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*プロローグ*
――兎の穴…。
そんなもんないと思ってたけど…意外とあっさり落ちるなんてな。
俺は運がいいんだか悪いんだか…。
どうせあそこに帰る気なんて毛頭なかったからいいけど。
それにしても、長い。
全く視界が開けない世界にいると、だんだん思考すら停止してくる。
…むしろ記憶障害だ。なんにも思い出せねぇ……
まぁいい。地面に着いたらまた考えればいいさ。
…いや、着くのか??
俺の、『落ちたら底がある』という理屈は正しいのか??
…どっちだっていいか。
どうせ俺はあそこに戻らないのならなんでもいい
死んだって構わないんなら、地面に着かなくたって変わりはない。
…でも――笑えるよな。
兎なんていなかったのに「兎の穴に落ちましたー」なんて。
本気でこんなもん探してる気狂いがいるって思ってたけど、俺はそいつらより気狂いかもな。
――なんだ??
やっと、光が射しこんできた―――