第二十四話 公共浴場〜女湯side〜
「んー!広いね!」
「ええ」
「ええ、そうね」
女湯も男湯と同じ、いや、それよりも広かった。設備も女湯の方が整っている。
「誰!?」
湯気でよく見えないが、人影が三つあり、そのうち一つがバシャッと水音を立てて立ち上がった。
「あれ?先客がいたんだ。私はフユカ・イチカワ」
「シズク・モリゾノ」
「私はエリシス・エリアデルよ」
「エリシス!?あの《金の殺戮姫》の!?フユカとシズクって言ったらあのランドルトを一人で倒したルウの仲間じゃない!どうしてこんなところに」
「んっとね、休憩、かな」
「休憩って………」
「湯船に、沈んでもいい?」
「え?あ、うん」
三人は湯船に沈み、壁にうつかる。お湯は肩まで来ていて、温度もちょうどいい。
「何をそんな遠くで入ってるのよ。もう少し近くに来ない?」
「え?だ、だって…………その」
「だっても何もないの。来たいの?きたくないの?はっきりして」
「う、行きたいです」
「んじゃ来なさい」
エリシスがそういい、三つの人影がこちらへ近づく。そのうち一つに耳と尻尾が生えていた。
「ふぅん。獣人ね。初めて見たわ」
「そうだね」
「えっと、二人とも。初めて見た獣人の感想は?」
「いいんじゃない?可愛くて。男は嫌だけど」
「ルーちゃんに猫耳と尻尾つけたら似合いそうじゃない?」
「そうね。それで?そっちは自己紹介はないの?」
「あ、ごめん。私はフロウ」
「リエラ、です。よろしくお願いします」
「私はレイラよ」
「ふぅん。銀髪ね」
「っ!」
雫はリエラの銀髪みて、そう呟く。リエラ雫の声が聞こえたらしく、ビクッと肩を震わせる。
「ああ違う。流雨も銀髪だから。他にもいるんだなって思っただけ」
「そのルウさんって銀髪なの?」
「うん。そのせいでむかしはよく虐められたらしいよ。その時にルーちゃんが言ってた言葉があったね」
「そうね。『髪色が違うから何が悪い。こんだけ人が暮らしてるんだ。そりゃ違う人も出てくるだろ。髪色が違うと何かお前らに困ることでも?』……そう言っていたね」
「髪色が違うから何が悪い…………………こんなに人が暮らしてるんだから違う人も出てくる………………」
その言葉を聞いたリエラは、小さな声で反芻する。
「銀髪で生まれてくることは獣人では今までになくて、リエラみたいな子を忌子って獣人達は言ってるんだけど」
「だからなに?獣人達がそう読んでるんだから私達もそう呼ばないかって?」
雫の言葉にフロウが頷く。
「獣人は獣人。私達は私達。獣人がそう読んでるからって私達もそう呼ぶかどうかは関係ない。その忌子ってどんなの?」
「一緒にいると呪われる、とか、殺されるとか」
「あなた達はリエラと何年一緒にいる?」
「十年くらい」
「あなた達は十年も一緒にいて、実際に呪われたことがある?」
「ないけど………」
「それが答えよ」
「え?」
「所詮はデマだったってこと。達の悪い嘘だったの」
「で、でも、獣人だけに効く呪いってことも」
フロウは立ち上がってシズクに反論する。
「それはもう呪いじゃない」
が、シズクの一言で湯船に沈んだ。
「呪いは無差別だから呪いなのよ」
「そうだね。シズクちゃんの言う通り」
「シズクはルウと同じで容赦無いね。全く」
雫達がそう話している間に、フロウ達三人は沈黙していた。
「あ、あの………」
沈黙を破ったのはリエラだった。
「なに?」
「ここを出たら、ルウさんに合わせていただけませんか?」
リエラのお願いに、雫達は顔を見合わせ……
「いいよ」
と頷いた




