Life so Long
長かった一日が終わり俺らは玄関前でたむろしていた。
特に何を話すでもなく、ただ、座っていた。
空は灰色の雲でいっぱいになっている。
今日は、冬休み明け2日目。
しかもテストだったし。
1月は寒い。
外なんかは死ぬほど寒い。
耳や手はもう、真っ赤になっている。
一つ、冷たい風がほほを撫でる。
森の少し長めの髪が舞い上がった。
こんな寒い外にいつまでもいないで、とっとと帰ればいいのだが、
家に帰れば「受験生は勉強しろ」という呪文で部屋が満たされる。
勉強は嫌いだ。
まあ、受験生にそんな甘えは許されていないのだが。
そんなことをぼーっと考えていると空から声が降ってきた。
「男子ちゃんと歌えよ!!てゆーか、歌わねーんだったら来なくていいっつーの。
マジふざけんな。」
俺の学校ではもう卒業式に向けて動き始めている。
その一つが歌である。
全校で歌うのが一曲。
学年で歌うのが一曲。
そして、11月に行われた合唱コンクールで金賞を取った3年のクラスは
その曲を歌うことになっていた。
俺のクラスは金賞だったため、歌うのだが。
なんせ、歌うのは疲れるし、メンドクサイし。
ってことで、口パクなどでごまかしていたのだが、遂に女子の堪忍袋の緒が切れたらしい。
ちなみに今の怒鳴り声は篠田弥和というチビな女子である。
短気で気が強い、完全なる女王気質。
俺も思ったことは何でも口に出してしまう性格なので、何かと対立している。
しばらくすると、教師たちがやってきて「早く帰れ」とたむろ組排除に乗り出してきたので、解散することになった。