第百六十二話 クラーテル到着
ホーマ帝国、クラーテル。
エフェオデルに一番近い街に到着する。
やはり破壊の跡と人の気配は兵士以外にはない。
残っていた兵士達に聞いてみれば、すでに避難していた人達は全員別な場所へと移動済みだという。
ともかく、ここが前線基地となる。
二度に渡り攻撃を受けて壊滅状態となっている街だが、飲料水の確保などに関しては問題がない。
すでに瓦礫はある程度片付けられており、全ての車両を入れる事も特に問題なかった。
此処から先はエフェオデルとなるため、ここで十分に準備を整えて行く必要がある。
これから先、補給が必要になった時にもここを使って行くことになるから、少し整備してからになるだろう。
魔導騎兵があるから作業は楽に進むはずだ。
「橋落ちてるけど良いのこれ?」
「作り直すしか無いでしょう。これだけの装備を一気に渡らせたいですし、土魔法も使って幅を持たせたほうが良いかと思います」
「結構近いし、これくらいなら魔法使ってもなんとかなりそうだもんね。吊橋とかじゃなくてよかったよ……」
吊橋だと重量物を通すには難しいものしか作れないだろう。
エレベーターに使っている太いワイヤ等を使ってやれば、道路を通すことも可能だが……ここにその材料はない。
ニールとテンペスト、その他大勢の魔術師を動員して幅100m程の橋を架ける。
作業が終わる頃には暗くなりかけていたので今日の作業はここまでだ。
流石に頑丈に作ったのでエキドナを上に並べたところで問題ないだろう。
もちろん、壁を作って魔物などの侵入は防ぐようにしてある。
このエフェオデル側の門の直ぐ側に野営地を設定して、すでに車両とテントが綺麗に並んでいる。
特にトレーラーの荷台に立たされていた兵士達は相当疲れが溜まっているだろう。
それでもテキパキと行動しているのは流石だ。
兵士とハンターが混じっているにも関わらず、指示に従い命令をこなしていた。
これはハンターが軍と行動することもあるからの様だ。
ある程度は同じ行動を出来る。
ハイランド等の方ではあまり行われていないので見習う必要があるかもしれない。
原型が残っている屋敷に将軍クラスを入れ、会議を行う。
エフェオデル領内へと侵入した後は突き進むだけだ。
陣形は変えず、およそ3日程でエフェオデルの都市へと到着できる。
中央に位置する大都市は偵察の結果特に何も無いことは分かっているが、小都市の方は2つを除いて全て健在だ。
今までは動きは見られなかったが、偵察を中止している現在、色々と動き出している可能性はある。
まあ、今から動いたところで人が増えるくらいであまり意味はない。
どちらかと言えば向こうが隠している戦力や兵器に関してだ。
すでにサイラスの記憶を全て扱えるようになっているであろうディノス。その動きを考えるとすれば……オリジナルのサイラスの考えが必要だろう。
一時的にサイラスをクラーテルへとマギア・ワイバーンによって移送し、会議は始まる。
「もしも、資源と人材を気にせずにこちらを攻撃するための武器を考えるなら……ですか」
「エフェオデルにはダンジョンケイブがあるかもしれない、と言っていただろう?それにディノスは恐らく帝国に居たときとは違って人を自由に使えるはずだ」
「こちらの戦力は大体分かっているでしょう、どのような武器を使っているか等ですね。しかしそれを使おうにも量産は難しい。弾丸を作るのは精密な操作が必要になります。……であれば、魔法を主体にするかもしれません」
「それは何故だ?」
「魔法であれば魔力を込めるだけで撃ち出せますから」
魔晶石の確保という難しさはあるが、恐らくそれは魔物を操る能力などでクリアできる。
組み上げる物は射出するための装置のみで、これ自体もそれほど強度は要らないだろう。実体弾と違って魔法弾はそういった物理的干渉は筒の先などで生じるため、放った時の衝撃に耐えきれればそれでいい。
構造は極めて単純で、量産自体は難しくない。
連射が効かない問題は数で補えるし、まだまだ手駒が控えていてもおかしくはないためおかしい話でもない。
魔法弾による大砲も当然あるだろう。今までも帝国で作っていたのだ、無いわけがない。
それらを魔導車に乗せて居るのも当然あるだろう。
だが、向こうにテンペストは居ない。
テンペストによる魔力の強制回収というシステム自体は、サイラスがさらに強化したとは言え基本はテンペストが作り上げたものだ。
ニールの研究のお陰で何と何を混ぜれば目的の為に丁度いい素材が出来るかを知ることが出来た。
そこにサイラスは間接的にしか関与していないのだ。
これも時間がかかる事を一生懸命地道に探したニールの功績だ。
マナを魔力に変換する機構を作れていない事を考えれば……間違いなく短期間で魔力が尽きて息切れすることになるだろう。
やはり実体弾は捨てきれない。
では以前作っていたロケットランチャーはどうだろうか。
無誘導のそれは直進しかできないとは言え、高速で狙った場所の周囲を吹き飛ばすことが出来る。
連射されると危険だ。
推進力に魔力を使ったものを使用することで同じことは出来る。
作るだろう。
ライフルは当然使ってくるに違いない。命中精度をどこまで上げているかは分からないが……こちらに関してはある程度きちんとした物を作るのではないだろうか。
恐らく数は少なくとも確実に人を狩る事が出来るスナイパーとして展開するために。
魔鎧兵。これはどれだけ保有しているのかもう分からない。
中に魔物を乗せて動かす等ということはもう現実にやっている。実験は成功しているのだからやらない訳がないだろう。
ただし、鎧を作るところまでの時間はあるかと言えば、難しかっただろう。
その場合、倒すだけなら槍兵が居ればなんとかなる。
「では君達の持っているその……セイカーなどと呼ばれる空を飛ぶ乗り物はどうだ?」
「彼らに作ることは不可能です」
「絶対といいきれると?」
「ええ。これはテンペストの観測などがあればこそ完成できるものでした。今はそのための装置も作ってありますが……。まず何よりも知識だけではこの複雑な装置は作れないということがあります。作り出す職人、飛ばすための制御装置、操縦する人。全てが揃わなければ完成はしません。一番の問題点は制御装置でしょう」
「人が飛ばしているのではないのか?」
「人が飛ばせるように、操縦の難易度を下げるための高度な物が取り付けられているのですよ。人だけでは絶対に飛ばせない」
ルーベルとコーブルクは自分達でも作ろうとして失敗した経験からこの難しさはよく知っているが……ホーマ帝国は知らない。
空を飛ぶということがどれだけ難しいかを知らない。
まして音速を超えるということがどれだけ無茶なことなのか。
コーブルクでは最近ようやくグライダーを作って飛ばすことには成功したようなので、恐らく近いうちに動力付きで試験が始まるだろう。
それでも地球よりも何倍もの速度で開発は進んでいる。
魔法と魔力筋によってかなりの部品が消えるのだから当然ではあるが。
「そうか……そんなにも難しいものなのか」
「機体を作るだけでも時間がかかります。その制御を行うための装置はその何倍もの時間がかかります。動かすための人材を育てるのに更に時間がかかります。そこまでやってようやくあのように空を飛べるようになるのです。逆に、ディノスも作りたくとも作れない、ということです。代わりに飛竜等を活用するなどするでしょう」
「では、魔鎧兵はどうだ?そちらの魔鎧兵は我々のものよりも洗練されているようだ」
「魔鎧兵ではなく、魔導騎兵と呼んでいますがまあ、呼称はいいでしょう……。我々と同じものを作れるかどうかに関して言えば、可能性はあるとだけ。生き物の構造などに理解が深ければ意外と簡単に作り上げることが可能なのです」
「それでは我々も……!」
「ええ、気づきさえすれば意外と簡単に出来ます。ただし欲張ると自らの力によって崩壊しますが」
ミレスで色々と研究して居たのを見ているはずだ。
拷問にも立ち会い、サイラスの時には一緒になっていた。
殺さないように四肢を切り落とす事が出来るのであれば、ある程度は体の構造を知っていると見ていいだろう。
実際、殺さずに長く活かすために何度も実験したことがあるのだろう。
最低限必要なことはきちんと行っていたようだったのだ。
筋肉の配置、その意味、骨の役割、可動範囲などなど。
共通していることは多い。
「ではこちらからだ。帝国はエフェオデルに攻め込んだこともある。大まかな地図を用意したがその道筋と注意するべき場所などはあるか?」
「なんと詳細な……!よくぞこのような地図を……」
「作り方は機密とさせて頂く。それで、以前はどのように進軍したのだ?」
これに関しては大体予想通りという感じだった。
最短距離を行くように進んでいる。が、途中で迂回した場所があった。
「ここには何が?」
「見た目には分からないが沼地だ。重い装備を付けて通る場所ではないし、厄介な魔物もいる」
「なるほど。確かにそれでは魔導車も通れん。罠を張るのに丁度いい場所などは?」
「ここと……このあたりは道幅が狭くなる。地図で見る限りはわかりにくいが、両側が崖になっている場所があってそこは部隊がそのまま通ることは出来ない」
一応テンペストの観測で大体の地形は分かっているが、沼地でも水の反射がなく指摘の場所は分からなかった。
崖は地形的に分かるので良いのだが、その場所は迂回するにも森が邪魔で通れない。
更に大きく迂回すればもっと良い場所はあるものの、今度は時間がかかりすぎるのだ。
「外側を回れば1日は無駄になる。多少危険でもそこを通るしか無いだろう」
「私たちには索敵が得意なものが多いですから、敵に関してはあまり問題はないでしょう。警戒すべきは……地雷です」
「地雷?なんだそれは」
罠を仕掛けるのにちょうどいい所、と聞いてサイラスは真っ先にこれを思いついた。
地雷、もしくはブービートラップだ。
何故かこの辺はコンラッドが得意としているが、これらの恐ろしい所は仕掛けたらその場を見張って無くても良いことにある。
つまり罠をはり、それを動作させる為に人が居なくて良いのだ。
地雷に関して簡単に説明すると、これまで自分達が考えていた罠と全く違う事に驚いていた。
ただ、サイラスは今まで地雷を作ろうとしたことはなかったが、それには管理が面倒ということが有る。
何処に埋めたかをきちんと記録して置かなければ、取り残しが思わぬ事故につながるものだ。
悪用されれば危険な物になるのは当然な上、巻き込まれるのは一般人の可能性もあるため、作らないと決めていたのだ。
「それは……どうやって取り除けば良いのだ?」
「方法がないわけではありません。それに埋まっていても見つけられないこともないですから。それの処理と発見はこちらに任せていただきます」
テンペストが見つけられるはずだ。処理に関しては誘爆を誘うという手と、上から荷重をかけて破壊するという手がある。これもテンペストのブラストでなんとかなるだろう。
サイラスは実用化しなかったが、恐らくディノスならば使うだろう。
なにせ後はなく、私怨で動いているのだ。他の人間がどうなろうと知ったことではないと言うのはあの無差別な攻撃方法でもよく分かる。
そういう輩に人道を期待しても無駄だ。
「当然今までのような罠も仕掛けるでしょう。警戒はしなければなりません。しかしセイカーとマギア・ワイバーンがこちらにはありますので、崖の上からの攻撃は難しいでしょう」
「加えて魔導騎兵隊もな。あれは人では登れないようなところでも力技で登っていける。邪魔な木は切り倒して進むことが出来る。奇襲をかけるにはまずそれらを打倒さねばなるまい」
「ふむ……ではここはどうだろうか。周囲に視界を遮るものはなく、どうしてもこの付近で一度野営をしなければならないだろう」
「飛竜隊とマギア・ワイバーンが周囲を警戒する。魔物の襲撃に備えて魔導車を壁に見立てて隊を囲み、その内側に設営する事で守りを固めれば良いだろう」
起伏が激しい所はエフェオデルには殆ど無い。
大半が平原で、そこに手付かずの森がある感じだ。
隠れるならば森の中だが、そこは魔物の住処でもある。
また、何かあった時に身動きが取りにくい上に、魔導車という小さくはない乗り物を使っているのにわざわざ檻に入るような真似をすることはない。
最終的に、4日後大都市を迂回する形で例の隠蔽がなされていると思われる場所に対して進軍し、遠距離から艦隊による艦砲射撃、そして陸からは大砲とレールガン、そしてランスを放つ。
投下型の爆弾も幾つか搭載して爆撃も行う予定だ。
洞窟の中に立てこもっているとは言え、隠蔽しているということはその周辺に何かしらはあるはずだ。
それを徹底的に破壊する。
その後で結界内に突入して制圧を開始する流れとなった。
サイラスをバハムートへ送り届けた後、コリーが戻ってきた。
「あの場でサイラスは言わなかったが、セイカーの3番機が落とされたらしい」
「え……なんで?凄い高い所に居たはずでしょ?」
「ああ。しかし敵の飛竜に気づかれたそうだ。黒い翼竜は覚えているだろ?あの厄介なブレスを吐く奴だ。あれの飛竜版が居たようでな、そのブレスに巻き込まれて機体の大半が消えたらしい」
「そんな……」
サイラスは余計な不安を与えない為に、このことはまだ陸を行く味方には話さずにおくという決定に従っていたが、テンペストとコリーには話をしたのだ。
全体には黒い飛竜を確認したため接近する時には気を付けるようにという警告だけだ。
コリーからの話を聞いて、一番動揺しているのはセイカーの竜騎士であるラルフだった。
共に出撃した4号機の竜騎士と死んだ竜騎士は仲が良かった事はよく知っている。
「そんな……キアが、死んだ……?グエン……4号機はどうなったのです!」
「無事だそうだ。しかし3号機の消失と共に偵察用ポッドも無くなった。今あるのはマギア・ワイバーン用のものただ一つだけだ」
「偵察の中止、と言うのはそれがあったからでしたか。それであれば私とコリーで偵察に出ますか?敵の情報はやはり欲しいです。こうしている間にもディノスは何をしているか……」
「テンペスト、万が一マギア・ワイバーンが落ちたら絶望的だよ。危険は冒せない……だから博士もハーヴィン候もテンペストに命令を出してないんだ」
そういうニールの目は真剣だ。
今言ったことは実際その通りだが……一番はテンペストを失いたくないということに尽きる。
強制的に繋がりが断ち切られた時の負荷は大きい。
それが破壊された時のものであった場合……ましてや元々テンペストが宿っていた物が消えた場合、どうなるのか見当もつかない。
そのままテンペストという存在が消えるのではないか?
身体が残っても、もうそこにテンペストが居ないとなった時、きっとニールは耐えられないだろう。
「……確かにそうですが……。心配はいりません。攻撃さえしなければ私には姿も、気配も消える例の魔法があります。飛竜と言えど高高度でそれを使われた場合見つけることは困難……いえ、不可能と言っていいでしょう。それと、私にはセイカーよりも高性能な観測機器もあります。更に高い高度からでもある程度は観察可能です」
「でも……。もし見つかったら?」
「……そんときゃ、死ぬ気で逃げてくるさ。ブレスも射程は有限だ。そしてテンペストの……いやマギア・ワイバーンの加速は何よりも早い。天竜には届かなくとも、それ以外の飛竜など目じゃねぇよ。ブレスの予測はテンペストが計算可能だしな」
顔の向きや動きを見て行動予測を立てるのはテンペストの得意技だ。
その機能を使って黒い翼竜の攻撃は躱すことが出来たのだ。あれよりも大きな頭を持つ飛竜ならばそれはもっと容易になる。
「……それに、今向こうは俺達の仲間を落としたことで喜んでるだろうよ。そしてその後偵察が来なくなった事で何か行動を始めてるかも知れねぇ。油断している今なら……」
監視を強めてる可能性はあるが、不可視というのは非常に便利だ。
そしてこれが出来るのはマギア・ワイバーンのみで、他の機体にはその為の魔晶石は付いていない。
地上部隊に同行して護衛するという立場から、今まで偵察は海上の方のセイカーに任せていたが、今となっては強行できるのはマギア・ワイバーンしか無いのだから行くべきだと言うのがテンペストとコリーの意見だった。
結局ニールが折れる形で翌朝から偵察に出ることが決まったのだった。
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「こちらワイバーン。エフェオデル小都市群上空に到達。記録を開始する」
『記録を開始。赤外線スキャン・レーザースキャン開始。指定のコースを飛行して下さい』
「ああ、ここからとりあえず北の港までを詳細にするんだよな?」
『はい。もっと詳しい地形を調べておきたいのです』
小都市群と呼んでいるのは、大都市を囲むように点在する都市の事だ。
それぞれが大都市からほぼ同じ距離で、同じ程度の規模で広がっている。
小都市同士は離れているため馬車を使えばそれなりに時間が掛かるが、何かがあった時に大都市もしくは隣の小都市から援軍を派遣できるような仕組みになっていたのだろう。
それでも、ディノスの電撃的な侵攻にはそのスピードは叶わず、援軍到着前に中央の大都市まで食い破られた。
今までの偵察結果からも大都市と2つの小都市は破壊の跡が見られ、
小都市の方は人の気配は殆ど無い。大都市の方には生活が戻っているようだ。
あまり外に出ている人は居ないが、熱源としてその営みは見えている。
「都市群には異常は見られないな」
『大都市から隠蔽された土地に向けて僅かながら陥没が見られます。ほぼ直線で繋がる為、地下に空洞がある可能性があります』
「見ただけじゃわかんねぇぞ……」
『私のスキャンは植物に覆い隠されたその下の地表面を正確に調べるものです。これは以前のワイバーンから流用した部品のため、セイカーには搭載されていません』
「そんな機能だったのか……。って事は地下通路を作っているかもしれんな。隠蔽された所は一旦後回しにして北側へ向かうぞ」
はっきりと見えるわけではないが、地表面を調べた結果、そこに何箇所も陥没している箇所があった。
不自然に落ち込んだ場所は綺麗に四角く落ちているため凹んだ場所を結んでいくと、例の隠蔽された場所へと続くものだと判明したのだ。
ずっと昔からあったならばそこに地下通路が作られていても何の不思議もない。
つい最近作られたようなものではないのは明らかなのだ。
すぐに隠蔽された場所へと行きたい気持ちはあるが、危険度は高いため先に港の方を見に行くことにした。
そしてそこには……軍艦と見られるものが数隻。
しかし規模からしてそれ以上あるはずの船は見当たらない。
おかしいと思って海岸線を調べていった所、ホーマ帝国とは反対側の大地の裂け目、その近くにある断崖絶壁に隠れるように船があった。恐らく天然の巨大洞窟になっているのだろう。
姿を隠したまま、高度を下げて観察してみれば近くで作業をしている者達の姿も捉えることが出来た。
「今まで見たことがない大砲が積まれているな。あの巨大な杖みたいなのは魔砲台か?」
『新型を開発しているということはこれで明らかになりました。船も金属製の装甲板が新たに取り付けられており、以前よりも強度は上がっていると思われます』
「まあ……船自体は大したことはなさそうだ。武装にだけ気をつけていれば問題ないだろ。よし、次だ。今度は見つけられんように気をつけて行くぞ」
一気に上昇して今度は隠蔽された場所の上空へと向かう。
懸念していたあの飛竜は出てこなかった。
姿を完全に隠せるとは思っていなかったのだろう。
お陰でこちらもゆっくりと観察することが出来た。
まず分かったことは、隠蔽範囲がドーム状に広がっていたこと。
魔導車が出てきた所と、黒い飛竜が出てきた所はその範囲に重なっていた。
中は見通せず、全ての観測結果は結界の外側をなぞっている。
「これだけやっても見えないってか……」
『しかし、一ついい情報もあります。あの結界は物を防いだりするものではありません。境目にある木の枝などは貫通していることから、物理的な干渉は止める能力を持っていないと推測できます』
「ってことは……」
『砲撃可能です』
「いいね、最高の情報だ」
攻撃が通るのであれば、中がどうあれ一斉攻撃で叩き潰した後に陸から兵を入れることが出来る。
可能であればその時に結界の発動装置が破壊できればいいが、恐らく難しいだろう。
それでも先制攻撃が出来るかどうかは重要だ。
周囲の地形データを収集して、帰投した。
いよいよエフェオデル国内へ。




