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第百七十二話 Missing in Action

ちょっと遅れてすみません。

 バハムートが浮いている。

 森の中から空を見たものたち全員が驚愕の目でそれを見ていただろう。


 本来浮くはずのない船が空を飛んでいるのだ。

 3胴船と呼ばれる独特な船底の構造を持っているバハムートのメインハル……つまり中央の船体だが、その後部ハッチなどがある辺りの下が大きく開く。

 そこから現れたのは巨大な砲身だった。砲身の大きさに比べて砲口は小さく見えるが……その破壊力は今までで一番強力なものとなっている。


『砲身内真空処理終了。空間転移砲射出準備完了』


 地上にいる人達へも警告代わりに準備が告げられる。

 すでに洞窟周りは掃討が終わり、多大な被害が出ながらも魔物達の流出は免れた。


『飛翔体、転移開始』


 弾丸となる塊が小型空間転移装置を通ってハイランドの研究所へと繋がる。

 繋がった時点で研究所内のこのエリアは事故防止のために警報が鳴り、室内から全員が退出した後閉鎖される。


 これを作り出した張本人であるクラーラは、まさか使われるとは思っていなかったのだろう、室内で別な工作中に突然警報が鳴り響いて死ぬほど驚いていた訳だが。

 まかり間違って発射に失敗した場合、この発射用の巨大な部屋の周囲は壊滅的な被害をうけることになるのだから当然だ。


 その部屋の中で砲身と繋がった転移装置の中へ差し込まれていく飛翔体。

 後は空間の転移が切断された時に生じる反動によってそれは誰も見たことのないほどの速さで射出される。


『転移接続切断、インパクト』


 発射の瞬間にはもう大地に土煙が上がっていた。

 遅れて来たのは凄まじい衝撃波と轟音。

 そして……。


「え、何!?地震!?」

『あれは広範囲に対して攻撃するために地中深くまで潜り込み、その後爆発などはせずに魔晶石を使って大地を揺らすんですよ!』


 揺れはどんどん大きくなり、ハンドルが取られるようになってゆく。

 先頭を走るサイラスのサーヴァントもだんだん走れなくなっていった。


『この辺なら大丈夫かと思いますが……』


 座り込むようにして近くの木につかまりながらサイラスが言うが、魔導車組はそれどころではない。


「大丈夫じゃない!!大丈夫じゃないよ!!」

『うぉぉ!?身体が跳ねるぞ!!』

「た、助けて……助けてください……立てないんですぅ!!」

「あぁぁ!テンペスト様にもらったお皿がぁぁぁぁ!!」


 激しく上下に揺さぶられている車内では、オルトロスやケルベロスは屋根に激しく頭をぶつけたり、壁にぶつけたりとギアズや兵士たちが必死で頭を守りながらベルトを締めて耐えている。

 エキドナの中などはもっと酷い。

 家具が据え付けてあるエキドナは中に収納してあったものが軒並み吹き飛び、砕け、それらが降り注ぐ。


 ニールはテンペストに覆いかぶさり、テンペストの身体に物が当たらないようにしているが、その代わりに自分が全てかぶっている。

 ニーナとメイは後部でシーツをかぶって2人で身を寄せ合う。

 運転席のウルは座席にしがみついて外の景色を見て固まっていた。


「に、ニール様……後ろ……何が起きているんですか?」

「何?ここじゃ見えないけど……」


 そう言いながらなんとか窓から後ろの方を覗き込むと……。


「え、……なにあれ……」


 もうもうと土煙が上がり、時折激しく吹き出すような動きを見せていた。


『地面が陥没して居るのだと思いますよ、あの下には巨大な地下空間があったわけですから……。この揺れと打ち込んだ時の衝撃などで大分脆くなってますからね……』

『何だと!?ここは大丈夫なのか!!』

『地下空間は向こう側に広がっているので……大丈夫だとは思いますが』


 何か重いものが次々と落ちてゆくような揺れと音も響いている。

 激しい揺れは暫くの間続き、そして唐突に終りを迎える。


「……終わった?」

『完全に機能停止したようですね……』

「ふう……良かった……早くここを離れよう。って……テンペスト!!テンペスト?博士!テンペストが戻ってこないよ!」

『なんだって?……まさか……』


 サイラスがサーヴァントを使ってテンペストの位置を探るが……いつもならばはっきりと示されるテンペスト……マギア・ワイバーンの位置が分からない。

 バハムートへ連絡を取り、倉庫を見てもらっても特にホワイトフェザーもコンラッドも戻ってきては居なかった。


「博士?」

『……ニール、2人の反応が有りません。マギア・ワイバーン自体の反応が全く無いんです』

「え、それどういうこと……?」

『マギア・ワイバーンには、最悪墜落したときなどのために魔力的な信号を出す機能があります。それが有りません。テンペストが向こうにいる間は必ず動かしているはずなのですが……』

「それじゃあ!今の攻撃で生き埋めになったってこと!?」


 ニールの言葉に全員言葉を失う。


『コンラッドとテンペストは合流して奥へと向かいました。コンラッドは元々テンペストと共にワイバーンに乗っていましたし、テンペストはあの兵器の範囲等全て知っています。データは渡しましたからね……。確実に脱出できると考えたからこそ、攻撃を要請したはずです』


 しかし、サイラスにそんな確証なんて無い。

 脱出は不可能と判断したからこそ、自分達を犠牲にして他を助けたという可能性はある。


『……ただ、これははっきり言えますが……マナの流れが止まっています。爆弾は機能を停止したと見て良いでしょう。異変は解決したはずです』


 喜んでも良いのか、そうではないのかまだ良く分からない微妙な空気を引きずりながら一行は森の外へと出る。

 あちこちでひび割れやズレが生じてまともに歩けるような状態ではなかったが、魔法によって道を均しながらなんとか脱出すると……バハムートの巨体がそこにあった。


 □□□□□□


「博士!戻ったか!」

「ええ。コリーはもう動いて大丈夫なんです?」


 疲れてなどが出て寝ていると聞いていたが、何やら首を負傷していたらしいコリーが包帯を巻いて出てきた。

 まあ、実際の所はバハムートが飛び立つ時によろけてぶつけただけだが。

 それでも、自分を支える事が出来ない程度には消耗していたということだ。

 それくらいあの長時間の空中戦は辛いものだった。


「こんな時に寝てられるか……ディノスの野郎を倒す時にも居られなかったし、終いにゃ爆弾壊すのにも出られなかったとは……。ああ、そうだ。エイダ様が今お告げをもらってるところだ、まあ……多分終わったんだと思うぞ」

「ああやっぱりそうですか。これでこの世界は救われたと見て良いんですかね……」

「多分な。あれ?ニールとテンペストはどうした?」


 その場に居ないニールとテンペストをコリーは探すが……。

 何やら辛そうな顔をしたサイラスに不安がよぎる。


「……コンラッドは……バハムートに帰ってきていないということは、帰還していません。同じくテンペストも現在行方不明です。マギア・ワイバーンから恐らくデータは送られてきているはずですから、それを解析してみましょう」

「おい……嘘だろ?あいつら帰ってきてないのか!?」

「ええ、残念ながら……。幸いテンペストの身体は生きています。ニールは……テンペストから離れないんですよ。見ていて本当に辛い……今は2人にしてやって下さい」

「くそ……分かった。だけどよ、俺はあいつらが死んだとは思えねぇ」


 サイラスだって思っていない。

 そもそも、マギア・ワイバーン破壊された場合に恐らく本来ならば強制的にこちら側の身体にテンペストは戻ってくるはずなのだ。

 しかし戻ってこないということは、生存の可能性はある。

 もちろん、マギア・ワイバーンには元々テンペストが宿っていたニューロコンピュータが搭載されているため、それが破壊された時にどうなるかということまでは未知数ではあるが……。


 生きているという前提でまずはデータを確認すべく艦橋へと向かった。


 □□□□□□


 艦橋についたサイラスとコリー、そしてギアズは早速送られたデータを見る。

 まずは戦闘中にもらった物だ。


「……戦闘中はあまりきちんと見ていませんでしたが……この飛竜のいる場所、後ろに空がありますね」

「確かに。俺も艦橋でちらっと見たが……それにしても何なんだこの魔物の数は」

『まあ、これを見せられたからこそ崩落させるという作戦に乗ったのだがな。これが溢れてきたらと思うとゾッとする』

「ええ。私も同じです。こんなものは封じ込めるに限りますよ……」


 あの時、洞窟内での戦いは正直なところ捌き切るので精一杯で、テンペストからの連絡があった時点ですでに残弾が尽きかけていた位だ。

 あの時の判断は正しい。サイラスも魔法を混ぜながら戦っていたが、それでも間に合わないくらいの魔物の群れだ。


 そこに更にあの飛竜が出てきたらもう完全に勝ち目は無くなっていただろう。


 その飛竜がいる場所だが、そこには空が広がっている。

 つまり外の景色が見えているわけなのだが、どう考えてもエフェオデルの景色ではない。

 早朝から進撃して、すでに午後を回ってだんだんに日が傾いてきているとはいえ紫やピンクに近いような光で満たされているなんてことはありえないし、そもそも今日は雲がほとんど出ていなかったのだから分厚い雲に覆われている事もおかしい。


「サイラス博士、準備ができました」

「ああ、ありがとう。……やっぱり最後にデータは残していたようだね」

「よし、見せてくれ!」


 テンペストが送ってきた最後のデータを再生する。


 ー『乗って下さい。爆弾が発動しました』

 ー『なに!?』


「ああ、コンラッドと合流した所からですか。わかりやすくていいですね」

『おお……この狭い所をこんな速さで!とんでもない男だなコンラッドは』

「先がわからん状態でこんなに飛ばせねぇ……、今回は俺じゃなくて良かったかもしれねぇな……」


 映像は続く。

 そして……最後の曲がり角を曲った所で、飛竜が出現するあの場面へと到達した。

 下の方ではマギア・ワイバーンへ向かって攻撃しようとする多数の魔物達、その奥の明るい場所からこちらへゆっくりと歩いてきている巨大な飛竜。

 遠くにいるにも関わらずその大きさがよく分かる。


 コンラッドはこの場所まで歩いて到達していた。

 その先でこの飛竜を発見し、そこが別な世界である可能性を知っていた。


 ー『……ここを崩落させます。あれをこちら側に出してはいけません』

 ー『ああ、同感だ。ここは通さない。……だが爆弾はあいつの奥のほうなのか?』

 ー『はい。このまま突っ込んで爆弾を目指しつつ、あの飛竜の気を引きます。現在地をマーク』


 そしてバハムートへと連絡を取る2人。

 この時点で飛竜と魔物を落盤によって埋める事を決意しているようだった。


 ー『テンペスト、爆弾何処にある?』

 ー『敵の後方約300m程の位置です。そこに魔力の流れる中心があります』

 ー『魔力の流れを消せば止めることが可能か?』

 ー『……可能です。しかしその場合コンラッドは……』

 ー『元から死人だ。ちょっとばかしエクストラステージを生きてる感じだぞ?すでに俺の願いも叶ってるしな……まさかこうやってお前と一緒に楽しく会話ができるとは思ってなかったし、そして何よりも今度こそ世界を救えるって思ったらそれと引き替えにするくらいなんでもねぇよ。お前は全力でジャミングをぶっ放す事に集中してくれ。……あいつも魔力の塊だ、もしかしたら一緒に倒せる可能性もある』

 ー『……分かりました。5秒で発動可能です』

 ー『よし。行くぞ!やれ!テンペスト!』

 ー『ジャミング発動』


 テンペストのジャミングが発動した瞬間、暗転した。

 その効果を考えれば仕方のないことだろう。


「マジかよ。ってことはコンラッドは……」

『儂と同じなのだ、アレを食らったら確実に死ぬだろうな。いや死ぬというよりは元に戻るというべきか?まあ、彼はもう戻ってこない事は確かだろう』

「ジャミングに関しては本気で放ったものと見て良いでしょう。それと同時に爆弾は起動状態が解除されて完全に元の通りになっているはずです。誰かが点検してまた起動しない限りは安全ですが……問題はやはりなぜテンペストが戻ってこないのか、ですね」


 テンペスト達を追ってきた飛竜も恐らくは死ななくとも何かしら影響は受けているはずだ。

 飛竜など、巨体で魔力を使って動いているような魔物は特に影響が大きい。

 そもそも本来ならば飛ぶことも難しいはずの巨体で空を飛ぶということは、魔力を使って空気を制御しているからできるのだ。

 常にそういうことをしていると、身体もそれに慣れてしまっている。

 そこにジャミングを食らわせてやれば、飛ぶ事ができずに墜落するし、自重で大ダメージを喰らうのは確実となる。


 しかし……それをするには自分も無防備にならざるを得ず、マギア・ワイバーンやホワイトフェザーなどを操作している時には完全に操縦不能に陥る。

 かといって生身で近づくには危険過ぎる上に、確実に殺せるかは分からない。

 その為にこの技は罠の解除や、確実に殺し切ることが分かっているアンデッドにのみ使っているのだ。


 だが今回はリスクと犠牲を承知で使った。

 機体との繋がりは強制的に解除され、テンペストは肉体に戻るが、その代わりに相当な負荷を受けて肉体の方もダメージを受けるということはホワイトフェザーで確認済みだ。

 つまり、ジャミングをした場合、自身へのダメージはあるにせよ必ず戻ってきていなければおかしい。


「まず確実なのは……爆弾の停止、飛竜へのダメージ、そしてマギア・ワイバーンの墜落です。まあ、マギア・ワイバーンは地面に落ちてもほぼ原型を保っている程度には頑丈ですからあまり心配はありませんが……」

『ふむ……あれはマナの場を散らして魔法的な動作を全て断ち切るというものだったな。今、一つ嫌な考えが浮かんだのだが……もしかして、その攻撃の際にこちらとあの洞窟内の世界もしくは空間の繋がりが断ち切られたのではないか?』

「待て、って事は……テンペストはその世界に閉じ込められた?ってことか……?」

「可能性は、あります。そしてその場合のテンペストのあり方がどうなるのかは未知数です」

「……ニールになんて言ったら良いんだよ……!」


 テンペストは戻ってこれない。

 身体は生きていても、中身がない状態は変わらないということになる。


 □□□□□□


「ニール様……もう皆行ってしまいましたが……」

「僕はいいよ、ここでテンペストと一緒にいるから。ニーナも、メイも先行ってて」

「いえ、私はニール様と。メイはテンペスト様と共に居ます。……帰ってこられますよね?」

「帰ってくるに決まってるよ……。約束したんだから。テンペストが約束破ったことなんて無いよ」


 ニールはエキドナの中に残り、ずっとテンペストを抱いていた。

 遅れて戻ってくるかもしれないと言って。


 実際のところニールにもテンペストが戻ってこないかもしれないことは想像はついている。

 それでも、ただの仲間などではなくとても大事な人。すぐに諦めるなんてことはできなかった。

 恋をして、告白をして、婚約までしているのだ。

 幸せだったのに、こんなことで失いたくなど無い。


「帰ってくる。……よね?テンペスト。僕のこと置いてかないでよ……戻ってきてよ……」


 鼓動も有る。体温も有る。息だってしている。

 まだ死んでいない。だけどテンペストはここに居ない。


 突然、周りが賑やかになったかと思ったら、生き残りの兵士たちがバハムートに乗ってきたようだ。

 怪我人も多く、かなりの数が引きずられるようにして乗せられている。

 魔導車も相当数失われ、魔導騎兵も無事な姿をしているものは少ない。


 それでも戦いが終わり、安堵の表情をした彼らの足取りは軽い。


「ほら、皆もう帰ってきたよ……」


 しかしテンペストは目を開かない。


 そこにエキドナのドアをノックする音が響いた。

 ニーナがドアを開けてサイラスを招き入れる。


「博士……。まだ、帰ってこないんだよ」

「ニール……」


 流石にサイラスもこの状態のニールに伝えても良いものか戸惑った。

 希望を壊してしまうのではないか。その時ニールはどうなってしまうのか。

 しかし伝えなければならない。


「ニール、テンペストが最後に残した映像を見ました」

「……」

「私達が撤退を開始してから、爆弾を止め、あの飛竜を倒すために洞窟の奥へと侵入し、テンペストがジャミングを放ちました。……アンデッドと同じであるコンラッドはそれによって確実に死亡したと思われます」

「……テンペストは?なんで戻ってこないの?ジャミングを使ったのなら、必ず戻ってきてなきゃおかしいよ」

「そうです。しかし……それができなかった可能性があります。あの洞窟の奥は、私達が島から何処かの世界へと行ったように別世界へとつながっていたと思われます。実際突然外の景色が広がっていましたが、どう考えても私達の想像するような物ではありません。そこに突入し、ジャミングを行ったことで魔力によって繋がっていた空間が閉じたと思われます」


 サイラスの方を向いたニールの口が震えている。


「それって……もう、テンペストは帰ってこない……ってこと?」

「正直なところ、分かりません。実際に空間の繋がりが切れたのかどうかも分かりません。今から掘り出すにも、もう外は暗くなりかけています」

「嘘……嘘だよ、テンペストが戻ってこないなんてありえないよ!」

「私だって信じている!信じているさ……!」


 あまり大声を出さないサイラスの声に、少し驚くニールだったが……流石に最悪の答えを聞いてしまって力を失っている。


「……ごめん、テンペストと二人きりにしてくれる?」

「……分かりました。ニーナ、メイ……2人もこちらへ」

「ニール様……」

「私たちは信じていますから。テンペスト様はきっと、帰ってきます」

「ありがと、メイ……」


 扉が閉じる。


 今までずっと、我慢していた感情が溢れ出す。

 誰も居なくなった車内でニールはテンペストを抱き、泣き続けた。


 □□□□□□


 身体が動かない。

 ゆっくりと覚醒してゆく意識の奥で、誰かが呼ぶ聞こえた気がした。


 周りの状況も何も分からず、自分が今どうなっているのかもわからない。

 マナの存在を掴んだ。

 すぐにそれを利用して魔力を身体に流し込んでいく。


 目を開けると……様々な情報が頭のなかに流れ込んできた。

 身体が動かないのも当然だった、この身体は人の身体ではない。

 マギア・ワイバーンという魔導戦闘機なのだ。


『……状況診断開始……』


 身体がマギア・ワイバーンであるというのならば話は簡単だ。

 意識を神経回路に接続して魔力筋へと繋げていく。そこから全ての場所の異常を調べていく。


 墜落の衝撃によって機体下部に取り付けられたフェイズドアレイレーザー、IRセンサーが死んでいる。

 加えてランスは1本も残っていない。

 レールガンポッドも反応がない。恐らく破損して吹き飛んだのだろう。

 しかし、流石にドワーフの皆が無駄に頑張ってくれた機体なだけは有る。主要な部分はほぼ無事だった。


『……竜騎士、コンラッドの死亡を確認。……お疲れ様です、コンラッド』


 コクピット内部を確認すれば、すでに中身のないコンラッドの抜け殻があった。

 見れば眠っているだけのようにも見えるが、今の彼は作られた人形そのものと言っていい。

 小型版のホワイトフェザーのようなものだ。

 人の肉体を模した人形、その人格であったコンラッドは自分の放ったジャミングによって消滅してしまった。


 そしてふと気がつく。何故自分はマギア・ワイバーンに残っているのか。

 以前のように肉体へと戻らなかったのは何故なのか。


 索敵を復活させると、周りに魔物達が集まっていた。

 同時に出口が消えていることに気がつく。


 テンペストは自身がこの世界に取り残されてしまったということに思い至るには、そう時間はかからなかった。

タイトルは作戦行動中に行方不明になったことを表します。

さて、最終回が近づいてきました。

ある程度納得がいくまで何回も書き直したり消したりと頑張ってます。

是非最後までお付き合いいただければ!

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