閑話 エリシス
今回で閑話は終わります。
長らくお待たせいたしました。次回から本編となります。どうぞ本編の方もよろしくお願いします。
……………なんかノリで自己紹介をしてしまったが、改めて、目の前の青年を見る。髪は銀色で、風が吹くたびに髪の毛一本一本がまるで生きているようにたなびく。目の色は透き通るような青色で、とても整った顔立ちをしている。男性の平均身長と比べ、すこし身長が高い。全身がスラリと細く、一見華奢そうに見えるが、よくよく見るとかなりの筋肉が、それも無駄無くついている。ただ立っているだけでも隙が無く、武術をやっていることが伺える。
ちなみにここまで観察するまでに掛かった時間は三秒程度だ。
《フレイムテンペスト》
炎属性中級攻撃魔法を唱え、炎の槍を五つ創り出し、ラディに向かって放つ。ラディは回避行動もとれずにフレイムテンペストによって消し炭になる。
「はぁ、助かった。ありがとうエリシスさん」
「エリシスでいいわよ。ええと、ルウ?……うん、ルー」
一度ルウと読んで見たが、少し言いにくい為、ルウを伸ばしてルーと呼ぶことにした。
「ありがとう、じゃお言葉に甘えて。エリシス、今のは魔法か?」
と聞かれたから、
「ええ、そうよ。と言っても中級攻撃魔法なんだけどね」
と答えた。
その後、ルーからいろいろと聞かれたので答えた。
もう聞くことが尽きたようなのでこっちから質問させてもらうことにした。
私が聞きたいのは、なぜ軽装備で魔獣の森にいるのか?そして、いくらラディがランクEだからと言って素手で戦っていたのか。の二つだ。すると、ルーは「他にもここにきた知り合いがいて、多分もうすぐくると思うから待っててくれ」と言った。その言葉通り、待ってすぐに鈴のなるような声で、ルーの名を呼ぶ二つの声が聞こえた。聞こえた方に目を向けると、ルーに駆け寄る二人の女の子の姿が見えた。ルーの無事がわかると、二人が自己紹介をした。シズクとフユカというらしい。シズクは黒色の髪でルーと同じく風にたなびき、長さは腰まである。目の色は黒色で髪の毛ともに珍しい。身長はルーよりも少し低く、女性にしては高い。顔もとても整っているが、表情が表に出にくいらしく、無表情だ。でも、全く出ない訳ではないらしい。付き合いが長いとどんな感情をしているのかがわかるとルーは言っていたが、正直半信半疑だ。全身がルーと同じくスラリと細く、しかし、出るところはちゃんとでで………って胸が私より大きい!……悔しいなぁ………と意味のわからない敗北感に包まれながらもフユカに目を移す。髪色は透き通るような青色で、シズクと同じ腰まで伸ばしていて、二人と同じく風にたなびく。目の色は髪色と同色の青色だ。身長は三人の中で一番低く、女性にしては少し高い。二人と同じでスラリと細く、シズクに少し及ばないが、出るところはちゃんとででいる。………これまた悔しいことに、胸が私より大きい。一番驚いたのが、なんと三人とも私より年下だったことだ。しかも流離者らしい。流離者と会うのは初めてで、この三人に着いて行けば暇しなさそうだ。ということで、この世界に着いて教えていくついでに、三人の旅に着いていくことにした。
これからのことについて話し合ったのだが、ルーはとても頭がよく、訳もわからない異世界に放り出されたにしては酷く冷静だ。方針が決まり、冒険者ギルドで三人の登録を済ませに向かう。
冒険者ギルドに着き、三人は、魔力量と適応を調べにオルストのところへ向った。私は席に着き、コーヒーを頼み、ゆっくりと待つことにする。しばらく待ち、戻ってきたところで、私が泊まっている宿で話を聞くことにする。
水明亭で三人の部屋を取り、私の部屋で話を聞く。話を聞いた私はびっくりしてしまった。私が薄い黒色にたいし、フユカは完全な黒色。シズクは縦にひびが入り、さらにルーは水晶が木っ端微塵に砕け散ったという。ルーは落ち着けとなだめてくるが、これは落ち着いてなんかいられない。適応も馬鹿みたいだった。属性は全属性。ユニークは二種類。ルーだけ三種類。これまでの魔法理論を根本から覆すに足る適正結果だ。流石にもう驚かなくなったが、その後ルーにとても失礼なことを言われた。
「ふふっ。久しぶりね、他人とここまで話すなんて」
三人が部屋に帰ると、途端に静寂に包まれる。ドアが閉まり、窓際の椅子に座った私は、そうこぼす。今までは物音一つしないことに慣れていて、それが当たり前のようになっていたが、ついさっきなで騒いでいた三人が部屋に帰り、静寂に包まれると寂しさのようなものを覚える。
「もう誰とも、付き合って行こうとは思わなかったのにな」
と窓越しに沈んでいく日を見ながらポツリとつぶやく。沈んでいく日は、街を茜色に染め上げ、とても幻想的な風景を創り出していた。
「私がこうして生きているのは復讐の為。額に三日月の傷がついた黒滅死龍を殺すこと……。それだけの為に行きてるってあの三人が知ったら、どう思うかな。私を、蔑んで離れて行ったりするのかなぁ。せっかく知り合ったのに、離れていくなんて、嫌だなぁ」
蔑んで離れて行くことを想像し、声が震え、目が潤む。嫌だ、離れたくない。蔑まれたくない。でも、復讐はやめられない。今更やめることなんてできない。それが唯一の私の存在意義であり、その為だけに私は努力し、その努力の上に今の私は成り立っているのだから。でも、離れられるのは、嫌だな。と葛藤する。
「でも、それでも………一人で寂しさを抱えて生きていくよりも、三人と一緒にいた方が、ずっと楽で、楽しいんだろうな……」
それも入れたら、の話だけれど。いいえ、入れたら、じゃなくて、入れたい。どんなに蔑まれようとも、私は三人と離れたくない。そう決心を固め、眠りについた。
あの時の着いていくという選択は間違っていなかった。三人の非常識に頭を抱えることもあるけれど、私の嫌いな暇がなくなり、私が思考の渦に飲まれるのこともなくなっていった。毎日が楽しくて、色あせていた日々が、また、色彩を取り戻していた。
三人はとても強い。異常な程に。しかも、まだまだ成長していくだろう。そんな三人においていかれないように、私も、強くならなければいけない。ルー、シズク、フユカと一緒に旅する為に。
エリシスの意外な一面が発覚しました。
これからも本編の合間に閑話を入れることがありますのでよろしくお願いします。




