愛とまごころの姉妹神
むかしむかし、神の愛と真心から生まれた二柱の女神がいました。その二柱の女神は人間に愛と真心を与え教えた姉妹の女神でした。名はククリヒメ、キクリヒメと呼ばれました。
人間たちのことを愛し、人間たちも姉妹の女神を敬愛しました。
女神たちは、イザナギとイザナミが対立し、それによって人間に死の宿命が与えられたことを不幸に思い、なんとかできないのかと考えました。
もしイザナミの心の中にイザナギへの愛の心が残っているのなら、イザナミから生まれた鬼にも愛と真心を与えることができるのではないかと考えました。そして人間と鬼が共存することを望みました。
女神たちは数多くの鬼たちに愛を教え、愛するという心を与えることができました。
真心も鬼に与えようとしましたが、それをイザナミは許しませんでした。
イザナミは女神たちを亡き者にしようと、悪神たちと鬼たちの軍隊である黄泉軍に命を狙うように命令しました。
女神たちは多くの鬼に愛を与えることができましたが、それはすべての鬼ではありません。そしてまた、女神たちから愛を与えられた鬼たちもイザナミの命令には従わなくてはなりませんでした。
女神たちは、自身たちが持つ愛の力――思う力で神の心と繋がることができました。思うことでイザナミの心に訴えかけましたが、イザナミは女神たちの訴えを拒絶し、女神たちはその命を狙われることになったのです。
姉妹の女神がその命を狙われていることを知り、神々は女神たちを守ろうとしました。女神を守ろうとしたのは、神々だけではありません。女神たちに愛を与えられた人間たちも女神たちを守るために立ち上がったのです。
こうして姉妹の女神を巡る神と人間の勢力と悪神と鬼の勢力の戦争が始まりました。
この戦いの中で、女神たちから愛と真心を与えられ女神を守ろうとする人間の中から、人間の能力を超越し、神々と同じ能力を使う人間たちが現れました。
彼らは、女神たちのため自分の命の犠牲を惜しむことなく戦い、人間たちにとって英雄的な存在になりました。
両陣営の神々、人間と鬼は熾烈な戦いを繰り広げました。
戦争は全世界、生きる物全てを巻き込み、長い年月が過ぎました。
そして、両軍とも最後の決戦になることを覚悟して対峙した時、姉妹の女神たちが両軍の前に姿を現しました。
女神たちは、戦争の原因である自分たちを巡り繰り返される戦いによって生まれる犠牲に悲しんでいました。
姉妹の女神は、両軍の目の前で自分たちの胸に剣を刺し合いました。
2柱の体からエメラルド色に輝く光が放たれ、その光は世界を包みました。その光を浴びた悪神たちは退散し、また悪神の女王であるイザナミは、姿を隠してしまいました。
姉妹の女神の死を目撃した生き物たちには愛と真心が与えられ、愛と真心を知ったのです。
そして、人間の能力を超える力を持ち、女神のために戦った者たちのことを、超人と呼ぶようになりました。