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鉄の竜騎士 -元AI少女の冒険譚-  作者: 御堂廉
第五章 英雄ディノス編
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第百五十三話 ポートキャス上陸

 美しい白い都は灰色と黒にまみれ、壊滅している。

 特に中央部分への被害が大きかったこと、壁に対しての被害は内部に比べると少ないことなどを考えても航空勢力による打撃を受けたものと思われた。


「記録は取ってるか?テンペスト」

『到着してからずっと記録は取ってあります』

「さっきから気になってるんだが、あのでかい更地は何だ?あんなもの無かっただろう?」

『……爆発によってできたものです。高威力の爆弾が炸裂し、その時に生じた衝撃波を伴う爆風によって周りの建物などが全て吹き飛ばされた結果です。……ここまでの威力のものを開発しているとは……』


 思っていたよりも深刻らしい。

 テンペスト達はあえて威力を抑えたものを開発したりしていたのだが、それでも元いた世界よりはかなり強力な物が作れた。

 基本的に魔晶石を混ぜ込み、魔力によって点火されたものは火薬を同量入れたものよりも威力が大きい事が分かっている。


 当然、大型のものを作ればそれなりに威力は出てしまうのだ。


 しかし……この更地になった場所は地面が抉れて吹き飛んだような跡はない。

 それはつまり、相手は爆風を武器として使う事、そしてその為に有効な方法を知っていることになる。


『更地になっている部分の半径は約600m。半壊などが目立ち始める辺りでも威力は保っているので生存者が居ても重症です。全体的に半径800m程までは効果範囲と見ていいでしょう』

「……それって、サイラス達の世界ではあるのか?一度にそんな広範囲に被害を出すような物が?」

『あります。ただし、使ったら最後もう地上には人が住めないほどの放射性物質……とりあえず毒が撒き散らされると思って下さい。そういうものであれば直径10km程度の範囲が効果範囲内となります』


 ただしそれは爆風のみを考えた結果だ。それ以外の被害が大きい。


「まさか……」

『いえ、放射線は観測されていません。ここで核は使われていないので安心して下さい』

「そ、そうか。なら良い……。こんなもの、何発持ってるんだ……」

『複数なのは確かです。また、他にも持っているでしょう』


 更地になっている箇所は一箇所だけではない。

 それは、大規模な爆弾を複数所持しているという証拠だ。

 これで使い切った訳がない。


 そのまま更に奥へと進み、湖に囲まれた街クラーテルへと向かう。

 予想はしていたが、ここは王都よりも更に酷かった。

 壁はほぼ全てが吹き飛び、全てが廃墟と化している。

 得体の知れない穴がそこかしこに口を開け、ここで壮絶な虐殺があったことは明らかだった。


「……生存者は……」

『感知には引っかかりません。全て魔物の反応だけです』

「そうか……」


 その徹底的なまでの破壊はいつかのミレスを潰した時を思い出させた。

 ……最も、あれは無抵抗の者達は全員連れ出した後の事だったが。


 1棟たりとも建物を残さないとばかりに徹底的に潰してあるのだ。

 そしてそこには大量の魔物達が居るのが見て取れる。あの下には奴らの餌になるものがあるということ。つまり……民家も何もかも一緒くたに民間人ごと潰されているということだ。


「狂ってやがる。死体を魔物に食わせているってことかよ……」

『コリー、あれを。魔鎧兵の残骸です』

「あれも復活させたのか。予想以上に相手の動きがはやいぞ。博士の記憶とやらが定着したのか?」

『可能性はあります。そして一人ではここまでのことは出来ません、誰かを味方につけているはずです。この攻撃の規模からしても大人数が投入されているはずですが……』


 さっきまで見てきた限りホーマ帝国には軍勢が動いているような場所は見られなかった。

 もちろん大半をすっ飛ばしてここに来ているため、決めつけるわけにもいかないが……少なくとも帝都やこの街を占拠して居るというわけではないようだった。


「戻ろう。テンペスト達が言う異変の原因となる物ももう作られている可能性もある」

『上昇開始、全速離脱のコースへ入ります』


 □□□□□□


 テンペストの持ち帰った報告により、少なからず動揺が広がる。

 ある程度は予想していたとはいえ、一気に攻撃方法が変わった。

 今までは英雄と呼ばれ、それなりの行動をしていたようだが……破壊者となってからはその名前の通りの行動を起こしている。


「テンペスト、その更地ですが……中心部で地面が抉れているということはないのですね?」

「はい。明らかに空中爆発をさせた跡です」

「空中爆発?失敗ではないのか……?」


 目標に当たる前に爆発したら意味が無いのでは……というサイモンの意見だが、実際は違う。

 爆風によって目標を破壊するために作られた爆弾の場合、着弾してから爆発させた場合は地面にそのエネルギーを吸収され、大穴を開けてしまいその威力は周りにあまり広がらない。

 その為、ある程度の高度で炸裂させることによってその爆風をまんべんなく広範囲にぶつけるのだ。


「その為の計算などはその爆弾の威力と効果範囲等がわかれば出来ます。まあ、どうやってその高度で炸裂させるかですけども……最も簡単なものは長い棒を先端に取り付けて長さを稼ぐ方法。次に投下する高度を固定して、時間経過によって炸裂させる方法でしょう」

「イメージとしては私のブラストがそれに近いです。私の場合にはそれに指向性をもたせた物となっているため更に一箇所に威力を集中させることが出来ますが」

「それ考えるとテンペストも相当すげぇよな……」

「実はそれも懸念事項なんですよねぇ……」


 サイラスの言う懸念事項というのは、テンペストのことではなく魔法によって同じ現象が起こせることだ。

 つまり、やり方さえわかれば魔法という個人の力によってその現象を引き起こせるのだ。


「ディノスも、それが出来ると?」

「今は無理でも、気がつけば応用は簡単なのです。私も早い内にそれは気が付きましたからあまり時間はないかもしれません」

「要はイメージの問題、そしてそれに見合った代償である魔力……あそこまでの大規模な破壊は無理であっても、小規模なものであれば同じことが出来る可能性は大いにあります」

「何にせよ、爆弾に対する知識などはあると見ていいでしょう。寧ろ問題は……この線や穴ですが。テンペストがもたらしてくれたこの画像によれば、範囲は狭いものの綺麗に切断されているように見えます」


 爆弾よりもある意味危険と思われるのはこの穴や溝だ。

 ハイランド、コーブルク、ルーベルの代表達に聞いても「こんなブレスを吐く飛竜は見たことがない」と口をそろえている。


「これを見る限り……削れているのか?それとも溶けているのか?それが良く分からないのだが」

「私達も近くで観察したわけではありませんので、今は皆さんと同程度の認識ですが……」


 ブレスでない場合は、機械的にもしくは魔法を限定的に使って切り取る方法がある。

 周りに瓦礫はないので機械的に崩したわけではないのは明らかだし、魔法を使うにしてもやるならば城を潰せば早い。わざわざこんなことをする必要が全く無いのだ。


 もう一つレーザーを使ってその部分を蒸発させる方法に関しては、出力の関係などで光学的にも魔法的にも無理がある。


「綺麗に物質を消し去っているのか、蒸発させているのか……何れにせよ、これを食らった場合は消滅の可能性もあると思ったほうが良いでしょう」

「さらっと言ってるけど、博士の言ってる事凄く危険だよね……?ディノスはこれを武器として使ってるってことでしょ?」

「ええ、明らかにここと……このラインは特定の建物に対しての攻撃です。ピンポイントでそこを潰すように放っているということは攻撃対象を明確に指定しているということになります。これを個人が扱えるようになるかどうかは分かりませんが、我々がやっているように新しい魔晶石を生み出すなどするようになった場合……」

「待て、サイラス殿、今魔晶石を新しく生み出すと……?」


 サイラスが懸念事項を説明しようとしたところでルーベルの一人が割り込んでくる。

 少し失敗したという顔をしたサイラスだったが、もう遅い。

 コーブルクとルーベルの面々がどういうことだと目で訴えてきていた。


「……少々口が過ぎましたか。まあ良いでしょう。後ほど情報料は頂きますが……。ええ、そうです。新しい魔晶石の合成です。ある程度制限はありますし、詳しいことはここでは言いたくありませんが……自分の扱える特殊な魔法などを魔晶石に代行させるという使い方ができます。一度作ってしまえば通常の魔晶石と同じように魔力を通じるだけで発動するため、量産が効くという点で脅威です」

「そんなことが可能なのか!」

「何故今まで……」

「何故今まで黙っていたか?そんな事は皆さんのほうが分かっているのでは?」


 憤る者も出て来るが、サイラスはそれを一蹴する。

 当然なことで大きな利益と戦力を生み出すことなど、普通に教えるわけがない。

 今のところサイラスによってのみ生み出すことが出来る技術だが、その情報自体も知られると拉致される可能性なども有るためあまり公にはしたくなかったのだが……。


 もうどうしようもあるまい。


「私の記憶、知識等を持っている人間がもう一人いるわけですから、その方法にたどり着く可能性は皆無ではありません」


 ただし書きが付くが。

 サイラスの場合は仲間が居た。

 テンペストやロジャー、ニールといった優秀な仲間達は知識を掘り下げる、もしくは助言を得たりしているのだ。

 そうした協力があってこそ今の自分がある。


「だからこそ、その対策として我々と情報を共有するべきものではないのか?」


 しかしだからと言ってその知識を持っていない者には納得いくわけではない。

 どうあっても自分達以外の所に技術や知識が偏っている現状、国のトップは納得していても、その下の者達もそうであるとは限らないのだ。

 コーブルクの高官である彼もまた、その一人だ。

 知識を公開しないサイラスに食い下がってきた。


「知識とは一朝一夕に付くものではありませんよ。経験、学習、環境……そういった物のも含めてある時閃きが訪れます」

「……だから何だというのだ?」


 求めている答えが帰って来ずに、少し苛ついているのが分かる。


「可能性は皆無ではない、と言ったのですよ。しかしその可能性は限りなく低いものと考えます」

「何故だ?」

「今の貴方と同じです、途中をすっ飛ばして答えだけを求めようとする」

「バカにしているのか!?」


 サイラスとディノスは違う。

 持っている環境も、支える仲間も全て。

 以前自分が向こうで出来ていたことに関しては、再現できる可能性は非常に高い。

 なぜならそれは経験してきたことと、蓄積した知識、そして閃きによって導かれたものだからだ。


「カッター卿、……そこまでにして欲しい。彼……サイラスはディノスが自力でその答えにたどり着くのは難しいと言っているのだ。物事を解決するにあたって、大事なのは過程にある。答えだけ知っていてもどうやってという途中の知識がなければそれ以上のことは出来ないのだ。……そうだろう?サイラス」

「助かります、ハーヴィン候」


 つまり、この世界に来てディノス……モンク司祭という太った醜い男に叩きつけた知識の奔流。それに刻み込まれた記憶や知識は向こうも使える。

 しかし……その後にサイラスが得ることが出来た知識や結果に関しては、ディノスは何も知らないのだ。


「まあまあ、カッター侯爵。ハイランドにばかりこういった手合が偏っていることに関しては我々も正直な所あまり良くは思っていない。しかしだ、今は世界の危機であると言うではないか。国が消えてはどうにもならんぞ」

「しかしだな、そうは言っても所詮はハイランドだけが言い出したことではないか?大精霊のお告げで判明したと言っているが、そのような危険なものを作ってどうするつもりなのだ?おかしいだろう?自分も消滅するのだぞ!」


 よくよく考えてみればおかしい話ではある。

 全てが消えた世界で彼は何をしようとしているのだろうか。


「カッター卿、落ち着いて欲しい……すまないがサイラス、答えてやってくれ」

「……まず、現実に設備さえ整っていれば私の知っている最悪の物を生み出すことは可能です。そして、その設備自体は魔法によって非常に簡単に再現可能であることは確認済みです。しかし不安定なために暴走し始めると手がつけられなくなる。……つまり、製造過程で事故によって自爆する可能性が一つ。明確な意思を持ってどうにかして完成させて使用し、予想外の結果として崩壊する可能性が一つ。何れにせよ、どのような結果をもたらすかは分かりませんが……」


 極小のブラックホールを出現させ、一瞬で崩壊するそれが放つエネルギーを使った爆弾だ。

 下手をすれば一瞬で崩壊せずにそのままブラックホールが居残る可能性もある。

 そうなるとこの大地だけではなく、星系そのものに影響を及ぼしかねない。


「俄には信じられんが……。本当にそのような結果になるなど……そもそも規模が大きすぎて想像もつかないではないか」

「カッター卿、今までも異変が起きた時には同じように天変地異が起きていました。それは歴史が証明しているのです。そしてそれを止められるのは……」

「彼らだけ、ということだな。止めるための知識があるということだ。ならば我々のすることは何だ?」


 このままであれば確かにテンペスト達が突っ込んでいって、ディノスの企みを阻止すればいいだけだ。

 しかし……ホーマ帝国を相手に一方的な蹂躙をやってのけるまでに成長しているディノスを数名だけで凌ぐのは辛い。


「それに、我々はディノスらしき者達に対してマーカーを付けていました。いわば目印ですね。離れていてもその目印がある人が大体何処にいるか、生きているか死んでいるかなどが分かるのですが……ある時を境にホーマ帝国のマーカーが消失しました。恐らくディノス以外は死んでいるものと思われます」

「……つまり……奴が今何処にいるのかはわからないと?」

「そうなります。故に、情報収集とホーマ帝国の手助けをしつつ敵を排除していくしかありません」

「ホーマ帝国は我々にとっても有益な協力国となる国だ。恩を着せておくというのも悪くはないだろうな」

「む……。まあ、良いだろう。ならば見つけ次第即座に撃滅するのだ、安心して眠れるようにな」


 国に恩を売るというところであっさり引いた。

 文句を言いたかっただけなのかもしれない。

 ホーマ帝国は以前来たところでは非常に豊かな国だった。今はその都市が幾つか陥落しているらしい状態ではあるが。

 救った後にこの大陸の資源などを有利に取引できれば良い。


 特に新しい魔晶石などであれば有り難いくらいだ。


 復興という大事なことが若干抜け落ちていそうだが、自分達にも利益があるのだと思った瞬間これだ。

 だから苦手なんだとサイラスは首を振る。


「では……話が纏まったということでいいな?我々はまず以前停泊したポートキャスの港へと入港する。ホーマ帝国に手を貸すという名目で彼らから依頼を取り付ける。そうすれば合法的に相手を攻撃することが出来る」

「出撃可能となれば、艦隊を動員して逃げた時に使った港へ向かい、もし敵に占拠されているのであればこれを撃退もしくは殲滅する。ただし飛竜などは一切近づける事はできない……これはハイランドに任せるが良いか?」

「問題ない。航空戦力を持っているのは我々だけだからな。その任は引き受けた。……しかしルーベルでは対空用の武器をあれに持たせているだろう?」

「目ざとい……船の長距離砲と対空砲によって陸と空に対しての弾幕ははってやる」

「ならば我らコーブルクは海から攻める。以前のように海の中に魔物が潜んでいないとも限らんからな。ハイランドはうるさいハエを叩き落としていればいい」


 お互いにしかめっ面をしながら話し始める彼らだが、仲がいいのか悪いのか。

 やる気はあるようだが。


 ともかく、港を確保して拠点としながら帝都の状況を探る。

 魔物達との戦闘もあるのでみんなの出番は多くなるだろう。

 上から見る限り、かなりの魔物が入り込んでいたのだ。恐らくは敵国の策略だろうが自分達を消耗せずに相手に効率よくダメージを与えていくという考え方には共感できる。


 船に戻り、それぞれの話が各隊へと伝わる頃には出発の準備は整っていた。


 □□□□□□


 港街ポートキャス。

 どう見ても軍艦である艦隊が近づいてきたことでホーマ帝国側にも動きがあった。

 こちらを塞ぐようにして隊列を組み、無数の砲口が向けられている。新型艦だろう、以前のものを改修して使っているようだ。


 それぞれの国を表す旗を掲げ、一隻の小型艇で代表者を帝国艦隊へと向かわせる。

 暫くして目の前を塞いでいた艦隊は分かれてこちらを囲むように移動しながら港へと案内してくれているようだ。


 そしてまた港へ着いても係留したままで上陸許可が降りたのはそれからしばらくしてからだった。


「この機に乗じて我々が攻めてきたものと思ったようだ」

「助けに来たのに……」

「仕方ありません。見たこともない武装と見た目をした艦隊が突然現れたらそうなるのも当然です。攻撃をされてもあまり文句は言えなかったでしょう」

「まあ、その辺はテンペストの言うとおりだな。向こうにリヴァイアサンを知っている人間が居たから助かったようなものだ。ただなかなか侵略ではないということを信じてもらうことはできなかったがね」


 帝都が壊滅していることは隠しているつもりのようだったが、既に見てきてしまってからだとその努力もかわいそうになってきてしまう。

 とりあえず予想通りにひどい状況となっているのは間違いなかった。

 次から次へとこの大陸の端っこであるポートキャスへと移動してくる難民が後を絶たず、更に彼らを狙ってきた魔物がその後ろをつけて来ているのだ。


 その度にハンターたちがそれらを撃退しつつ、逃げてきた人々を街へと招き入れていた。

 しかし予想以上の人の増え方に食糧事情が追いつかず、駐留している兵たちですらまともな食事をここ最近取っていないという。


「……まずは食糧支援、か」

「俺達の分は心配しなくともいくらでも補給は可能だ。まとまった数のを渡してやれば凌げるだろう」

「バハムートの倉庫に届けるように言っておくよ。他に必要なものはあるの?」

「無い。それ以上は必要ないだろ、何でもかんでも出してやる義理はないんだからな」


 すぐに大量の食糧支援が届き、これによって態度を軟化してくれたようでその後の話し合いはスムーズに行ったという。


 ホーマ帝国の正規軍に関しては、中央の者達の安否は不明。

 ポートキャスと付近の幾つかの街との混成軍でこれから帝都へ救出に向かうつもりだったようだ。

 帝都に行くには陸路を行くよりも、以前脱出に使った港街メールを使うことは決定していたようで、同じことを考えていたこちら側と合わせて、陸路と海路に分かれて魔物を掃討しながら進む事になった。


 既に街の入り口付近には多数の魔導車と魔導三輪も用意されており、移動するつもりだったことは確かな様だ。


「我々は魔導車がありますが……そちらはどうするので?」

「ご心配なく、魔導車に関しては遅れを取ることはありません」


 帝国の兵が速度差が出ることを心配しているようだが……恐らくコーブルク製の物よりも機能的には劣るだろう。

 ディノスの頭の中はミレスの時とあまり変わっていないらしい。

 単純で大量生産は可能だが、速度とトルクを犠牲にしているタイプだ。

 大砲を1門乗せれば精一杯だろう。


 逆にこちらはギアを使って魔導エンジンに負担をかけずにそれらを両立している。

 最大速度になった時に遅れるのはホーマ帝国の物の方だ。


 3カ国それぞれの魔導車が現れていくと、その洗練された見た目と乗せている装備の違いに首を傾げているが……。


「では……コリー、テンペスト、ニール、ギアズ、サイラスは陸路で。エイダ様と私は海路だ。それでいいか?」

「問題ありません。バハムートに居る限り安全ですからお二人には確かにそちらにいてもらったほうがこちらとしても都合がいい。恐らく、陸路は荒れます」

「セイカーを1機借りたいです。2機で上空監視をしていればなにかがあっても大体対処可能となりますので」

「分かった、コンラッドに言っておく。あいつは今忙しくしているからな……」


 最終点検を行ったりそれを指示していて忙しい。

 部下の1人をこちらに回してくれればそれでいいのだが。


「飛竜隊は居るのか?」

「数は少ないが……」


 少しでも航空戦力が居れば心強い。

 ディノスに関しては道すがら聞いていくことにした。



いつの間にか帝国が死にかけに。

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