World Catastorophe
全人類を殺すことは実に容易なことだった。
20××年、12月25日、4時28分。
俺はボタンを押した。
俺がボタンを押すと、日本が機密に開発していた核弾頭ミサイル、計33発が日本各地で次々と発射された。東京には15発ほどのミサイルがあった。その30発が発射された際の光景は、ビルの隙間から見える夕焼けと重なってとても綺麗だった。
世界終末の始まりを見届けた後、首相官邸をこっそりと抜け出して彼女の処へ向かった。
ドアを開けると俺を世界終末へと向かわせた天使の悪魔がいた。
天使の悪魔は地上へ来る代償として頭より下は動かなくなり病院でこの世を視ていた。
「お疲れさま」
彼女は病室の窓から外を眺めながら言った。
「これで・・・・ユメが・・・・叶いますね・・・・・・」
「・・・・そうだな」
俺が彼女に出会ってからのある日、
「この世界は間違った方向に来てしまいました。今後、どの道を選ぼうとも元には戻れません」
と言った。そして、彼女は俺に、自分が天使であり、この世界に来たために体が動かなくなったこと、この世界の様子を調べるために来たということを告白した。
「調査の結果、この世界は壊さなくてはいけない。壊して創り変えなくはいけないと私は判断しました」
俺は、彼女の話を疑わなかった。なぜなら、この世界は壊されるべきだと思っていたからだ。
「ただ、」
彼女は俺を見て言った。
「最終判断はあなたに任せたいと思います」
なぜ、と俺が尋ねると彼女は微笑みながら言った。
「それは、あなたが日本の代表ではなく、世界の代表だと私が思ったからです。」
それに、と彼女は続ける。
「私はあなたのことを愛しているからです」
俺はその時、なぜかは分からなかったが彼女が悪魔に思えた。
世界が終わりを迎える中、彼女は嬉しそうにしていた。
「なぜ、嬉しそうなんだ?」
「それは、この世界の最後にあなたと一緒に過ごせるからです。あなたもそうは思いませんか?」
悪魔的返答だと思った。
「ああ、そうだな。」
「全く、つれない人ですね」
俺は彼女の手を握った。
「あなたは次の世界が、この世界のような終わりを迎えると思いますか?」
彼女は外を見て言った。
「次の世界に俺らみたいな人がいたらそうるかもな」
「そうでしょうね。そう考えたら、この世界の前にもこんな終わりを迎えた世界があったんでしょうね」
世界は絶望の色に染まっていた。この病院の2人を残して。
「もしかして、夕日が沈むとともに終わるようにしました?」
「よく分かったな。いいだろ、この終わり方」
「ええ、私好みの終わり方です」
窓から、地上に向かっている一つの光が見えた。
「本当の最後ですね」
そう言って彼女は立ち上がった。
「なんだ、体動くじゃないか」
「いま、神様に動かしてもらいました」
「・・・・そうか、良かったな」
彼女は俺の手を握った。
「愛してます」
「俺も愛してる」
俺は彼女を抱いた。
「ちょっと、痛いです」
「ごめん」
2人は泣いていた。
それは、この世の終わりに泣いていたのか、嬉しさに泣いていたいたのか
この世界に、そのすべてを知るものは、いなくなった。
初めて短編書きました。
こんなのもたまに投稿するのでヨロシクネ