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鉄の竜騎士 -元AI少女の冒険譚-  作者: 御堂廉
第四章 カウース大陸編
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第百十六話 脱出

「クラーテルが陥落したとは本当なのか?」

「は、3日前突然魔物が現れ、あっという間に……」


 霧が立ち込める夜、突然飛来した飛竜のブレスによって中央部を破壊され、続くタラスク等の大型の魔物達により門が破壊されていった。

 突然のことに全く対応できなかったクラーテルはそのまま魔物に飲まれていく。


 当然、ホーマ帝国にも連絡用の魔道具は有る。

 しかし塀に囲まれた安全地帯にあったはずの砦が真っ先に破壊され、連絡を出来る状態にはなかった。

 最小限の情報だけを持って脱出した時には既に街は火の海に包まれていた。

 周りが水になっているため逃げる場所もなく、水に逃げたものたちは空を飛ぶ魔物達の餌となった。


「今思えば、魔物とは思えない……何か統率されたような動きをしていたように思えます」

「奴らが絡んでいる可能性は?」

「魔物を従えたものとすれば……あるいは」


 重要な案件ではあったのは確かなのだが、このまま会議を続けるような状態にはない。

 ここからクラーテルまでの距離は5日ほど。既に3日経っているということは……猶予はほぼないだろう。


「これより、神聖ホーマ帝国は交戦状態へと入る。全ての兵に通達せよ。今こそ戦いの時であると。そしてこの国へ来ている客人達を脱出させよ。近くまで迫っているとすればもう時間はない、今すぐに対応しろ。ここから一番近い港は何処だ?」

「メールです。大型船も入れる港を持っているため問題ないでしょう」

「すぐに連絡を。彼らに何かあれば我等帝国の歴史に泥を塗る物と思え」


 予想以上にまずい。

 そして……気になるのは魔物の襲い方だ。

 通常であれば種族が違う魔物同士で結託して襲ってくることは無い。特にタラスクや飛竜と言った強力な者になればなるほどに群れるのを嫌う傾向があるくらいだ。


「……魔物の動きに統率が見られると言ったな?」

「は、最初の砦に対する攻撃、その後の壁を壊してなだれ込んでくるまでの手際の良さ……。我々が城攻めを行う時にも、まずは遠距離から壁の中へ攻撃しながら壁や門を攻略していきます」

「うむ。それに……魔物は群れを嫌うものが居る。それも他種族となればな、どうもこの襲撃はおかしい……何か魔物を操る術を持っているというのか?」

「エフェオデル……」

「余はそう思う。エフェオデルの連中めついに魔物をけしかけるとは……」


 皇帝の頭のなかでは既に隣国であり、何かと衝突が絶えなかったエフェオデルという国の関与は決定していた。

 もしも本気で攻めてくるならば人数を揃えて多方向から攻め入ってくるだろうとは思っていたが、まさかこの様な方法で来るとは思わなかった。

 ディノスが居ないその時を狙ったかのような襲撃。恐らく偶然ではないだろう。


 伝令を下がらせるとすぐにまたノックの音が響く。

 中に入れると使節団の脱出開始の報告だった。


「これでよい。ここからは我が帝国がなんとかせねばならぬ問題だ」


 外で待っている兵たちへ言葉を掛けるべく部屋を後にした。


 □□□□□□


「なんだか本当に雲行きまで怪しくなりましたね……」

「また、雨になりそうですね……あまり強く降らなければよいのですが」

「ここで足止めされたら巻き込まれるかもってことだよね?」


 幾ら戦争が始まったとしても、普通であればここまですぐに対応することもないだろう。

 むしろ隠しておく可能性もある。

 それがこうして避難を促すまでにとなると……かなり危険な状況となっているだろう。連絡もできずに拠点が一つ落とされていると考えれば敵の進軍は早い。


 いつここへ来てもおかしくない距離まで来ているのではないだろうか?


「テンペスト、向こうとは連絡取れたの?」

「取れました。確かに帝国側から連絡を受けてメールの港へと向かっているそうです」

「やっぱり通信手段は有るんだね。攻撃を受けているところは相当な被害を受けてるか……そうでなければ裏切り者が居て通信手段を予め破壊していたか」

「ええ。ともかく、今は彼らに従って移動するしかありません。今回は竜騎士達が多いですから例のスワームとやらが襲ってきても対処できそうです。見たところ以前の者達に比べて練度が高いのがわかりますので」

「あれより酷かったら中央を守れないよ……あれは……本当に酷かった」


 スワームでわたわたしていたくらいの兵士だ、本格的な侵攻までしてくる敵には対処できまい。

 しかし今護衛してくれている兵たちは……クレールに乗っている姿勢からも訓練を受けたものであることを伺わせる。

 更に報告などが密に行われており、両翼に展開した部隊が索敵を担当し、上空からは竜騎兵の飛竜が見張っている。

 遠くから見ても目立つ飛竜だが、あれだけ飛んでいては敵も近づこうとはしないだろう。


 雨は幸いにも強くならず、そのまま移動を続けることが出来た。

 今回テンペスト達はハイランドの集団の最後方へと位置している。

 何かあった時には即座に援護にまわれるように用意をし、タラスクなどが出てきた場合にはレールガンを開放する。

 その為にもある程度目立たなくなれる位置を取ったのだ。

 ほぼど真ん中という最高の場所で、全体が止まれば一番膨らむだろう場所だ、護衛の兵士たちもテンペスト達の近くまでは来ないだろう。


 日が落ちて野営を開始する頃には雨も上がり、心地よい夜風がふいていた。

 早速例のテントを喜々として展開しているコリーを眺めつつ、いつも通りにキッチンとシャワー、トイレを設置する。


「おっし出来たぞー」

「おおお!凄い!広い!ベッド意外といい感じ!」

「高かっただけは有るぞ。これなら俺達の方は全員眠れるな」


 本当に自動で展開していき、最後に地面に杭が打ち込まれた。

 畳んだ時の皺がまだ残っているがこんなものだろう。素材は水を通さないようにする薄い何かの魔物の皮製。少々重いがコリーなら持ち運べなくもないレベルだ。


「いいねー。これなら思いっきり身体伸ばして寝れる!」

「あの……コリー様。私も、ですか?」

「当然だろ?うちは主従仲がいいからな。ほら、ニーナ達も入ってこい」

「は、はい。失礼します……。わ、凄い」

「簡単なことならこの外のスペースでも出来そうです。小さいテーブルをお持ちしますね」


 10人用とは言っていたが、眠るためのスペースに10人、そして更に入り口からすぐの所にある別スペースは簡易のテーブルなどを置いて食事も可能になっていた。

 テントを買う時に確かめもしないで良いやつをと言っていたのが原因だろう。スペースさえあれば床は硬く歪みもしないし、テントを覆う素材は光を通さず、その代わりに天井と横から光を取り入れられるようにもしてあった。

 光が外にもれないようにするための工夫なのだろう。


 もう少し物が置けそうだったので試しにトイレとシャワーを設置してみたら普通に入ったため、雨が降っても外に出て濡れなくて済む。

 ちなみに何箇所かこのテントと同じ形の物が見えているので、有用だと判断した人達がまだ居たようだ。


 段々とニーナの作る料理の匂いが漂ってきて、テンペストのお腹が鳴り出す。


「今日も美味そうな匂いだ……」

「魚だね、お腹空いてきたなぁ」


 まだかなーなどと言いながらテントの中で寛いでいたその時。

 突然遠くで爆発音が響く。


「な、なに?!」


 即座にテンペストが索敵を広域に切り替えると、1匹の飛竜が敵を捉えていた。

 つまりは。


「敵襲です。今のところ数は23。増え続けています」

「ちょっ、準備、準備出来てない!」

「慌てるなニール!」

「飛竜達が出撃しました。しばらくは食い止められるはずですし、帝国兵士の方々も今回は頼れます。既に防御体勢を取って居るのでその間に用意を」


 火竜による炎のブレスや火弾によって敵が一気に減っていく。

 それでも後から後から沸いて出て来る光点は、ついに飛竜の壁を抜けるものが出て来始めた。


「魔法攻撃隊、弓兵隊、放て!続いて魔法防御隊、壁を作れ!」

「おー……すげぇ。あいつらとは大違いだわ」

「文字通りのファイアウォールですね。この数からみてスワームと見て間違いないでしょう。あれが突破されたら私達も戦闘準備を」


 サイラスやサイモン達の方も既に準備が出来ているようで、既にオルトロスの屋根に登って見物していた。


「彼らだけで終わりそうですねぇ」

「なかなか良く訓練されているな。流石は中央の兵だ。防御も厚い」

「スワーム……見た感じ頭は悪いみたいですね。愚直に炎に突っ込んでいっている感じだ……。なるほどこの炎の壁はスワームに対して最高の防御になるというわけですか」


 次々に勝手に炎に巻かれて死んでいくスワーム達を見て何とも言えない気持ちになってくる。

 結局大半が自滅し、残りは兵士たちによって討ち取られるかたちで決着が付いた。


 この戦闘を見ていると、やはり上空からの攻撃というものは脅威であるというのがよく分かる。

 手の届かない、遠距離の攻撃手段のない者は一方的に蹂躙されるだけだ。

 どうやって手なづけたのかはわからないし、教えてもくれないだろうが……正直気にはなる。


「……終わったようですね。食事にしましょう、もうお腹が空いてたまりません」

「あはは、ニーナが待ってるよ。こんな時に魔物なんて、料理が冷めちゃうじゃないですか!って怒ってたよ」

「全くです。食事の時くらいゆっくりさせて欲しいものです」


 その後は特に敵が来るわけでもなく、頼れる護衛のおかげもあって楽をさせてもらった。

 食べ終わった後にスワームの死体を漁ってみたものの、正直な所期待外れも良いところというのが分かる。

 外殻はそれほど硬いわけでもなく、爪の先が硬いくらいで大したものではない。

 魔晶石の方はクズ魔晶石に近い位で、戦うだけバカを見ると言った感じだろうか。

 実際、兵士たちも全く見向きもしていない。

 とは言え待っていたサンプルなので何体か回収してハンガーに送る。


 翌朝になり、朝食を軽めに取った後すぐに出発の準備をし、オルトロスに乗り込む。

 昨日は戦場になっていた場所は色々なところが黒く焦げており、その火力の凄まじさを物語っている。

 周囲の安全を確認したらしい兵士たちが戻ってくると、そのまま出発だ。


「なんか結構急いでるっぽいかなぁ?」

「昨日より若干ですが速度が上がっています。何か帝都の方から連絡があったのでしょうか」

「このまま何もなければそれでいいけど……。僕らが襲われた時ってどうなるんだろ?」

「最悪の場合にはなりふり構っていられませんから、以前考えたようにその時には大型魔獣との遭遇と同じ手順になります。敵からすれば私たちは格好の的として見えるでしょうから」


 兵士に囲まれて護衛を受けながら移動している大団体。どう見てもお偉いさんや金持ち等が避難しているようにしか見えない。

 実際その通りなのだが問題はテンペスト達が外国人であること。

 しかし敵にとってそんなことは全く関係ないのだから、あわよくば護衛を殺して奪い取ろうとするだろう。


 そうなれば色々と秘密の多い装備品をくれてやるつもりは毛頭ないわけなので、全力で迎え撃つだけだ。


 ……等と少し気を張ってみたのだが、結局何事もなくメールの街へ到着した。

 ポートキャスに比べると若干狭く、建物も劣る感じでは有ったが、何隻も大型船が停泊している大きめの港を持っていた。

 かなりしっかりした港だったようで、リヴァイアサンもその中に見えている。

 ……1隻だけ他の倍以上でかいのはご愛嬌だ。

 海上には軍艦もおり、物々しい雰囲気となっている。


 船長に到着を知らせると、後部ハッチが開いていく。隊列のまま全員を収容したところで、代表者同士で挨拶を交わしていた。


「あーもうこれでホーマ帝国お終いかぁ。ちょっとおもしろい国だったのになぁ」

「確かになぁ……何が起きたか分からんが、やっぱ戦争だろうな。開戦しちまったわけだから俺達もさっさと出るに限るわけだが」

「ちょっとでも戦えればよかったんだけどね」

「俺も気持ちとしてはそれが一番でかいぜ……」


 最後の荷物が搬入され、ゆっくりとハッチが閉じられる。


 テンペスト達は甲板に出て、ずらりと並んだ兵士たちに手を振る。

 これでしばらくはこの国に戻ってくることも出来ないだろう。

 リヴァイアサンの動力が動く音がして、桟橋から船が離れてゆく。

 それを見届けて部屋へ帰ろうとしたところで、サイラスとテンペストが船長に呼び出しを受けた。


「おお、急に呼び出して済まない。皆が上陸した後にこの周辺を少し回ってみたので報告しておこうと思ってね」


 艦橋へ行くと船長が書類を渡してきた。

 少しでは有るがこの近くの陸と海を軽く調べてくれたらしい。

 海運が盛んらしく、しょっちゅう大型の貨物船が出入りしていたということも。



「そちらはどうだったかね?」

「途中で会議が無かったことになりましたからね。目標は果たせなかったようです」

「襲撃を受けていると聞いた。詳しいことは知らされていないが、戻ってきたら直ちに出港して一度国に帰る等してくれと」

「似たようなものです。詳細な情報もなく、襲撃を受けたために国外へ退去して欲しいとだけ。しかし……恐らく戦争が起きています。それも相手はかなり強いと見ていいでしょう」


 推測では有るが、と前置きをして少しばかり気になったことを話す。

 今ある情報からだとやはり似たような結論に達するようだ。

 電撃的に街を一つ陥落させた何者かが攻めてきた。そうであれば恐らく敵も海軍を持っている。


「……なるほど、早く出したいと言うのは分かった。そしてあの軍艦が途中まで護衛につくというのも、そういうことか」

「なるほど、あれは護衛でしたか。……軍艦にエスコートしてもらえるというのも良いものですね」

「あの船は見事だな……まさに戦闘に特化した船だ。余計な穴は無くプレートで船体を補強してある。ま、リヴァイアサンに比べれば船としては格が落ちるか。これだけの船は他にあるまい」


 このリヴァイアサンからすると、帝国の軍艦は少々頼りなく見える。

 武装も今のところ甲板に取り付けてある大砲くらいしか見当たらない。そして大砲自体も少し変わっていた。


「あの大砲、自動装填出来そうな感じですね」

「ええ、砲身からみても長距離を狙えます。弾がどういったものか分かりませんが」

「あいつが作ったかな?」

「分かりません。……脱出してからここにいつくまでどれくらいの期間居たかは分かりませんが……全てを換装するまでとなると、かなり難しいかと思われます。これがここの標準ということも」


 先込め式や後込め式などではなく、自動装填。

 しかし口径は大きく長い。

 カートリッジ式でやるとしても大きすぎるだろう。


 先導する船を観察していると、レーダー手から報告が入る。

 それは正体不明の物が多数接近中であること。

 方角は……東。来た方向とは逆ということはつまりは帝国に攻め込んできた者達だろうか。


 テンペストも自分の方で観測を開始する。

 リヴァイアサンのレーダーは敵味方の判別がつかない上に距離はそこまで遠くを監視できない。

 オリジナルであるテンペストの方は……。


「敵性反応。距離1km、接近中。速度が早すぎます、船ではありません」

「警報!直ちに戦闘準備!」


 こちらの音にびっくりしたのだろう、先導している帝国海軍の兵達がこちらを見て騒いでいる。

 しかしこちらの甲板で作業しているもの達が、同じ方向を向いて望遠鏡を覗いているのを見てすぐに何があったのかを察したようだ。

 鐘が鳴り響き兵たちが慌ただしく動いているのが見える。


「あれは……魔物か!」

「第一波、到着まで10秒……」


 突如として海から現れたのは巨大なサメとザリガニを混ぜた感じの魔物だ。

 綺麗な青い体色が海の色と見分けがつきにくい。

 こちらの準備はまだ整っていない。このまま体当たりを受ける……と思った時。


 リヴァイアサンを先導するように進んでいた帝国の軍艦から、まばゆい光が放たれ魔物達がダメージを受けて海中へと消えていく。


「魔法式ということか」

「そのようです。詳細は不明ですが……第二波……消滅」

「なかなかやるものだな、この国は」


 備え付けられていた大砲は魔法式だったようだ。

 動作は分からないが魔術師が取り付いて照準を合わせては海に向かって撃ち込んでいる。

 意外と便利そうだ。

 発射から着弾まではやや遅い感じがするが、偏差射撃で上手く当てていた。

 着弾してからは大爆発を起こすため、少しズレたくらいだと問題ないようだが。


 それにこのリヴァイアサンには体当たりは通用しない。

 船底にぶつかる音が響くが特に凹んだりもしていないようだった。


「敵、更に接近。……これは船ですね」

「数は?」

「30……いえ、もっといるようです。次々と範囲内に入ってきています。敵、分裂……?いえ、飛行タイプの魔物のようです。警戒を」

「あれは……翼竜か?」

「巨大な鳥も混じっているようですが」

「何にしろ、射程に入ったら迎撃だな。迎撃用意!」

「私達も攻撃を受けました。宣戦布告と見なして攻撃に移ります。サイラス、後部甲板からホワイトフェザーを使います」


 テンペストも甲板に出てサポートに回る。

 丁度位置的にも前方を行く帝国海軍の船からは、後部甲板は見えない。

 その為ホワイトフェザーを出して狙撃するのだ。


 格納庫内にホワイトフェザーを出してから部屋に戻り、ニールに身体を託す。


 次の瞬間にはホワイトフェザーの視覚を通じて周りの状況が見えるようになる。

 シャッターを上げて後部甲板へ出ると、アンカーで身体を固定して50mm機関砲と25mmバルカン砲を構えた。


 危険なため甲板作業員は全員避難し、後部甲板にはテンペストだけだ。


『目標捕捉、攻撃を開始します』


 選んだ弾薬は焼夷弾だ。

 まだかなり遠い位置にいるが既に射程内となっている。

 揺れる甲板からではあるが狙撃特化のホワイトフェザーには問題にもならない。


 轟音とともに機関砲が3連射を行い、唸りを上げてバルカン砲が大量の弾をばらまいていく。


 最初の魔物の特攻によって、こちらがダメージを負ったと思っていたであろう敵船は突然の爆発と出火に戸惑いを隠せない。

 慌てて火を消そうと水をかけたりして必死になっているのがホワイトフェザーの目を通じて観察できていた。

 テルミット反応によって超高温で燃え続け、更に火の粉が飛び散り色んなものに着火していく。

 甲板には穴が空き下の船室にそれが落ちる。そこにあったのは運悪く火薬などが満載されたもので……。


 1隻の敵船が一瞬で爆発により吹き飛んだ。

 他の最前列に居た船は軒並み炎に包まれて為す術無く浮いている。

 飛び立った翼竜達もばらまかれるリヴァイアサンの弾丸によって次々と撃ち落とされているのが見えた。


 更にホーマ帝国の船からも魔法による砲撃も加わり翼竜と大きな鳥の魔物は次々と落ちていく。


 こちらはたった3隻の帝国海軍の船、そしてリヴァイアサン。

 対して向こうは何十隻もの軍艦。

 速度も早く、高威力の攻撃手段を持っている敵だったが、流石に相手が悪かった。


 こちらへも攻撃の手が届き始めた事もあり、船長はこのまま帝国の守りから離脱して独自に戦闘を開始することを選択した。

 リヴァイアサンの武装が全て解放され、サイレンと共に船長の声が鳴り響く。


『こちらカロス大陸巡洋艦、リヴァイアサン。これより当艦は敵艦掃討に入る。ホーマ帝国による護衛に感謝する』


 そのアナウンスの終了とともに、リヴァイアサンは敵艦隊へ舵を切った。



手を出してきたぞ!ヒャッハー!正当防衛だ!(オーバーキル)

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