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鉄の竜騎士 -元AI少女の冒険譚-  作者: 御堂廉
第四章 カウース大陸編
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第百一話 大陸到着

 翌日も朝から雲一つない晴天となり、絶好の海水浴日和だ。


 昨日の夜には船に戻って寝るものも居たが、テンペスト達はそのまま浜辺で過ごすことにした。

 波の音が心地よく、また寒くもなく暑くもないというとても気持ちのよい温度で、上に何も掛けなくとも気持ちよく寝ることが出来る。

 少々窮屈なため小柄な2人は同じ場所に押し込められることになったが、それは些細な事だ。

 多分。


 そして明るくなってきた日差しがテントに差し込み、テンペストが目を覚ますと、その横にはまだ眠っているニールの姿があった。

 結局上に何かを着ていると少し暑かったため、パンツのみを穿いて寝ていたわけだが……。


 ハイランドに限らず排便を簡単にするために、下着は男女ともに股が割れている。

 大股を開けば当然中身が見えてしまうような代物だ。

 それでも普通にしている分には外からは全く見えないように布が重なっている。

 しかし、完全に寝入っているニールは大きく足を開いており、発散するタイミングを失ったそれが飛び出してしまっているのだった。


「……。なるほど、男性の物はこうなるのですね……。面白い形をしています」


 寝ていることを良いことに、じっくりと観察されているがニールは気づかない。


 あの時自分の手に触れたものがどうなっていたのか、これでようやく納得がいった。

 硬く大きくなっていたのはこのような形に変形していたからで、普段は前に見たあの状態なのだ。

 時折脈打つそれをみて悲鳴を上げる様なテンペストではない。

 これ幸いとその形状などをしっかりとその頭に刻みつけているのだった。


 流石に触るまではしなかったものの、角度を変えて色々とつぶさに観察を終え満足したテンペストは、丁寧に中に仕舞い込んでやる。


 こうなるとテンペストも少々興味が湧いてくるものだ。

 何をどうすれば良いのか、ということすらもまだよく分かっていないが、頭の中にある医学書を見ながら実物と当てはめていく。


「やはり実物と絵は全く異なりますね。後できちんとしたもので書き直す必要がありそうです」


 それに、実物のほうが綺麗だった。

 リヴェリであるから当然では有るのだが。


 そうしてテンペストが寝床を後にしてから数分後、自分の状況を見て、バレなかったかどうかを心配しながらニールが起きてきたのだった。時既に遅しである。


 □□□□□□


「あの、テンペスト?」

「どうかしましたかニール?」

「起きた時、僕なんか変だった?」

「いえ……特には。若干寝相は悪かったようですが」

「そ、そう。それならいいや。うん、ごめん変なこと聞いた」


 若干言おうかと思ったところもあったが、黙っていることを選択したのは成長なのだろうか。

 それとも観察のために次がなくなるのも困ると思っただけだろうか。


 ともかく、例のあれは無かったことになった。

 ニールが安心したのは当然のことだった。


 食事が終わった後メイが目に隈を作ってフラフラと出てきたかと思ったら、テンペストに水着を渡す。


「テンペスト様、改修が終わりました!自信作です!」

「これは……昨日の水着ですか?大分すっきりしているようですが……」

「サイラス様より改修を命じられまして!丈を短く、動きやすくという指示でした。ルーベルの方々がとても思い切った物を着ていたのですがそれと同じようにと。今日も泳がれますよね?」

「ええ、そのつもりですが……」


 では早速こちらへ!とまたカーテンの向こうに消えていく2人。

 次に出てきた時、その場に居た全員が見とれてしまったのはムリもないだろう。


 ホルターネック式のチューブトップに直されたワンピースは、レース仕上げはそのままに、下の部分をリボンを使って締め付けることで上にずれることを防止する。

 みぞおちから臍下から下腹部にかけては大きく布が取り払われた状態となり、ルーベルの水着に限りなく近くなっていた。

 ドロワーズのようなパンツも、丈が大幅に削られてホットパンツに近いところまで削り込まれていた。

 これはルーベルの水着よりもさらに股下が短く挑戦的だ。

 それを隠すように元のスカート部分を使ってパレオのような物も同時に作っている。


 パレオは今は腕に持っている状態なので、ハイランドの常識から言えば考えられないほどに露出しているのだが……。

 卑猥さ等はまったくなく、むしろそれらを強調しているよりも美しさを強調したような形に生まれ変わっていた。

 これも子供体型のテンペストだからこそそのように感じるのであって、似たような格好を普通の女性がつけるととたんにエロさがにじみ出てくるだろう。


 ……リヴェリにとってはこれが既にそういう状態なのだが。

 年頃の女性が魅力的な格好で水浴びをしているようにしか見えないのだ。

 当然、リヴェリの兵士や付き人などは完全に見とれてしまっている。

 ニールは言わずもがなである。


「テンペスト……すっっごく綺麗だよ」

「本当ですか?変ではありませんか?」

「全然!昨日のも良かったけど、今日のはもっと良いよ!すごい!」

「喜んでもらえて何よりです、ニール」


 その2人の喜ぶ顔を見て、自分の任務の達成を悟り……フラフラとしながら倒れ込むようにあてがわれた場所で眠り始めるメイ。

 誰もそれを咎めることはない。それだけのことをしたのだから。


 引き締まりつつも適度に膨らみを残し、そのきれいな肌を見せるテンペストの姿は、自分の彼女たちがこれを着たら……などと男たちに考えさせるのには十分なインパクトが有った。

 まだ広がっては居ないが、ここで確実にハイランドの水着革命が起きたのだ。


 やがて公共の温泉施設でこれを着用して入ることで、混浴という文化が新しく生まれるのだがこれはまだ先の話だ。


 □□□□□□


 テンペストとニール……だけでなく今日はサイモンやサイラス、コリー達も一緒に海へと入る。

 流石にサイラスは泳ぎが上手く、一人でどんどん泳いでいった。

 それに負けじとコリーが力任せの泳ぎで追従する。


 使用人たちも交代で休みに入り、それぞれが近場で好きに泳いだりくつろいだりしていた。

 こういう時に一々うるさくならないのが良い所だ。


 サイモンは浅瀬でのんびりと体を冷やしている程度だ。


「風呂もいいが……冷たい水に浸かっているというのもやはり良いものだな」

「お湯と違ってずっと入っていても気にならないですし、何よりもこのきれいな風景に囲まれているのが気に入りました」

「ハイランドの海もこんなふうだったら良いのにね……」

「サイラスが狙っているんだろう?本気なら私からも進言するつもりだ。海の産業が増えれば塩を岩塩に頼らなくても良くなるし、何よりも海の魚などが食えるようになるのはありがたい。どうやらコーブルクやルーベルとは違った魚が捕れるらしいからな」


 潮の流れの関係などで、その場所に適した魚がいる。

 その住み分けがハイランドは少し違うそうだ。

 そこをサイラス達が開発してくれれば一つの産業としてもやっていけるようになるだろう。


 何よりも。恐らくサイラスが開発するとなれば、必ずこのようなビーチを作るにきまっている。

 それも波などの影響を極力抑えたような物を。

 自分たちの発想の遥か上を行くあの頭脳ならば、どんなものを作り出すだろうか。

 それを考えただけでも面白い。


「それにしても、似合うぞテンペスト」

「ありがとうございます。私も動きやすく気に入っています。メイに感謝しなければなりませんね」

「ルーベル等はやはり進んでいるな、私達のところにあのような資源が無いということも有るが」


 パレオを付けて簡易スカートとなった水着はそれはそれで可愛らしいものとなった。

 肌の露出が抑えられて、子供らしい魅力が増える。


 義理とはいえたった一人の娘であるテンペストに関して、やはりサイモンは本当の娘のようにかわいがってやりたいとは思っているのだ。

 しかしテンペストのその大人びていると言うよりは大人以上の頭脳と、学習能力の高さ故に子供のように接しても良いものかどうか迷うのだ。


 それが今は言動こそ子供らしくはないが、ニールと2人で水浴びをしている様は普通の子供のようなのだ。妙にそれが嬉しくてついつい目で追ってしまう。

 ニールは随分と歳上なのだが、テンペストに翻弄されていて見ていて面白い。


 それなりに経験豊富なはずのニールが、本当に心から好きになったテンペストにはものすごく奥手になっているのは普通に面白い。

 サイモンとしてもニールのことは信頼しているし、出自がどうとか以前にロジャーの弟子であるという時点で特別なのだ。

 身分なら後からついてくるのがほぼ決定していると言っていいほどの、いわば名門中の名門。それがロジャーの弟子という立場であり、そこを離れて既に研究者として独り立ちして実績も残しているニールは信頼に足る人物であるのは間違いない。


 また、テンペストに抱きつかれて何処に手を下ろせば良いのか分からずにオロオロしている。


「娘を持つ父親は、相手となる男に対して色々と思うことが有るらしいが……。気にならんな。というかむしろ……仲のいい子どもたちを見ている気分だ、これは」


 恋人同士と言うよりは、幼馴染の男の子と遊ぶ娘程度の感覚だ。

 こいつには絶対娘はやらん!という気持ちがあるのだろうと思っていたが、リヴェリの見た目のせいでいきなりそれが削がれてしまった。

 しかも知っている奴となればもうどうでも良くなるのだ。

「ああ、こいつなら良いわ」くらいの感じで。


 サイモンがそんなことを考えているのを知らず2人は楽しんでいるわけだが。


 また辺りが暗くなり始めてそれに合わせて食事が用意されていく。

 明日はまた出発することになるのだ。

 ここの景色も見納めとなる。


 見事なサンセットを見ながら美味しい食事を頬張る。

 これ程までに無防備でいられるキャンプと言うのはなかなかない。


 私兵達もこれでまた陸と分かれねばならないことが寂しいらしい。

 もう少しここでゆっくりしていたいという声がよく聞かれる。

 が、こちらも仕事で来ているのだ。このままずっとここにいるという選択肢はない。


 □□□□□□


 夜が明け、皆静かにテントを畳み準備を進めていく。

 時間は無情にも過ぎ、楽しかった時間は既に終わったのだ。


 リヴァイアサンとこの島とを結ぶ船が移動を開始し、用意が終わったところから回収していく。

 すっかりおなじみとなったリヴァイアサンの船内へと戻ってきたテンペスト達は、名残惜しそうに島を見るのだった。


「終わっちゃったね……」

「仕方ありません。……カストラに帰っても出来るように屋敷にプールでも作りましょうか」

「なにそれ?」

「サイラスから教えてもらいましたが、大きく地面を掘ってそこに水を溜めて遊ぶのだそうです。擬似的に今のような状況を再現できるでしょう」

「でも寒くない?ハイランドは気温低めだから水温とかも結構冷たいけど。ここの位暖かければいいけどさ」


 高所である上に水は雪解け水だったりするわけで、とても冷えた冷たい水が湧いている所はよくある。

 しかし少しの間遊ぶ分には良いのだが、海のように長時間入って遊ぶなどということはなかなか出来ない。


 しかしテンペストの領地であるカストラは他とは違う部分があるのだ。


「外ではなく室内に作れば良いのです。岩盤を掘り、そこに水を注ぎ込み、地下学園都市と同じ照明で暖かく保っておけばここと殆ど変わらない環境が手に入ります。しかも室内なので他の人たちから見えることはなく、外敵の心配も全くありません」

「おお!じゃぁいつでも遊べるんだね!」

「そういうことですね。ついでですし隣に温泉でも作れば、寒くなったらそちらに入るということも出来ます」

「あぁ……すごく、いい。作ろう!」

「そんなに喜んでもらえるならば全力でやりましょう。素晴らしい物を作りたいです。私達だけのプライベートビーチを」


 崖に作って崖側を大きく窓にしてやれば、外の景色も見れてきっと素晴らしい場所になる。

 水は近くを通っている水脈から引き、温泉もそうすればいい。

 かけ流しの状態にしてやれば水を浄化する必要もほとんど無くなる。


 何よりもニールがここまで食いつくとは思っていなかったので、自分が持てる中でも最もいいものを作ろうと決心するのだった。


 □□□□□□


 それから3日後。

 船を発見した。

 帆に風を受けて進むそれは、明らかに人が操るものだ。

 見たことのない旗が掲げられているのを見て、こちらの船もハイランド、ルーベル、コーブルクの旗を出す。


「正体不明の船から信号あり。しかしこちらで使っているものとは違うらしく、解読はできません」

「こちらからも信号を。恐らく向こうも解読できないだろうが……それでこちらが誰であるかは分かるだろう」

「わかりました」


 何処の所属の船か、敵対の意思の有無などを伝えるが、やはり返ってくるのは意味不明の信号。

 言葉が違うとは聞いていたものの、流石にこれでは意思疎通ができそうにない。

 側面をこちらに向けて並走している状態だが、砲門も既に開いて準備ができていることを示していた。


 しかしその船自体はこちらからするとあまりにも小さい。

 戦艦ではなく警備用のものなのだろう。

 装備も乏しくこちらとやりあえば一瞬で決着が着く。


「舵そのまま、機関停止。こちらに敵意がないことを示す」


 船速が落ちてエンジンが停止した。

 恐らく、あの船から見ると既に大陸の近くまで来ているのだろう。

 近海を警戒中の船がたまたまリヴァイアサンを発見して来たと思われる。それに意味不明の信号。

 明らかに別の国の者達だ。

 しかし私掠船などとは違ってきちんと旗を掲げ、更に信号によってコンタクトを取ってきたことから国が保有する海軍等の船であると思われる。


 それであればこちらに敵意がないことを示すのが良いだろう。


 何事かを叫びながら、こちらに向かって船を寄せてきている。

 彼らの船を留めて置けるようにロープを投げてやり、縄梯子を下ろす。甲板の高さが少しばかり差があったのだ。


 船長たちは甲板へと出て彼らを出迎えた。


 やはり軍人なのだろう、制服に身を包み剣を腰に刺した海兵と、責任者であろう帽子をかぶった者が5人来た。

 お互いに挨拶をするがやはり言葉が通じない。

 どうするか……と思っていると、責任者の命令で一人の年老いた獣人が前に出た。


「われワレ、の。言葉が、わかるか?」


 彼が口を開くと、その内容がわかる。当然だ、こちらで使われている言語を使って話しかけてきている。


「分かる。私は船長のジークフリート・ベックだ。海流を突破し、ここまで来のだ。我々の目的は敵対ではなく友好だ。国交を結ぶためにここに来たのだ。……伝えてくれるか?」


 コクリと頷き、責任者へ翻訳して聞かせている。

 向こうの言葉がわからないのがもどかしい。これで敵対するつもりだとでも言われてしまうとそのまま戦闘になる。

 今は彼を信じるしか無い。


 少し考えた後に責任者は通訳へと伝える。


「こちら、神聖なる帝国ホーマの、海の軍の、長、ジリーノ。そちらの国と人数、を教えてもらいたい」

「ジリーノ船長、で良いのだな?こちらはカロス大陸の3国合同使節団だ。ルーベル、コーブルク、ハイランドの3つの国の要人を連れてきており、約500人程度となる。問題ないか?」


 船の図体の割にはかなり少ない人数だ。しかも船員として働いているのは更に少ない。

 殆どが各国の要人たちとその従者、そして護衛の兵たちだ。

 また通訳が入り、「本国と連絡を取るので少し待て」と言われた。

 流石にこの場で決め兼ねたのだろう。


 そのまま更に上の立場のものが乗る船が近くに居るということで、それが来るまで待機することになった。


 やがてその船が見えてきたが、こちらは外輪船だ。

 巨大な図体はこちらの船と比べて少しだけ小さいくらいで、武装もかなりのものとなっている。

 同じように船を横付けしてこちらに移ってくると自己紹介が始まる。


「話は聞いた。神聖ホーマ帝国海軍司令、パオロ・オルシーニだ。カロス大陸の諸君、歓迎する。訪問目的は我が国と国交を結ぶためという事だが?」

「こちらの言葉を話せるのか!あ、いや失礼。これでは不勉強がバレてしまいましたな。私はジークフリート。この3国合同使節団を運び、あなた方の国と我々とで友好な関係を築き上げるべく来たものです。決して争いのためではないことを強調させて頂く。詳しい話は使節団からとなるが、そちらの国の交渉役などとと顔つなぎをしてもらえるとありがたい」

「それでは、彼らの代表とも話をしたい。それから考えさせていただこう。兵を数名護衛として入れるが良いか?」

「構いません。部屋を用意しております、こちらへ」


 パオロは最初のジリーノという男よりも更に階級が上の司令だった。一番上と話ができたのは話が早くてありがたいが、こちらで使われている言葉を自由に操っていたのには驚いた。

 聞いてみれば、いつかはこの国と向こうの国とを結ばれることになる。事実、こちらに流れ着いてくるものはたまにいるということで話をできる通訳者を育てることが決定した。

 その教師役としてかつてこの地へと流されて帰れなくなり、そのまま国で過ごすことになった元カロス大陸の人間たちが重用されたのだ。


 以来、念のためにとトップの者達等は言葉を話せるようにと教育されてきた。

「今までずっと使われることのなかったものがようやく日の目を見た」と言っている通り長い間こちらとの関係は途切れていたのだから、今の今までそれをきちんと伝えてきているということは相当なことだろう。


「こちらとしては言葉が通じずどうすればよいかと悩んでいたところです。こちらの国のことを忘れずに教育として組み込んでいてくれた王に感謝しなければなりませんな」

「我々もついにその成果を示すことが出来て嬉しいぞ。そう言えば、大分前の話になるがそちらの国から漂着したという者達が居たそうだが、知らないか?」

「いえ、近頃は海流を超えることを諦め、無理やり押し通ろうという気概のものは居なくなっていたのです。そのようなものが居ればすぐに分かりそうなものですが……この船……リヴァイアサンといいますが、これが完成するまでは海流を安全に航行できる船はありません。もしかしたら欲を張って海流に飲まれ、運良く外海へ脱出できたものなのかもしれませんな」


 これは嘘だ。

 カロス大陸から脱出を図った者たちは居る。すなわちミレスの残党共だ。

 しかし小舟での脱出という話だったが、向こうについたのはボロボロの中型船だったという。

 結局どういったものたちかは分からないまま、部屋についてしまった。


 各国の代表たち……大臣クラスの者が待ち受けるその部屋へ、パオロが通される。

 この会談次第で大陸へと入る許可が出るかどうかが決まるのだ。


 ベック船長もそれに混じって言葉を重ねていく。


 船の積荷や、乗員の名簿。

 そして彼らの目的をざっくりとではなく細かく伝えていく。

 寄港が許されたとしても、国を代表するものと会えなければそれ自体が無意味になってしまうのだ。

 勝手に取引をするのは睨まれる原因にもなるだろう。


 こちらから持ってきたものや、技術。それらをホーマ帝国の物と引き換えにしたい。

 恐らく初めてであろうこの大きな国同士の技術交換は、とても有意義なものとなるだろうと。

 そんな感じでアピールしていくのだ。


 やがて彼らの熱意を十分に受け、パオロが口を開く。


「今一度、この目で荷を確かめさせて貰いたい。このような船は初めて見るので念のためだ。それが終わって問題がなければ、こちらから皇帝陛下へ上げさせてもらう。許可が下りれば謁見の許可が降りるだろう。寄港は許可するが沿岸都市からは許可があるまで出ないでもらいたい。また、大人数のため受け入れられる場所を整えたいので1日は海の上で待ってもらうことになるが良いだろうか?」


 当然、拒否など無い。

 海上で待つ間、簡易の検査などを受けるようにと言われている。疫病などの対策だろう。

 食べ物や動物に関しても同じだ。

 それが済まないうちはこの船からは出られない。

 これも問題ない。


 都市へは武器の持ち込みは禁止というのもまあ当然だろう。

 だからと言って仕込みもしないというわけではない。

 最低限身を守れる程度には準備をすすめるのはこちらの仕事だ。


 そしてついにカウース大陸へと到着を果たしたのだった。


哀れニール。

しかしいつも見ているからおあいこ、というものだろうw

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