第三十六話 「煌」閉店
翌朝早速2人で食事を取った後に目立たない服に着替えてハンターギルドへと向かう。
早朝からハンターギルドは賑わっている。
様々な人が集まるギルドでは2人の存在もかなり薄れるようだ。
「おっ、あったあったまだ取られてないな」
「翼竜の討伐依頼、2匹以上の討伐で討伐数に応じて追加報酬あり……ですか」
「同じ依頼は全部で何枚かあって、同時に選べるパーティ数が決まってんだ。あんまり一気に人を送ると管理しきれないからな」
「ちなみに、翼竜素材はどんな感じですか?」
「結構優秀な素材だぞ。皮は柔らかいが強度は高くて、切りつけられても切れることはまず無い。大体魔法金属あたりからはダメージが入るが。薄くて軽い割にかなりいい防具の素材になるんだ。テンペストのその甲虫の鎧の革部分とか、内張りに使うといい。魔力との親和性も高いからいいぞ。魔晶石が出た場合は属性は大抵風だな。特に必要がなければ売ればそれなりの値段で売れる。肉は言った通り美味い。先ずはそのままステーキがおすすめだ!溢れ出る脂がまたウメェんだ……。骨は薬に使われるな、後は雄の生殖器だが……」
「それも食べるのですか?」
「ああうん、まあ食べる。だが薬としてだな……これ、テンペストに教えて良いのか……?」
中身は違うとはいえ一応10歳の女の子だ。
教えても良いのかどうか悩む。
ちなみに使い道は強壮剤として。翼竜は繁殖力が強いため、性欲の象徴とされる。しかも本当に効果があるから結構高値で売れるのだ。
媚薬とは違い、男性用の薬として、夜に長く楽しむために使われたり、なかなか元気がなくて出来ない人が食べて若かりし頃の勢いを取り戻したり……つまりまぁそういうものだ。
「つまり、私には特に必要のないもの、ですね」
「だな。俺も要らん。金持ちに売りつけて換金しよう」
ギルドで売るよりも直接売買したほうが高く売れる場合がある。
これなんかは特にそうで、貴族たちではかなりの者が高値で買ってくれる。そのためのオークションがあり、よく賑わっているのだ。
「これを引き受けたい。パーティは2人だが、1人空間魔法持ちを雇いたいが……良い奴が居るか?」
「身分証をお預かりします。……なるほど、あなた方なら大丈夫でしょうね。荷物持ちはちょうど1人居りますよ。空間魔法持ちで容量は飛竜一匹分は保証します」
「ならそいつで。持ち逃げとかしなけりゃ良いぜ。報酬は規定の額に、もし多めに狩れたらその分も上乗せすると言ってくれ」
「畏まりました。今から出発しますか?」
「ああ、すぐに出たい。馬を人数分ついでに頼む」
流石に慣れている人が居るとスムーズに事が運ぶ。
あっという間に手続きを終わらせて、外に出た時にはもう馬も荷物持ちも用意されていた。
「荷物持ちのエミルです。リヴェリで優秀な荷運び屋ですよ」
「どうも、よろしく。身体は小さいけど結構大きなものも運べるよ。オイラを選んだことは後悔させないさ。……見たところ全然荷物ないけど良いのか?」
「ああ、俺もこいつもカバン持ちだ。自分の荷物はその中に入ってる。日帰りで帰るから食料もなし。身軽なもんだ」
「よっぽど自信があるんだなぁ……ま、報酬弾んでくれるみたいだし良いけどね」
エミルはリヴェリということでどことなくロジャーと似たような雰囲気があった。
栗色の短髪を逆立てている様はどこかいたずらっこの様な見た目だ。
馬を走らせ目的地へ向かう。目的地は王都を囲む山の裏側にある谷だ。
そこに翼竜の巣があるため、毎年多くのハンターがある程度間引いて数を抑えているが、ほぼイタチごっこだ。繁殖力が強すぎて狩りきれない。
「なあ、あんたもリヴェリなのかい?」
「私?私は人族。リヴェリじゃない」
「え、って言うことは本当に子供?翼竜相手だろ?大丈夫なのか?」
「ああ、問題ない。名前まだ言ってなかったな、俺はコリー。そしてこっちはテンペスト。……聞いたことはないか?」
「えっ……あの、鉄の竜騎士の……!?本物!?」
混乱を避けるためあまり名前を出してなかったが、今はもう3人しか居ない。問題無いだろう。
名前を言ってフードを外すと驚いていた。まさかあの有名人が雇い主だとは思ってなかったのだろう。
貴族ということもあるので慌てていたが、一人のハンターとして接してくれというと落ち着いた。
身分がバレるとめんどくさいのだ。
そのためにはフランクに接してもらっていたほうがありがたい。
馬を走らせて数時間。何とか目的地まで到着したが、すでに日は高く登っている。
早めに終わらせて帰らないと夜になってしまうだろう。
「馬はこの辺に置いていこう。待っててくれ」
土魔法を使って囲いを作り、馬を守るようにして繋いでおく。
肉食の獲物を狩るときはなるべくこうしておかないと、後で帰りに馬が食われていて帰るに帰れないといったこともあるのだ。
それのせいで命を落としたという笑えない話もある。
ゴツゴツした岩場を登り、谷が見下ろせる位置に来ると沢山の翼竜が岸壁に巣を作り卵を抱いていた。
色んな色をしたのが飛んでいる。
「……どうやっておびき寄せるんですか?」
「ん?簡単なことだ。こうする……っと、エミル、隠れとけ。食われるぞ!」
「うひゃぁぁ、それは勘弁!ど、どうぞ!」
そんなエミルを見てニヤリと笑ったコリーがライフルを取り出し、それに習ってテンペストもペネトレーターを取り出す。
そして……丸い玉を空に放り投げた。
パーン!とかんしゃく玉のような音がして煙が広がる。
ゆっくりと漂い降りてくるその煙は、肉の臭いがした。少々臭いが。
やや時間を置いてその匂いに釣られてきた飛竜がギャァギャァと騒ぎながら煙を食おうと必死になっている。
岩陰に隠れてそれを見ていた2人は、サイレンサーを取り付けて狙いを定め……。
「コリーは右を、私は左」
「良いぜ、撃て撃て!」
重く響くボッという音とともに翼竜の頭が弾ける。
後は入れ食いだった。死んだ仲間の血の匂いに引かれてよってきたやつを撃ち落とす作業。
消臭のために魔法を掛けてやるとピタリと来なくなったが、そこに積まれた死体の数は凄いことになっていた。
「はっはぁ!こりゃ良い!さすがライフル、さすがテンペスト!翼竜狩りがこんな楽になるとは思ってなかったぜ!」
「全部で27匹。多いですか?」
「普通は数匹だ。それにこの量ならかなりの人数で来ないとなかなか出来ねぇからな」
「うっわぁ……凄い。頭だけ綺麗に吹き飛んでるよ……その武器、なんて言うんですか?見たこと無いけど」
「ライフルだ。一般にはまだ出回らないが、軍用に開発中でね。威力は見ての通りだ」
「これがあったら翼竜とか飛竜にあまり苦労しなくて済みそうだ!早いうちに一般向けにも出してくれよ!」
「法整備が出来てからだな。じゃないとすぐにこれを人に向ける奴が出る」
「あぁ……確かに。となるとかなりの高額になるなぁ……ま、ハンターが使ってくれるなら安心だね。さてそれじゃあこっからはオイラの仕事だ。『開け、時空の門。我が領域とこの場を繋ぎ固定せよ。回収するのは翼竜の躯』」
青白い光とともにゲートが開く。
その中に吸い込まれるように山積みになった翼竜の死体が消えていく。
いつ見ても不思議な光景だ。
「よし、まだまだ余裕はあるけど、どうする?」
「十分だろあれだけやっときゃ。他のハンターの分も残して置かねぇとな」
「残してって言ってもまだまだ足りないくらいだけどねぇ。でもこれだけあれば相当な金額になる。いつか飛竜を仕留めに行くならオイラのこと呼んでくれよ!回収は任せてくれ」
「そうだな。その時には頼むか。エミルだな覚えておこう」
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「素晴らしい戦果です。内訳はどうなさいますか?」
「雄が12匹、雌が15匹か……雌の肉3匹分、雄の生殖器全部、後は皮を2匹分持ち帰る。後は全部換金してくれ」
「……雄の生殖器は少し分けていただきたいのですが……!」
高く売れる部位だからギルドとしても欲しいところだ。
ギルドの場合は更に加工してから売っているため結構な収入になっているらしい。
「分かったよ……4匹分やるよ……。その代わり報酬弾んでもらうぞ」
「ええ、ええ、大丈夫ですよ!これだけの量間引きしてもらったんですからね」
結局いろいろあってかなりのお金に変わった。
あればあるだけ良いので2人で等分することにして、エミルの分の報酬を渡す。
「うっわ……凄い金額だけど……良いの?」
「ああ、お前居なかったら持ち帰れなかったわけだしな」
「へへっ、毎度!ありがたくもらっていくよ。あ、ちょっとギルドまでついてきてくれないかな?あんまりこのお金持ち歩きたくないよ流石に……怖すぎる」
「ああ……そうだよな、普通。忘れてたわ……」
多すぎるお金を持っていれば、スられるだけなら良いほう。最悪殺されて奪われる。
身を守る力を持っていないエミルからすれば、こんな危なっかしい物を持って外出するなんて以ての外だった。
逆にコリー達は結構普通に持ち歩いているが、襲われることはあまりない。
力の差を知らずに喧嘩を仕掛けるほど馬鹿な奴は生き残れないのだ。
部位ごとに切り分けてもらった翼竜の肉を背嚢に詰め込んで、とあるお店へと向かう。
「なあテンペスト、腹減ってきたし飯食ってからにしないか?」
「いいえ、ダメです。と言うかごはんを食べるために今から行く所へ案内してるんです」
「んじゃぁ飯屋か?まあ、テンペストが言うなら間違いないところだろ。期待しておくわ」
「ええ。きっとコリーは気に入るはずですよ」
少しひっそりとした路地へと入り、「煌」と書かれた看板の店にやってくる。
店の前には名物のハンバーグのいい匂いが漂っていた。
「おお……すげぇいい感じのとこだな。……って、おい、テンペストもしかしてここは!」
「会いたがっていたでしょう?」
「やっぱりか!ヴァルトルの店か!こんなところにあったとは……。表通りしか見ないからわからなかったな……」
店の中に入ると一層肉の焼けるいい匂いが漂ってくる。
カランカランと扉につけられた鐘がなり、奥からマスターが顔を出す。
「おお、お嬢ちゃんか!久し振りだね」
「マスター、なかなか来れなくてごめんなさい。色々忙しくて……」
「話は聞いているよ。そちらはコリー。鉄の竜騎士、そしてテンペスト。まさか今となっては大物の2人がここにきてくれるとは。嬉しいね」
「俺の事、知ってんのか?……俺もあんたの事は知っているぞ、煌槍のヴァルトル。俺の英雄だ」
「英雄に英雄だなどと言われるとは……ちょっとむず痒いぞ」
「何言ってるんだ。まさしく英雄だっただろうが。お会いできて光栄に思う、ヴァルトル」
ちょっとコリーが感極まっている。
実はコリーはヴァルトル率いるパーティーに、一度命を救われている。
その時に見た槍捌きが今でも忘れられないと言っていた。
「……ああ、覚えている。あの時あそこに居たのか。そりゃ災難だったな」
「あの時、あんたが居なかったら皆死んでたかもしれねぇからな。ずっと礼を言いたかったんだ」
「気にするな。それよりもここは店だぞ?何か注文してくれないかね?」
「マスター、持ち込みいい?」
「ん?何を持ってきたのかな?」
「これ。ステーキにして欲しくて」
「おお、翼竜の肉か!うんいい肉だ、それぞれの部位を使った特別なものを作ってやろう。これは腕が鳴る!」
そんな、すっかり料理人になっているヴァルトルを見ながらコリーは嬉しそうな顔をしていた。
「はは、本当に料理人やってやがる!信じられん」
「マスターの料理はすごく美味しい。一度食べたらきっと止められない」
「写本やってた時必ずここ来てただろ、ここと同じ匂いがついてたからな。匂いでわかる、絶対うまい」
暫くして並べられた物は、物凄くボリュームたっぷりのプレートだった。
熱々の鉄板の上に乗っているのは、あまり大きくない程度に切り分けた各部位のステーキ。
ひときわ脂の乗った物が表面をカリッとするまで焼き上げられていた。
「うぉ……やべぇなこれ」
「美味しそう!」
「味付けはシンプルに塩と胡椒だ。追加でタレが必要ならこれを使うと良い」
「ありがとう!」
早速ナイフを入れると……考えていた抵抗が全く無く、突然下の鉄板に当たる。
フォークを刺しても零れ落ちそうな柔らかさのその肉を一口入れれば、口の中に広がる濃厚な脂の旨味と焦げた部分の苦味が広がる。この焦げた部分がシャリっとした食感になっていてとても美味しい。
でもすぐに消えてしまう。
別な部位を試すと今度は弾力があって切りにくい。
食べてみると手応えの通り、グニグニとした弾力のある噛みごたえが癖になる。噛めば噛むほど中から肉汁が湧き出て、味付けの塩コショウと混じって美味しくなっていく。
他の部位と比べて赤みが強い物は、程よい弾力と脂が入り混じった物で、噛めば簡単に噛みちぎれてなくなっていくが満足感がある。
どれをとってもコリーが言う通り美味しい肉だ。
「美味しい……!」
「だろう?これとこれを一緒に食べてみな、更に美味いぞ」
「おおおお……!」
テンペストは完全に翼竜の肉に夢中になっていた。
コリーは無言で頷きながらひょいひょいと口に入れては飲み込んでいく。
「ヴァルトル……マスター。これに合うワインあるか?」
「ありますよ。ハイランド産の赤ワイン、渋みが強くて赤みが深いのが特徴です。こういった脂の乗った肉料理にはとても良く会いますが、これで居て値段も安い。高ければ良いというものではないです」
「それで良い。高いのは美味いがそれぞれに合わせるってのも大事だからな。お、口の中すっきりするなこれ。いくらでも食べれそうだ」
「でしょう?」
「マスター……私も」
「お嬢ちゃんは……これを。ぶどうジュースでも少し酸味と渋味がある物で、同じような効果がありますよ」
「ホントだ、美味しい……!」
あっという間に1皿を平らげた2人はそのままお代わりしてそれも完食した。
代金は持ち込みということもあって割高ではあったものの、味は確かだ。テンペストが通い続けたのも頷けるというものだ。
「しかし、近日中にここは閉めることにしているんですよ」
「え?なんで?」
「王都は高いんですよねぇ、場所代。最近こっち側に来るお客さんも減ってきたんで、ハンターで稼ぎつつまた別なところに建てようかと」
採算が取れなくなっているようだ。
確かに、美味しいものを出している割には人が少ない。これはいけない。
でも王都を離れるつもりというのであれば……。
「マスター、うちに来る?」
「屋敷での専属ということですか?私は出来るだけ多くの人に味わってもらいたいのですが……」
「違う。私の街」
「あー、テンペストは自分の領地があるんだ。研究者たちを集めたところでカストラという。だから今はテンペストはカストラ男爵ってわけだな。そこに飲食店も誘致してるんだがヴァルトルなら大歓迎だ。ぜひ来てくれ」
「おお、そういうことですか。まだ若いのに凄いですな……。その話、受けたいと思います」
「やった!」
王都から離れることにはなるが、数が少ない飲食店ではまだ肉料理専門店は無く、肉の好きなテンペストはちょっと物足りないと思っていたところに、ヴァルトルがここを離れるという話が舞い込んできたのだ。
引抜しないわけがない。
今にも踊り出しそうなほどに喜んでいるテンペストだった。
次の契約更新時に契約を解除し、そのまま引っ越すということだったのでその時を楽しみに待つことにする。
「いやぁ……マジで美味かった。ヴァルトルあんな特技あったとはなぁ」
「マスターの料理は一級品。間違いない」
「ああ、宮廷料理長でもやって行けそうな気がするぞ。んで……次は写本か?」
「はい、そんなに時間はかからないはずです。先に部屋に戻っていてくれても構いませんよ」
「あーいや、テンペストが写本してるとこ見てみたい。すげぇ早いんだろ?」
図書館からもらった速記ペンは肌身離さず持ち歩いている。
いつでも書こうと思えばかけるように。
「ようこそおいでくださいました、テンペスト様。お久しぶりでございます」
「忙しくてなかなか来れなかったの。何か良い本はありますか?」
「写本用ですね?テンペスト様であれば……こちらの本はいかがでしょう。今日中に終わる量だと思います」
「ウッソだろ!?すげぇページ数あるぞそれ」
コリーの言う通り、結構分厚い本だ。しかしテンペストは引き受ける。
中身はちょっと有名な人の魔道書の様だ。その内容は空間魔法に関するもの。ついでなので全て記憶して練習しよう、と言う程度の軽い感じで引き受けている。
部屋に入って写本が始まるとコリーはもうただただ唖然とするしか無かった。
本をパラパラとものすごい勢いでめくり始めたかと思えば、本を閉じてペンを取り出してそのまま筆記を始める。
その正確さと速さは眼を見張るものがあった。
「なんだこれ。マジでなんだこれ。一字一句間違ってねぇ……」
該当ページを合わせてみれば、全く間違っていないどころか、装飾文字の形なども完璧だ。
むしろテンペストが書いたもののほうが綺麗だ。
行間も揃い、テキストの間も適度に開けられ、ぱっと見てとても気持ちよく読み進められるのだ。
変な笑いしか出てこない。
カリカリと小気味いい音が響く。
その手元にはものすごい勢いで書かれていくページ。
数秒で1ページを描き上げると紙をめくって次のページヘ。
それをノーミスで繰り返しているのだ。
「終わりました」
「マジかよ。マジだよ……テンペストお前あの本の内容全部覚えてるのか?」
「はい。おかげで空間魔法を扱う為のヒントが得られた気がします」
「あ、理解もしてるのな。めっちゃくちゃ羨ましいなその能力……!!」
いつものように提出して検査結果も合格。
当然のように満額報酬をもらった上にボーナスもついて来るのを見て、写本だけでもテンペストは食っていけるなと思うコリーだった。
事実、毎日このペースで書き続けると、通常の写本師の給料の数十倍を1月で稼ぎだしてしまう。
宿に戻り、色々と話しをしながら教えたり、教えられたりと有意義な時間を過ごしていると、テンペストが眠そうにしていたので先に風呂に入れて寝ることにした。
□□□□□□
領地へ戻ってきたテンペストとコリーをニールが出迎える。
居なかった間も研究続きで、帰ってきたところにちょうど2人が戻ったようだ。
「お帰り二人共。なんか収穫あった?」
「ああ、翼竜27匹狩ってきた。まだ肉は残ってるから皆で食おうぜ」
「そんなに!?」
「ライフル使うと馬鹿みたいに倒せるぞ?反則じゃねぇのって思うくらい。あれの仕組みを理解すれば、元々火力はあるからニールも魔法で一撃で飛竜を倒すことくらい出来そうだな」
「テンペストのストーンバレットみたいな感じだね。一点に力を集中させるのって苦手だけど……うん、やってみようかな」
広域魔法が得意というよりは、有り余る力を解放するやり方のほうがやりやすいということなので、実は一点に力を集中させるのは苦手だった。
出来るようになれば炎の槍等を高出力にして敵を貫くことも可能なのだけど、応用をしていないため普通のものしか放っていない。
「後はこの街に料理人を呼びました。とても美味しい肉料理を作ってくれる人です」
「ヴァルトルだ。ニールも名前くらいは聞いたことあるだろ」
「有名人だよ……っていうか、え、料理人やってるの?」
ニールも知っているらしい。
「まあ後は寝るまでずっと話ししてたけど、色々為になったな……俺の雷の力も工夫すればペネトレーターを再現できるらしい」
「まって、寝るまで?同じ部屋に泊まったの?」
「はい。人目を避けるために高級宿を取ったのですが、いい値段だったので一部屋にしました。……何か問題でも?」
「テンペストと……コリーが、同じ部屋に?」
「おい、なんか失礼なこと考えてねぇか?なにもないからな?」
「何もなかったとか逆にテンペストに失礼でしょう!?」
「失礼なのはお前だ馬鹿野郎!」
バコン!と物凄い音を立ててニールの頭にコリーの拳が突き刺さる。
研究疲れもあってかそのまま意識を失ったニールを部屋にぶち込んでまたいつもの日常に戻るのだった。
博士は次の話でたっぷりと。




