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鉄の竜騎士 -元AI少女の冒険譚-  作者: 御堂廉
第五章 英雄ディノス編
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第百三十六話 会食

第五回ネット小説大賞一次選考突破しました!

ありがとうございます!


後ノクターンの方を更新しててこっちの更新止まってましたすみません。

「テンペスト、サイラス、よくやってくれたな。今日はその労いの席だと思ってくれ」

「光栄にございます、陛下」


 恭しくテンペストが頭を下げる。

 それに習って皆で頭を下げていたが、許可が出て普通に立つことが出来るようになった。

 大きなテーブルには食器が並び、壁際にはずらりと給仕が並んでいる。

 この光景に少し緊張が強まってきたニールだったが、テンペストがこっそりと手を握ってやったことで少し落ち着いたようだ。


「うむ。マギア・ワイバーンを作り……それを模倣するまでに時間は掛かると思っておったが、意外と早く完成できたのだな」

「全てが手探りの状態でしたが、セイカーの心臓部である制御装置を作るための物、そしてその作るための装置を作る物……と一から全てを作り上げていった結果です。ゴーレム技術を少々強引ながら応用したものとなっております」


 会食が始まり、それぞれの席に料理が並べられていく中、王様の言葉にサイラスが答えていく。


「……あれはゴーレム……なのか?」

「ある意味そうですが……どちらかと言うとゴーレムの集合体を使っているという感じでしょうか。あくまでもゴーレムは多くない命令しか受け入れられませんが、それを束ねることによってまるで人のように考えて状況判断を出来るようにしたのです。既にゴーレムというくくりからは外れている存在と言えるでしょう」


 性能の低い物をたくさん集めて処理させる。

 上手く行ったそばからその新しいものをまた作って処理能力の向上を図っていったのだ。

 その結果、テンペストのニューロコンピュータに届かないまでも、それなりに学習能力のあるものが出来た。

 言うなれば何度も繰り返し使い込むことによって、徐々に最適化が進むという人に近いものが出来ているのだ。

 言葉も喋れなければ勝手に動くことも出来ないが、その性能自体には問題はない。


「よくぞまぁそのようなとんでもない事を思いつくものだ!おお、セイカーといえば今日の模擬戦は素晴らしかったぞ、コンラッド。ナイトレイの操るマギア・ワイバーンにあそこまで迫れるものなのか」

「ありがとうございます。……しかし……あれはセイカーは全力でしたが、ワイバーンは余力をまだまだ残しております。とてもではないですがワイバーンの全力には敵わないでしょう」

「そうなのか?我々から見ればどちらも凄まじい戦闘力であるのは分かるが……」

「限られた空間、限られた速度、限られた武装でのみ戦っています。向こうが本気で攻撃すれば……セイカーは相手を補足する前に墜ちるでしょう」

「それは……真か?テンペスト」

「はい。セイカーもこちらと同じような武装を載せることは出来ますが、索敵範囲が全く違います。私ならばセイカーの索敵範囲外から一方的に攻撃をすることが出来るのです。加えて、性能を落として作ったセイカーは私を追いかけることが出来ません」


 詳細なスペック自体は王様は知らない。

 模擬戦を見て同等のものを手に入れたと思ったかもしれないが、実際は逆だ。


「では、粗悪品を寄越した、ということではないのか?」

「いいえ。……これは人族でも動かせることが条件としてあったために行った対策です。加速すると座面に身体が押し付けられますが、これによって人は自分の何倍もの体重になった状態に陥ります。その時、失神したりすると即座に墜落してもおかしくないのです。ワイバーンは急加速で中に居る竜騎士を殺すことも可能なのです。……例え、それがコリーであっても。人族の何倍も強靭な体を持つ獣人族であってもそうですから、人族ならばその何分の一かで即死する可能性があるのです」

「……恐ろしいな、それは。なるほど人族が乗れないものを作っても仕方ないか……やはりワイバーンの量産は無理か」


 機体は作れるがそれを制御するためのプログラムと、操れる人が必要だ。

 やるとするならばギアズやコリーのようにそもそも人の身体ではない事が条件となってしまう。

 テンペストが居るからこそ、コリーは安全に操れるのだ。


 残念そうにしている王様だが、正直なところ飛竜と渡り合えるだけの戦力が手に入った時点で相当なものなのだ。

 現状不可能なものをいつまでも追い回していても意味がない。


「性能が落ちるとはいえ安全のため。竜騎士が死んでは元も子もないか……。しかし、お陰で我が国はこの大陸一の軍事力を持つことが出来た」


 これに関しては間違いないだろう。

 ミレスの持っていた魔鎧兵を改良して魔導騎兵を作り上げ、ついにはセイカーを手に入れて大空を制することが出来たのだ。

 地上は魔導騎兵とオルトロスがあり、それはセイカーが守る。

 他国に関しては友好国にのみ技術だけを教え後はその国で作らせているので、作ることの出来ない部分だけは売りつけて収入にもなっている。

 現在はオルトロスと魔導騎兵に関する一部を渡したので、それぞれの国でも様々な試行錯誤をして自分達に最適な物を作り上げるだろう。

 それでも、内容を熟知している上に空を取ることが出来るハイランドは一歩先を行くことになる。


「後は海だが……サイラス?」

「つい先日、完成いたしました。リヴァイアサンとは比べ物にならない物であると自負しております」

「それは良い!あの土地をお前にやった甲斐があるというものだ。塩や魚介の輸入量を減らすことができそうなのもな。流通は改善し、輸出入に関しても相当な期間短縮が叶っているのだ。後は海だけ、海だけで全ての場所で優位に立つことが出来るだろう」


 で、いつ見られる?と言われたわけだが、王様次第だろう。

 暇ができた時にワイバーンとセイカーに乗せて連れて行くことになる。

 ……無理矢理にでも暇を作って出かけそうでは有るが。


「まあ、それはおいおいとして……。神子から気になる話も出てきている」

「エイダ様からですか?」

「うむ。なんでも彼の地で何かが起きようとしているようだ」


 この話は昨日の夜に入った報告だ。テンペスト達も何も聞いていない。

 エイダから、大精霊からの言葉が聞けたという話があった。

『影が溢れる。争いが起こる。英雄は地に堕ち全てを憎む』

 という内容だそうだ。


「……英雄……ってディノスの事か。奴は元々ハイランドだけでなく他の国も憎んでいるはずだ」

「コリーの言う通り、司祭は我々を憎んでいるはずです。今更のような気もしますが……いや、向こうで起きる何かが原因でまた栄光の座から落ちるということ……ですかね?」


 断定は出来ないものの、サイラスの説はありそうな話だ。

 英雄が全てを破壊する存在になるとすれば、周りが全て敵になったときだろう。


「じゃあ、元から僕達を消そうとしていたけど、更に憎しみが増して全世界を敵に回そうって言うこと……?」

「不可能ではないかもしれないというのが頭の痛い所です。……影が溢れるとはどういう意味なのでしょうか?何かの比喩表現ですか?」

「やはり分からないか。こちらでも考えてみたが結論は出なかった。何かしらの厄災が起きるのか……英雄が堕ちると言うのは似たような結論だ」


 何かが起きて、それに関しての争いが起きて……そこでディノスが英雄の座から落ちる。

 正直なところさっぱり分からないが、流れだけは分かる。

 ただ、これがいつ起きることなのかが分からない。

 これまでの事からかなり近い時期に起きる可能性が高い。


「しかし……お告げが出たということは、時間があまりないのではないか?」

「はい、コンラッドの言う通りでしょう。なるべく早くホーマ帝国まで行く必要がありそうです」

「前回脱出する時にやらかしているからなぁ……警戒されて無ければいいが」


 ホーマ帝国から脱出する時、海戦をやらかしたわけで……。その情報が皇帝の耳に入った場合警戒されても仕方ないだろう。

 下手をすれば敵の可能性もあるということで近寄ることも出来なくなるかもしれない。


「お主らどれだけ暴れてきたのだ……」

「敵船団を殲滅しました。私達の情報を持ち帰らせるわけには行かなかったですし、何よりも敵船団は魔物を放ってきました。ホーマ帝国の船を破壊され、私達だけがその後反撃して帰還した場合信用を失いかねないと判断したものです」

「ふむ。まあ……なるようにしかなるまい。もし出来るのであれば、飛んで見てくるというのは出来ないのか?」


 出来ないことはないが……移動距離が長すぎてコリーへの負担が大きい。

 常に負荷がかかった状態で飛び続けるというのは難しいだろう。

 かと言ってテンペストだけで飛ぶと、残していく身体が栄養を取れずに危険に陥る。


「……分かった。では近いうちにどうするかを決定する。後ほど通達するので協力をしてもらうぞ」


 言うまでもなく協力する。

 しなかった場合は消滅するかもしれないのだから。


 □□□□□□


「テンペスト、よくああいう話をしながら食べれるね……?」

「羞恥心が無いと指摘されていたように、私は特に誰と話をしていても緊張するということはありません」

「うわー……すっごく羨ましい……。まあ、美味しいのいっぱい食べられたから良いかな?あの時の食事も取り分けてもらった分があるから後で食べよっと」


 屋敷へとやっと帰ってきたのは大分暗くなってからだった。

 窮屈な服を脱いで締め付けの少ない楽な服へと変える。

 思いっきり息を吸い込んで深呼吸をすればようやく家に帰ってきたという実感が湧いた。


 あの後も色々と話をしながら会食が続いたわけだが、お腹が空いていたニールは出されたものを小さな身体に全て収めていた。


「それにしても……エイダ様のお告げ、どう思う?」

「最初のお告げから既に時間が経っています。それから考えれば異変の最終段階に近づいている感じはします」

「うん……。それでどうするの?」

「国王が軍を編成するはずです。私達はいつも通りですね。後はサイラスの作った船で出発するという形になりますが……恐らく他の国との混成になるかと思いますが、今回は船やこちらの装備を隠す必要がありません」


 どうせホーマ帝国にも装備自体はバレたのだ。

 こちらが未知の戦力を持っていることはもう隠す必要はない。


 軍を編成したらそれぞれを新造艦へ移動して、リヴァイアサンと共に移動することになるだろう。

 まだテンペストも新造艦のスペックは聞いていないが、大きさ的にはリヴァイアサンより少し大きく、三胴船になっているということは聞いている。


 通常、普通の人が考える船は木の葉型のものだろう。竜骨を支えとしてそこから船の胴を作っていくものなど作り方は様々ああるとしてもそういったものは単胴船と呼ぶ。

 それを2つ横に並べて、上に橋渡ししたような形の物を双胴船。

 3つ並べば三胴船だ。


 単胴船の左右にフロートが付いたものなどが南の観光地などであったりするが、あれも三胴船の一種だ。

 横方向への揺れが軽減され、甲板を広く取ることが出来るため積載量は増えるが……その分巨大化するので当然被弾率が上がる。

 欠点を補う何かをしているとは思うものの、まだそこは分かっていない。

 もしもひっくり返ったら復元不可能というのも双胴船や三胴船の特徴だ。

 また、大きな波などに乗り上げた場合、ねじれが起きて壊れる可能性もある……が、そこは恐らく魔法金属や補強の魔法によって解決しているだろう。


「全然形が想像つかないんだけど」

「貨物船などで採用されていることもあったようですが。詳しいことは分かりません」


 どうせサイラスのことだからロマンと言いだすに違いない。

 どの道、性能だけは間違いないだろうからあまり気にすることもないだろう。


「分からないことを考えていても仕方ありません、軍の編成と用意には時間がかかります。こちらはこちらで用意を進めましょう」

「そうだね。……とりあえず、寝ようか……」


 □□□□□□


 2日後、突然王城に呼び出されて行ってみれば……。


「おお、来たか。では視察に行くぞ」

「視察……ですか?目的地は何処でしょうか」

「何を言っておる、ダラム子爵領だ。新造艦を見に行くと言っていたではないか」

「ハイランドに船が出来るなんて、楽しみです!」


 まさか、新造艦が見たいがために早く予定を開けたのだろうか。

 王子と王女も一緒だ。

 観光になっていないだろうかと勘ぐってしまう。


 が、荷物に何やらどう考えても遊ぶための物が入っているのが見えた。

 明らかに遊びに行くつもりだ。


「では主人をよろしくお願いしますわね、テンペスト、コリー」

「はい。お任せください」

「は、命に変えましてもお守りいたします」


 女王は完全に留守にするわけにも行かないという事で居残りだ。


 そのまま王城から王都の滑走路まで逆戻りだ。

 魔導車での移動だから気になることはないが、後ろからついてきている王様達はエキドナに乗っている。

 ……活用してもらって居るようで何よりだ。

 それにしても、ニールも連れてきているためにポッドを付けてきたのが幸いしたが、何をするのかを事前に言ってもらいたいところだ。

 お陰でニールが国王や王子、王女とその付き人等と一緒に乗ることになって死ぬほど緊張している。


「……まさか今日行くなんて言うとは思わんよな?」

『予想していませんでした。何かが起きたものだとばかり』

『こちらウィザードリーダー。ワイバーン、聞こえるか?』

「良好だ、ウィザードリーダー。コンラッド……お前も巻き込まれたか」

『俺も今日の朝になって突然言われたんだ。ポッドを取り付けられていたからなんとなく察してはいたがな』


 他の護衛達はコンラッドのセイカーに乗っていくらしい。

 今日の朝早くにサイラスの新しい船を見に行く事に決めて、さっさと準備を進めていたらしい。

 どうしょうもなくなり、コンラッドとテンペスト達に連絡が行った。

 コリーは少し休もうと思った矢先のことだったので少し凹んでいたが。


「さて、こちらは全員席についたぞ」

『固定具の使用を確認、問題ありません』

『こっちは今武器の固定を……あ、終わったな。いつでもいけるぞ、そちらに追従する。頼んだぞエアフォースワン』

「なんだそりゃ……」

『私達の国で大統領……つまり国で一番上の立場の人が乗る空軍機を指すコールサインです。国王が搭乗しているので間違ってはいませんね』

「ああ、なるほど。さて……こちらエアフォースワン、離陸する」


 レビテーションが起動してマギア・ワイバーン、セイカーの両機がゆっくりと上昇を開始し、王都のあるカルデラの外へと移動する。


『亜音速に移行します』


 流石に一般人が乗っている状態で急加速は出来ないし、あまり速度を出す事も戸惑われる。

 レビテーションによる加速から魔導エンジンでの加速に変わり、身体にGがかかり始め機体はどんどん加速していく。


『警告。飛竜を探知。コースを変更してください』

「了解」


 テンペスト達が王都付近に近寄ってくる飛竜を仕留めてはいるが……まだまだハイランドには飛竜が多い。

 今回こちらは武装はしているものの、国王を乗せているのだから交戦は出来るだけ避けたいのだ。


 僅かにコースを変えてサイラスの領地へ向かって2機は飛んでゆく。


 □□□□□□


「ほほう……これはなかなかおもしろい乗り物ではないか」

「私怖いです……!」

「そ、空を飛んでる……!」


 後部のポッドの中では外の景色を見ながら国王は楽しんでいた。

 が、ウィリアム王子とオリヴィア王女はどちらも固まっている。今まで空を飛んだことがない人が、地に足がつかない状態になると不安感と恐怖感に襲われても仕方ないだろう。

 寧ろ、国王が楽しそうなのが少しおかしいのだ。


 しかしそんな顔も加速が始まると段々真顔へと戻っていった。

 レビテーションによる加速は緩やかに速度が上がっていくのだが……その速度は今まで体験したことのないものなのだ。

 少しずつシートに身体が押し付けられていく感覚を感じ、次の瞬間魔導エンジンへの点火で一気に身体が重くなる。

 安定飛行に入るとその重圧からは解放されたが、それでも2日前の会食の時に自分が言った言葉を反省せざるを得ないと考えさせるには十分だった。


「ニールよ、先程の加速は……どれほどのものなのだ?」

「は、はい!えー……っと、マギア・ワイバーンは最初から思いっきり吹かせばあっという間に音の速度を超えます。でも、そうすると僕を含め訓練を受けていない人たちはさっきの加速の何倍もの重圧を感じるんです。それを避けるためにコリーはとてもゆっくりと加速してくれました。今の速度は……独特の揺れが無かったので音の速度すら超えていないです」

「その音の速度がどういうものかは分からんが……なるほど、かなりゆっくりと飛んでもらっているということか」

「はい。あ、でも安全のためであって……」

「よい、分かっている。……あの時は粗悪品などという言葉を使ってしまって本当に後悔している所だ」

「いえ……ただ話を聞かされただけではそう思われても仕方ありませんから……」


 これは体験してみないとわからないところでもあるのだ。

 加速すると慣性によってその場にとどまろうとする身体と、先に進もうとする乗り物の力のせめぎ合いで身体に負荷が発生するが、これは暴走した馬車の急発進くらいでもなければなかなか体験することが出来ないだろう。

 魔導車が出来てからはある程度感じるだろうが、座席に座ってゆっくりと加速している程度であればやはり感じることはまず無い。


 やがて、高山が切れて海が見える。

 その下に広がる平原に今はまだ少数の建物しか建っていないサイラスの街があった。


 □□□□□□


「事前に教えていただければ迎えを出しましたものを」

「今日突然来ることにしたのだ、気にするな。何もなかったはずのこの場所に、またこうして街ができるとは……。想像もしていなかった」

「以前、ここに街があった痕跡はありました。既に風化して瓦礫になっていましたが。何とかしてこの地を開発しようとしたのだろうという努力の跡が伺えました」


 ぱっと見た感じには分かりにくかったが、長い間ほったらかしにされて土台だけになったものなどが見受けられたのだ。

 それら一切合財を均して綺麗に整え直したのはサイラス達なのだが。


「では新造艦、『バハムート』へご案内いたします。……正直この街ではまだ王族の方々を受け入れられるような設備が整っているのがバハムートしかありませんので」


 街で唯一の居住用とは思えない建物。

 そこへ入ってエレベーターを使って下へと降りていく。

 歯車の音が響きゆっくりと降った先には巨大な壁があった。


 いや、壁ではない。巨大な船体だ。

 まだ水に浮かべていないので、下の方まで露出している。リヴァイアサンも水から上げればこのような感じではあるが、あまり見ることのない光景だろう。

 そこから後部へ回って広い格納庫へ続くハッチから中へ入る。


「ようこそバハムートへ。これからドックへ注水を開始し、海へと出ます。それまで時間が掛かりますので船内を簡単にご案内いたしましょう」

「広い……」

「これくらい広かったら……セイカーなんかもそのまま入るな」

「はい。コンラッドには馴染み深いでしょう、そこのエレベーターから甲板に出てそのまま離陸することが出来ます」

「完全に空母じゃねぇか」


 コンラッドが突っこむ中、王子と王女は少し殺風景ながらもかなりの広さを持つ格納庫を見回している。

 いたるところに固定用のフックなどが取り付けられ、荷物などをしっかりと止めておけるし、セイカーや魔導騎兵などの大型兵器なども固定可能だ。


「この船は見ての通り、かなりの物量を収めることが出来ます。兵士達に関しては……こちらの部屋で休むことも可能です」

「ほほう、少々手狭ではあるがそれなりのものだな。これならば疲れを癒やすこともできよう」

「ええ、大浴場、治療施設などもありますのでここに戻ってさえ来れば何とかなるでしょう。もちろん交換用の部品なども積んでいけますし、最悪の場合取り寄せることも可能ですので」


 さらに奥へと進み、上へと上る階段を上っていけばそこからは雰囲気が変わった。


「こちらは貴族など身分の高いものが使うエリアとなります。部屋はあまり大きくはありませんし、調度品の類は置いてありませんが……戦闘用の船であるという事でご容赦願いたい所です。王族を迎えたときに、専用の部屋がないのは流石に失礼だろうということで、この上に皆様の部屋もご用意しております」


 さらに上のフロアへ行くと……。高価な調度品などは無いものの、城の中の様な彫刻が施された廻り縁や綺麗な壁が使われていた。

 動くものは置いておらず、少しばかり殺風景に思えるが……揺れる船の中で調度品を置けばどうなるかなどは想像に難くない。


 多少手狭ながらもしっかりとした作りをしたその場所に国王達一行も満足げだった。

ニール「胃が痛い」


活動報告と前書きでも報告の通り、一次選考に選ばれたようです。

本当に信じられない……。

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