第四十三話 告白
鼓動が早鐘のように鳴り響く。呼吸がだんだんと早くなり、視界が狭まってくる。告白する時ってのは、こんなに緊張するものなのだろうか。深呼吸をして息を整え、改めて雫と冬華を見る。二人も、若干強張った顔をしていた。
「俺は今まで、幼馴染という心地よい関係を崩さないように、何とも思っていないような顔をして来た。俺が下手なことをして、三人がバラバラになるのが嫌だったから、ずっと三人でいたいから。そして、二人のうち、選べるのは一人だけだから、そうして来た」
口の中が乾く。真っ白になりそうな頭から言葉を捻り出す。二人とも、頼むからそんな泣きそうな顔をするな。
「説教はするくせに、口下手だからあまり気の利いた言葉は言えないけど、聞いて欲しい」
うるさい心臓を押さえつけ、雫と冬華の目を見る。
「……っ」
「…………っ」
「不誠実だとか、本気じゃないとか思われるかもしれない。けど、俺は……っ!二人のことが、好きだ!」
あれだけ騒がしかった心臓が、言い切った途端に静まり返った。目を瞑り、返事を待つ。やがて、啜り泣く音が聞こえて来た。
「ぐすっ…………えへへ。嬉しいな。ルーちゃんからそうやって言ってくれるなんて」
「ふ、ふふ。そうね。本当に、嬉しい。ありがとう流雨」
二人が涙を流しているところを見た瞬間、俺はフリーズした。それはそうだろう。突然好きな人が泣き出したら、誰だって固まるだろう。
「流雨、私は、あなたのことが好きです」
「ルーちゃん、私も、ルーちゃんのことが好きです」
そう言って、二人とも俺の首に絡みついて、2人一緒に唇を重ねて来た。軽く触れ合うだけのキス。直ぐに離れて、もう一回重なる。
「ふ、二人ともなにを」
「私達三人とも、ファーストキスでしょ?私と冬華は、流雨のファーストキスが欲しいの。だから、2人一緒に奪ったの
「ちょっと、恥ずかしい、けどね」
二〜三歩離れて、雫と冬華ははにかんだように微笑んだ。顔が一気に沸騰したかのように熱くなった。頭がくらくらする。
「あはっ、ルーちゃん顔が赤いよ」
「冬華も赤くなってる」
「雫ちゃんだって」
三つの真っ赤な顔を見て、三人で笑い合う。よかった。本当によかった。腰抜けそうだ。
「少し、寒くなって来たな。帰るか?」
「寒いなら」
「こうすればいいでしょ」
雫が右腕、冬華が左腕を胸に抱え込んだ。
「ほら、あったかい」
「ね?」
「ははっ、そうだな」
そう微笑みあって、三人で夜空を見上げた。
満月が爛々と輝く夜空の下。月光に照らされて、地面に三つの影が映る。三つの影は、仲睦まじく寄り添い合っていた。




