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第二十五話 リエラ

「ま、まってくれないか!?」


「ん?」


脱衣室で着替え、公共浴場から出た俺はレスドに呼び止められた。


「どうした?そんな急いで」


「はぁ………はぁ……ルウに、リエラに、あってほしくて」


「………はぁ………別によくないか?あってもどうこうなるわけじゃあるまいし」


「そうだけど、えっと……」


「わかった。会うからきょどるな」


「ありがとう」


公共浴場の直ぐそばにあるベンチに座って待つ。二十分待つと、雫達と見知らぬ女の子三人が公共浴場から出てきた。


「ルーちゃん、こんな所にいたんだ。あれ?この人は?」


「レスド。男湯にいた奴だ」


「こんにちは」


レスドと冬華が互いに挨拶を交わす。雫はその様子を興味なさげに見ていた。


「あ、あの、ルウさん、ですか……?」


「そうだが…………」


ベンチに座ったまま、空を仰いでいた流雨に、リエラが話しかける。


「綺麗な銀髪ですね」


「リエラもな」


「なんで、ってレスドさんから聞いたんですね」


「リエラの過去の話もな」


流雨がレスドから聞いたことを言うと、リエラは黙ってしまった。


「聞いて、どう思いましたか?」


「どうもこうもないな。馬鹿馬鹿しい話だと思った」


「馬鹿馬鹿しい、ですか?」


「村の奴らと、旅の途中に罵倒してきた奴らのことをな」


どうやら馬鹿馬鹿しいの意味がリエラ自身の事だと思ったようでぽかんと口を開けている。


「お前のことを知らずに、接しようともせずに、忌子だとかほざいている奴らの事をな。何十年も一緒にいたレスドが呪われてなんか無いんだ。忌子もくそもないだろ。獣人の奴らは、獣人しかかからない呪いだとか言うんだろうが、それはもう呪いじゃない。呪いは無差別だから呪いなんだ。無差別だからこそ人々の恐れおののく。ま、そんな奴らの言葉をいちいち気に留めるな。過去に囚われるな。過去は過去。悔やんで見ても、後悔して見てもなににもならない。お前は過去を生きているんじゃない。今を生きてるんだ。堂々と、自分の道をすすめ」


「堂々と………」


「親みたいなことを言っちまったが、一人で抱え込むな。お前は一人じゃない。お前の隣にはレスドや仲間がいる。辛いときには頼っていいんだ。それじゃ、俺たちはもう行くからな。また何処かであったら、そのときはよろしくな」


そう告げ、流雨達は馬車に乗り込んだ。








「言っちゃったね」


「レイラさん」


流雨達が馬車に乗り込み、馬車の姿が見えなくなった頃、レイラはリエラに微笑んだ。


「全く、言いたいことだけ言ってくれちゃって、お礼もしてないじゃないか」


「でも、また会えますよね。ルウさんがまたって、言ったんですから」


「そうだね。会えるさ。きっと」









「やれやれ。何処かの誰かさんの所為で、リエラが恋する乙女みたいな顔になっちゃったじゃないか。この落とし前、どうつけてくれるのかな………」


レスドの呟きは、誰に聞こえるでもなく、空に周りの音にかき消されたーー。













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