれ。穴が空いたら塞いでまたこれを詰めれば使えそうだし」
「考えたもんだな。確かに触ると魔力が少しずつ回復していく感じがする」
「少しは警戒して触りなよコリー……腐食性だったらどうするのさ?」
「うおっ……考えてなかった!大丈夫だよな?」
「これは特に問題無さそうだね。でも本当に気をつけてよ?」
「お、おう……スマン」
そんなやり取りを横目で見ながら、サイラスとテンペストはコレ自体を曲げられる様な物で作ればかなり自由な配線ができるなと考えていた。
中身がゲル状だからどんな曲げ方をした所で問題ないし、均等に分配されていくようなので出力の差異が出にくそうだ。
たとえ切れていてもそのまま繋がってさえいれば問題なく使えるという災害にはかなり強そうな物なのだ。
「とりあえずここはこんなものかな?」
「ではオルトロスを回収します。一応、洞窟の中も調べたいところですが他の入り口を探してみたいと思います。私たちは一度ワイバーンへ乗り込み、博士はそのままサーヴァントで進んで下さい」
『小回りはこっちが効くからね。上からの監視と誘導を頼むよ』
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不自然に聳える山。言うなれば遊園地などにあるようなわざわざ作ったかのような物の形をしている。
上から見ると噴火口の代わりにそこに水が溜まっており、そこからずっと流れ出た物が川となって流れていた。
作り物っぽいといっても、その大きさは通常の山よりちょっと小さいくらいなもので、そもそもの浮遊島の大きさがかなりのものであるということがよく分かる。
そんな山裾をゆっくりと回り込んでいくと大きな人工的な門を博士が発見する。
周りの木を切り倒してもらって着陸し、門の前に集まった。
「門、だね。神殿とかそういう感じみたいな作りだ」
「中は通路が崩壊していないっぽい……かな?」
「私が先に入って罠などを調べてこよう、少し待っていてくれないか?」
「ゾーイは盗賊の真似事も得意でね、こういうのは得意なのだよ。安全確認を任せてもらえるか?」
「そういう事なら。ではゾーイ、気をつけて下さい」
コクリと頷いて松明を取り出し火を灯す。
可燃性のガスなどがあればこれで分かるし、火が消えれば二酸化炭素などが充満している……が特に問題はないようだ。
床や壁も念入りに調べながら奥へ奥へと進んでいくゾーイの姿を見送る。
「あの滝裏のやつも元々はこういう感じになっていたのかな?」
「何らかの原因で崩壊したのであれば少し掘ればこの白い石が出てきたかもしれませんね。まあこちらが残っているというのであれば最深部の方までは行けるでしょう」
「こっちはあまり傷んでないわね……恐らく補強か保存の魔法がかかってるのね」
「物自体は普通の大理石だしね。年数が経っているのにひび割れも無ければ壊れてる所も無い」
「魔物よけが外側にあるぞ。中に魔物が入ってないのはこのせいだったのか。ほら、この柱の裏側に埋め込まれてるやつがそうだ」
色々と話をしていたところゾーイが戻ってきた。
が、何やら変な顔をしている。
「……あの、とりあえず大丈夫なのだが……アンデッドらしき者が居た」
「アンデッド!?」
「ああ。しかし攻撃の意志はないと向こうから話しかけてきたのだ……皆を連れて来て欲しい、という事だが」
「罠……?皆行ったら閉じ込められちゃうとか」
「意思を持ってるならレヴナントかリッチクラスの何かだと思うけど……」
下へと下っていくと、前に見たのと同じような部屋があり、そこの一つの部屋の中に椅子に座った状態で死んでいる誰かの骨があった。
近づいたら動き始めたので斬りつけようとしたところ、手でそれを制して話を聞けと言ってきたらしい。
「私が感じる限り確かに敵意はなかったのだが、私の一存では決めかねることなので一度ここまで戻ってきたのだ」
「……行きましょう。レヴナントなら何か目的があって留まっていると聞いています」
「テンペストに賛成だ。何かあったらそれはそれで問題ない、宵闇の森でアンデッドを殲滅したのはテンペストだからな」
「高威力の魔法が使われたというのは……そういうことでしたか!あれはロジャー殿がしたものだと思っていました」
「違うよ。やったのはテンペスト。まあそういうわけだからとりあえず行こうか」
門の中は通常の通路と同じ大きさなのでサーヴァントは入れない。
全員生身で向かうことになる。
内部の階段は保存状態がとても良く、誰かが掃除しているのではないかと思うくらいだった。
奥の部屋の入口もまた神殿じみた装飾が施されており、中心には魔法陣が置かれている。前に見た物と同じなため合計3箇所のマナ回収装置があるのだろう。
そして、航行システムが置いてあった場所に入ると……そこには朽ち果てた服を着た、しかし残った布や装飾からして上の身分の者だっただろう骨が座っていた。
その骨がすっと立ち上がるとこちらに向かって一礼する。
『ようこそお客人。ようやく引き継ぎ出来る時が来たようだ、感謝する』
今度はクレアが餌食に……。
なおテンペストは短時間なので導尿カテーテルは装着していません。