第五十三話 動く災害、嵐竜遭遇
翌日、日が昇ると同時に出発してついにハイランドへと到着した。
ハイランドは国境から王都までは遠いので、ここからまた少し掛かるが上りほど難しい道はない。
どこかの貴族だろうか、魔導車を使っている人とすれ違ったがやはり道が狭いのはちょっと困る。
馬車も似たようなものなので、街に近づくに連れて避ける頻度が高くなっていくのだけど、流石に大きな街の近くでは街道が整備されていて広い。
昨日の夜遅くまで解析を続けていたサイラス博士は、朝食も取らずにまだ寝ていた。
「そろそろ王都です。そこでクラーラの身分証明書を作り、許可が降りたらカストラ領へ行き、そこで住民登録と研究者登録を行います。住む場所は寮があるのでそちらへ」
「まあ、流石に今日すぐには証明書は発行されないと思うけどね。テンペストと違ってコーブルクから来たのが明らかだから、ちゃんとコーブルクの証明書見せないと揉めるよ」
「はい、気をつけます」
王都の門を抜けて行く。
毎度のことながらとても立派でとてつもなく分厚い。
荘厳なレリーフを見たクラーラがその美しさに圧倒されていた。
「あぁ……良く寝た……」
「あ、博士起きた?そこの中に食べるの入れておいたから」
「ありがとうございますニール。ん?もう王都についたのですか?」
「つい先程到着しました。一旦宿へ行ってクラーラの登録をします。アディは一度大聖堂へと顔を出してくるそうなので、後ほど宿まで迎えの馬車が来る予定となっています」
エイダは大聖堂で報告だ。
商人以外であまり外に出る機会のないハイランドは、外の情報は出来るだけほしいのだ。
ただ、内容としては絡まれて撃退したか、向こうが解決するべきことに首突っ込んだかくらいしか無いのだが……。
それ以外にも各街で色々と情報収集等はしっかりやっているらしい。
「サイラスとニールにこの宿の宿泊手続きを、コリーはこのままトレーラーを置いてきて下さい。クラーラはコリーが戻ってきたら登録を。私は魔術師ギルドの方へと行ってきます」
魔術師ギルドへ行ってくるのは本を読んでくるからだ。
以前はまだ目を通していなかった魔術書などの閲覧と、幾つかの魔物の情報を仕入れる。
コーブルクでコリー達が遭遇したものなどがあるかどうかを調べて、あればその情報を補完しておきたい。
あまり時間がないのでそこまでの情報を得ることは出来ないかもしれないが、対策などを立てるのにも役立つし、もし書かれていない情報があれば申告して加筆修正を行うことが出来る。
その権利を獲れば多少のお金ももらえたりするし悪くはないだろう。
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「確認しました。では資料室へご案内したします」
ギルドに着いてすぐに資料室へと向かう。
まずは車内で話し合っていた時にサイラスが欲しいと言っていた魔術式の記述だ。
なるべく魔力の少ない人でも扱えるように、動かすためのシステムは全て省魔力で起動させられるようにする。
加工器具がほしい。
金属加工は鍛冶師でも出来るが、時間がかかりすぎるか、そうでなければ早くても1人しか使えなかったりなど使い勝手が悪いのだ。
切削加工などが出来る物が欲しい。出来れば電子制御が出来るフライス盤や旋盤などがあれば便利だろう。
後々自動化するためにも必要だ。
以前聞いた時にはそういう自動制御の加工機と言うのは使われていないということなので、恐らくどこを探しても見つからないだろう。
ドリルの刃から全て一から作らなければならない。
色々と先は長そうだがまぁそこはサイラスに任せておけばいいだろう。テンペストは作られる側なのでそういうものには疎い。
必要なものだけをとりあえず取り込んで、魔物図鑑を見ていく。
ハイランドに出てくる魔物は豊富にあるものの、やはり他国で見られる魔物に関しては記述が少ない。
「モルサエント……木などに擬態し、触手を伸ばして攻撃をする。触手に捕まると身動きが取れない状態にされて体内の血液を吸われ、全て吸い終わった後には肉体を作り変えられ、人の形をした樹になり養分を吸われるだけの存在と成り果てる……」
概ねあっているけど、微妙に情報が足りない。
体温があること、そしてそれを感知できれば探すのは苦労しないこと。そしてミミックもそれは同様で本体が地面の下にあることが多いこと。
大きなモルサエントが居た場合、周りにミミックやモルサエントが多数出現する原因となることなどなど。
更に大きなモルサエントは攻撃手段が増えているため接近するのも危険だということ。
ほぼ伝聞だがサイラスの詳細な報告があったためそれらを元に情報を付け加えられるようにメモしていく。
今回は行かなかったが海にも様々な魔物が居るらしい。
魚雷のごとく突っ込んできて突き刺さってくるランサーと呼ばれている魚は、名前の通り槍に近い細長い身体で、口が鋭く尖っている。
集団で泳ぎ、敵が来ると突然加速して突っ込んでくる。当然捨て身なので相手を貫通して逃げられなければ刺さったまま死ぬ運命にあるという。
ただし、上手く捕まえて陸に上げて動けないようにして乾燥させると、とても軽くて硬い槍としても使えると書いているがどう考えても普通に作ったほうが早い。
だが、漁師の銛代わりになるということなので、残り本数気にしないで使えるという点では優れているのかもしれない。
まだまだ覚えたい魔物も色々あるが、とりあえずは今回戦ったりしたもの等を中心に、よく遭遇するものに関してだけでもある程度加えていきたい。
鎖でつながれているためその場で書き写したりしなければならないものの、そこはテンペストで記憶が出来るので苦労しない。
「とりあえずはこんなものでしょうか」
新しい知識を仕入れて、受付に戻り、追記できそうな項目等を箇条書きにしたものを渡す。
署名と証明証のギルド情報に登録して完了だ。
後は確認が取れ次第、その価値を踏まえて執筆依頼と料金が支払われることになる。ちなみに正確な絵などが有ると高くなる。
今回は自分が見ていない魔物が多かったため見送りだ。
早く終わってしまったために図書館の方へも足を伸ばすことにした。
「テンペスト様、指名依頼が来ております」
「指名依頼?」
「はい。最近、男爵となられましたがその辺りから名前が広がっているようでして。加えて整った字体や、納期の早さから注目を集めております」
大抵はかなり待たされる物だが、遅くても2日程度で納品されるその速度は他の追随を許さない。
早くて正確できれいなその本は、元の本よりも価値が上がっているものも出てきているそうだ。
今回の依頼は原本を作る為の原稿を引き受けて欲しいという内容。
自分で書くにもあまり上手く書けないらしく、適当に木版に書かれた内容を羊皮紙に書き写すと言うものだ。ページ数もさほど多いものではないが、普通の本の写本を受けたときの3倍近い値で依頼されている。
「依頼人は?」
「匿名です。原稿と料金は既にこちらにありますので、引き受けるとなった段階でこちらの契約書に目を通していただき、サインを書いてもらえば契約完了となります」
そう言って渡された契約書には、まあ至極当然の事が書かれてあった。
写本をする時に得た情報は漏らさないこと、原本として作成されるがその際に自分の権利を主張しないこと、勝手に複製を作らないこと等など。
他にもいくつかあるが、最後に気になる言葉が書いてあった。
「……以上の契約が破棄された場合、直ちに契約魔術が発動するものとする……?」
「サインを書いて血判を押した時点から効果が出ます。破った場合、その程度に応じて罰が下されるようなものだと思って下さい。……最悪死に至りますが」
「どのような効果があるのでしょうか?」
「大抵は激痛です。体全体が突然刺されたような斬りつけられたような何とも言えない激痛に襲われます」
もっと危険なものだと普通に心臓を止めてくるものもある。
これは脱走などをしては困る奴隷などによく施されている。許可なく一定範囲以上に逃げると死ぬということだ。
比較的軽いというこの激痛でも、体全体がというのが曲者だ。
特に男性だと死ぬほど辛い事に……。
契約するにしても、受けてからその内容が法に触れるようなものの場合は分かり次第解除する権限を国が有している為、責任者に報告する場合に魔道具を手に持った状態で報告し、内容が確かに違反していると判断された場合には強制的に契約は解除され、依頼者が罰せられることとなる。
今回の場合は恐らくギルドへ提出したい物だが、あまり上手くないので契約して書いてもらいたいということだろうと図書館側から言われている。
ギルドに売れた時にはこちらに支払った以上のお金が入ってくるのは確定しているので、依頼料が高すぎるということもないだろう。
受けることにする。
受け取った内容は木版にびっちりと細かい字で書かれてあり、かなり見辛いことは確かだった。
まあ、木版は表面を削ることで書き直しが出来るし、色々と便利ではあるが……いかんせん字が乱れてる上に細かく、内容も魔法陣や魔術式などの羅列だ。
やりにくいことこの上ない。
確かにこれでは普通の人では読みにくいだろう。
しかし内容自体はページ数にして約50ページほど。確かにこれはレポートなどに近い。
ただしその中身は結構濃密だ。
歪みまくった円を綺麗に書き直し、見辛い文字を綺麗に整え、それでもかなりの速さで書き上がられていく。
たった30分ほどで全てを書き終えたが、やはりそれでも時間がかかったのは解読と配置に手間取った上に、やたらと細かい記述を正確に描いていくのが難しかったからだ。
報酬を受け取り、予想外の収入が得られたことで少しばかり嬉しくなるテンペストだった。
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宿に戻るとエイダ以外が全員揃っていた。
もうクラーラの登録も済んだらしい。少しばかり手間取ったらしいが特に問題はない。
サイラスへ仕入れた知識等を教え、自分専用の魔物図鑑に記入していく。
「大分増えたね」
「はい。ただ姿を見たことがある魔物等が極端に少ないため、こうして文字でのみの情報でしかありませんが」
「大丈夫、それならボク達の方が見れば分かる事があると思うし」
元々現地人のニール達はハイランド周辺の魔物なら大体分かる。
歩く辞書であるテンペストと一緒にいれば、該当する魔物を割り出すのはもちろん、その弱点などの情報もすぐに引き出せるだろう。
「では今度は私がテンペストに教える番ですね」
「お願いします。ピットをフリアーのやり方に変えてから感度が増してより鮮明に見渡せるようになりました」
「テンペストのやり方はちょっと前のやり方だから、もうちょっと上のやり方に変えただけだよ。まあ、製品化とかする前に終わったんだけど。昼間はカラーのままだしやりやすいはずだよ」
「識別が楽ですね」
今日は高出力のレーザーのやり方を教わる予定だ。
魔力量はまだまだ人並みと言った程度のテンペストだが、レーザーは意外と魔力の消費量が少なく、それでいてかなりのダメージを与えられるとあって、これからのメインにもなっていきそうなのだ。
ただし、ワイバーンに搭載されているフェーズドアレイレーザーと違って、遠距離だと雲や湿気などの影響を受けて減衰するため目視距離での利用となる。
それでも光速という生物であれば不可能な到達速度は魅力だ。
『光よ、槍となり矢となり敵を貫き滅せよ』
照射範囲と出力を調節して、サイラスの示した金属板に当てるとあっという間に真っ赤になって溶けていった。
「成功です」
「後は出来ればストーンバレットの方も上手く調節したいところだね」
そんな2人を見てクラーラは目を丸くしていた。
ニールとコリーはもう慣れているが、それでも驚きを隠せない。
「待て、博士、それって光か?まさかずっと前にテンペストが言っていた光魔法の違う使い方ってそれか!?」
「予想以上に威力ありますね。これボクも覚えたいなぁ」
「えっ、えっ、今なんかあっという間に新しい魔法が……えっ?」
「ああ、クラーラ……あの2人は特別だ。気にするな」
「いやでも……普通もうちょっと掛かるじゃないですか!?っていうか見たこと無いんですけど!」
「想像力と言うか、明確に結果が分かっているなら別に一発で成功するのも当然ですよ?私達は何をどうすればこの結果に行き着くのかは知っていますから、再現するだけなので楽なもんです。というか大掛かりな装置が必要ない分魔法が便利すぎて本当に楽しいですね!」
「なんで知ってるんですか!?」
「クラーラ、諦めろ。頭の出来が違いすぎるだけだ」
普通、新しい魔法を覚える時にはある程度時間がかかる。
やり方と詠唱を覚えただけで出来るものではないのだ。その詠唱の結果、どのような物が出来上がるのか、どんな現象となるのかを明確に理解しないと出来ない。
なので、普通新しいものを覚える時には師匠などがやって見せて結果を見せてから覚えさせるのだ。
クラーラは魔道具を作る腕は良いが、魔法を扱うということには長けていない。なのでその苦労などはよく知っているのだが……あまりにもあっさりと成功している上に、全く見たことのない効果だったので混乱している。
「これでいちいち驚いていたら研究所に行ったらどうなることやら」
「そうですね……」
「そのうち慣れます。技術はあるのですから気後れする必要はありません、自分が出来ることをやれば…………何の音ですか?」
突然鐘の音が鳴り響いた。
一部で聞こえると連鎖的に近くの鐘も同じように鳴らし始めるため、かなり騒々しいことになっている。
一定の拍子で叩かれているが、危険を知らせるものや侵略などの警告音ではない。
「5回ずつ……って事は嵐だ。テンペスト、ちょっと珍しいものが来るぞ」
「珍しいもの……ですか?嵐であれば特に珍しくは無いはずですが」
「ああ、そっちの普通の嵐じゃない。嵐龍が来るんだよ」
「嵐竜ですか?」
嵐竜とは、存在するだけで常に暴風が吹き荒れる正に嵐を纏った飛竜の仲間だ。
ただし火竜などとは格が違う。身体も大きくこのあたりには他の飛竜などを狩る為に数年に一度程度の頻度で飛んで来るのだ。
当然近くに来ただけで暴風になるため、このハイランドではかなりの脅威としてみなしているものの、取れる対策がほぼ無い為災害扱いだ。
なにせ暴風に阻まれて殆どの攻撃は散らされてしまう。
それに下手に刺激して怒らせた場合、確実に襲われてしまうがその時は暴風の中心が来ることになる。
近づいてきただけでもかなり被害が出てくるというのに、その大本が来たとなれば目も当てられない。
鎧戸が閉められて部屋が暗くなる。
「あっ、これじゃ見れないな。トレーラーに行くか。早くしないと外にすら出れなくなるぞ」
「固定もしておいたほうが良いんじゃないかな?」
「博士はサーヴァントを動かしてトレーラーにしがみつけ。飛ぶぞ」
「まだ飛行用のユニット無い時に飛びたくないですね。というかそこまで強いんですか?」
「毎度毎度馬車が吹き飛んでいるからな。だからハイランドの家はある程度頑丈に出来てるぞ」
風速はハリケーンよりも竜巻のほうが近そうだ。
レンガ造りだったりするから強風に耐えられるのか心配だったが問題ないらしい。
作る時に要所要所に強化を施してあるためそう簡単には飛ばないそうだ。特に屋根は必ず飛んでいく場所なので確実に動かないようになっている。
トレーラーに乗り込み、地面に杭を打ち込み車体を固定する。
サイラスはサーヴァントを起動して言われたとおりに自分の乗っていたキャリアを機体に固定し、自分はしっかりとトレーラーの影に隠れて待機している。
やがて鐘も止み、人通りが完全に消えた。
風もどんどん強くなっていく。
「さぁ、来るぞ」
「え、えっとこのトレーラー?大丈夫なんですよね?飛びませんよね?」
「車体重量もですが、現在地面に直接固定しています。あなたのアンカーも打ち込んでいるので安心して下さい」
「いつの間に取り付けていたんですか……。でも、信じます」
「うわ……いつもまともに見たこと無いけどこれは……まるで砂の壁って感じ?」
「明らかにあそこだけおかしいな」
徐々に王都に近づいてくる砂塵の雲。それが渦を巻きつつ広範囲を飲み込んでいた。
更に雷も伴い、もう外に出ること自体が危険な状態となっている。
看板や、外に出していた品物などは鐘がなっている最中に全て片付けられ、何もない道に落ちていたゴミや土埃が舞い上げられていき……ついにその端が到達すると、突然ドン、という衝撃とともに暴風の圏内へとトレーラーが……いや王都その物が飲み込まれたのだった。
「何ですか!?」
「落ち着けクラーラ、嵐竜の暴風圏に入ったんだ。外に出ると普通に飛ばされるぞ」
「あ」
「あっ」
目の前で大きめの馬車が中に入っているものをぶちまけながら、街道をものすごい速さで吹っ飛んでいくのを目の当たりにしてしまった。
確かにこれなら人なんてすぐに飛ばされるだろう。
トレーラーは今のところびくともしていない。ただ、外装に打ち付ける砂や石などがものすごい音を立てている。
暫くの時間そうして居ると、ふいに風は強くなっているものの物が飛んだりしておらず、見通しの良い状態へと変化した。
見上げるとそこには……。
「あれが嵐竜……火竜とは比べ物になりませんね」
「綺麗な飛竜だ……ボク初めて見るよ、こんなに綺麗な……美しい飛竜が居るなんて」
「俺も初めて見る。本当に嵐竜なんて居るのか?なんて思っていたが本当だったんだな」
いつもは締め切った部屋の中でじっとしているしかできなかったのだ。
姿を見ようとすればその凄まじい石礫を無数に食らうことになる。
不幸にも巻き込まれてしまった人は、原型を留めない程にボロボロになって発見されるのだ。
そして空を悠々と移動する嵐竜は白く、硬そうな鱗ではなくなめらかな蛇のような身体をしているようだった。
羽根や魚で言えばヒレのような部分はふわふわと羽衣のように、周りの暴風とは無縁と言わんばかりに揺らめいている。
普通の飛竜とは全く違ったその様相はまさに美しいの一言だった。
周りの暴風をかいくぐってやっとで到達できる場所に、今テンペスト達は居た。
クラーラもなんとも言えないといった顔で、その美しい飛竜に魅了されていたのだった。
やがてまた反対側からの暴風へと変わり、何も見えなくなっていった。
「……凄かったですねぇ……」
「ああ、良いもん見れたぜ。トレーラーのお陰だな」
「あれ、博士大丈夫だったかな?」
「大丈夫でしたが死ぬかと思いましたね」
ちょっとばかり疲れた感じの博士が戻ってきた。
聞いてみると、サーヴァントに乗り込んで同期していると、石礫がガシガシ当たって結構辛かったらしい。
「後、盾が吹き飛ばされました。ちょっと見つけてきます」
そう言ってまたすぐに出ていった。
……サーヴァントで探す気だろう。被害状況を見るため、外に出てみるとかなりの被害が出ているのが分かる。
頑丈に作られているとはいえ、あの砂と石が吹き荒れる中で完全に耐えきれる物は無い。
強化された筈の壁は表面が削り取られ、一部穴が開いている家なども多い。
それでも吹き飛んだりしていないだけマシなのだろう。
風が収まったところで皆家の中から出てきて片付けの作業をし始める。皆文句も言わずにさっさと片付けていることからこれがもう毎度のことなのだとよくわかった。
振り向けば塗装が剥げて地の金属がむき出しになったトレーラーが目に入る。
大事に使っていただけにこのダメージは少々悔しかったが、あれは仕方ないだろう。
どうせ明日にはここを出て領地に戻るので、整備をしっかりとしてもらうだけだ。
ちなみにサーヴァントの盾は数キロ離れたところにある建物にぶっ刺さっていたらしく、お詫びにということでお金を支払ってきたという。
現時点では手の出し様のない飛竜と遭遇。
人を襲うことは攻撃されなければ無いので、とりあえず暴風に耐えられるように家を頑丈に作ることで対処しています。
魔法を扱えるものは周囲に風除けなどの結界を張りますが、強力すぎて完全には防ぎきれないもよう。
ある意味風物詩みたいなものだし、これによって修理をする人たちの仕事が出来るためこれからも対策が取られることはないでしょう。