第二十五話 悪魔から天使へ
「あら、いらっしゃい。また来てくれたのね」
「私のことを覚えているんですか?」
「もちろん。背嚢買ってってくれた子だし、あなたみたいな可愛い子滅多にいないから覚えやすいですよ。今日は何が見たいですか?」
武器屋に引き続き足を伸ばしたのは魔法具屋だ。
ここでは以前に杖や背嚢を購入していったわけだが、今回はとあるものを加工してもらおうとしていた。
「これをネックレスに加工して欲しいのですが」
「これ……リッチの魔晶石?もしかして暴風の天使テンペストってあなたのこと?」
「暴風の天使……?確かにテンペストは私ですが。暴風のってなんでしょうか?」
「ほら、その人の事を表す二つ名ってやつよ」
称号とは別に、その人のことを表す名前。
二つ名が付けられるということは、それだけ目立った活躍をしたということで、そうそう簡単には名付けられない場合がほとんどだ。
しかしテンペストは宵闇の森でバーストを使用した時に、爆風をよく理解出来ず強力な風の魔法使いであるという認識をされている。
その魔法によって腐地竜3体を吹き飛ばしているのだから十分すぎるほどの活躍を見せている。
そのことからテンペストはあの作戦の参加者から暴風と呼ばれ、更にその可憐な容姿から天使と呼ばれる。それが合わさって暴風の天使というものになったようだ。
テンペストという名も英語で嵐や暴風雨等を表す単語であるため、物凄くぴったりな二つ名となる。
ちなみにニールは「焦熱」、そしてコリーは「雷爪」などと呼ばれている。
ロジャーに関してはその時その時で色々な呼び名があって分からない。
ただ、基本的に二つ名は本当に実力のある人にしか付けられないものなので、それがついている時点で色々と絡まれたりすることは減っていく。はずである。多分。
「まさかあの時の子が二つ名を得るまでになっているなんてねぇ。あ、留め具とチェーンは好きなモノを選んでね。取り付けるための加工するからその間に選んでくれればすぐに出来るから」
切り売りしているもののようで、1センチ単位で長さを選べる。
宝石などを下げる場合のケースの様なアクセサリもあり、それらを色々と見ているとどんどん迷ってしまう。
最終的に魔晶石に合わせた大きさのケースに魔晶石を入れて、色もシルバーで統一した。
黒いケージの中にふわふわと浮かぶようにリッチの魔晶石が収められた形となっているが、そのものの大きさが結構大きめなので首から下げているだけでも大分目立つ。それを鎧の裏になるように仕舞いこんだ。
これで無くすこともないだろう。
「そういえば魔槽というものはありますか?」
「ええ、最近いいのが入ったのよ!無垢なる魔槽っていうんだけどね。天然で取れた大きめの魔槽なの。そして普通のとちょっと違うのは魔力を貯めこむのは同じなんだけども、装備している人に合わせて一緒に成長していくの」
ロジャーの持っていた虹魔晶石の魔槽は魔力を貯める事に特化した物で、最初からその状態で発見されるがとてつもなく貴重なので当然高額だが、この無垢なる魔槽は最初は殆ど役に立たない代わりにとても安く、しかし持ち主に合わせて成長していくという性質から使い方次第では虹魔晶石以上の性能となることも多い。
使えば使うほど成長は早まるため、常に戦いに身を置いているものほど成長が早くなるし、効率も上がっていく。その為成長した無垢なる魔槽は高額で売れるのだった。
当然テンペストは購入することを迷わない。
年齢が低い時期からずっと使い続けていれば、その人に合わせてどんどん成長していく為最終的に自分に合ったものへと変化するのは間違いないのだ。
以前買った増魔の杖に取り付けておこうかと思ったが思い直して鎧に取り付けることにした。
取り付け自体はすぐに済み、代金を支払って店を後にする。
正直残金が心もとない。が、武器のためだから仕方ない。
今回もいい買い物が出来たためかなり満足しながらテンペストは屋敷へと戻る。
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「うぉ?!なんだ、テンペスト鎧新しくしたのか?それに……シックルソード?どんどん物々しい格好になっていくな」
屋敷に帰って最初に出会ったコリーが、やたらと雰囲気の変わった格好になったテンペストを見て驚いていた。
鎧はガントレットとグリーブが一回り大きめになり、ブレストプレートは厳つくなっている。ヘタった革部分も新しくなっているため新調したようにしか見えなかったのも無理は無い。
「この鎧は以前のものと同じです。一部をグレードアップし、ヘタった部品を交換しました」
「ん?……ああ、なるほど胴体周りは確かに同じか。傷だらけだったのが綺麗になったもんだ。それで、その剣は?」
「コリーに剣も教えてもらっているので。斧と剣が合わさったような物ということで、パワードアマー状態での戦闘にも向くと思います。少々変わった形状ということで今までとは違った振り方が必要になると思うので教えてもらえますか?」
「ああいいぞ。と言っても俺も数回しか使ったことがない。だが使い方次第では色々な事が出来るから確かにテンペスト向きかもしれないな」
まずは鞘から抜く練習からだな、と言ってコリーはテンペストから剣を借りてその場で抜き放つ。
特殊な形状をしているが故にまともな鞘では収納ができず、その為瞬時に抜き放つにはある程度慣れが必要となる。
テンペストもある程度はできていたが、何回かに一度は少し引っかかったりして上手く行かない時もあった。特に仕舞うときには余計に難しいので手元を見てしまう。
もう少し練習してと思っていた所で、コリーが見本を見せてくれたおかげでやりやすくなった。
また、振りに関しては先端のほうが重いので、振っている最中にはあまり力がいらないようだ。
上手く重さに振り回されずに、その重さを逃がしつつ滑らかに動くように攻撃を繋げていくという動きをコリーは示してくれた。
常に剣が動き続けており、舞を踊るかのような滑らかさになるのでいつ攻撃が出てくるかが分かりにくい。
「コリーはどんな武器でも使えるのですね」
「前の仲間が教えてくれたりな。ちなみに槍のような柄の長いのは使ったことがないから分からん」
槍という単語で、王都で知り合った煌槍のヴァルトルを思い出した。
「……なんでよだれ出てくるんだよ」
「あ、いえ。槍使いの人がやっているレストランのハンバーグが美味しかったのを思い出しました」
「へぇ、なんて名前なんだ?」
「ヴァルトルという方です」
「ヴァルトル!?煌槍のヴァルトルが?今料理人やってるのか!?」
コリーは知らなかったようだ。
王都に居た時にその店で素晴らしい槍の使い方を見たのを思い出す。
今の自分には決して真似すら出来ないほどの動き。ただ立っている状態から予備動作無しに突然相手の目の前に動くという移動方法だけでも恐ろしいものだろう。
うわーマジかー俺も行って会いてぇ!などと叫んでいるコリーは相当に悔しそうだ。
やはりかなりの有名人で今でも槍では彼に敵わないとまで言われているとか。無論、その活躍を見たことのない世代も多くハンターになっているため、大分その伝説は薄れていっているようだが。
「王都に戻ったらそこ俺も連れてってくれ!」
「はい。是非食べに行きましょう。とっても美味しい料理を作ってくれます」
「……全ッ然想像つかねぇぞ……あの人が料理人とか……。だがテンペストが美味いって言うなら本当に美味いもの作ってるんだな」
実際、テンペストの舌は確かで細かい味の違いが分かる。
一度肉の素材当てをした時には確実に当てたりしてコリーを驚かせたことがあった。その為コリーはテンペストの舌を信用している。
まあ、その為マナの実を食べて悶えているのだろうが。繊細な舌にはあれは辛すぎるだろう。
「それとこれも購入しました。頭部の防具がなかったもので」
「おお、鎧と揃いのやつか。いい感じだな。ただそれつけると上の方からの攻撃見落とす時あるからそれもなれないと駄目だな。あと当然だが後ろは無防備だしな」
「ええ。そこは慣れなければと思っています」
「まあ、頑張れよ。ちゃんと付き合ってやるからな。後でシックルソードと同じ大きさ、同じ重さの木剣を作ってやるからそれで練習だな」
「はい!」
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「さぁ!やっとで仕入れ出来たから今日からまた再開だ!」
そう言ってロジャーが持ってきた物に全員が顔をしかめる。
それを知っている使用人ですら若干眉間にしわが寄っているくらいだった。
ロジャーが取り出したのは……テンペストにとっての悪魔の実、マナの実だった。
このメンツの中で一番テンションが落ちたのは間違いなくテンペストだっただろう。
「こっちで生活するにあたってこれは欠かせないからね。テンペストも大分身体に魔力が馴染んでいるからこれの効果だって上がってきているし。これがあるのって王都の近くの森だからこっちで見つけるのは苦労したよ、とりあえずは一週間分は確保したから残りはまた持ってきて貰う予定だね」
「ニール、それ持ってくる商人の馬車燃やそうぜ」
「それには及びません。私が吹き飛ばします」
「……君らねぇ……。ほら、ニールなんて文句も言わないじゃないか!」
そう言われて確かにと思って見てみると、目を見開いたままで完全に呆けていた。
ショックな事はショックだったらしい。
「……それを平気で食えるのは師匠だけだぞマジで。俺もニールも相当我慢してるんだから……」
「そんなに不味いかなぁ……」
「それは人が食うものではありません!食べ物とは認めません!」
「あの……よろしいでしょうか?」
そんな事を言っていたら話を聞いていたのかシェフが出てきた。
その目線はマナの実に注がれている。
「差し出がましいようですが……こちらの実、私共の方で調理させていただいてもよろしいでしょうか?」
「え?まぁ……別にいいけども。いいの?不味いよ?」
恐らくこの瞬間この場にいるコリー、ニール、テンペストの心の中で一つの突っ込みがあっただろう。
(((不味いって言った!!)))
結局のところロジャーも美味しいとは思っていなかったようだ。当然だろうが。
「恐らくその反応からしてこれを生で食べてらっしゃいますよね」
「ああ、そうだな……。ってまさかこれ生で食うものじゃない、とか?」
「そうですね。もちろん、これの調理法を知っているものは殆ど居ないでしょうから、そもそも食べようとするものも居ませんが。この実は少し手を加えることで普通に食べられるものになりますよ」
「本当ですか!?」
ガタっと椅子を鳴らしてテンペストが食いつく。
今まで糞不味いものを我慢して食べていたのが、普通の料理になるというのであれば……いや、むしろ普通とまではいかなくともせめて我慢せずに食べられる程度の味になれば全く問題ないのだ。
それが今実現しようとしている。
そういうことなら、とロジャーが実を手渡して受け取った料理人が厨房へと入っていくのと見届けると、殺気の篭った6つの目がロジャーに突き刺さる。
冷や汗をかきながらも平静を装い、知らん振りを決め込んだロジャーだったが、暫くして調理されて出てきたその実の変わり果てた姿を見て驚くのだった。
「……凄く、美味しそうです……」
「ああ、確かにあの実の中身を使っているのはわかるが……まず匂いが全然違うぞ」
「ボク、これだったら普通に口に入れられそうです。というか、本当にあの実なんですか?」
「ええ。もちろん単体というわけではないですが。一度茹でてエグみを取り、その後冷水で冷やして薄皮を剥いで中身だけを取り出します。そこに砂糖をまぶしてやればそれだけでも味は大分変わりますよ。そこからゼリーに仕立てたのがこちらです」
実は加熱することで刺激的な味の原因となっていた物質が分解されて、逆に甘みとなり、エグみのあった粘液状の物はお湯に溶け出していく。冷水で一気に冷やすことで味が整って酸味のあるフルーツとして美味しく頂けるまでになるのだ。
そしてそれを使ったフルーツゼリーが今目の前にある。
一人一個分をふんだんに使ったものなので量は多めだが、美味しいならそんなことは問題にならない。
ロジャーですらこの変わりようには唖然としてた。
「では、頂きます」
ロジャーが一口分掬って口に入れるのを全員が見る。
そして目をつぶってゆっくりと口の中で味わって……。
「皆、本当にごめん!」
皆に向かって頭を下げたのだった。
それを見てロジャーに対する怒りも薄れ、皆もそれぞれ自分の前に置かれたものを掬って食べる。
以前は口に入れた瞬間にあらゆる調味料をぶち込んで刺激的にしたような味が口に広がったのに、今はそれが全く無い。むしろ、柑橘系の果物の味そのままだ。少し苦味の強いグレープフルーツと言った感じだが甘みもあるため美味しく食べられる。
エグみのある後味も無く、ゼリーに他のフルーツも混ぜたことでただひたすらに甘くて美味しいものになっていた。
「こんなに……おいしくなるなんて……。ボク達が頑張って食べていたあれは何だったんですかね」
「全くだ。本当にこれあのマナの実かと疑いたくなるレベルだぞこれ」
「でもこれであのつらい日々が無くなるのですね」
「いや、ホントごめん。僕もこれは知らなかったんだ。しかもびっくりすることにね、これ元のよりも効果高くなってるっぽい」
気分的なものとかそういうのではなく、本当に魔力保有量の増え方が違う。
つまり成長が加速する事になる。
ここに来て突然悪魔の実と呼んで恐れていたマナの実が、とても美味しく食べられる様になるなど誰が想像していただろうか。
さらに性能が上がっているとなれば、毎食だけでなく間食に食べてもいいとさえ思っている。
結局全員でその調理法をきちんと教えてもらって、次からは自分達でも作れるようにとしっかりと記憶するのだった。
「それにしてもなぜこれの調理法を?」
「……大分前の事になりますが、やはりこのマナの実を使った料理を何か作れないかと先々代のハーヴィン候から私の父に依頼がありまして。その時に試行錯誤の末に生み出したそうです。好き好んでこれを食べようとする人は殆ど居ませんから、多分私共しかまともに料理としては作れないかと思います」
「まさかこんな身近に解決策があったなんて……」
屋敷ではこれを食べることはまず無かったためにテンペストも知らなかったのは仕方がない。
しかしこれで何の憂いもなく食べられるようになり、全員のテンションは上がっていた。
その後も通常通り食事は続き、ニールの方も一人でも食べられるようになっていたが、フィンガーボウルの使い方を理解出来ておらず、飲みかけるという一幕があったもののコリーに止められて事なきを得たのだった。
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「サイモン様」
「どうした?アルベルト」
「戦争が起きるかもしれないとのことです。ハイランドが直接というわけではないですが、同盟国であるルーベルがミレスに仕掛けるとか。隣国ですし戦力を出せと言ってくるかもしれません」
「ついにか……。ある意味ではミレスの力が見れるのは大きいが、静観しておきたいところだな。まあコチラが何を言った所で王国が判断することだしな……」
「確かにその通りですな。ただまあ……謎のミレスが今どうなっているかというのは純粋に気になる所です」
「どうせそうなれば壁も崩れるだろう。ワイバーンの完成を待たずにどうなっているかが見れればそれで……まて、今ウチの者がルーベルに入ってる頃だろう?」
「左様ですな」
ミレスの偵察のために送り込んだ者達がルーベルで足止めを食う可能性がある。
戦争となれば出入りが出来なくなるだろうし、どうなるかがわからない。
情報を飛ばすことは出来るかもしれないが、それを見られた場合厄介なことになる可能性もある。
「なるようにしかならんか……」
そもそも全方位に喧嘩売っているような国なのだから、いつかはこうなるのは目に見えていた事だ。
ルーベルだけでなく他の隣り合った国家等はハイランドを除いて等しくちょっかいを受けているわけで、面倒だからと放置されていたもののこうなった場合は周りが協力して一気に潰しにかかる可能性は否定出来ない。
が、鹵獲した武器などを見てもテンペストが言う通りそこまでの脅威にはなっていないと言うこと、死者が極端に少ない事。そして戦争になる可能性を承知でこのようなことを繰り返しているあの国はやはり不気味だ。
「せめてあの武器の程度の実力であれば良いのだがな」
「ゲルト様は明日到着ということですから、先にそのライフルというものを急ぎ作ってテストを行いますか?」
「まあ、そうだな。その前にテンペストの武器を仕上げさせてからにしてくれ。恐らくあの子が考えたものは相当に強力だろう。何かが起きた場合……一番頼りになる可能性が高いのはやはりテンペストだ」
どうせ使うことになるんだろうなぁとぼやきながらも、領主としての責任を果たすべく、山のような書類に手を付けていくのだった。
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「そう、ストーンバレットやあの食器を作った時みたいに、完成品の形を思い浮かべながら加工していくんだ」
「はい」
ロジャーとテンペストが2人で鍛冶魔法の練習を行っていた。
現在テンペストが作り出そうとしているのは二種類の金属を使って一つの製品を作り出すこと。
融点の違う2つの金属を同時に扱い、同時に加工していくその過程は単一金属のみの加工の時に比べて相当に難しい。
「……出来ました」
「うん。んー……まだちょっと正確じゃないね。引き抜けないよこれ」
「駄目ですか。意外と難しいのですね」
鉄の筒の中に銅の棒を差し込んだものを作り、それが綺麗に引き抜ければ成功だったのだがどこかで少し歪んでいるのか引き抜けなかった。
手本としてロジャーが作ったものは、精密にピタリと合わさりきちんと抜き差しが出来る。
決してテンペストの寸法精度がずれていたというわけではなく、単純に技術の差だ。
頭できちんと理解はしていても、魔力を使って全てを行う鍛冶魔法ではその経験の差が技術の差として出てきてしまう。
攻撃用の魔法よりも繊細で習得が難しいと言われるのがこの調節が難しいからであった。
ちなみに鋼鉄など合金になるとまた更に難易度が上がる。
ただし、これらをクリアすると、完璧な製品が組み合わさった状態で作れるという利点があるのだ。
通常であれば一つ一つのパーツを作り、それらを組み合わせてようやく完成となるものが、ネジなどの留め具を使わずに一体成型が可能となる。
その為元の世界では不可能な成形も、魔法を使うと出来るのだ。例えば鉄のホイッスルのように、中に球が入っているがつなぎ目がどこにもないなんていうのが普通に出来てしまう。
故障が起きた時にばらせないのが難点になるが、摩耗などはまたその減った部分に素材を追加してやるだけで済むので遥かに効率的だったりする。
クラックなども同じ理由で修復が簡単だ。金属疲労もそのままの状態で元に戻せるという点では一度作ってしまえばそもそもばらす必要が無いとも言える。
「これが上手く行けばストーンバレット用の弾丸を沢山作れるのですが」
「石だと限界があるからね。金属でも硬いものなんかを使えば様々なものを貫けるんだろう?」
「はい。やり方としては宵闇の森で魔晶石を飛ばした時と同じです。私が弾だと認識すれば弾丸として飛ばすことが可能です。ただ石だとあまり重く出来ないので威力が落ちますし命中精度も微妙です」
その場合ストーンバレットではなくなりそうな気もするが。
一応、金属の弾を飛ばすというところまでは実験済みだ。更に回転を加えてジャイロ効果を使い弾道を安定させる方法も試しているので、とりあえず銅の弾を撃ちだすことはできる。しかし貫通力が無いため対人などにしか使えないだろう。
尚、金属の種類自体は結構あるようで、大図書館で調べた限りだと恐らくレアメタルと呼ばれていたものも普通に存在する。
しかも産出量が異常に多かったりするのでなぜかと思ったが、それはダンジョンケイブと呼ばれる不思議な空間のお陰だという。
稀に坑道から繋がったりするこのダンジョンケイブは、天然の洞窟のように見えるが一つの魔物として知られるものだ。
ある程度成長すると魔物を生み出すようになり、広い階層を持ち、そこに様々な植生等を作り出す。
そして更に成長して行くと今度は外に向かってそのダンジョンを成長させていき、やがて坑道や外へと繋がる。
それは外に繋がることでそこから入ってくる人間たちを待ち受けるために……だそうだ。
中で死ぬと遺体が残らないし、装備品などはやがてどこかにひっそりと置かれている。それは魔物も同じで少しの間放置しておくと地面に吸収されていくのだという。生きているものがその場に寝転んでも問題ないが、死んだり切り飛ばされた物だと等しく吸収される。
そして、ダンジョンケイブ最深部へと到達すると光り輝く巨大な魔晶石が存在するのだという。
それを完全な形で手に入れた時、ダンジョンケイブはゆるやかに死を迎え、無制限に湧いていた魔物も、中にあった鉱石も何もかもが有限となり消えていく。
その魔晶石を手に入れたものは、その魔晶石を使って新たなダンジョンケイブを「作り出す」事が出来るとも言われているが今のところそうらしいという場所が一箇所存在するのみで定かではない。
このおかげで重金属と呼ばれるタングステンなども比較的安価に入手できるという。
白金なども魔法金属と呼ばれるオリハルコンなどに比べるとかなり安い。
なのでもし、この技術が上手く扱えるようになった時は専用の弾頭を比較的安価に作り出すことが可能なのだ。
レールガンだけはどうしてもオリハルコンレベルのものを使わないと難しそうだが、ストーンバレットで撃ちだす程度なら問題ない。
そんな夢を実現するために、またロジャーの指導の元でひたすら練習を繰り返していくのだった。
ここに来てまさかのマナの実に調理法が。
そして遅くなりましてすみませんでした。
お盆休み中はもう迎え入れる側なので休めず、結局書き溜めも出来ませんでした!
ちくしょう!
さらに現在17日、台風接近により物凄い雨降ってます。
でもまあ今までのよりは大人しめっぽい……かな?