第百二十九話 アラクネ
まだ少し更新に日数開きそう……
「ニール、……お願いします」
「おいで、テンペスト」
テンペストがめっちゃ可愛くなってる。
あの変なおっさんを倒して、僕とテンペストがキスをしてからと言うもの……こうしてテンペストがおねだりすることを覚えた。
当然断れる訳もなく……。
ただ、人前でもやろうとするのが危険だ。
流石にここはびしっと注意をしなければならない。
柔らかい唇から口を話して、ポーッとした表情をしているテンペストを見る。
「テンペスト、これからキスをする時はひと目を気にするようにしてね?」
「何故ですか?」
「夫婦であっても、人の目がある所では普通やらないんだよ」
「ではして欲しくなったらどうすれば……」
「我慢して……え、何でそんな悲しそうな顔するの」
我慢してほしいと言ったら絶望的な顔していた。
何でそんなに……。
「心地よくてとても気持ちが良いのですが……。駄目なのですか?」
「分かるけど……でも、これも裸と同じようにあまり人に見せるものじゃないんだ」
「あんなに気持ちのいいことを我慢しなければならないとは……。ままならないものですね。でも2人の時ならば良いのですね?」
「あ、それなら大丈夫。なるべく外では我慢してもらうけど、そのかわり2人きりのときなんかは良いから」
「分かりました。私ももう少し勉強しておきます」
「う、うん?そう、だね」
物分りが良いのは助かるけど、2人になったらどうなるんだろう。
まあ、そういう所を勉強してくれるならそれに越したことはない。
□□□□□□
その日の夕方、二人きりになった瞬間に押し倒された。
ぎゅっと抱きついてキスをせがむ。
とりあえず落ち着くまではやらせておいたわけだが、すっごかった。
今日は舌まで入ってきた。何処で覚えて来たのか問い詰めたい。お礼言いに行きたい。
「て、テンペスト?なんか今日はすっごい積極的……うむっ」
「愛する人とのキスはこうするものだと。どうでしたか?」
「……正直すごく嬉しかったです」
「それは良かったです。勉強した甲斐がありました」
「勉強?」
もう誰かに聞いてきたのかな?と思ったら一冊の本を持ってきた。
『愛の交歓指南書』……ってこれ夜の情事のための本じゃないか!
勉強ってまさかこれ……。
しかも下手だけど絵も書いてて妙に詳しく載ってる。
「これで恋人との最高の夜を過ごすための知識は得ました。先程のものもとても気持が良かったですし、とても嬉しかったです。最初の章でこれですから次の章にも期待が持てそうです」
「……ちなみに、その次の章の題名は?」
「第2章、お互いを高めるための愛撫の仕方と」
「それダメ!そっから先はダメだよテンペスト!」
愛撫て。
マッサージとは違ったお互いの気持ちいい所を刺激し合うそれの方だ。
此処から先はまだテンペストには早い。
「しかし……お互いで愛撫し合うことでとても気持ちよくなれるとありますが」
「そうだけど……そうだけど、それは色んな意味でヤバイんだってば!」
「ニール、ヤバイでは分かりません」
「う……その章、読んだよね?」
「全て読み終わっていますが……」
そうだよね、テンペスト読むのめっちゃくちゃ早いもんね。しかも忘れてくれないもんね。
とりあえずなんとかエロい方向へと直行していこうとするテンペストをなだめて行く。
そりゃそういうのは凄く嬉しいし、僕としてもしてほしいのはやまやまなんだけど……。そういうのはまだ数年早いのだ。手遅れな気はするけど。
「実際に行為を行わなくとも、ニールの為に頑張れそうだったのですが」
「嬉しいんだけど……それはほら、プロに任せて、ね?」
「私では駄目なのですか?」
「逆。テンペストのほうが良いけど年齢的にまずいの」
「そうなのですか……。いい方法が分かったと思ったのですが」
良いのはキスと抱きつくところまでということにして、それ以外はその時が来るまでの我慢という事で納得してもらうのだった。
「オイルマッサージの時に触れるのは良いのですよね?」
「むしろ何でそこまで触りたがるの?」
「自分にはない器官ですから色々と気になるのです。それに挿絵のためにも詳しく見ておきたいので……」
「挿絵!?」
「はい。先程の本もそうでしたが、基本的に描かれているものは稚拙で分かりにくいです。その為私が新しく書き直しているのですが、身近にいる異性で見せてくれるのはニールしか居ませんので」
衝撃の事実だった。
いつの間にか観察されたりしていただけでなく絵のモデルとして使われていた。
肖像権とは何だったのか。まあ、そんなものはないのだけど。
しかも既に別な本を写本する時に使われて世に出てしまっているらしい。
「何してくれてるの!?」
「大丈夫です。顔は書いていませんし、おかげでとてもわかり易く絵をかけました」
「顔よりも隠しておきたいものがバッチリ書かれてるんだけど」
「ニールの名前も出していませんので、誰のものかなど分かりません」
そういう問題じゃないんだ。
僕が僕のものであると認識できちゃうのが問題なんだ。すんごく恥ずかしいんだけど!
しかもすでに世に出ている本は、医学書で……内臓関連こそ僕のものではないけど、あれの部分だけは僕のものになっているそうだ。
……って、内臓とかなんで……。
「医者が弟子に手術方法を教えている所へ行き、直接見てきたものなので正確なはずです。男女共に見せてもらえたのでかなりの精度のものが出来たと自負しています」
「僕の使わないでそっちの全部使えばよかったじゃない……」
「……何故でしょう、ニールのものに比べると魅力がなかったもので」
「魅力って」
「しかしおかげで人体構造には相当理解が深まりました。骨格と内臓、筋肉、血管等などかなり勉強になりましたので今後怪我をしたり病気になってもある程度は治せるはずです」
それはそれで良かったのかもしれない。
でもあの指南書は没収だ。既に手遅れだけど。
僕の限界に関しても少し緩和されそうで何よりだ。マッサージだけは断固として譲ってくれなかったけど。
まあ……今はまだキスだけでも十分過ぎるご褒美だし。
「所で、コンラッドのことですが」
「ああ、あのうるさい人?」
「あれはパニックになっていたからだとは思いますが……私の知る限り私語は多いですがそこまで煩かったわけでもないので」
「で、あの人がどうしたの?今学園に通ってるんだよね」
コンラッド。テンペストの元パートナーだった人らしい。
僕達の前に現れた時には確かに色々と混乱していたせいか、人の話をあまり聞いてくれなかった印象があるけど……。
見た目だけは以前の容姿を手に入れて、今は学園で勉強中なんだとか。
「魔法の取得に成功したようです。このまま3日後の試験日でお披露目するとか」
「へぇ。どんな魔法使うんだろうね」
「サイラスと似ているはずですが……どうでしょうか」
映画やらで色々と知識はあるはずなので、その再現を出来るはずだ。
まあ学園なので問題ないだろう。
ある程度時間が出来たら改めて話をしたいと思っている。
今なら流石にこちらの暮らしにも慣れていることだろう。
「竜騎士隊はどうするの?」
「彼らの訓練は大体終わっています。後は物が出来次第実地で訓練となるはずですね。コンラッドが新しい機体を作るに当たってかなり貢献してくれたのでなんとか完成させることが出来ました」
マギア・ワイバーンの後継機。
今後ハイランド空軍設立の際に主力兵器となるものだ。
大きさはやや小さくなり、エンジン数も2基。通常の戦闘機に近い形へと変化した。
しかしそのペイロードは大きく、ポッドを取り付けることで大量のランサーなどを持ち運ぶことも可能だ。
「新しい機体かぁ。早く見てみたいね」
「私もまだ見ていないので、そうですね早く見たいです。量産が完了したら編隊飛行をしてみたいところですが」
「編隊飛行?なにそれ」
「複数の機体で整列して飛ぶのです。地上とは違って少し特殊な並び方になりますが、よく訓練された者たちの作り出す編隊はとても美しいですよ」
「へえすごく楽しみ。上手く行ったら見せてよ」
「空軍が出来た時のお披露目で恐らく見せることになりますよ」
それまでに訓練をしっかり行わなければならないだろう。
コンラッドはその空軍の教官としての地位が待っているのだが、まだテンペストは伝えていない。
研究所と王都を行ったり来たりという忙しい生活が待っているだろう。
「ああ、そうでした。ニールにも見せたいものがあります。滑走路までついてきてもらえますか?」
「僕に?いいよ」
またエレベーターを通って滑走路へと向かう。
案内されるがままについていくと、滑走路脇の格納庫だった。
「ニールのための装備品です。どうですか?」
「これを……僕に?」
「約束していましたので」
そこにあったのは、タイヤが独立したように突き出し、車体はフレームと簡単な装甲で組み上げられた小さめの車両……バギーだ。
車両の軽さと小ささ、そして速度と走破性を追求しているためかなり早い。2人乗りで運転席はニール専用となっている。
フレームと装甲もそれなりの強度があるためちょっとした攻撃程度なら弾けるし、運転しながらニールなら広域魔法を放つことも可能だ。
ニールのあまり動くことが出来ないという欠点を克服したものとなっている。
最高速度はオルトロスよりも早く、荒れ地の走破性能は岩だらけの場所を進んでいけるほどだ。
小さいながらもラゲッジスペースがあり、そこには棺のようなものが収まっていた。
「これは何?」
「私が入る場所です。これからはオルトロスだけでなく、こちらの方で移動するという方法が使えます。機銃も取り付けられますが、全てを1人で行わなければなりませんので少し練習が必要になるでしょう」
「そっか、なるほど……これなら足の早い魔物からも逃げられそうだね」
「はい。また、このボディー自体もかなり頑丈にはなっているので早々壊されることはないでしょう。これはこのままニールにあげますので、自分のスペースが出来たらそこへ入れておくと良いと思います」
「ありがとう、テンペスト。運転方法はオルトロスと同じなんだよね?」
「基本は同じですが、ハンドル操作の加減が全く違っています。明日練習しましょう」
無骨だが大きめのタイヤを装着し、意外とごつい印象を受けるバギー。
4輪全てが駆動輪であり、操舵輪となっているため物凄く小回りがきく。その場で一回転するという超信地旋回も可能だ。
ちなみにこのタイヤ、見た目の割に水に浮けるのでそのまま水に突っ込んでいけば川を渡るなど、オルトロスでは出来ないことをやってのける事が可能だ。
車体を固定するためのアンカーや、車両の前後方に取り付けられたウインチなどから連想した名前はアラクネという。
「アラクネかぁ。これすっごい格好いいよ!明日が楽しみだ……」
「かなり癖がある車両なので気をつけて下さい。明日、テストコースを走ります」
ついにニールにも自分の車両が出来たのだ。
それが色々と面白そうなものであるのだから早く動かしてみたいと思うのが男の子だろう。
オルトロスの半分程度の大きさしか無いアラクネだが、そのトリッキーな動きは恐らく体験してみるとなかなかに面白いはずだ。
□□□□□□
翌朝。いつにもなく早起きしていたニールは、朝食を食べ終えるとすぐに支度をしていた。
よっぽど楽しみにしていたらしいと理解したテンペストは、その様子を見て喜ぶ。
贈り物が喜ばれるのは素直に嬉しいものだ。
早速研究所のテストコースへと向かう。
元々サーヴァントのテストをしていたコースなので起伏が激しい場所などもあり、テストには丁度いいだろう。
「えっと……ハンドル、アクセル、ブレーキ……ん?あれ?全部のタイヤ動くの?」
「はい。全てのタイヤが操舵輪になっています。なのでオルトロスと同じように操作すると、急旋回してしまいます」
「それは……確かに癖があるね。よし!行ってみるよ、テンペストは離れててね」
「分かりました」
魔導エンジンが起動し、アクセルをゆっくりと踏み込むとそれに合わせてアラクネが動き出す。
滑るように動き出したアラクネが、悪路コースへと入った。
しかしアラクネのサスペンションは少し特殊だ。タイヤだけが踊るように激しく動きながらも乗っているニールにはほとんどその振動を感じさせない。
「うわ、凄いこれ……」
踏み込めば踏み込んだ分だけ速度が一気に上がり、多少の凹凸なら全く気にしないで突っ込んでいける。
軽くハンドルを切っただけで物凄い旋回を見せつつも、横転しそうな気配はない。
思いがけず段差から落ちたが、タイヤのサスペンションのおかげであまりきつい衝撃は来ずに済んだ。
だんだんと慣れて来て10周する頃にはもうすっかり扱いは問題ない所まで来ていた。
「テンペスト……これ凄いよ。物凄く楽しい!」
「喜んでもらえて何よりです。では今日はこのまま少し出かけますか?」
「2人で?良いよ!えーっと……どこいく?」
「隣の街まで。あそこには美味しいチーズが売っています。個人的に気になるものが新しく売られているそうなので行ってみましょう」
テンペストの誘拐騒ぎが起きたあの時、最初にテンペストの実力を認めて接してくれたローチ公爵夫人の居るところだ。
山をくり抜き最短距離でつなぐことが出来たため、交流が盛んになっている。
カストラを出発してそびえ立つ山へ向かって進む。
道中の土地も既に開発済みで家などが立ち並んでいる状態だ。このカストラの土地不足は慢性的と言っていいだろう。
「この辺も変わったよね」
「はい。最初はこの辺りは岩だらけで使い道のない土地でした。ブリアレオスが完成してからはあっという間に整備が進んだおかげでこうして発展していきましたが。やはりローチ領との交易路の開発が大きいでしょう」
「おかげで美味しいミルクとかチーズとか卵とか肉とか……いろんなものが安く買えるようになったもんね。酪農関連はこっちではあまり出来ないから嬉しいね」
サイラスの開発した汚物処理装置によって、時間のかかっていた堆肥作りも短縮され、更に匂いもほぼなくなったことによって農業の方もかなり発展したようだ。
穀物を始め野菜や果物など、広い土地を活用した大規模な畑などが展開されている。
長いトンネルが見えてくる。
トンネル中央で入出手続きを終えてローチ領内へと入り、トンネルを抜けると……広大な野菜畑が見えてきた。
「……広っ!」
「私達の領地とは比べ物になりませんね。まあその内土地は増えていきますが、やはり地続きの土地は羨ましいです」
「家が見えないんだけど……」
「道に人も居ませんね」
道を歩く人も殆ど居ない。その為ある程度速度を出して動けるので楽でいい。
少しばかり移動すると建物がまとまって建っている所へと着いた。
中心地に近い商業地区のようで、この辺りはかなり賑わっている。チラホラと農業関連のだろうと思われる人達が集まってきているので、恐らく朝早くに既に作業を終えて戻ってきているのだろう。
「そう言えばニール、あなたは速度があるのは苦手なのでは?先程からかなり飛ばしていますが平気そうですね」
「あれ?そう言えば……自分で動かす分にはあまり感じないのかな……?」
人が運転しているものは次の行動が予測できないが、自分で運転していれば思った通りに動くわけだからその辺りが違うのだろう。
いつもなら悲鳴を上げている速度でも平気そうだ。
たまに他の民生オルトロスや農業用に別途開発されたトラクターとすれ違う。
トラクターは機械的に耕したりするのではなく、土魔法を使って土を撹拌し柔らかく整えて、収穫の時にも土魔法で作物の周りから土を避ける。
元から農業をしている人たちは土魔法を使える人が多いため、乗ったままで魔法を扱えるテンペスト達の機械は喜ばれていた。
「あ、アレじゃない?店の前にたくさん出てるよ」
「寄っていきましょう。幾つか他にも欲しいものがありますから」
今日は完全に突発的に来ているのでローチ侯爵家の方には連絡を入れていない。
お忍びでゆっくり買い物をするつもりだ。
まあ、アラクネが無駄に主張しているので目立っているが。
店に入ると美味しそうな匂いが充満している。
大きなチーズの固まりが置いてあり、それぞれランク付けがされて売られていた。
「ありました。最高グレードしか残ってないですね。むしろ好都合です」
「……普通の人には買えないよあの金額。高いもん。これ、どんなチーズなの?」
「グガラナ種という大きな牛の魔物だよ!3~4年に1度程度しか乳が取れない希少種なんだ。作るにも物凄く時間と手間がかかるんで高くなってしまうんだよ、すまないね」
「お気になさらず。これを買いに来たのですから。……少し味見は出来ますか?」
「有るよ。小さいのは勘弁してくれ」
グガラナ種と言われる牛は魔物でありながら人に飼われている数少ない魔物の1つだ。
見た目は牛そのものだが、湾曲して前に突き出た大きな角と赤い目は知らない人が見れば腰を抜かすほど。その割に性格はおとなしいのが特徴だ。
成長が遅く、その割に食事量が多いため飼う人は少ないが、その乳や乳を使ったチーズは絶品と言われているそうだ。
ちなみに牛、羊等の獣人の乳から出来る乳製品も意外と高価だったりする。味は普通だが特殊な性癖の人には物凄く喜ばれているそうだ。
一応、テンペストがここに来る前から有るものではあったが、製品ができたのはつい最近の話でようやく安定して作り出せる所まで来たらしい。
「え、何これ……チーズの味だけ思いっきり圧縮したみたいな……」
「そうだろう?物凄く美味いんだ。料理に使ってもよし、焼いてもよし。これを使ってチーズを使った料理を作るともう戻れなくなるぞ?」
この店オリジナルの製法なので今のところ他の店でも幾つか試しているようだが、成功しているのはここだけのようだ。
少量でもたっぷりとチーズを乗っけた様な味わいがあるので、かなり満足感がある。
「意外と柔らかいのですね、もう少し固めなのかと。味もですが香りもいいです。……購入したいのですが」
「おお……本当に買ってくれるのか?服からして良いところの子だとは思っていたが……」
「そりゃぁ……テンペストだし」
「……テンペスト?……聞いたことがあるな」
「隣のカストラ領の領主だよ」
ニールの指摘で顔を真っ青にしてテンペストに向き直り、冷や汗をだらだらとかきながら帽子を取り膝をついて頭を深々と下げて行く店主。
プルプル震えながらタメ口聞いたことを謝っていた。
「いえ、非公式で来ているのでそういうことは止めてもらえますか?別に気にしているわけではないので。それよりもこのチーズが欲しいのですが」
「はい!只今……!!えー……在庫は6個ですがどれくらいにしましょうか!」
「3つお願いします。買い占めると他の人が味わえませんから」
お代はまけさせてもらいます!等と言っている店主をなだめすかして定価で買ってきた。
正体をばらしたニールも流石にこの反応は予想していなかったらしく、外で思いっきり謝られた。
「僕があんなこと言ったばかりに……」
「少々軽率ではありましたが、事実を言っただけです。気にすることはありません。それよりもこれを1つ煌のマスターへプレゼントしましょう。私達の料理などに使ってもらえればいいと思いませんか?」
「思う。絶対美味しいに決まってるもん」
あの美味しい料理が更に美味しくなって出てくるなんて、もう普通のものには戻れそうにない。
シチューなどもたまに作っているのでそれも頼んでみたいところだ。
その他にも幾つか野菜や肉などを購入して領地へと戻るのだった。
しばらくして「寄っていってくれればよかったのに」といった内容の手紙が婦人から送られてきて、行ったことがバレたことが判明する。
後で手土産を持って行こうとスケジュールを組むのだった。
予想通りにテンペストがいらんことを覚えてしまった件。