第五話 水明亭に泊まる
「ええ、いいわよ」
そういい、怪しく笑うのだった。
「といっても今日はもう夕方だから、ルー達の宿とっちゃいましょうか」
宿をとる?……そんな金は無いぞ。あのまま依頼も受けてないしな。
「エリシス。俺たちにそんな金は無いんだが」
「ええ。わかってるわよ。だから私が払うんじゃない。こう見えて結構蓄えあるのよ」
そう言って笑う。
確かにそれはとても魅力的な提案だ。だが、なにもしてないで施しを受ける訳にはいかない。そう思った俺はある提案をして見ることにした。
「エリシス。一つ提案がある」
「なにかしら」
「多分、武器防具、アイテムなど、金払ってもらうことになるかもしれない。エリシスが金持ちだとしても、施しを受ける訳にはいかないな。だから、俺たちがある程度稼げるようになったら今まで払ってもらった金を返す。そういうことでどうだ」
エリシスはしばし考える。
考えた答えが出たのか、頷いた。
「わかったわ。まあ、確かにその通りだわ。私だったらルーと同じことしていたから」
ふぅ、良かった。これでか首を振られたらどうしようかと思った。
「じゃあ、解決したところだし、宿はここでいいよね?」
冬華が確認をとる。
いいんじゃないか。今の話でもエリシスに近い方が便利だし、水明亭だっけか。ここ気に入ったしな。
「俺はいいと思うが、雫はどうだ?」
「ん、いいと思う」
満場一致だな。決まりだ。
俺たちは、フロントへと向かい、三部屋二泊とる。
「三部屋を二泊で銅貨30枚になります。食事はここで取れますから。好きな時間に降りてきてください」
なるほど。時間制じゃないのか。
そういやテーブルと椅子が結構あって固まってるところがあるが、そこで食べるのか。
「104号室、105号室、106号室になります。一日の疲れをゆっくり癒してください」
受付嬢はそう言って頭を下げる。
渡された鍵を持ってそれぞれの部屋へと向かい、中へ入っていく。
中は結構広く、だいたいエリシスと同じ作りになっていた。
今回はかなり短いです。
これには理由がありまして、次回載せたい話はすでに出来上がっているんです。
いつもと同じ長さにしてしまうと、中途半端な終わり方になってまうんです。ここが一番区切りのいいところだったので、こんな形になりました。
次回はいつもと同じ長さになると思います。
お気に入りしてくださった方、見てくださった方、本当にありがとうございます。